【報道解説】裸の自撮り動画と不正アプリで個人情報を抜き取り恐喝

2022-04-20

【報道解説】裸の自撮り動画と不正アプリで個人情報を抜き取り恐喝

京都府でSNS上で性的な自撮り動画を入手した上で、不正アプリをダウンロードさせて個人情報を抜き取り、更に金銭を要求するという恐喝事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「京都府警によると、府内に住む10歳代の男性は令和3年8月、出会い系サイトで知り合った女性に求められ、自身の下半身が映った動画をSNSで送った。
女性から『私のも見たかったらこれを入手して』と促され、指示されたアプリをインストールすると、文面が急変。『(男性の)動画を親族や友達に送りつける。嫌なら金を払え』とのメッセージが送られてきたという。女性側に伝えていないのに、男性がスマホの電話帳に登録する親族の電話番号も示されていた。」
「男性が府警に相談し、金銭的被害はなかったが、動画の回収はできないままだ。府警は、個人情報を抜き取る不正アプリが使われたとみている。」
「こうした不正アプリはネット上で多数確認されており、情報セキュリティー会社「トレンドマイクロ」(東京)によると、不正アプリをインストールすると、遠隔操作などで電話番号やメールアドレスなどを抜き取られてしまうという。」
不正アプリの送信者に対して、警察当局は不正指令電磁的記録供用罪の疑いなどで摘発している。」
(令和4年4月13日の読売新聞より引用)

【罰則の解説】

上記報道の被疑事実に関連して、同様の事案で成立する可能性がある犯罪としては、児童ポルノ法違反青少年健全育成条例違反不正指令電磁的記録供用罪恐喝罪が考えられます。

1.児童ポルノ法違反の可能性

まずは、児童ポルノ法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)違反の可能性についてです。
報道では10代の男性が、出会い系アプリで知り合った女性の求めに応じて、下半身の自撮り動画を送ったとの記載があります。
仮に、下半身の自撮り動画を送った男性が18歳未満であれば、その動画を受け取った者は、児童ポルノ禁止法違反になり、刑罰が科される可能性があります。
具体的には、自分の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持・保管は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金になります(児童ポルノ禁止法7条1項)。
また、第三者に提供する目的で児童ポルノを所持・保管していた場合は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(児童ポルノ禁止法7条3項・2項)が、不特定又は多数の者に対して提供する目的で児童ポルノを所持・保管していた場合は、罪が重くなって、5年以下の懲役若しくは500万円の罰金が科せられ、又はこれらを併科されることになります(児童ポルノ禁止法7条7項・6項)。

2.各都道府県の青少年保護育成条例違反の可能性

なお、18歳未満の者に対して下半身の自撮り動画を要求はしたが、送ってもらえなかった場合には、青少年保護育成条例違反に問われる可能性がある自治体があります。
例えば、東京都では、東京都青少年健全育成条例の第18条の7に違反することになり、30万円以下の罰金となります(同条例第26条7号)。

3.不正指令電磁的記録供用罪の可能性

報道では、男性が動画を送った相手方の女性の裸を見たいがために、女性の指示に応じて女性が指定した不正アプリをダウンロードしたとあります。
この不正アプリをダウンロードさせる行為は、不正指令電磁的記録供用罪に当たる可能性があります。
不正指令電磁的記録供用罪は、正当な理由なく、コンピューターウイルスなどの「電磁的記録」を、他人のスマホやパソコンといった「電子計算機」のなかで、「実行の用に供する」場合に成立する犯罪です(刑法168条の2第2項)。
「実行の用に供する」とは、スマホやパソコンの使用者の意思とは無関係に、コンピューターウィルスを実行される状態に置くことを言います。
そのため、正式なアプリを装って、ウィルスが組み込まれている不正アプリをインストールさせる行為は「実行の用に供する」場合に当たることになるでしょう。
この不正指令電磁的記録供用罪が成立すると、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。

4.恐喝罪の成立可能性

続けて報道では、ダウンロードさせた不正アプリによって、男性のスマホから家族や友人の連絡先などの情報を抜き取った上で、下半身の動画を家族などに拡散されたくなければ金銭を支払えと要求したとの記載があります。
このような脅迫によって実際に金銭を受け取ると、恐喝罪(刑法249条1項)が成立することになるでしょう。
恐喝罪が成立すると、10年以下の懲役となります。
なお、恐喝罪は未遂でも処罰することになっていますので(刑法250条)、報道のように、被害者が金銭を支払う前に警察に相談したため、実際には金銭を支払わずに済んだような場合でも、脅迫をした側は処罰の対象になります。

【刑事事件の解決のために】

引用元の報道では「性行為や裸の画像をネット上で公表されたり、他人に送られたりしたとする相談は、昨年1628件あり、5年連続で過去最多を更新した。」とあります。
そのため、警察はこうした被害を防ぐために、積極的に捜査に乗り出している可能性があります。
SNSで繋がった児童から裸の画像等を入手した方、個人情報を抜き取るウィルスを相手方に送ってしまった方、裸の画像を拡散すると恐喝をした方などは、一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談下さい。

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