Archive for the ‘報道解説’ Category

【報道紹介】わいせつな画像を要求して青少年健全育成条例違反で逮捕

2022-05-05

【報道紹介】わいせつな画像を要求して青少年健全育成条例違反で逮捕

18歳未満の女子高生にわいせつな画像を要求して各都道府県の青少年健全育成条例に違反した場合の刑事手続きと刑事適任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

埼玉県大宮東署は令和4年4月5日、埼玉県青少年健全育成条例違反の疑いで、東京都西東京市住吉町4丁目、会社員の男(47)を逮捕した。 
逮捕容疑は、令和3年年7月18日~8月1日、県内居住の10代の女子高校生が18歳に満たないことを知りながら、『定期契約しませんか』『毎月3千円とか』『画像も欲しいです』などとメッセージを送信し、わいせつ画像を要求した疑い。
同署によると、同年8月11日に女子高校生の両親が『スマートフォンの中を確認したところ、わいせつ画像が保存されていた』と同署に相談し、通信状況などから男とのやりとりを発見した。2人は共通の趣味から交流サイト(SNS)で知り合ったという。『裸が見たかった』と容疑を認めているという。」
(令和4年4月6日に埼玉新聞の報道より引用)

【報道解説】

埼玉県青少年健全育成条例第19条の3では、18歳未満の者である青少年に対して児童ポルノ等の提供を求めてはならないとされています。
児童ポルノ等」とは、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第2条第3項に規定するものを言います。
具体的には、18歳未満の実在する児童性行為している様子や児童の裸などの写真、動画を撮影したDVD、メールで送らせた画像データといったものがあります。

そして、青少年に拒まれたにもかかわらず児童ポルノ等の提供を求めた場合には、罰金30万円が科されることになります(同条例第29条第3号イ、同条例第29条柱書)。
また、青少年を威迫し、欺き、困惑させたりする方法で児童ポルノ等の提供を求める場合や、青少年に対して実際に対償を供与して児童ポルノ等の提供を求める場合、対償の供与を申し込むか若しくは約束する方法で児童ポルノ等の提供を求めた場合にも、罰金30万円が科されることになります(同条例第29条第3号ロ、同条例第29条柱書)。

引用元では、18歳未満の女子高生に対して、「定期契約しませんか」「毎月3千円とか」「画像も欲しいです」といったメッセージを送信して、わいせつ画像を要求したとのことなので、青少年に対して対償を供与することを申し込んで児童ポルノ等の提供を求めた疑いがあるとして逮捕されたのでしょう。

【逮捕された場合の刑事弁護活動】

ご家族の中に青少年に対して児童ポルノ等の提供を求めた疑いで逮捕された方がいる場合、まずは弁護士に初回接見を依頼されることをお勧めします。

突然、警察に逮捕されてしまった場合、逮捕されたご本人の方はもちろんのこと、ご家族の方にとっても、いまどのような状況に置かれているのか、今後どうなってしまうのかといったことが何も分からず、不安になるかと思います。
初回接見によって、弁護士がご本人の方から事件についてお話をしっかりと伺うことで、事件の見通しや事件が今後どのような手続で進んでいくのかということについて、ご本人様・ご家族様にしっかりと御説明させて頂くことができます。
これによって、今後について不安に思う気持ちを和らげることが期待できるでしょう。

また、この初回接見をきっかけに弁護士逮捕直後に事件に介入すれば、逮捕後に続く勾留という更なる身柄拘束の処分を回避するための刑事弁護活動を取ることができる場合もあります。
勾留が決まってしまうと、原則として勾留請求がされた日から10日間、やむを得ない事情がある場合には最大で更に10日間、つまり、最長で20日間身柄を拘束されてしまう場合があります。
こうした長期の身柄拘束は、逮捕されたご本人の方の生活に与える影響が大きいです。
このような身柄拘束による影響を最小限にするためにも、逮捕直後の身柄解放に向けての弁護活動が重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、青少年健全育成条例違反の事件で勾留の決定を阻止した経験がある弁護士が在籍しております。
ご家族の中で、各自治体が定める青少年健全育成条例違反の疑いで逮捕された方がいる場合には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度御連絡ください。

【報道解説】酒を浴びせる暴行罪で現行犯逮捕

2022-04-29

【報道解説】酒を浴びせる暴行罪で現行犯逮捕

他人に酒を浴びせかけた暴行罪現行犯逮捕されたケースの刑事手続と法的責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】
 
