司法取引

改正刑事訴訟法(2018年6月までに施行予定)では,「証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度」が規定されています。

いわゆる司法取引とよばれるものです。

・一般的に,司法取引とは,

  1. 被疑者・被告人が自らの罪を認めることと引き換えに,国家機関が恩典を付与することを合意するもの
  2. 被疑者・被告人が共犯者等の他人の犯罪事実の捜査や訴追に協力することと引き換え,国家機関が恩典を付与することを合意するものに分けられます。

改正刑事訴訟法案に規定された司法取引は,②のパターンのものです。

・合意の内容

特定犯罪の被疑者・被告人が,他人の特定犯罪の犯罪事実についての知識を有すると認められる場合に,検察官は,他人の犯罪事実を明らかにするために被疑者・被告人が行う行為によって得られる証拠の重要性,被疑者・被告人の犯罪と他人の犯罪の軽重,情状,当該関係する犯罪の関連性の程度その他の事情を考慮し,必要と認めるときは,被疑者・被告人との間で,被疑者・被告人が一定の行為を行うこと(例えば,取調べの際に本当のことを喋るなど),かつ,検察官が被疑者・被告人の事件について一定の行為を行うことを内容とする合意をすることができる旨が規定されています。

簡単に言えば,他人の犯罪事実について話をするのと引き換えに,有利な処分をしてもらうという合意を交わすことができるという内容です。

・有利な処分の内容

司法取引制度により,検察官がなし得る処分は以下のとおりです。

  1. 不起訴処分
  2. 公訴取消
  3. 特定の訴因・罰条での起訴とその維持
  4. 特定の訴因・罰条の追加・撤回・変更の請求
  5. 特定の求刑をすること
  6. 即決裁判手続きの申立て
  7. 略式命令の請求

・対象となる犯罪

すべての犯罪が対象となるわけではなく,以下に示すとおり,財政経済犯罪,薬物・銃器犯罪を中心とした組織犯罪等がこの制度の対象となっています。

・合意を破ったときにはどうなるか

① 検察官が合意に違反したとき

検察官が合意に違反した場合,被告人は合意から離脱することができます。

また,合意に反して公訴の提起を行ったりした場合,裁判所は公訴を棄却しなければならないと定められています。

② 被告人が合意に違反したとき

被告人が合意に違反した場合,検察官は合意から離脱することができます。

また,合意に反して虚偽の供述を行ったりした場合,5年以下の懲役に処されます。

・司法取引における弁護人の必要性

司法取引の成立には,弁護人の同意が必要とされ,成立の際には検察官,被疑者・被告人及び弁護人が連署のもと,司法取引による合意内容を明らかにする書面の作成が規定されています。

司法取引に際しては,司法取引を行うことによるメリットとデメリットをしっかりと見極めることが重要になりますので,経験豊富な弁護人による適切なアドバイスが不可欠といえるでしょう。

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