【報道解説】埼玉県川越市で女性につきまといストーカー規制法違反で逮捕

【報道解説】埼玉県川越市で女性につきまといストーカー規制法違反で逮捕

恋愛感情を抱いた女性に対してストーカー行為を行ったことによって、ストーカー規制法違反の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】

「女性にストーカー行為を繰り返したとして、22歳の専門学校生が警視庁に逮捕されました。
埼玉県川越市の17歳の男子高校生は、被害者女性に、先月から4回にわたりつきまとい、執拗に女性芸能人の行動を盗撮するなど、ストーカー行為をした疑いが持たれています。
警視庁によりますと、男子高校生は去年から被害者女性につきまとい行為を始めていて、警視庁から、ストーカー規制法に基づく「警告」を4回受けていました。
取り調べに対し『街中ですれ違って一目惚れした』『好きでしょうがなかった』と容疑を認めているということです。」
(令和4年5月18日に配信されたTBS NEWSより、事実を一部変更しています)

【ストーカー行為とは?】

報道では、ストーカー規制法違反の疑いで逮捕されたとありますが、ストーカー規制法では、ストーカー行為を「つきまとい等」や、承諾なく相手方の位置情報を取得する行為などの「位置情報無承諾取得等」を反復して行う行為としています(2条4項)。

前者の「つきまとい等」については、以下に例示する8つの行為のうち、いずれかの行為を「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で、「当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者」に対して行うことをいいます(2条1項柱書)。

1.つきまとい・待ち伏せ・立ちふさがり・見張り・押しかけ・うろつき行為(同項1号)
2.監視していると思わせるような事項を告げ、又は知りうる状態に置く行為(同項2号)
3.面会・交際等義務のないことの要求(同項3号)
4.著しく粗野又は乱暴な言動(同項4号)
5.無言電話・電話拒否後の連続した電話・文書送付・FAX送信・電子メールの送信等の行為(同項5号)
6.汚物などの送付(同項6号)
7.名誉を害する事項を告げ、又はその知りうる状態に置く行為(同項7号)
8.性的羞恥心を侵害する事項を告げる等行為(同項8号)

なお、上記1から4までの行為と、5のうち電子メールの送信等の行為については、「身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に」という限定が付くことになります(2条4項)。

報道では、逮捕された男子高生は、「好きでしょうがなかった」と供述しているとのことですので、被害者女性に対して恋愛感情を抱いていたと考えられます。
そして、そのような恋愛感情に基づいて、過去4回つきまとい行為を行い、盗撮等の行動の自由を害するような方法で2条1項1号の「つきまとい」を行っているので、身体の安全が害されるような方法により行われたといえ、「ストーカー行為」に当たることになるでしょう。

【ストーカー規制法に基づく警告とは?】

ストーカー規制法第4条では、つきまとい等の被害を受けた方が警察に対して申出を行った場合、警察がつきまとい等を行った者に対して、更に反復してつきまとい等の行為をしてはならないと警告を出すことができます(4条1項)。
この警告が出されると、当該警告の内容や警告を出した日時が、警告の申出をした方に通知されることになります(4条3項)。

【ストーカー行為をした場合に科せられる罰則】

実際の報道では、ストーカー行為をしていた人が、17歳の高校生ですので、実際に刑罰が科されることはなく、家庭裁判所による保護処分に付されるでしょうが、仮に20際以上の者がストーカー行為を行うと、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられることになります(18条)。
しかし少年法が適用される20歳未満の「少年」であっても、事件は家庭裁判所に送致され、おそらく保護観察措置以上の処遇が決定されることが予想されます。

【ストーカー規制法違反でお困りの方は】

ご家族の中で、ストーカー規制法違反で逮捕されてお困りの方は、まずは刑事事件に精通した弁護士に依頼して、接見に行ってもらうことをお勧めします。
弁護士による接見をきっかけに、早期に弁護士が事件に介入することが出来れば、身柄拘束の解放に向けた弁護活動をとることができ、身柄拘束による社会生活への影響を最小限に抑えることが期待できます。
また、ストーカー規制法違反の事件では、被害者の方との示談が大事になってきますが、示談交渉についても、示談経験が豊富な弁護士に依頼された方が、よりよい結果になる可能性が高くなるといえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、ストーカー規制法違反の事件の弁護経験が豊富な弁護士が在籍しております。
ご家族の中にストーカー規制法違反の疑いで逮捕された方がいる、あるいは、自身がストーカー規制法違反の疑いで警察から捜査を受けているという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度御相談ください。

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