「同棲している女性の頭に酒をかけたとして令和4年4月5日、48歳の男が逮捕されました。
暴行罪現行犯逮捕されたのは、札幌市白石区に住む建築業の48歳の男です。
警察によりますと、男は5日午後9時10分ごろ、白石区の自宅で同棲している内縁関係の女性の頭に酒をかけました。
女性が『一緒に暮らしている男に酒をかけられた』などと警察に通報し、事件が発覚。
駆け付けた警察官が状況を確認し、現行犯逮捕しました。
酒は、2リットルの紙パックに入った焼酎で、半分くらい女性にかけていたということです。」
(令和4年4月6日に北海道ニュースUHBより引用)

【裁判例の紹介】
 
ニュースを読んで、お酒をかけただけで暴行罪の疑いで現行犯逮捕されるのかと思われた方がいらっしゃるかもしれません。
確かに、暴行罪が成立する典型的な例としては、人を殴ったり、蹴ったりするような相手方に対して怪我を負わせるような行為があります。
このような典型的な暴力行為にとどまらず、相手方に身体的な接触がなく、怪我をさせる危険性がない行為であっても、暴行罪は成立する可能性があります。
 
例えば、福岡高等裁判所昭和46年10月11日判決では、被告人が、職場で対立する女性に対して、お清めの塩だと称して、女性の頭、顔、胸および大腿部に、塩を数回振りかけた行為によって暴行罪が成立するかが問題になりました。
裁判所は、暴行罪について、「必ずしもその性質上傷害の結果発生に至ることを要するものではなく、相手方において受任すべきいわれのない、単に不快嫌悪の情を催させる行為といえどもこれに該当する」とし、塩を数回振りかける行為は、「相手方をして不快嫌悪の情を催させるに足りるものであ」って、相手方が塩を振りかけられたことについて「受忍すべきいわれのない」ことであるとして、塩を数回振りかけた行為が暴行罪に当たると判断しました。

このように、裁判例では、暴行罪が成立するにあたって相手方を怪我をさせる危険性がある行為であるか否かは問われていません。塩や酒を相手にかけることでも暴行となりえるのです。

【刑事事件の解決のために】

ご自身が暴行罪の疑いで警察から捜査を受けている、あるいはご家族の中で暴行罪の疑いで逮捕された方がいらっしゃるという場合には、いち早く弁護士にご相談あるいは初回接見をご依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、暴行罪をはじめとした刑事弁護の経験が豊富な弁護士が所属しております。

暴行罪でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご連絡ください。

【報道解説】電車内の痴漢で逮捕

2022-04-26

【報道解説】電車内の痴漢で逮捕

東京都で電車内での痴漢の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】
 
電車内で20代の女性の体を触ったとして、警視庁が東京都迷惑防止条例違反の疑いで、同庁亀有署交通課に所属する30代の警部補の男を現行犯逮捕していたことが4日、捜査関係者への取材で分かった。
逮捕容疑は1日午後11時40分ごろ、東京都世田谷区を走行中の小田急線の電車内で女性の尻を触ったとしている。
捜査関係者によると、同僚と酒を飲んだ後だった。近くにいた女性の知人が気付いて取り押さえ、駅に駆け付けた警察官に引き渡した。既に釈放されているという。」
(令和4年4月4日に産経新聞より引用)

【痴漢事件で無罪を主張したい場合】

紹介した報道のように電車内での痴漢事件は、防犯カメラの映像などの客観的証拠が無いことが多く、痴漢をやっていないと刑事裁判で争う場合は、痴漢事件を疑われて起訴された被告人の供述や、被害に遭われた被害者の方や痴漢事件の目撃者の供述内容を検討して、どの供述が信用できるのか、どの供述が信用できないのかという形で争われることが多いです。

【痴漢事件で無罪となった裁判例】

電車内痴漢事件において、被害者の供述が信用できるかが問題になった裁判例のひとつに千葉地方裁判所平成27年1月14日判決があります。

この裁判例では、足の踏み場の無いほど混雑した電車内で、女性の服の上から左胸を手で揉んだという痴漢事件の犯人が、被害に遭った女性の正面で左向きに立っていた被告人であるのかが問題になりました。
被告人が犯人であると立証するための証拠が被害女性の供述しかなかったことから、裁判所は被害女性の供述に信用性があるかを検討しました。
裁判所は、検討の結果、被害女性の供述は信用性が乏しいと判断しました。
そのような判断の理由として、被害女性の犯人が被告人であると判断した供述についてはその判断過程に飛躍があったこと、痴漢行為時の被告人の体勢に関する供述が被害女性の憶測に基づいてなされた可能性があること、犯行内容に関わる重要な事実について被害女性が一貫した供述をしていないかった等の点を挙げることが出来ます。

