Archive for the ‘刑事事件’ Category
埼玉県川越市でアダルトサイトを騙る振り込め詐欺
埼玉県川越市でアダルトサイトを騙る振り込め詐欺
金融機関による規制が厳しくなった振り込め詐欺グループについて、アダルトサイト等を装って違約金等を請求する新たな手口やその刑事責任の見込みについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【刑事事件例】
埼玉県川越市在住の年金受給者Vさん(72歳)は、ある日、普段利用しているアダルトサイトからメールを受信しました。
メールには「規約違反により違約金が発生します。速やかに違約金を支払わない場合、管轄裁判所への民事訴訟を提起します」と書かれており、違約金の振込先口座が案内されました。
Vさんは、アダルトサイトを利用していることが裁判によって公になることは避けたいと思い、指定の口座に現金500万円を振り込んだところ、さらに追加で振込の指示があったため、合計1500万円を振り込みました。
後日、当該アダルトサイトに振込の事実を確認したところ、サイト側はVに対してそのような違約金を請求したことはなく、サイトを騙る特殊詐欺の被害にあったのではないかと主張したため、Vさんは埼玉県警川越警察署に相談し、警察は詐欺罪の疑いで捜査を開始しました。
(※フィクションです。)
上記刑事事件例は、令和2年12月11日、北海道札幌市西区の50代男性がアダルトサイトを騙る架空のメールに騙され、約1億900万円をだまし取られる架空請求詐欺の被害にあった事実をモデルにしています。
北海道警札幌西警察署によると、同年10月14日に「利用料金の確認が取れていない」などと書かれたメールが男性の携帯電話に届き、男性がメールの連絡先に電話すると、「アダルトサイトの未納料金がある」と言われ、警察などを名乗る男らから「サイバー保険料」「損害賠償の補償金」といった名目で金を要求されたとのことで、男性は同日から12月10日までの間、数十回にわたり指定された口座に計約1億900万円を振り込んだ模様です。
【架空請求の特殊詐欺】
特殊詐欺とは、不特定多数の人に対して電話やインターネットなどの通信手段を用いてお金を振り込ませたり、現金などを直接受け取ったり、といったさまざまな方法で金品をだまし取る詐欺のことです。
被害者の子どものふりをして指定の銀行口座に現金を振り込ませる「オレオレ詐欺」や、電子メールで架空の高額請求のメッセージを送る「架空請求詐欺」なども、特殊詐欺の一種です。
警察庁の「特殊詐欺認知・検挙状況等について」によると、近年の被害状況では、警察の継続的な取り組みによって検挙件数・検挙人数ともに過去最高となっていることもあり、発生件数は減少傾向にありますが、発生件数の水準は依然として高く、中でも架空請求詐欺とオレオレ詐欺は、全体の85%を占めています。
そのため、架空請求だと気づくためには、どのような事例があるかを知識として身に付けておくことが有効です。
架空請求とは、実際には支払う必要がない金銭等を要求し「支払わないと提訴する、利息も増える」などの脅し文句で、お金をだまし取ろうとする詐欺の一種です。
身に覚えのない請求や、契約した覚えのない会社からの請求であっても、請求を見ただけですぐに架空請求と判断するのは難しいです。
仮に「なぜ払わないといけないのか」と不信感や警戒心を持っていても、脅し文句が巧妙な場合、焦って正常な判断がしにくくなり、被害に遭うという流れも多く見られます。
【詐欺罪】
詐欺罪(刑法第246条)の法定刑は10年以下の懲役であるところ、量刑相場の観点からは、特殊詐欺における主犯格的人物やより悪質な手口に携わった者については懲役刑の実刑判決が下されています。
他方、特殊詐欺グループの末端の実行役に過ぎない者で、かつ詐欺の事実を認めており、被害者に対する謝罪や被害弁償、その他情状面で効果的な主張をしている者については、執行猶予付きの判決が下されているケースも見受けられます。
そのため、今後も新たに生まれる様々な特殊特殊詐欺のケースに対応するためにも、刑事事件に詳しい弁護士に弁護を依頼し、ベストな解決策を模索していくことが大切です。
埼玉県川越市で偽アダルトサイト等の架空業者による振り込め詐欺で刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回無料相談や初回接見サービスをご検討ください。
【事例紹介】埼玉県吉川市でよそ見運転の人身事故で過失運転致傷罪
【事例紹介】埼玉県吉川市でよそ見運転の人身事故で過失運転致傷罪
自動車運転中のよそみ等によって人身事故を起こしてしまった場合に生じうる刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【刑事事件例1】
埼玉県吉川市を中心にトラックでの運搬作業をしているAさんは、市内の駅付近をトラックで走行していた際、よそ見運転のためハンドルを切りそこない、トラックの前輪が歩道に乗り上げてしまいました。
慌ててハンドルを車道に戻したため、トラックが歩道に突っ込むことには至りませんでしたが、トラックの前輪が歩道に乗り上げた際に近くを通行していた歩行者のVさんが慌てて避けようとして後方に転んでしまい、脚に擦り傷を負いました。
Aさんはすぐにトラックを止めてVさんに謝罪したため、Vさんは事実を警察に通報するつもりはないと謝罪を受け入れましたが、AさんはVさんに対して迷惑をかけた謝罪金として5万円を受け取ってもらい、お互いに人身事故として届け出ない約束をしました。
【刑事事件例2】
埼玉県吉川市で会社への通勤のために自動車を運転している会社員Aさんは、スマホでニュース等を見ながら運転していたところ、同一車線を走っていた自転車に気付かず、高校生Vさんの自転車と軽く衝突してVさんが路上に倒れたことに気付かず、そのまま走り去ってしまいました。
