Archive for the ‘暴力事件’ Category
【報道解説】18歳の少年らが器物損壊罪や傷害罪で逮捕
【報道解説】風俗店案内所のトラブルで傷害罪
【報道解説】風俗店案内所のトラブルで傷害罪
風俗店案内所で発生したトラブルが傷害事件へと発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
「東京都在住のAさんは、友人5人と風俗店を利用することになり、東京都町田市の路上で風俗店無料案内所を利用しました。
しかし、希望する条件と合う風俗店を紹介されなかったことに腹を立てたAさんらは、風俗店案内所の店員Vさんに対して、顔を殴るなどの暴行を加えて、重傷を負わせました。
なお、Vさんの怪我は、誰の暴行によって生じたものかはわかりませんでした。
Aさんらは、通報により駆け付けた警視庁町田警察署の警察官に現行犯逮捕されましたが、翌々日には釈放されました。」
(5月26日読売新聞より配信されたニュースを元にしたフィクションです)
【傷害罪はどのような場合に成立するのか】
人の顔を殴る、蹴るなどの行為は刑法208条が定める暴行罪に当たります。
そして、暴行の際に相手方に対して怪我を負わせてやろうという意思で相手方に対して怪我を負わせた場合はもちろんのこと、たとえ相手方に怪我を負わせてやろうという意思がなくても、暴行自体を自発的に行い、その結果相手方に対して怪我を負わせた場合は刑法204罪が定める傷害罪が成立することになります。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役刑、又は50万円以下の罰金刑となっています。
【誰が怪我を負わせたかが不明な場合はどうなるのか】
刑法の一般論として、犯罪の結果が誰の行為によって生じたのか明らかではない場合は、通常は罪に問われることはありません。
しかし、今回取り上げた事例のように、複数の者の暴行によって傷害の結果が生じたものの、誰の暴行によって傷害の結果が生じたかが明らかでない場合は、暴行に参加した者について傷害罪が成立することになります。
そのため、Aさんには傷害罪が成立することになるでしょう。
Aさんに傷害罪が成立することになる説明としては、次の2つが考えられます。
【傷害罪が成立する可能性―共謀】
まず、考えられる説明として、Aさんと友人たちに傷害罪の共同正犯(刑法60条、204条)が成立している場合があります。
刑法60条には、「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。」と規定されています。
これは、2人以上の人が共同して犯罪を実行した場合は、他人が行った行為についても、自分が行ったものとして責任を追うということを意味しています。
取り上げた事例においては、Aさんと友人たちの間で、「一緒に風俗店案内所の店員Vさんを暴行しよう」という、共同して犯罪を行うことを内容とする共謀が成立し、そのような共謀に基づいて暴行に及んでいた場合には、Aさんは、たとえ自身の暴行によってVさんを怪我を負わせていなくても傷害罪の共同正犯が成立することになります。
従って、共謀がある場合、Aさんには傷害罪が成立することになります。
【傷害罪が成立する可能性―同時傷害の特例】
それでは、Aさんと友人たちの間で共謀が存在していない場合は、Aさんは傷害罪の責任を負わないと考えられそうですが、傷害罪については、刑法207条の同時傷害の特例が適用されることになりますので、Aさんは傷害罪の責任を負うことになります。
2人以上の複数人で暴行を加えて傷害を負わせた場合には、暴行に参加した者全員の暴行によって傷害の結果が発生しているものの、誰がどの程度の傷害結果を生じさせたのか、その軽重が分からない場合や、そもそも誰の暴行によって傷害結果が生じたのかが分からない場合がよくありますが、このような場合を例外的に共同正犯として取り扱うとするのが刑法207条の同時傷害の特例の規定です。
今回取り上げた事例においては、Aさんを含めた合計6人で、風俗店案内所の店員Vさんを暴行して傷害を負わせていますから、仮に共謀の事実が認められなかったとしても、この刑法207条が適用されることになりますので、Aさんらは、傷害罪の共同正犯として扱われることになります。
従って、共謀がない場合でも、Aさんは傷害罪についての責任を負うことになるでしょう。
【傷害事件の場合の刑事弁護活動】
今回取り上げた事例では、Aさんは、逮捕後釈放されていますが、釈放されたからといって事件が終了した訳ではありません。