他方で、裁判所は、被告人の供述は逮捕当初から一貫して犯行を否認しており、供述内容にも特に不自然・不合理な点はないと裁判所は判断しました。

以上を踏まえて、裁判所は、犯人が被告人であるということを証明することができないため、被告人は無罪であるという判決を下しました。

このように、供述の信用性が問題になる場合には、供述内容自体に不自然・不合理な点がないか、供述が捜査過程から一貫しているか、争いのない事実や客観的証拠によって立証される事実と供述内容を比較した際に、両者に整合性があるかという点が信用性判断のポイントになるでしょう。

【刑事事件の解決のために】

やってもいない痴漢を疑われて警察の捜査を受けてお困りの方は、刑事弁護の経験が豊富な弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士から取調べなどの警察の捜査に関してアドバイスを貰うことで、捜査過程において一貫した供述をしておくことが期待できるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、痴漢否認事件をはじめとした刑事事件に精通した弁護士が在籍しております。

痴漢冤罪でお困りの方は、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談下さい。

【報道紹介】風俗店の経営者を装って準強制性交等罪で逮捕

2022-04-23

【報道紹介】風俗店の経営者を装って準強制性交等罪で逮捕

京都府で準強制性交等罪の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】

「京都府警中京署は令和4年4月14日、準強制性交の疑いで、京都市右京区のコンビニアルバイト店員の男(27)を逮捕した。
逮捕容疑は同年3月22日午後9~10時ごろ、中京区のビジネスホテルで、自分がデリバリーヘルス(派遣型風俗店)の経営者であるように装い、採用のために必要な勤務の講習と信じさせ、大阪市の無職女性(46)を乱暴した疑い。
中京署によると、男は同日に女性と交流サイト(SNS)で知り合ったという。」
(令和4年4月14日に京都新聞より引用)

【解説】

13歳以上の者に対して暴行脅迫を用いたうえで性交・口腔性交・肛門性交(この3つをまとめて「性交等」といいます)を行った場合は、刑法177条が規定する強制性交等罪が成立します。
今回報道でとり上げた事件では、準強制性交等罪の疑いで逮捕されたとあります。
この準強制性交等罪は、刑法178条2項に定められている犯罪で、強制性交等罪とは異なり、暴行脅迫を用いずに性交等を行った場合に成立し得る犯罪になります。
具体的には、準強制性交等罪は、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした」(刑法178条2項)場合に成立します。

「心神喪失」とは、失神・熟睡・泥酔・高度の精神障害などによって、自分に対して性交等が行われることの認識がない状態をいいます。
「抗拒不能」とは、自分に対して性交等がなされる認識はあるものの、物理的・心理的に抵抗できない場合をいいます。
報道では、逮捕された方が風俗店経営者であると装って、被害者の方に対して乱暴をしたとあります。
被害に遭われた方からすれば、勤務を希望する風俗店経営者と称する人から、これからの勤務の際に必要な講習であると性交を求められた際には、これを断って不採用となる事態を回避するために、性交を受け入れざるを得ない心理的状況であったのでしょう。
このように、風俗店勤務希望の人に対して風俗店経営者であると騙って、心理的に性交を断ることができなくなる状況を作ったことが、「抗拒不能」にさせたとして、準強制性交等罪の疑いで逮捕された可能性があります。

なお、準強制性交等罪が成立すると、5年以上の有期懲役の刑が科せられることになります。

【刑事事件の解決のために】

準強制性交等罪を犯してしまった場合の刑事弁護活動として、被害者の方との示談交渉が非常に有効です。
弁護士を通じて、被害者の方に誠心誠意謝罪の意思を示して、許してもらうことが出来れば、検察官による起訴を回避する可能性を得られます。

準強制性交等事件でお困りの方は、まずは刑事事件に精通した弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、準強制性交等事件などの風俗に関連する事件についての弁護活動の経験が豊富な弁護士が在籍しております。