Vさんは左足に打撲と擦り傷の全治1か月ほどの負傷を負い、その日は学校を休んで病院に通い、母親と相談のうえ、自動車にひき逃げされたと埼玉県警吉川警察署に被害を訴えることにしました。
後日、Aさんのもとに吉川警察署から電話がかかってきて、某実の朝に自転車とぶつかったことがないかとの任意の事情聴取を求められたため、Aさんは警察へ出頭する前に、刑事事件に詳しい弁護士に相談して自分がどのような刑事責任を負うことになるのか相談することにしました。
(弊所に寄せられた法律相談を元に、事実を変更・抽象化したフィクションです。)
【自動車運転の過失で刑事事件化】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部には、自動車運転上の過失によって人を負傷させてしまった等の交通事故に関する刑事事件の相談が数多く寄せられます。
過失運転致傷罪の刑事事件の場合、現行犯逮捕された場合以外であれば、事実が捜査機関に発覚したからといってすぐに逮捕される訳ではなく、警察から任意の事情聴取を求められ、出頭日をすり合わせたうえで捜査協力を求められることが多いです。
そのため、この時点では、警察においてどのような事情聴取を求められるのか、それに対してどのように答えるべきか等について最も関心がある方が多く、中には自分が厳しい尋問を受けて自白させられ、逮捕されてしまうのではないかと不安になる方もいらっしゃいます。
【過失運転致傷の刑事弁護】
過失運転致傷罪の被疑事実について心当たりがあるにせよ無いにせよ、この段階では、刑事事件に詳しい弁護士に相談し、自分の認識や記憶にある限り正しい事実を弁護士に伝え、その中で事実をきちんと認め、捜査機関に対して適切な応答ができるよう助言を受けることが大切です。
なぜなら、加害者(被疑者)の認識や記憶にある事実と、被害者や目撃者の認識や記憶にある事実が食い違うことは往々にしてることで、加害者が少しでも自分の責任となることがないよう事実を過小に申告することもあれば、被害者が加害者に対して多くの法的責任を負わせたいがために過剰に事実を申告することもあり、その事実を、刑事事件の経験に長けた客観的な第三者である刑事弁護士に判断してもらい、その中で最も適切な捜査対応を探っていくことが極めて重要となるからです。
特に、上記事例2のように、自分の自動車が被害者と接触したことが記憶にないと主張した場合であっても、事実、被害者が負傷をしている以上、その被害者の負傷の原因となった事実の究明に捜査機関は全力を上げることが予想され、特に公道での防犯カメラや目撃者の証言から、被疑者の認識よりも不利な証拠が出てくることも考えられます。
特に、被疑事実をすべて否認するのか、あるいはどの範囲まで否認するのかについては、今後被害者に対して示談を申し出る余地を残すためにも、刑事事件弁護士の客観的な意見を聞いておくことが重要です。
埼玉県吉川市で、よそ見運転で過失運転致傷罪で刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回無料相談や初回接見サービスをご検討ください。
【報道解説】埼玉県所沢市で業務上横領罪で逮捕
【報道解説】埼玉県所沢市で業務上横領罪で逮捕
会社の金や商品を横領する等による業務上横領罪の概要とその刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【報道紹介】
今年5月、取引先からの入金を着服したとして業務上横領の疑いで逮捕された埼玉県所沢市所在の会社の元経理部社員について、さいたま地方検察庁川越支部は2日までに不起訴にしました。
所沢市のメーカー会社で経理業務を担当していた30代の男性は、おととし11月と去年1月、取引先からの入金額から現金あわせて48万円を出金し、着服したとして、業務上横領の疑いでことし5月に逮捕されました。
その後、金沢地検が捜査を続けた結果、10月23日付けで不起訴にしました。
検察は不起訴にした詳しい理由を明らかにしていません。
(令和5年11月3日の石川NEWS WEBの記事を参考に、場所や犯行に関する事実の一部を変更したフィクションです。)
【業務上横領罪の傾向】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、しばしば業務上横領罪の法律相談を承ります。
その多くが、被害に遭った会社のも元社員で、特に経理や会計等の出納業務に携わっており、会社の出入金を管理したり記録したりする業務に携わっていることがほとんどです。
共通する犯行態様としては、会社と取引先や顧客との金銭の出入金記録を不正に作出したり、その一部の数字に虚偽の情報を交え、不正に取得した現金を引き出し、自分の生活費や遊行費として費消するというものです。
このように、会社のお金を業務上横領する刑事事件では、その犯行の背景が、遊行費や借金の返済等、極めて個人的な動機に基づいて行われることが多いため、被害者である会社からすれば、信頼していた従業員に恩を仇で返された形となり、横領の事実が発覚した場合、その処罰感情が極めて大きくなる傾向が強いです。
ですので、業務上横領が発覚した場合、被害を受けた多くの会社は警察に対して被害届または刑事告訴を行うことが通常です。
そうして刑事事件化した場合、警察は被疑者を逮捕することが大多数であり、その後最大20日間におよび勾留へとつながるケースが多いと言えます。
ただす、小規模な会社や親族経営会社等の場合は、被疑者と勤め先の人的つながりが強いことから、なぜ会社の金を横領してしまったか等の話し合いを求めるケースもあり、場合によっては民事上の問題として決着をつけること(和解、示談)で、被害会社が被害届や刑事告訴を留まり、刑事事件化を阻止できる場合があることもあり得ます。