今後は、検察官がAさんを傷害罪で起訴するかどうかの判断を下すまで、Aさんは在宅での捜査が続くことになるでしょう。
傷害事件のように、被害者の方がいる事件の場合、被害者の方との示談交渉が大事になります。
弁護士を通じて、被害者の方に対して謝罪と被害の回復を申し入れることによって、被害者の方の処罰感情を和らげることが出来れば、起訴を回避することも可能になるでしょう。
示談交渉については決まった方法というものがありませんので、これまでの弁護士の経験によるところが大きい弁護活動といえるでしょう。
そのため、示談交渉を依頼する弁護士選びは非常に重要になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う事務所で、傷害事件の被害者の方と示談を締結し、起訴を回避した経験が豊富な弁護士が在籍しております。
風俗店案内所の店員に怪我を負わせてしまい、傷害罪で警察の捜査を受けている方、傷害罪について起訴を回避したいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度御相談下さい。
【報道解説】強盗致傷罪で逮捕
【報道解説】強盗致傷罪で逮捕
金銭を奪うために加えた暴行によって相手方を怪我をさせたことにより、強盗致傷罪の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「女性になりすましてSNSで呼び出した高校生に暴行を加え、金を奪おうとした疑いで、21歳の男ら2人が逮捕された。
A容疑者(21)らは2022年3月、埼玉県川越市の路上で、男子高校生に『金を出せ』と脅して暴行を加え、けがをさせた疑いが持たれている。
A容疑者らは、SNSで若い女性になりすまし、高校生を呼び出していたという。」
(令和4年5月24日にFNNプライムオンラインにて配信された報道より引用)
【強盗致傷罪とは】
刑法240条は、強盗致傷罪について規定しています。
強盗致傷罪が成立するためには、「強盗が」、強盗の機会に、「人を負傷させた」という要件を充たす必要があります。
引用した報道では詳しい事実関係については明らかとなっていませんが、Aさんが高校生から金銭を奪うために加えた暴行が、高校生の反抗を抑圧する程度の暴行であれば、Aさんは「強盗」に当たることになるでしょう。
そして、そのような強盗の手段として用いられた暴行によって高校生が怪我をしていますので、Aさんは強盗の機会に「人を負傷させた」として強盗致傷罪の疑いで逮捕されたと考えられます。
なお、報道では「金を奪おうとした」との記載にとどまり、実際にAさんが金銭を高校生から奪ったかについては定かではありませんが、仮にAさんが金銭を奪っていなくとも、金銭を奪うために用いた暴行によって相手方を怪我をさせたのであれば、刑法243条が定める未遂罪は成立することはなく、強盗致傷罪の既遂が成立することになります。
強盗致傷罪の法定刑は、無期又は6年以上の懲役刑で、罰金刑が定められておらず、最も軽い刑で6年の懲役刑となっていますので、様々な犯罪について規定する刑法の中において、科される刑罰が大変重い犯罪です。
【強盗致傷罪で起訴された場合】
強盗致傷罪が起訴されると次に示すように通常の公判手続とは異なる点があります。
まず、強盗致傷罪のように法定刑で無期懲役が定められている事件が起訴された場合、その事件は、裁判員裁判の対象になります。
裁判員裁判制度は、職業裁判官と一緒に、国民の中から抽選で選ばれた人が裁判員として裁判に参加して、有罪・無罪の判断、有罪の場合の量刑をどうするかを決める裁判制度です。
裁判員裁判制度においては、量刑を判断にあたっては国民感情が反映されることになりますので、職業裁判官のみによって行われる通常の裁判に比べて、量刑が重くなる傾向があると言われています。
また、裁判員裁判の対象となる事件については、公判が開かれる前に公判前整理手続と呼ばれる手続が行われることになります。
公判前整理手続は、第1回公判期日の前に、裁判所、検察官、弁護人が事件の争点を明確にして、証拠の整理を行い、これからどのように審理を進めていくかという審理計画を作成することを目的とする手続ですが、審理計画の作成に時間がかかってしまい、結果として公判が長引いてしまうおそれがあります。
【強盗致傷罪の弁護活動】
このように強盗致傷罪は法定刑が重く重大な犯罪ですが、被害者に対する示談の有無によって、刑事処罰の可能性を低くする可能性が残されています。
