控訴

・控訴

控訴とは,地方裁判所,家庭裁判所又は簡易裁判所がした第一審判決に対する上訴のことです(刑事訴訟法372条)。

・判断の仕方

刑事裁判における控訴審は,「事後審」であると解されています。

事後審とは,出た判決の当否を審査するものであり,その判決の時を基準として,そのときに存在し原審に現れた資料に基づいて判断するのが原則とされています。

しかし現行法においては,判決の妥当性確保及び被告人の救済という観点からこれに対する以下のような例外も設けています。

  1. 第一審判決までに取調べの請求ができなかった一定の証拠の取調べ
  2. 再審の請求をすることができる事由がある場合
  3. 原判決後の量刑に影響をおよぼすべき情状の職権による取調べと原判決後の刑の廃止・変更及び大赦の適用

・控訴の利益

検察官以外の者では,被告人の利益のためでなければ控訴ができません。利益か不利益かは,法律的,客観的に決められます。

例えば,無罪を主張していたところ,原審が公訴棄却や免訴の裁判をしたとき,被告人はもはや無罪を主張して控訴をすることはできません。

・不利益変更の禁止

被告人が控訴をし,又は被告人のため控訴をした事件については,原判決の刑より重い刑を言い渡すことができないとされています(刑事訴訟法402条)。

被告人が控訴をしたのに,原判決よりも不利益な刑の言渡しが許されるとすると,被告人はそのような不利益な結果を恐れて,控訴を控えることとなってしまうからであるとされています。

不利益変更が許されないのは「刑」についてです。

原判決が懲役3年であったとき,被告人が控訴をしたにもかかわらず控訴審で懲役4年の判決を出すことは許されていないのです。

・控訴申立権者

第一審判決を受けた者は,固有の公訴権を有します(刑事訴訟法351条)。

被告人の法定代理人又は保佐人および原審の代理人又は弁護人は,被告人のために控訴することができますが,被告人の明示した意思に反して控訴することはできません(刑事訴訟法352,355,356条)。

・控訴期間

控訴ができる期間は,再犯が告知された次の日から14日以内とされています(刑事訴訟法373条)。

・控訴理由

控訴ができる理由は,法律によって定められています。以下を参照してください。

絶対的控訴理由とは,該当する事実が判決に影響をおよぼすものであるかを問わず控訴理由となるものをいいます。

相対的控訴理由とは,該当する事実が判決に影響をおよぼすことが明らかでない限り,これを控訴理由とすることができないものをいいます。

1 絶対的控訴理由(刑事訴訟法377条)

法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと

法令により判決に関与することのできない裁判官が判決に関与したこと

審判の公開に関する規定に違反したこと

2 絶対的控訴理由(刑事訴訟法378条)

不法に管轄又は管轄違いを認めたこと

不法に公訴を受理し又はこれを棄却したこと

審判の請求を受けた事件について判決をせず,又は審判の請求を受けない事件について判決をしたこと

判決に理由を付せず,又は理由にくいちがいがあること

3 相対的控訴理由

事実誤認

法令適用の誤り

量刑不当

第1審裁判所の判決において執行猶予がつかず実刑判決になってしまった、懲役刑が重すぎる、事実認定に誤りがある等の不服があって控訴を検討されている方はは,刑事事件の控訴審を多数経験している弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部に是非ご相談ください。

さいたま市を中心に埼玉県及び関東地方一円の刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士が,控訴審における刑罰の見通しと控訴審の公判に向けた準備や対応方法をアドバイスいたします。

控訴事件の被告人の方が逮捕・勾留等による身体拘束を受けている身柄事件の場合、最短即日に、弁護士が留置場や拘置所等の留置施設まで本人に直接面会しに行く「初回接見サービス」もご提供しています。

keyboard_arrow_up

0120631881 無料相談予約はこちら LINE予約はこちら