また、業務上横領罪では、数回にわたって横領行為を行った結果、最終的な横領金額を被疑者本人が認識していないケースも意外と多く、また、被疑者が認識している横領金額以上に被害会社が被害金額を申告してくることも多々見受けられ、横領の事実(金額)に関して一部否認という扱いとなり、裁判所に罪証(証拠)隠滅の恐れがあると判断され、身体拘束が長引いてしまう傾向もあります。
ゆえに、業務上横領罪の刑事事件では、できるだけ民事上の問題で解決できるよう迅速に行動しつつ、その一方で刑事事件化する可能性も濃厚であることを踏まえ、特に問題となる横領金額をどの程度認めるか等について、終始一貫した捜査対応が求められるため、刑事事件の手続きに経験豊富な弁護士に事件を依頼することが望ましいでしょう。
埼玉県所沢市で業務上横領罪で刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所への初回無料の法律相談または初回接見サービスをご検討ください。
埼玉県さいたま市で根拠なきデマの書き込みで偽計業務妨害罪
埼玉県さいたま市で根拠なきデマの書き込みで偽計業務妨害罪
根拠のないデマや誹謗中傷によって偽計業務妨害罪が成立し得るケースとその刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【刑事事件例】
埼玉県在住の飲食店経営者Aさんは、人気の競合飲食店V(埼玉県さいたま市岩槻区所在)に対して、「あの店は十分に消毒していない調理器具で料理している」などと根拠のないデマをSNS上に書き込み、広く拡散しました。
V店長はAさんによる書き込みを発見し、その指摘が事実無根であることから、書き込みの根拠を教えて欲しい等とAさんに対して連絡を試みたものの、Aさんはこれを無視していたため、Vは埼玉県警岩槻警察署に偽計業務妨害罪の疑いがあると被害を訴えました。
岩槻警察署は、Aが偽計業務妨害罪を行った疑いがあるとして、Aに対して任意の出頭要請を命じました。
(フィクションです)
上記刑事事件例は、令和5年4月11日の下野新聞SOONの下記記事をモデルに偽計業務妨害罪の刑事事件例のモデルを構築したものです。
(参考)
栃木県警那須塩原署は4月11日、偽計業務妨害の疑いで茨城県つくば市、無職の男(30)と大田原市、建設業の男(30)を逮捕した。
同署によると、いずれも容疑を認めているという。
2人の逮捕容疑は、共謀して那須塩原市内の飲食店で店舗備え付けのつまようじを使用後、再度ようじ入れに戻す行為を繰り返した様子を動画に撮影した上、交流サイト(SNS)に投稿して不特定多数が閲覧できる状態にし、店員らにつまようじの入れ替えを余儀なくさせて業務を妨害した疑い。
【偽計業務妨害罪】
一般に、インターネット上におけるデマや誹謗中傷などによって何らかの損害や犯罪に該当し得る場合、当該インターネットサイトの運営者に対してIPアドレスの開示を要求したり、インターネットプロバイダに対して書き込みをした者の住所氏名などの開示を要請することが行われますが、これらの手続きは専門的な知識や経験と、数カ月の期間が必要であることから、一般的には民事の弁護士に依頼することが多いとされています。
他方、インターネットに書き込まれた事実が、被害者にとって明らかに無根拠のデマであったり、誹謗中傷や業務の妨害が目的であることが明白である場合には、被害者の訴えや刑事告訴によって警察が捜査を開始することも考えられます。
刑法第233条によれば、虚偽の風説を流布したり、偽計を用いて、人の信用を毀損したり、または人の業務を妨害した場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます(偽計業務妨害罪)。
この条文の「偽計を用いて人の業務を妨害」する行為を特に偽計業務妨害罪と呼び、妨害行為の結果、実際に業務が妨害されたことは必要ではなく、業務を妨害する可能性がある行為であれば足りると解されています(判例)。
上記刑事事件例に類似した偽計業務妨害罪が成立した実際の刑事事件例として、平成30年9月8日、千葉県松戸市内にある大型商業施設の食品売り場で、賞味期限切れのチョコレート菓子計7個を陳列棚に置き、店の業務を妨害したとして、偽計業務妨害罪の疑いで松戸市在住の女性が逮捕、検察官送致されました事案があります。
上記被疑者は、不審な動きをする人物として防犯カメラの映像から割り出され、実際に店員が確認したところ、陳列が不自然で、賞味期限はいずれも1年以上過ぎていたことが判明しました。
前述のとおり、偽計業務妨害罪の成立にあたっては業務妨害の可能性があれば足り、上記事例において実際には賞味期限切れの食品を購入した客がおらず実損害が発生していなかった場合でも、賞味期限切れの食品が発覚した場合には食品店舗の業務運営に大きな妨害となりえた可能性があるため、店舗に対する業務妨害の抽象的危険は認定されると考えられます。
上記実際の事案においても、警察の調べに対し、被疑者は「賞味期限切れとは思わなかった」「口に合わなかったので戻した」等と話しており、店に対する嫌がらせや業務妨害目的は否認しているように、偽計業務妨害罪の被疑事実を否認する被疑者は比較的多いように見受けられ、捜査機関から厳しい事実認定の追求を受けることになると予想されます。
埼玉県さいたま市で根拠なきデマの書き込みで偽計業務妨害罪により刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスをご利用ください。
【事例紹介】埼玉県志木市で交際相手宅への住居侵入罪で逮捕
【事例紹介】埼玉県志木市で交際相手宅への住居侵入罪で逮捕