事件を起訴するか否かを決定する権限は検察官にあり、検察官が事件を起訴するか否かの判断をするにあたっては、被害に遭われてしまった方の処罰感情を重視する傾向にあります。
そのため、検察官が起訴・不起訴の判断を下すまでに、被害に遭われてしまった方に対して謝罪と被害の回復を行い、示談を締結することができれば、軽い処分となる可能性を高めることができます。
【軽い処分を目指したい方は】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱っている事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、被害者の方との示談交渉により、示談を締結することができ、強盗致傷罪から窃盗罪と傷害罪の2罪に分離させた結果、不起訴処分を獲得した経験のある弁護士が在籍しております。
強盗致傷罪を起こしてしまいお困りの方、強盗致傷罪について少しでも軽い処分を目指したい方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度御相談下さい。
【解決事例】過失傷害罪で示談成立、刑事事件化を阻止
【解決事例】過失傷害罪で示談成立、刑事事件化を阻止
成人女性による自転車接触事故による過失傷害被疑事件の刑事弁護活動とその結果について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が紹介します。
【被疑事実】
本件は、埼玉県在住の女性被疑者Aが、自転車を運転している際に過失により接触事故を起こし、被害者Vに対して負傷を負わせたという過失傷害罪の事例です。
本件では、Vの傷害の程度も軽く、Vが警察には被害を申告していない状況で、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ示談を念頭においた弁護活動の依頼が持ち込まれました。
【刑事弁護の経緯 示談交渉】
本件のように、被害者が警察に被害の申告をしていない状況では、被害者に対して十分な謝罪と被害弁償を済ませて示談が成立すれば、刑事事件化を阻止することが十分に期待できるます。
そのため、A家族から依頼を受けた弁護人は、被害者に対して丁寧に謝罪と被害弁償の意向を伝え、被害者の被害感情や示談に対する意向の程度を探っていきました。
本件では、VはAが事故現場にて、立ち尽くしたまま助けることもなく、謝罪を一度もしなかったこと等について立腹しており、一部損壊したVの乗っていたスポーツ自転車の部品代金として、若干高めの賠償金額を請求してきました。
弁護人は、Vの主張を丁寧に聞いた上で、Vの被害にあったスポーツ自転車の損壊状況を実況見分させていただき、その市場価格を調査し、また、自己のあった現場へ実況見分し、事故状況下でのAとVの過失の状況について調査を進めました。
最終的に、弁護人は賠償金額を大幅に引き下げてVと示談を締結することに成功し、Vから事件化しないとの約束を示談書上で取り交わし、刑事事件化することなく事態は終了しました。
【依頼者からの評価】
本事件は、刑事弁護の依頼を受けてから示談締結による問題解決まで、約1カ月ほどで解決に導くことができました。
当初は被害者から高めの賠償金額の主張なされていたものの、弁護人による粘り強い調査と交渉により、最終的には数万円の示談で締結に至ったことから、Aおよび契約依頼者のA家族から大変高く評価していただきました。
【刑事事件の解決のために】
上記刑事事件のように、自転車の過失運転などによる過失傷害の事案では、被害者に対する謝罪や被害弁償の話をまとめあげ、刑事事件化しないとの示談内容をまとめることが刑事弁護活動の核心となります。
このような場合、刑事事件で示談交渉を多数経験し、実績をあげた刑事事件に精通した弁護士に法律相談や弁護の依頼をすることが望ましいでしょう。
自転車事故等による過失傷害罪でお悩みの方、またはご家族が刑事事件化の可能性があってお悩みの方は、過失傷害事件の事件化回避に実績のある、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所への弁護の依頼をご検討ください。
【報道解説】酒を浴びせる暴行罪で現行犯逮捕
【報道解説】酒を浴びせる暴行罪で現行犯逮捕
他人に酒を浴びせかけた暴行罪で現行犯逮捕されたケースの刑事手続と法的責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【報道紹介】
