【報道解説】風俗店案内所のトラブルで傷害罪

2022-06-05

【報道解説】風俗店案内所のトラブルで傷害罪

風俗店案内所で発生したトラブルが傷害事件へと発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】

「東京都在住のAさんは、友人5人と風俗店を利用することになり、東京都町田市の路上で風俗店無料案内所を利用しました。
しかし、希望する条件と合う風俗店を紹介されなかったことに腹を立てたAさんらは、風俗店案内所の店員Vさんに対して、顔を殴るなどの暴行を加えて、重傷を負わせました。
なお、Vさんの怪我は、誰の暴行によって生じたものかはわかりませんでした。
Aさんらは、通報により駆け付けた警視庁町田警察署の警察官に現行犯逮捕されましたが、翌々日には釈放されました。」
(5月26日読売新聞より配信されたニュースを元にしたフィクションです)

【傷害罪はどのような場合に成立するのか】

人の顔を殴る、蹴るなどの行為は刑法208条が定める暴行罪に当たります。
そして、暴行の際に相手方に対して怪我を負わせてやろうという意思で相手方に対して怪我を負わせた場合はもちろんのこと、たとえ相手方に怪我を負わせてやろうという意思がなくても、暴行自体を自発的に行い、その結果相手方に対して怪我を負わせた場合は刑法204罪が定める傷害罪が成立することになります。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役刑、又は50万円以下の罰金刑となっています。

【誰が怪我を負わせたかが不明な場合はどうなるのか】

刑法の一般論として、犯罪の結果が誰の行為によって生じたのか明らかではない場合は、通常は罪に問われることはありません。

しかし、今回取り上げた事例のように、複数の者の暴行によって傷害の結果が生じたものの、誰の暴行によって傷害の結果が生じたかが明らかでない場合は、暴行に参加した者について傷害罪が成立することになります。
そのため、Aさんには傷害罪が成立することになるでしょう。
Aさんに傷害罪が成立することになる説明としては、次の2つが考えられます。

【傷害罪が成立する可能性―共謀】

まず、考えられる説明として、Aさんと友人たちに傷害罪共同正犯(刑法60条、204条)が成立している場合があります。
刑法60条には、「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。」と規定されています。
これは、2人以上の人が共同して犯罪を実行した場合は、他人が行った行為についても、自分が行ったものとして責任を追うということを意味しています。

取り上げた事例においては、Aさんと友人たちの間で、「一緒に風俗店案内所の店員Vさんを暴行しよう」という、共同して犯罪を行うことを内容とする共謀が成立し、そのような共謀に基づいて暴行に及んでいた場合には、Aさんは、たとえ自身の暴行によってVさんを怪我を負わせていなくても傷害罪共同正犯が成立することになります。
従って、共謀がある場合、Aさんには傷害罪が成立することになります。

【傷害罪が成立する可能性―同時傷害の特例】

それでは、Aさんと友人たちの間で共謀が存在していない場合は、Aさんは傷害罪の責任を負わないと考えられそうですが、傷害罪については、刑法207条の同時傷害の特例が適用されることになりますので、Aさんは傷害罪の責任を負うことになります。
2人以上の複数人で暴行を加えて傷害を負わせた場合には、暴行に参加した者全員の暴行によって傷害の結果が発生しているものの、誰がどの程度の傷害結果を生じさせたのか、その軽重が分からない場合や、そもそも誰の暴行によって傷害結果が生じたのかが分からない場合がよくありますが、このような場合を例外的に共同正犯として取り扱うとするのが刑法207条の同時傷害の特例の規定です。
今回取り上げた事例においては、Aさんを含めた合計6人で、風俗店案内所の店員Vさんを暴行して傷害を負わせていますから、仮に共謀の事実が認められなかったとしても、この刑法207条が適用されることになりますので、Aさんらは、傷害罪共同正犯として扱われることになります。
従って、共謀がない場合でも、Aさんは傷害罪についての責任を負うことになるでしょう。

【傷害事件の場合の刑事弁護活動】

今回取り上げた事例では、Aさんは、逮捕後釈放されていますが、釈放されたからといって事件が終了した訳ではありません。
今後は、検察官がAさんを傷害罪起訴するかどうかの判断を下すまで、Aさんは在宅での捜査が続くことになるでしょう。

傷害事件のように、被害者の方がいる事件の場合、被害者の方との示談交渉が大事になります。
弁護士を通じて、被害者の方に対して謝罪と被害の回復を申し入れることによって、被害者の方の処罰感情を和らげることが出来れば、起訴を回避することも可能になるでしょう。
示談交渉については決まった方法というものがありませんので、これまでの弁護士の経験によるところが大きい弁護活動といえるでしょう。
そのため、示談交渉を依頼する弁護士選びは非常に重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に扱う事務所で、傷害事件の被害者の方と示談を締結し、起訴を回避した経験が豊富な弁護士が在籍しております。
風俗店案内所の店員に怪我を負わせてしまい、傷害罪で警察の捜査を受けている方、傷害罪について起訴を回避したいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度御相談下さい。

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