交際相手または元交際相手とのトラブルによって相手宅へ押しかけてしまい住居侵入罪などの疑いで刑事事件化してしまった場合の、刑事事件の展開やその刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【刑事事件例】
埼玉県在住のアルバイト男性Aさんは、埼玉県志木市在住で交際していた女性Vから別れを切り出されたものの、AさんはVに対して未練があったため承服せず、メールやSNSを通じて「別れたくない」「もう一度話したい」等とメッセージを送っていました。
これに対し、Vは「もう二度と話したくない。今度連絡してきたら警察に通報する」と返事をしてきたため、AさんはVとの交際が終わったと理解し、V宅に置いてあったAさんの私物を回収しようとV宅へ行きました。
AさんはV宅のチャイムを鳴らしたものの、誰も出てこなかったため、自分の荷物だけ回収すれば問題ないだろうと思い、空いていた裏口のドアからV宅に侵入して自分の荷物を回収し帰宅しようとしました。
Aさんは、帰宅途中で埼玉県警朝霞警察署の警察官に職務質問を受け、自分がV宅に侵入した事実を認めたため、そのまま警察に連れていかれ、その後、住居侵入罪の疑いで逮捕されました。
(弊所に寄せられた法律相談を参考に、事実を一部改変したフィクションです。)
【交際相手との恋愛トラブル】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に寄せられる初回接見依頼の中で、恋人同士の喧嘩から派生したトラブルや、別れた後に復縁を迫ったりする等によりトラブルが生じ、刑事事件化する事例があります。
特に男性が女性の家やアパートに侵入したり、その際に家の一部を破損したり、女性の持ち物を盗んだとして、住居侵入罪や器物損壊罪、窃盗罪等の疑いで逮捕されたというケースが多くみられる傾向にあります。
このような事案では、表面上では上手く交際していた男女がトラブルになり、刑事事件化してしまったことに被疑者のご両親等がショックを受け、弁護士に事件を依頼することがあります。
また、別れた後に復縁を迫るパターンでは、被害者の加害者に対する嫌悪や恐怖感から、すぐに警察に通報し、加害者からの報復等を恐れた厳罰を求めるケースもしばしば見受けられます。
【住居侵入罪】
刑法第130条は、正当な理由なく、人の住居・人の看守する邸宅・建造物・艦船に侵入したり、退去要求を受けたにも関わらず退去しなかった場合には、3年以下の懲役または10万円以下の罰金を科すとしています。
行為の態様から区別して、前者を侵入罪、後者を不退去罪と言います。
実際に世の中で発生する犯罪(刑事事件)は、人の家や建物に侵入(住居新有罪・建造物侵入罪)して、財産を奪ったり(窃盗罪、強盗罪など)、無理矢理わいせつ行為に及んだり(強制わいせつ罪など)することが多く、このように、ある犯罪行為の手段・前提として行われる犯罪を牽連犯と呼び、このような複数の犯罪行為は、成立する最も重い法定刑により処断すると規定されています(刑法第54条第1項)。
ただ、場合によっては住居侵入罪・建造物侵入罪のみで刑事事件化する例もしばしば見受けられ、上記刑事事件例のように、元交際相手や友人等の家に家主に無断で侵入したような事案では、捜査機関は、既遂の住居侵入罪で迅速に逮捕し、その後余罪があるかどうかを調べていくというケースがあります。
特に、元交際相手のように複雑な人間関係にある者が被害者の場合、相手に対する憎しみや嫌がらせ等を目的に、住居侵入罪だけでなく、同時に窃盗罪や器物損壊罪が行われることもしばしば発生するため、罪が重くなることもあり得ます。
そして、元交際相手のような心理的な隔たりが大きい相手に対して、被疑者本人が謝罪したり被害弁償を行うことは事実上不可能である場合がほとんどであるため、このような住居侵入罪の刑事事件では、被害者との示談の締結によって不起訴処分を獲得するためにも、刑事事件の示談交渉の経験豊富な弁護士に依頼することを強くお勧め致します。
埼玉県志木市で、元交際相手宅への住居侵入罪で刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所への初回無料の法律相談または初回接見サービスをご検討ください。
【報道解説】夫婦喧嘩から銃刀法違反の暴力犯罪へ
【報道解説】夫婦喧嘩から銃刀法違反の暴力犯罪へ
夫婦間のトラブルから刃物を持ち出す銃刀法違反の暴力犯罪の刑事事件へと発展して逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「今月28日夕方、北海道東部の標津町の住宅の敷地内で、正当な理由なく出刃包丁を所持したとして、46歳の女が逮捕されました。きっかけは、パチンコでした。
銃刀法違反の疑いで逮捕されたのは、標津町の46歳の清掃員の女です。
この女は28日午後5時15分ごろ、自宅の敷地内で、業務等、正当な理由がないのに台所にあった刃渡り17センチほどの出刃包丁を所持した疑いが持たれています。
警察によりますと、女は夫に『パチンコに行きたい、お金を』などの話をしましたが、夫に止められると口論になり、カッとなって犯行に及んだとみられています。
夫が『妻が包丁を持って暴れている』と通報、駆け付けた警察官がその場で女を逮捕しました。
取り調べに対して46歳の清掃員の女は『包丁を持っていたのは、間違いない』などと話し、容疑を認めているということです。
警察は、女のふだんの様子も含め、引き続き調べをすすめています。」
(令和4年7月28日にHBC北海道放送より配信された報道より引用)
【自宅の敷地名で出刃包丁を所持すると…?】
銃刀法(正式には、「銃砲刀剣類所持等取締法」といいます)では、一定の場合を除いて、鉄砲や刀剣類を所持することを禁止しています(銃刀法3条1条)。