「同棲している女性の頭に酒をかけたとして令和4年4月5日、48歳の男が逮捕されました。
暴行罪の現行犯逮捕されたのは、札幌市白石区に住む建築業の48歳の男です。
警察によりますと、男は5日午後9時10分ごろ、白石区の自宅で同棲している内縁関係の女性の頭に酒をかけました。
女性が『一緒に暮らしている男に酒をかけられた』などと警察に通報し、事件が発覚。
駆け付けた警察官が状況を確認し、現行犯逮捕しました。
酒は、2リットルの紙パックに入った焼酎で、半分くらい女性にかけていたということです。」
(令和4年4月6日に北海道ニュースUHBより引用)
【裁判例の紹介】
ニュースを読んで、お酒をかけただけで暴行罪の疑いで現行犯逮捕されるのかと思われた方がいらっしゃるかもしれません。
確かに、暴行罪が成立する典型的な例としては、人を殴ったり、蹴ったりするような相手方に対して怪我を負わせるような行為があります。
このような典型的な暴力行為にとどまらず、相手方に身体的な接触がなく、怪我をさせる危険性がない行為であっても、暴行罪は成立する可能性があります。
例えば、福岡高等裁判所昭和46年10月11日判決では、被告人が、職場で対立する女性に対して、お清めの塩だと称して、女性の頭、顔、胸および大腿部に、塩を数回振りかけた行為によって暴行罪が成立するかが問題になりました。
裁判所は、暴行罪について、「必ずしもその性質上傷害の結果発生に至ることを要するものではなく、相手方において受任すべきいわれのない、単に不快嫌悪の情を催させる行為といえどもこれに該当する」とし、塩を数回振りかける行為は、「相手方をして不快嫌悪の情を催させるに足りるものであ」って、相手方が塩を振りかけられたことについて「受忍すべきいわれのない」ことであるとして、塩を数回振りかけた行為が暴行罪に当たると判断しました。
このように、裁判例では、暴行罪が成立するにあたって相手方を怪我をさせる危険性がある行為であるか否かは問われていません。塩や酒を相手にかけることでも暴行となりえるのです。
【刑事事件の解決のために】
ご自身が暴行罪の疑いで警察から捜査を受けている、あるいはご家族の中で暴行罪の疑いで逮捕された方がいらっしゃるという場合には、いち早く弁護士にご相談あるいは初回接見をご依頼されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、暴行罪をはじめとした刑事弁護の経験が豊富な弁護士が所属しております。
暴行罪でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご連絡ください。
【解決事例】器物損壊罪の在宅事案で示談成立と不起訴処分獲得
【解決事例】器物損壊罪の在宅事案で示談成立と不起訴処分獲得
成人男性による器物損壊被疑事件の刑事弁護活動とその結果について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が紹介します。
【被疑事実】
本件は、男性被疑者Aが、パチンコ店Vの店前に置いてあったティッシュケースに対して火のついたタバコを投げ捨てた結果、ティッシュケースを焼損したという器物損壊罪の事例です。
Aは器物損壊罪の疑いで逮捕されましたが、検察官が勾留請求せずAを釈放したため、以後は在宅捜査へ切り替わりました。
Aは釈放後、器物損壊罪で今後どのような刑事手続を受け、どのような刑事処罰が下るのか不安となり、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部で弁護士契約いただく運びとなりました。
【刑事弁護の経緯 終局処分に向けて】
本件では、Aが逮捕後に釈放されて以後は在宅捜査となったため、次の段階として、被害者であるVに対する示談交渉を進めました。
Aは、タバコの投げ捨てによる器物損壊の被疑事実を認めており、Aが謝罪と賠償の意向があるとVに対して連絡をとり、数度の交渉を経て、無事に示談を成立させることができました。
示談内容として、Vが器物損壊罪の刑事告訴を取り下げてもらう条項も入っていたため、本件器物損壊罪はVの刑事告訴の取下げにより起訴の要件を満たさなくなったため、検察官は本事件を不起訴処分と決定しました。
【依頼者からの評価】
本刑事事件は、刑事事件化から不起訴処分の決定まで、約1カ月ほどで解決に導くことができました。