風俗関連のトラブルで警察沙汰になってしまった方や、ご家族の方が準強制性交等罪の疑いで逮捕されたという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】裸の自撮り動画と不正アプリで個人情報を抜き取り恐喝

2022-04-20

【報道解説】裸の自撮り動画と不正アプリで個人情報を抜き取り恐喝

京都府でSNS上で性的な自撮り動画を入手した上で、不正アプリをダウンロードさせて個人情報を抜き取り、更に金銭を要求するという恐喝事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「京都府警によると、府内に住む10歳代の男性は令和3年8月、出会い系サイトで知り合った女性に求められ、自身の下半身が映った動画をSNSで送った。
女性から『私のも見たかったらこれを入手して』と促され、指示されたアプリをインストールすると、文面が急変。『(男性の)動画を親族や友達に送りつける。嫌なら金を払え』とのメッセージが送られてきたという。女性側に伝えていないのに、男性がスマホの電話帳に登録する親族の電話番号も示されていた。」
「男性が府警に相談し、金銭的被害はなかったが、動画の回収はできないままだ。府警は、個人情報を抜き取る不正アプリが使われたとみている。」
「こうした不正アプリはネット上で多数確認されており、情報セキュリティー会社「トレンドマイクロ」(東京)によると、不正アプリをインストールすると、遠隔操作などで電話番号やメールアドレスなどを抜き取られてしまうという。」
不正アプリの送信者に対して、警察当局は不正指令電磁的記録供用罪の疑いなどで摘発している。」
(令和4年4月13日の読売新聞より引用)

【罰則の解説】

上記報道の被疑事実に関連して、同様の事案で成立する可能性がある犯罪としては、児童ポルノ法違反青少年健全育成条例違反不正指令電磁的記録供用罪恐喝罪が考えられます。

1.児童ポルノ法違反の可能性

まずは、児童ポルノ法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)違反の可能性についてです。
報道では10代の男性が、出会い系アプリで知り合った女性の求めに応じて、下半身の自撮り動画を送ったとの記載があります。
仮に、下半身の自撮り動画を送った男性が18歳未満であれば、その動画を受け取った者は、児童ポルノ禁止法違反になり、刑罰が科される可能性があります。
具体的には、自分の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持・保管は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金になります(児童ポルノ禁止法7条1項)。
また、第三者に提供する目的で児童ポルノを所持・保管していた場合は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(児童ポルノ禁止法7条3項・2項)が、不特定又は多数の者に対して提供する目的で児童ポルノを所持・保管していた場合は、罪が重くなって、5年以下の懲役若しくは500万円の罰金が科せられ、又はこれらを併科されることになります(児童ポルノ禁止法7条7項・6項)。

2.各都道府県の青少年保護育成条例違反の可能性

なお、18歳未満の者に対して下半身の自撮り動画を要求はしたが、送ってもらえなかった場合には、青少年保護育成条例違反に問われる可能性がある自治体があります。
例えば、東京都では、東京都青少年健全育成条例の第18条の7に違反することになり、30万円以下の罰金となります(同条例第26条7号)。

3.不正指令電磁的記録供用罪の可能性

報道では、男性が動画を送った相手方の女性の裸を見たいがために、女性の指示に応じて女性が指定した不正アプリをダウンロードしたとあります。
この不正アプリをダウンロードさせる行為は、不正指令電磁的記録供用罪に当たる可能性があります。
不正指令電磁的記録供用罪は、正当な理由なく、コンピューターウイルスなどの「電磁的記録」を、他人のスマホやパソコンといった「電子計算機」のなかで、「実行の用に供する」場合に成立する犯罪です(刑法168条の2第2項)。
「実行の用に供する」とは、スマホやパソコンの使用者の意思とは無関係に、コンピューターウィルスを実行される状態に置くことを言います。
そのため、正式なアプリを装って、ウィルスが組み込まれている不正アプリをインストールさせる行為は「実行の用に供する」場合に当たることになるでしょう。
この不正指令電磁的記録供用罪が成立すると、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。

4.恐喝罪の成立可能性

続けて報道では、ダウンロードさせた不正アプリによって、男性のスマホから家族や友人の連絡先などの情報を抜き取った上で、下半身の動画を家族などに拡散されたくなければ金銭を支払えと要求したとの記載があります。
このような脅迫によって実際に金銭を受け取ると、恐喝罪(刑法249条1項)が成立することになるでしょう。
恐喝罪が成立すると、10年以下の懲役となります。
なお、恐喝罪は未遂でも処罰することになっていますので(刑法250条)、報道のように、被害者が金銭を支払う前に警察に相談したため、実際には金銭を支払わずに済んだような場合でも、脅迫をした側は処罰の対象になります。