このような所持が禁止されている「刀剣類」とは、刀剣類とは、刃渡り15センチメートル以上の刀、やり及びなぎなた、刃渡り5.5センチメートル以上の剣、あいくち並びに45度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフのことをいいます(銃刀法2条2項)。
そうすると、今回取り上げた報道では、逮捕された女性は刃渡り17センチメートルほどの出刃包丁を所持していたとのことですので、出刃包丁は、刀、やり、なぎなた、剣、あいくち、飛出しナイフのいずれにも該当しないため、上記「刀剣類」には当たらないことになりますので、銃刀法3条1項には違反していません。
しかし、だからといって、銃刀法では、このような刀剣類に当たらない刃物について無条件に所持を認めている訳ではありません。
銃刀法22条では、何人も、業務その他正当な理由による場合を除いて、刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物を携帯してはならないとしています。
そして、屋外・屋内を問わず自身の手で刃物を持っていた場合には「携帯」に当たると考えられていますので、たとえ自宅の敷地内であっても、刃渡り17センチメートルほどの出刃包丁を手に持っていた場合は、この銃刀法22条に違反していると考えられます。
銃刀法22条に違反すると、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられる可能性があります(銃刀法31条の18第2項2号)。
【夫婦間のトラブルが警察沙汰になってしまいお困りの方は】
今回取り上げた報道のように、夫婦間のトラブルが警察沙汰に発展した場合してしまうことがよくあります。
例えば、夫が家で暴れており、警察にいさめてもらうために妻が通報したところ、意図せず夫が逮捕されてしまったというケースは珍しくありません。
このように、ご家族の方が突然目の前で警察に逮捕されてしまい、何をどうしたらよいか分からず、ご不安に思っている方は、まずは弁護士に初回接見に行ってもらうことを依頼することをお勧めします。
この初回接見によって、今後、逮捕されたご家族の方がどのようになってしまうのか、今後についての見通しを知ることができるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
夫婦間のトラブルがきっかけで、ご家族の方が逮捕されてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】埼玉県川越市で女性につきまといストーカー規制法違反で逮捕
【報道解説】埼玉県川越市で女性につきまといストーカー規制法違反で逮捕
恋愛感情を抱いた女性に対してストーカー行為を行ったことによって、ストーカー規制法違反の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【報道紹介】
「女性にストーカー行為を繰り返したとして、22歳の専門学校生が警視庁に逮捕されました。
埼玉県川越市の17歳の男子高校生は、被害者女性に、先月から4回にわたりつきまとい、執拗に女性芸能人の行動を盗撮するなど、ストーカー行為をした疑いが持たれています。
警視庁によりますと、男子高校生は去年から被害者女性につきまとい行為を始めていて、警視庁から、ストーカー規制法に基づく「警告」を4回受けていました。
取り調べに対し『街中ですれ違って一目惚れした』『好きでしょうがなかった』と容疑を認めているということです。」
(令和4年5月18日に配信されたTBS NEWSより、事実を一部変更しています)
【ストーカー行為とは?】
報道では、ストーカー規制法違反の疑いで逮捕されたとありますが、ストーカー規制法では、ストーカー行為を「つきまとい等」や、承諾なく相手方の位置情報を取得する行為などの「位置情報無承諾取得等」を反復して行う行為としています(2条4項)。
前者の「つきまとい等」については、以下に例示する8つの行為のうち、いずれかの行為を「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で、「当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者」に対して行うことをいいます(2条1項柱書)。
1.つきまとい・待ち伏せ・立ちふさがり・見張り・押しかけ・うろつき行為(同項1号)
2.監視していると思わせるような事項を告げ、又は知りうる状態に置く行為(同項2号)
3.面会・交際等義務のないことの要求(同項3号)
4.著しく粗野又は乱暴な言動(同項4号)
5.無言電話・電話拒否後の連続した電話・文書送付・FAX送信・電子メールの送信等の行為(同項5号)
6.汚物などの送付(同項6号)
7.名誉を害する事項を告げ、又はその知りうる状態に置く行為(同項7号)
8.性的羞恥心を侵害する事項を告げる等行為(同項8号)
なお、上記1から4までの行為と、5のうち電子メールの送信等の行為については、「身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に」という限定が付くことになります(2条4項)。
報道では、逮捕された男子高生は、「好きでしょうがなかった」と供述しているとのことですので、被害者女性に対して恋愛感情を抱いていたと考えられます。
そして、そのような恋愛感情に基づいて、過去4回つきまとい行為を行い、盗撮等の行動の自由を害するような方法で2条1項1号の「つきまとい」を行っているので、身体の安全が害されるような方法により行われたといえ、「ストーカー行為」に当たることになるでしょう。
【ストーカー規制法に基づく警告とは?】