器物損壊罪は被害者からの刑事告訴がなければ検察官が起訴することができない「親告罪」であるため、比較的円滑かつ早期に示談が成立したため、不起訴処分獲得までスピード解決をすることができました。
Aはとにかく前科をつけたくないとの念で弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部に弁護士契約をいただいたため、事件が無事に不起訴処分で終わってAは大変安心していらっしゃいました。
【刑事事件の解決のために】
上記刑事事件のように、器物損壊罪などの親告罪の刑事事件は、何よりも示談の成立によって被害者から刑事告訴を取り下げていただくことが刑事弁護の最重要課題です。
このような親告罪の刑事事件で不起訴処分を目指したい方は、刑事事件を専門とする多数の示談経験のある弁護士に弁護を依頼することが望ましいでしょう。
器物損壊罪で刑事事件化してお悩みの方、またはご家族が逮捕されてお悩みの方は、器物損壊事件の示談成立と不起訴処分獲得に実績のある、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所への弁護の依頼をご検討ください。
万引きのつもりが裁判員裁判に?
万引きのつもりが裁判員裁判に?
万引きで問題となる罪と、それが事後強盗罪、強盗致死傷事件に発展した場合に考えられる裁判員裁判の手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説致します。
【ケース】
埼玉県川口市在住のAは、専業主婦として生活をしています。
Aは生活に困っていたわけではありませんが、生活費を少しでも浮かせたいと考え、いつも利用しているスーパーマーケットで日用品を購入する際、商品数点をレジを通さず買い物かごに入れる万引き行為を日常的に行っていました。
被害に遭っていたスーパーマーケットでは私服警備員を配備し、事件当日もAが万引き行為を行った場面を現認しました。
そこで、警備員VはAが店を出たところで「清算していない商品をお持ちですよね」と問いかけました。
Aは怖くなって逃げようとしましたが、警備員VはAの前に立ち尽くしたため、逃げようと思い警備員Vを突き飛ばしました。
警備員Vは弾みで道路に倒れ込み、頭部を激しく打って後遺症がでる重症を負いました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【万引きと事後強盗】
ご案内のとおり、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売店舗で陳列棚などから商品を盗む行為は、いわゆる万引きと言われ窃盗罪にあたります。
条文は以下のとおりです。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
しかし、今回の事件のように、店員や警備員などから声をかけられ、商品を取り上げられたり通報されそうになったりした場合に、相手に対して暴力行為をしたり脅迫する行為は、事後強盗という罪に当たります。
刑法238条に記載のとおり、事後強盗にあたる行為は強盗罪として扱われます。
ケースについて見てみると、Aの事後強盗事件により警備員Vは道路に頭部を激しく打って後遺症が生じるほどの外傷を負っています。
強盗事件を起こした結果、被害者が死傷してしまった場合、強盗致傷罪・強盗致死罪という罪にあたります。
事後強盗事件の場合も同様に扱われるため、以下で引用している刑法
刑法238条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
刑法240条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
【事後強盗が被害者を怪我させた場合は裁判員裁判の対象に】
裁判員裁判は、以下のいずれかに当たる罪を犯した場合に開かれます。(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律2条1項各号)
①死刑又は無期の懲役・禁錮に当たる罪に係る事件
②法定合議事件(死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪(強盗等を除く。))であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係る事件
ケースの場合、つまり強盗致傷罪の場合は、無期懲役刑が用意されているので、裁判員裁判対象事件にあたります。