【刑事事件の解決のために】

引用元の報道では「性行為や裸の画像をネット上で公表されたり、他人に送られたりしたとする相談は、昨年1628件あり、5年連続で過去最多を更新した。」とあります。
そのため、警察はこうした被害を防ぐために、積極的に捜査に乗り出している可能性があります。
SNSで繋がった児童から裸の画像等を入手した方、個人情報を抜き取るウィルスを相手方に送ってしまった方、裸の画像を拡散すると恐喝をした方などは、一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談下さい。

【報道解説】ストーカー規制法違反で逮捕

2022-04-17

【報道解説】ストーカー規制法違反で逮捕

ストーカー規制法違反刑事事件化した場合における刑事手続と刑事処罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【事例紹介】

「令和4年4月7日、兵庫県警伊丹署は同僚女性(46)の携帯電話に行動を監視しているようなメッセージを送ったとして、伊丹市交通局職員の男(60)を、ストーカー規制法違反の疑いで逮捕した。」
「発表によると、男は同年4月5から7日、無料通信アプリ「LINE」で、仕事中の同僚女性を撮影した写真とともに「俺は見ているぞ」などのメッセージを送った疑い。令和3年1月頃からメッセージが増え始め、多い日には昼夜を問わず50件届いたという。」
(令和4年4月8日に読売新聞より配信されたニュースより引用)

【ストーカー規制法で逮捕されるケースとは】
 
ストーカー規制法では、大きく「ストーカー行為」をしたことにより逮捕されるケースと、「禁止命令等」に違反したことにより逮捕されるケースがあると考えられます。

まず、「ストーカー行為」に当たる場合についてですが、「ストーカー行為」とは、同一の者に対して、「つきまとい等」の行為を反復してすることを言います(2条4項)。
なお、「その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知りうる状態に置くこと」(2条1項2号)や「拒まれたにもかかわらず、連続して、電子メールの送信等をする」(2条1項5号)といった一定の場合には、「ストーカー行為」が成立するためには「身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に」という限定が付きます

それでは、どのような行為が「つきまとい等」に当たるのでしょうか。
ストーカー規制法では「つきまとい等」に当たる行為として大きく8つの行為を定めていますが、ここでは、冒頭でとりあげたニュースの内容に関わる限りで「つきまとい等」について説明します。
ニュースでは、3月5日から7日にかけて、同僚女性に対して、仕事中に撮影した女性の写真と一緒にLINEで「俺は見ているぞ」などのメッセージを送り、このようなメッセージを昨年1月ごろから、多い日には昼夜を問わず50件送ったとの記載があります。

ストーカー規制法では、「その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置く」行為(2条1項2号)を、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し」で行った場合には、「つきまとい等」に当たるとしています。
「俺は見ているぞ」というメッセージは、監視していると告げる行為そのものですから、2条1項2号によって「つきまとい等」に当たることになるでしょう。

そして、同僚の女性に対して仕事中の女性の姿を撮影した写真と一緒に「俺は見ているぞ」というメッセージを多い日には昼夜を問わず50件もLINEで送った場合、そのようなメッセージを受け取った側からすれば、「自分は常に監視されている」と思い、「いつか何かされるのではないか」「家に突然押し掛けるのではないか」などど「身体の安全」や「住居等の平穏」が害されるような不安を感じたり、あるいは、「自分が行く場所が全て把握されているのはないか」と「行動の自由」が著しく害される不安を覚えさせるような「つきまとい等」として、「ストーカー行為」に当たる可能性が十分にあります。

ストーカー行為」をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられることになります(18条)。

【刑事事件の解決のために】
 
今回は、ニュースの内容に沿って、監視していると告げる行為によってストーカー規制法違反になり得る場合について説明しました。
監視していると告げるメッセージでなくても、LINEでしつこく「会いたい」「忘れられない」などのメッセージを送った場合にも、「つきまとい等」に当たる場合があります(2条2項1号、2条1項5号)。