ストーカー規制法第4条では、つきまとい等の被害を受けた方が警察に対して申出を行った場合、警察がつきまとい等を行った者に対して、更に反復してつきまとい等の行為をしてはならないと警告を出すことができます(4条1項)。
この警告が出されると、当該警告の内容や警告を出した日時が、警告の申出をした方に通知されることになります(4条3項)。
【ストーカー行為をした場合に科せられる罰則】
実際の報道では、ストーカー行為をしていた人が、17歳の高校生ですので、実際に刑罰が科されることはなく、家庭裁判所による保護処分に付されるでしょうが、仮に20際以上の者がストーカー行為を行うと、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられることになります(18条)。
しかし少年法が適用される20歳未満の「少年」であっても、事件は家庭裁判所に送致され、おそらく保護観察措置以上の処遇が決定されることが予想されます。
【ストーカー規制法違反でお困りの方は】
ご家族の中で、ストーカー規制法違反で逮捕されてお困りの方は、まずは刑事事件に精通した弁護士に依頼して、接見に行ってもらうことをお勧めします。
弁護士による接見をきっかけに、早期に弁護士が事件に介入することが出来れば、身柄拘束の解放に向けた弁護活動をとることができ、身柄拘束による社会生活への影響を最小限に抑えることが期待できます。
また、ストーカー規制法違反の事件では、被害者の方との示談が大事になってきますが、示談交渉についても、示談経験が豊富な弁護士に依頼された方が、よりよい結果になる可能性が高くなるといえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、ストーカー規制法違反の事件の弁護経験が豊富な弁護士が在籍しております。
ご家族の中にストーカー規制法違反の疑いで逮捕された方がいる、あるいは、自身がストーカー規制法違反の疑いで警察から捜査を受けているという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度御相談ください。
【事例紹介】埼玉県さいたま市でよそ見運転の人身事故で過失運転致傷罪
【事例紹介】埼玉県さいたま市でよそ見運転の人身事故で過失運転致傷罪
自動車運転中のよそみ等によって人身事故を起こしてしまった場合に生じうる刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【刑事事件例1】
埼玉県さいたま市浦和区でタクシー業を営むAさんは、市内の駅付近をタクシーで走行していた際、よそ見運転のためハンドルを切りそこない、タクシーの前輪が歩道に乗り上げてしまい、慌ててハンドルを車道に戻したため、タクシーが歩道に突っ込むことには至りませんでしたが、タクシーの前輪が歩道に乗り上げた際に近くを通行していた歩行者のVさんが慌てて避けようとして後方に転んでしまい、脚に擦り傷を負いました。
Aさんはすぐにタクシーを止めてVさんに謝罪したため、Vさんは事実を警察に通報するつもりはないと謝罪を受け入れましたが、AさんはVさんに対して迷惑をかけた謝罪金として3万円を受け取ってもらい、お互いに人身事故として届け出ない約束をしました。
【刑事事件例2】
埼玉県さいたま市浦和区で会社への通勤のために自動車を運転している会社員Aさんは、スマホでニュース等を見ながら運転していたところ、同一車線を走っていた自転車に気付かず、高校生Vさんの自転車と軽く衝突してVさんが路上に倒れたことに気付かず、そのまま走り去ってしまいました。
Vさんは左足に打撲と擦り傷の全治1か月ほどの負傷を負い、その日は学校を休んで病院に通い、母親と相談のうえ、自動車にひき逃げされたと埼玉県警浦和警察署に被害を訴えることにしました。
後日、Aさんのもとに浦和警察署から電話がかかってきて、某実の朝に自転車とぶつかったことがないかとの任意の事情聴取を求められたため、Aさんは警察へ出頭する前に、刑事事件に詳しい弁護士に相談して自分がどのような刑事責任を負うことになるのか相談することにしました。
(フィクションです。)
【過失運転致傷罪の傾向】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部には、自動車運転上の過失によって人を負傷させてしまった等の交通事故に関する刑事事件の相談が数多く寄せられます。
過失運転致傷罪の刑事事件の場合、現行犯逮捕された場合以外であれば、事実が捜査機関に発覚したからといってすぐに逮捕される訳ではなく、警察から任意の事情聴取を求められ、出頭日をすり合わせたうえで捜査協力を求められることが多いです。
そのため、この時点では、警察においてどのような事情聴取を求められるのか、それに対してどのように答えるべきか等について最も関心がある方が多く、中には自分が厳しい尋問を受けて自白させられ、逮捕されてしまうのではないかと不安になる方もいらっしゃいます。
【過失運転致傷に対する弁護活動】
過失運転致傷罪の被疑事実について心当たりがあるにせよ無いにせよ、この段階では、刑事事件に詳しい弁護士に相談し、自分の認識や記憶にある限り正しい事実を弁護士に伝え、その中で事実をきちんと認め、捜査機関に対して適切な応答ができるよう助言を受けることが大切です。
なぜなら、加害者(被疑者)の認識や記憶にある事実と、被害者や目撃者の認識や記憶にある事実が食い違うことは往々にしてることで、加害者が少しでも自分の責任となることがないよう事実を過小に申告することもあれば、被害者が加害者に対して多くの法的責任を負わせたいがために過剰に事実を申告することもあり、その事実を、刑事事件の経験に長けた客観的な第三者である刑事弁護士に判断してもらい、その中で最も適切な捜査対応を探っていくことが極めて重要となるからです。