裁判員裁判対象事件で起訴された場合、司法試験に合格して法曹資格を有する「裁判官」だけでなく、一般人で構成する「裁判員」も審議に参加し、有罪か無罪か、有罪の場合の量刑はどうするか、決めることになります。
裁判員裁判は通常の裁判とは異なる点が少なくありませんが、
・公判前整理手続や裁判員の選任手続きがあるため起訴から判決宣告までに時間がかかる
・裁判官だけでの審議に比べ、市民感覚が反映されより厳しい刑罰が科せられる可能性がある
という特徴が挙げられます。
そのため、集中審議前に保釈請求を行ったり、集中審議では裁判員にもわかりやすいような書類等の作成・説明が求められたりするなどといった、技術や経験が不可欠です。
よって、裁判員裁判対象事件で起訴される可能性がある場合、早期に裁判員裁判の経験がある弁護士に依頼することが望ましいと言えます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当法人では、これまで数多くの刑事事件を経験していて、裁判員裁判で無罪、あるいは執行猶予を獲得した経験もあります。
埼玉県川口市にて、家族が万引きをしたところ店員や警備員に制止され、突き飛ばすなどして事後強盗事件や更に重い強盗致傷事件に発展した場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部に御連絡ください。
女性を監禁し怪我させた男を逮捕
女性を監禁し怪我させた男を逮捕
監禁と傷害によって逮捕された事例を題材に、刑事弁護士の弁護活動について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説いたします。
事例
埼玉県さいたま市大宮区在住のAはさいたま市大宮区内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aはさいたま市大宮区内の路上で知人Vを殴り怪我を負わせるなどした後、Vを無理やり自車に乗せ、6時間余り脱出不可能な状態にしました。
さいたま市大宮区を管轄する大宮警察署の警察官は、Aを監禁等の疑いで逮捕しました。
Aの家族は、刑事事件に強いと評判の弁護士に相談することにしました。
(本件は事実をもとにしたフィクションです。)
~監禁・傷害で逮捕~
まず、本事例において監禁罪(刑法220条)が成立することに大きく争いはないと思われます。
Aが、Vを無理やり自車に乗せ、6時間に渡って移動の自由を奪った行為は「不法に人を……監禁した」に当たることは明白といえるからです。
もっとも、Aは監禁行為とは別にVを殴り怪我を負わせています。
では、AがVに怪我を負わせた行為にはどのような犯罪が成立するのでしょうか。
刑法221条は「前条(注:逮捕・監禁)の罪を犯し、よって人を死傷させた者」に逮捕等致死傷罪が成立すると規定しています。
そうすると、本件のようにいわば監禁の過程でVに怪我を負わせたケースにおいては、監禁致傷罪が成立するとも考えられます。
しかし、刑法44条は「未遂を罰する場合は、各本条で定める」としており、未遂罪が成立するためには未遂処罰規定が定められている必要があることに注意が必要です。
そこで、逮捕及び監禁罪を定める第31章(220条以下)を見てみると、監禁罪には未遂処罰規定が存在しないことが分かります。
したがって、上記221条が「前条(本件では監禁)の罪を犯し」、「よって人を」死「傷させた」と規定している以上、監禁致傷罪が成立するためには、傷害結果を負わせる前に監禁(既遂)罪が成立している必要があることが文言上明らかです。
よって、本件AがVに傷害を負わせた行為には、別途傷害罪(204条)が成立することになると考えられます。
~逮捕・勾留段階で保釈?~
法律に明るくない一般の方や急に刑事事件に巻き込まれてしまった方が勘違いしがちであることとして「保釈」というものがあります。
保釈とは、刑事訴訟法88条以下に規定されており、勾留中の「被告人」を身体拘束状態から解放する制度をいいます。
「被告人」とは、犯罪の疑いをかけられた者の起訴後の呼称であり、起訴前の「被疑者」(マスコミ用語でいうところの容疑者)とは異なります。
刑訴法は189条以下に、「第二編 第一審 第一章 捜査」に関する規定を置いています。
その中でも、207条1項をみてみると、同条項は「(前3条の規定による)勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない」としています。