また、昨年令和3年にはストーカー規制法が改正され、相手方の承諾を得ないでGPS機器などを用いて位置情報を取得する行為や、相手方の所持する物にGPS機器などを装着する行為などについては、「位置情報無承諾取得等」として新しく規制の対象になりました(2条3項)。
「位置情報無承諾取得等」を同一の者に対して反復して行った場合には「ストーカー行為」に当たることになりますし、一定の場合には「禁止命令等」が出され、これに違反すると罰則が科されることになります。
 
このようにストーカー規制法違反といっても様々な場合があり得ます。
そのため、警察からご家族の方をストーカー規制法違反逮捕されたという連絡があった場合、まずは弁護士にご相談して、現状を把握されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、ストーカー規制法違反をはじめとした刑事事件弁護経験が在籍しております。
ご家族の方がストーカー規制法違反逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【報道解説】児童福祉法違反の性犯罪で逮捕

2022-04-11

【報道解説】児童福祉法違反の性犯罪で逮捕

児童福祉法違反の疑いで被疑者が逮捕された報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道】

逮捕されたのは、岐阜県海津市の26歳の看護師の男で、令和4年1月から2月にかけて、複数回にわたり勤務する岐阜県内の病院に入院していた18歳未満の少女にわいせつな行為をさせた児童福祉法違反の疑いが持たれています。
令和4年2月8日、少女が岐阜県警が設置する性犯罪被害の相談窓口に「入院中に男性看護師に体を触られた」と相談をしたことで事件が発覚しました。
(令和4年3月25日に配信された東海テレビより引用)。

【解説~児童福祉法~】

この報道の中では「児童福祉法」に違反したとして、被疑者が逮捕されました。
児童福祉法は、児童の心身の健全な育成のために定められた法律で、児童福祉のために認められる権利や支援、施設に関する規定があります。
こうした児童福祉法では、罰則をもって禁止されている行為があり、その中のひとつが、児童福祉法34条1項6号になります。
児童福祉法34条1項6号では、18歳未満の「児童淫行をさせる行為」を禁止し、これに違反すると、児童福祉法第60条1項により、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はこれを併科した刑が科されることになります。

【解説~淫行とは~】

児童福祉法の「児童淫行をさせる行為」については、平成28年6月21日に出された重要な最高裁判所の判例がありますので、今回はこの判例について簡単に説明します。
この判例は、「淫行」の意味と、「させる行為」に当たるか否かの判断のための要素を呈示しています。
 
まず、「淫行」の意味ついては、「児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為」のことをいうと判断しています。
これは、性交性交に準ずる性交類似行為の中で、さらに、児童の健全な育成を阻害するおそれがあるものに限定することを意味します。
こうした解釈からは、真摯な交際関係の下で行われた性行為は「淫行」に当たらないことになる可能性が高いですが、他方、単に自身の性欲のはけ口にするためだけに児童性行為をするような場合は、「淫行」に当たることになります。

そして、「させる行為」の意味については、「児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童淫行をなすことを助長し促進する行為をいう」と述べた後で、「させる行為」にあたるか否かの判断は、「行為者と児童の関係、助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度、淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯、児童の年齢、その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断する」と述べました。

そして、この判例では、被告人が16歳の被害者の方が通う高校の常勤講師であり、高校内で性的接触を持った後で、ほどなくホテルで性交したという事実関係のもとで、被告人が被害者の方と性交をした行為を「淫行をさせる行為」であると判断しました。

今回取り上げた報道において、仮に「淫行」行為の事実が認められた場合、「させる行為」があったか否かの判断については、この判例に従ってなされることになるでしょう。
報道によると、逮捕された看護師の方と被害に遭われた児童の方との間には、看護師の方が児童の治療を担当していたという関係があったとのことですので、この関係の影響がどれほどのものであったかがひとつのポイントになりそうです。

【刑事事件の解決のために】

今回は、看護師の方が児童福祉法違反の疑いで逮捕された報道を取り上げました。
報道のように、ご家族の中で、児童福祉法違反の疑いで逮捕されてしまった方がいる場合、いち早く、刑事事件に精通した弁護士に依頼して初回接見に向かってもらうことをお勧めします。
この初回接見によって、弁護士から今後の事件の見通しや今後の対応について適切な助言を貰うことが期待できるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、児童福祉法違反を始めとした刑事弁護の経験が豊富な弁護士が在籍しております。
ご家族の方が児童福祉法違反の疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスのご利用をご検討ください。

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