特に、上記事例2のように、自分の自動車が被害者と接触したことが記憶にないと主張した場合であっても、事実、被害者が負傷をしている以上、その被害者の負傷の原因となった事実の究明に捜査機関は全力を上げることが予想され、特に公道での防犯カメラや目撃者の証言から、被疑者の認識よりも不利な証拠が出てくることも考えられます。
特に、被疑事実をすべて否認するのか、あるいはどの範囲まで否認するのかについては、今後被害者に対して示談を申し出る余地を残すためにも、刑事事件弁護士の客観的な意見を聞いておくことが重要です。
【過失運転致傷の量刑の傾向】
自動車運転死傷処罰法によれば、自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金が科されます。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができるとされています。
一般的な傾向としては、重篤な傷害が生じていなかったり、過失の程度が悪質でなければ、50万円程度またはそれ以下の罰金が科される事例が多く見受けられます。
ただし、重篤な傷害が生じていたり、過失の程度が悪質な場合、検察官の公判請求(起訴)によって公開の刑事裁判となり、実刑が争われることが予想され、違法性が高い過失運転致傷罪の例では実刑判決も下されています。
【過失運転致傷で軽い処罰を得るには】
逆に、過失運転致傷罪で、被害者への謝罪や賠償金(または謝罪金等の名目)の支払いがなされており、被害者の被害感情が回復されているような事例では、この点を考慮して検察官が不起訴処分を下すこともあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部でも、被害者様への謝罪や自動車保険に上乗せとしての謝罪金・賠償金のお支払いの合意にいたり、結果として不起訴処分を獲得した事例が多数ございます。
埼玉県さいたま市で、よそ見運転で過失運転致傷罪で刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回無料相談や初回接見サービスをご検討ください。
【事例解説】特殊詐欺に加担して詐欺罪の共犯で事件化
【事例解説】特殊詐欺に加担して詐欺罪の共犯で事件化
埼玉県本庄市で特殊詐欺に加担して詐欺罪の共犯の疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【事例紹介】
埼玉県本庄市内を走るタクシー運転手が、詐欺の被害に遭いそうになっていた被害者乗客の特殊詐欺被害を防ぎ、警察から感謝状が贈られた。
タクシー運転手は令和5年11月28日、乗客の高齢女性が特殊詐欺の電話を受けていることに気付いたという。
ドライブレコーダーには、運転手が被害を食い止めようと高齢女性を説得する様子が残されていた。
このあと、運転手は状況を埼玉県警本庄警察署に説明し、女性の被害を防いだということで感謝状が贈られた。
本庄警察署は、女性の電話履歴から通話先を特定し、詐欺を試みようとした埼玉県在住の無職Aを詐欺未遂の疑いで逮捕しました。
(令和5年12月14日づけFNNプライムオンラインの記事を参考に、一部事実を改変し、かつ、架空の事実を追加したフィクションです。)
【特殊詐欺の概要】
- 法的な側面
特殊詐欺は、詐欺罪に該当する犯罪行為です。
詐欺罪は、刑法246条に定義されており、「人を欺いて財物を交付させる行為」を犯罪とします。
特殊詐欺の場合、加害者は巧妙な手口で被害者を騙し、金銭や財物をだまし取ります。
特殊詐欺の法的な特徴は、その計画性と組織性にあります。
加害者は、しばしば複数人で協力し、計画的に詐欺を行います。
このため、刑法上の共同正犯(共犯)の概念が適用されることが多いです。
共同正犯とは、複数の人が共謀して犯罪を行った場合、全員がその犯罪の正犯とみなされることを意味します。
刑法60条により、共同で犯罪を行った者は、他の共犯者の行為についても責任を負うことになります。
特殊詐欺においては、昨今では「ブラックバイト」の名でも認知されるとおり、目先のお金欲しさの若者が知らずに組織的な詐欺行為に加担することもありますが、法的には無知は免罪事由にはなりません。
したがって、詐欺行為に関与した場合、その程度に関わらず共犯者として詐欺罪の刑法上の責任を問われる可能性があります。
【特殊詐欺の手口】
特殊詐欺の加害者は、様々な手口を用いて被害者を騙します。これらの手口は巧妙で、被害者が気付かないうちに詐欺に巻き込まれることが多いです。
- 電話による詐欺
最も一般的な手口の一つが、電話を使った詐欺です。加害者は警察官や銀行員を装い、被害者に不安を煽って金銭を要求します。 - インターネットを利用した詐欺
SNSやメールを通じて、高収入を謳うアルバイトを募集し、実際は違法な活動に関与させる手口もあります。 - 身近な人を装う
被害者の家族や知人を装い、緊急を要する事態を偽装して金銭を要求する手口も見られます。 - 金融商品の詐欺
高いリターンを約束する投資詐欺も特殊詐欺の一形態です。被害者は、実在しない金融商品に投資するよう誘導されます。 - 身元不明の第三者を利用
知らないうちに詐欺の一部となる「ブラックバイト」のように、身元不明の第三者を利用する手口もあります。
【特殊詐欺に対する処罰の傾向】
特殊詐欺に対する法的対策として、昨今では、加害者に対する厳罰化と被害者保護の強化が進んでいます。
特殊詐欺の摘発を強化するため、警察庁は今年12月13日、来年4月に全都道府県警が参加する「連合捜査班」を設置するほか、地方で起きた事件の捜査支援に当たる専従捜査員を首都圏などの7都府県警に計約500人配置すると発表しています。
- 詐欺罪の法定刑
詐欺罪の法定刑は、刑法246条により10年以下の懲役です。
特殊詐欺は、その巧妙な手口と社会的影響から、昨今では特に重い刑罰が科され傾向が見受けられます。 - 共同正犯の適用