ここでは、但し書きに注目してみてください。
つまり、ここに書いてあることは、捜査段階(被疑者勾留の段階)では、裁判官は保釈の決定権限を持たないということです。
では、被疑者段階で勾留されてしまうと、釈放(身柄解放)される可能性は一切ないのでしょうか。
上述のように被疑者勾留に保釈の制度はありませんが、身体拘束からの解放手段は存在します。
勾留の決定を争う準抗告(刑訴法429条1項2号)や検察官による勾留請求(同法205条1項)に対して意見を述べるなど、弁護士として被疑者に対する身体拘束が必要ない旨を主張していく方法があるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は、監禁や傷害を含む刑事事件全般を取り扱う刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件のプロフェッショナルである弁護士が、早期の身柄解放などに向けて最善を尽くします。
埼玉県さいたま市大宮区にて、ご家族が監禁・傷害事件などの嫌疑で逮捕された場合、まずは年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。
埼玉県杉戸町で刃物で切りつけ殺人未遂罪で逮捕
埼玉県杉戸町で刃物で切りつけ殺人未遂罪で逮捕
強い恨みや通り魔的な犯行として、刃物で人を切りつけることによって生じる刑事責任ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
<事件例>
埼玉県杉戸町在住の無職Aさん(46歳)は、社会に対する不満から、誰でもよいから人を傷つけようと思い、町内の道路において、一人で歩いている女性Vさんに背後から近づき、所持していた刃物で背中を刺して、そのまま乗っていた原付自転車で逃走しました。
Vさんからの110番通報を受けた埼玉県警杉戸警察署は迅速な捜査を開始し、捜査現場付近に戻っていたAさんに事情聴取を求めたところ、Aさんが事実を認めたため、Aさんを殺人未遂罪の疑いで緊急逮捕しました。
(フィクションです。)
上記刑事事件例は、令和2年4月30日午前9時半ごろ、東京都葛飾区南水元の警視庁亀有署南水元交番に刃物を持った男が押し入り、交番相談員の男性の背中や尻などを刃物で切りつけたとして殺人未遂罪の疑いで現行犯逮捕された事案をモデルにしています。
犯行現場はJR金町駅から北に800メートルほど離れた団地などが並ぶ住宅街で、被疑者は犯行後、交番から一時逃走したものの、すぐに追いかけた警察官らに約400メートル離れたマンションで確保され、殺人未遂罪の疑いなどで現行犯逮捕されたとのことです。
逮捕された被疑者は、逮捕直後には「催眠術にかけられた」などと意味不明な供述をしたものの、その後は警察の調べに対して黙秘している模様です。
【刃物を用いた通り魔的犯行】
一般的に、通り魔とは、通りすがりに人に不意に危害を加える者を言います。
主に、通り魔は、①人の多いところで単発または複数の犯行を行うタイプと、②時間や場所を変えて散発的に犯行を行うタイプに分かれます。
一言で通り魔事件と言っても、加害者の犯行の動機によって成立する犯罪が変わり得る場合があり、人を殺すつもり、または殺してしまうかもしれないという認識をもって通り魔事件を行えば、多くの場合、傷害罪より重い殺人未遂罪が成立すると考えられます。
殺人未遂罪、傷害罪、暴行罪などの個人に対する犯罪は、被害者ごとに犯罪が成立するので、併合罪(45条)として、2つ以上の罪で有期懲役にする場合、その最も重い罪について定めた刑の長期に、その2分の1を加えたものが長期となります。
実際の事件例では、殺人未遂罪および銃刀法違反で懲役5年が科された例、同じ罪状で懲役7年が科された例、傷害罪および銃刀法違反で懲役1年6月執行猶予5年が科された例などがあります。
自分のご家族が逮捕されてしまった場合、特に通り魔事件のように重大事件であれば尚更、初回接見サービスをお勧めします。
これにより、刑事事件専門の弊所弁護士が、被疑者の方に今後の刑事事件についての見通しを説明し、取調べに対する助言等を行います。
懲役刑が言い渡される可能性が高い通り魔事件では、事件の初期段階から弁護士に動いてもらい、捜査機関の不当な取調べで不利な供述を取られないようにすることが後の刑事手続きで重要となります。
埼玉県杉戸町の刃物で切りつける殺人未遂事件で刑事事件化または逮捕されてあお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談または初回接見サービスをご利用ください。
埼玉県鴻巣市で家庭内暴力で逮捕
埼玉県鴻巣市で家庭内暴力で逮捕
夫の妻に対する暴力や、親の子に対する行き過ぎたしつけ等の家庭内暴力により、傷害罪などの暴力犯罪へつながるケースの刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
<事件例>
埼玉県鴻巣市在住の主婦Vさんは、会社員である夫Aの暴力的な言動に悩まされており、ある日、Vさんが作った夕食について会社から帰ってきたAは「冷めていて不味い。こんな飯を食わせるのか」と急に怒り出し、Vさんの顔を3度ほど平手で殴る暴行を行いました。
Vさんの顔が腫れて病院に行くと、医師はVさんの鼻骨が骨折しているとして全治4か月の重傷と診断しました。
Aの家庭内暴力に耐えきれなくなったVさんは、怪我の診断書を持って埼玉県警鴻巣警察署に夫の暴力被害の相談に行き、警察は傷害罪の疑いでAを逮捕しました。
(フィクションです。)
上記刑事事件例は、令和2年5月16日、愛知県名古屋市の男性(75歳)が妻(64歳)の顔を殴り、大けがをさせたとして、傷害罪の疑いで逮捕された事案をモデルにしています。
具体的には、16日午前、名古屋市の集合住宅の被疑者男性から「妻の意識や呼吸がない」と119番通報があり、女性は病院に運ばれたものの、その後間もなく死亡が確認されました。
死亡したのは女性は顔が腫れていたため、不審に思った病院が、刑事事件の可能性があるとして警察に通報し、警察は被害者を殴って鼻を骨折させるなどした傷害罪の疑いで、被害者の逮捕に踏み切りました。
警察の調べに対し、被疑者「ご飯の支度をしてくれなかった」と動機を語っており、警察は傷害致死罪での立件を視野に、死亡した経緯などくわしく調べています。
昨今では、千葉県野田市において父親による家庭内暴力によって10歳の娘が暴行の果てに死亡してしまった事件を中心に、家庭内暴力に対する厳しい処罰を求める意見と家庭内暴力が顕在化する前に事前に第三者による介入を強く求める意見が主張されるようになっています。
従来、家庭内で発生した刑事事件については、家族間特有の緊密な人間関係に基づく関係の破綻などが動機となっていることが多く、特に被害者が加害者(被疑者)が家族同士であることもあって、被害の申告によって事件が公開されることを嫌がる傾向が強く、警察等の捜査機関も家庭内での紛争に基づく刑事事件では、特に被害が深刻な場合にのみ介入し、その程度を超えないものについては極めて介入に消極的であるのが通常でした。
しかし、昨今では、家庭内暴力を規制する特別法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)が制定されたり、平成29年の刑法改正によって、親などの監護者による子に対する性的行為を処罰する規定(刑法第179条、監護者わいせつ罪および監護者性交等罪)が新設される等の動きがあり、閉鎖的な家庭環境ゆえに被害の声を上げられない被害者の救済に向けた取組みが進んでいます。
このような事情を背景に、刑事弁護分野においても、家庭内暴力によって刑事事件化した場合には、迅速な逮捕に踏み切るケースが多くなってきている印象があり、実際、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部で受任となった家庭内暴力による傷害被疑事件でも、被疑者が逮捕された段階で、被疑者のご両親からお話が寄せられました。
家庭内暴力による傷害罪の刑事事件では、被疑者の身柄を拘束しなければ、家庭という密室ゆえに罪証(証拠)隠滅が図られる可能性が高く、また、再犯によって更なる深刻な被害が生じる可能性もあるため、延長を含めて最大20日間の勾留が決定される見込みが非常に強いです。
それゆえ、刑事事件化した場合には、早期に刑事事件を専門とする弁護士に事件を依頼し、複雑な家庭内の人間関係の整理と、被疑者が捜査妨害や再犯を行わないよう環境調整を行い、在宅での事件が進められるよう被疑者の身柄釈放に向けた活動を早期に行ってもらうことが重要となるでしょう。
埼玉県鴻巣市で家庭内暴力による傷害罪等で刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回無料相談や初回接見サービスをご検討ください。
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