特殊詐欺においては、共同正犯の原則が適用されることが多いです。これにより、詐欺行為に直接関与しなくても、共謀した全員が同等の責任を負うことになります。 - 未遂犯の扱い
詐欺の未遂犯に対しても、法定刑は既遂犯と同様に10年以下の懲役となります。
【特殊詐欺に対する刑事弁護】
ご家族の中に、特殊詐欺に関わってしまったことで警察に詐欺の疑いで逮捕されてしまった方がいる場合には、弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
初回接見によって、弁護士が警察の留置場で拘束されているご家族の方から直接事件についてお話を聞くことができますので、事件の見通しや今後の手続の流れ、弁護士が取ることができる刑事弁護活動などについて知ることができるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県本庄市でご家族が特殊詐欺で警察に捕まってお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。
【報道解説】埼玉県熊谷市の保育士が園児に暴行して書類送検
【報道解説】埼玉県熊谷市の保育士が園児に暴行して書類送検
保育士が園児に暴行を働いた疑いで警察から検察へと書類送検された事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「去年、埼玉県熊谷市の認可保育所で、園児の頭を叩くなどの暴行を加えたとして、当時保育士だった女性2人が書類送検されました。
去年10月、園内で30歳の女性は当時1歳の男の子の頭を手で叩き、31歳の女性は当時2歳の男の子の右手を引っ張り、頭をおもちゃのふたで叩くなどの暴行を加えた疑いがもたれています。
31歳の女性は容疑を認め、30歳の女性は容疑を否認しているということですが、警察は起訴を求める『厳重処分』の意見を付けて書類送検しました。」
(令和5年2月10日にTBSNEWSDIGで配信された報道を元に、事実を一部変更したフィクションです。)
【暴行罪は軽い犯罪?】
今回取り上げた報道は、当時保育士であった女性が園児に対する暴行の疑いで検察に書類送検されたというものです。
刑法208条に規定されている暴行罪が成立するためには、「暴行」をする必要がありますが、「暴行」とは人の身体に対する不法な有形力の行使と定義されています。
分かりづらい定義かと思いますが、人の身体に向けて物理的に攻撃をした場合は「暴行」に当たることになります。
そのため、人の手を引っ張ったり、人の頭を叩くといった行為をした場合は暴行罪として罪に問われる可能性があります。
暴行罪と聞くと大したことのない刑が軽い犯罪だと思われるかもしれませんが、暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっています(「拘留」とは1日以上30日未満の期間、刑事施設に収容する刑罰のことを言い、「科料」とは1000円以上1万円未満の金銭の納付を命じる刑罰のことを言います。)。
法定刑に懲役刑が定められていますので、捜査の段階で暴行の事実について認めている場合でも、事件の具体的な状況次第によっては、検察官によって起訴されて正式な刑事裁判が開かれてしまうということもあり得ます。
【前科が付くと保育士になることができない?】
報道では、事件当時保育士であった被疑者2名が書類送検されたということですが、書類送検とは、警察での捜査の結果をまとめた書類を検察に送ることを意味しています。
捜査書類を受け取った検察官は、被疑者を暴行罪として起訴するかどうかの判断をすることになります。
ところで、保育士資格には、児童福祉法のなかで保育士になることができない一定の場合が定められています。
具体的な条文を挙げて説明しますと、児童福祉法18条の5柱書では、「次の各号のいずれかに該当する者は、保育士となることができない。」と規定して、保育士になることができない場合として、第1号から第5号までの5つの場合を規定してます。
そして、5つの場合のひとつである第2号では「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者」と規定しています。
この児童福祉法18条の5第2号によれば、刑事裁判の結果、執行猶予が付かずに懲役刑や禁固刑となった者であれば刑の満了から2年間は保育士にになることができませんし、また、執行猶予付きの判決であった場合でも執行猶予の期間満了から2年間は保育士になることができないことになります。
【暴行罪で前科を付けたくないとお考えの方は】
先ほども説明した通り、暴行罪の法定刑には懲役刑が定められていますので、事件によっては、暴行罪で起訴されて刑事裁判が開かれた結果として執行猶予付きの有罪判決となった場合、執行猶予の期間が満了してから2年の間は保育士になることができません。
このように、国家資格の中には前科が付くとその効力を失うものがありますから、暴行事件といった刑事事件を起こしたことで前科がついて仕事ができなくなるといったことを避けたいとお考えの方は、いち早く弁護士に刑事弁護活動の依頼をされることをお勧めします。
弁護士に依頼することで、弁護士は、前科が付くことを回避するために検察官に起訴を猶予してもらうように交渉をしたり、仮に起訴されて裁判で有罪となったとしても仕事への影響がないような判決を求めるといったことができるようになるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県熊谷市の保育園で、暴行罪で前科が付くことを避けたいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。