Archive for the ‘財産事件’ Category

【報道解説】強盗致傷罪で逮捕 裁判員裁判対象の重大犯罪

2023-10-22

【報道解説】強盗致傷罪で逮捕 裁判員裁判対象の重大犯罪

金銭を奪うために加えた暴行によって相手方を怪我をさせたことにより、強盗罪の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「女性になりすましてSNSで呼び出した高校生に暴行を加え、金を奪おうとした疑いで、21歳の男ら2人が逮捕された。
A容疑者(21)らは2022年3月、埼玉県川越市の路上で、男子高校生に『金を出せ』と脅して暴行を加え、けがをさせた疑いが持たれている。
A容疑者らは、SNSで若い女性になりすまし、高校生を呼び出していたという。」
(令和4年5月24日にFNNプライムオンラインにて配信された報道より引用)

【強盗致傷罪とは】

刑法240条は、強盗致傷罪について規定しています。
強盗致傷罪が成立するためには、「強盗が」、強盗の機会に、「人を負傷させた」という要件を充たす必要があります。
引用した報道では詳しい事実関係については明らかとなっていませんが、Aさんが高校生から金銭を奪うために加えた暴行が、高校生の反抗を抑圧する程度の暴行であれば、Aさんは「強盗」に当たることになるでしょう。
そして、そのような強盗の手段として用いられた暴行によって高校生が怪我をしていますので、Aさんは強盗の機会に「人を負傷させた」として強盗致傷罪の疑いで逮捕されたと考えられます。
なお、報道では「金を奪おうとした」との記載にとどまり、実際にAさんが金銭を高校生から奪ったかについては定かではありませんが、仮にAさんが金銭を奪っていなくとも、金銭を奪うために用いた暴行によって相手方を怪我をさせたのであれば、刑法243条が定める未遂罪は成立することはなく、強盗致傷罪の既遂が成立することになります。

強盗致傷罪の法定刑は、無期又は6年以上の懲役刑で、罰金刑が定められておらず、最も軽い刑で6年の懲役刑となっていますので、様々な犯罪について規定する刑法の中において、科される刑罰が大変重い犯罪です。

【強盗致傷罪で起訴された場合】

強盗致傷罪が起訴されると次に示すように通常の公判手続とは異なる点があります。

まず、強盗致傷罪のように法定刑で無期懲役が定められている事件が起訴された場合、その事件は、裁判員裁判の対象になります。
裁判員裁判制度は、職業裁判官と一緒に、国民の中から抽選で選ばれた人が裁判員として裁判に参加して、有罪・無罪の判断、有罪の場合の量刑をどうするかを決める裁判制度です。
裁判員裁判制度においては、量刑を判断にあたっては国民感情が反映されることになりますので、職業裁判官のみによって行われる通常の裁判に比べて、量刑が重くなる傾向があると言われています。

また、裁判員裁判の対象となる事件については、公判が開かれる前に公判前整理手続と呼ばれる手続が行われることになります。
公判前整理手続は、第1回公判期日の前に、裁判所、検察官、弁護人が事件の争点を明確にして、証拠の整理を行い、これからどのように審理を進めていくかという審理計画を作成することを目的とする手続ですが、審理計画の作成に時間がかかってしまい、結果として公判が長引いてしまうおそれがあります。

【強盗致傷罪の弁護活動】

このように強盗致傷罪は法定刑が重く重大な犯罪ですが、被害者に対する示談の有無によって、刑事処罰の可能性を低くする可能性が残されています。
事件を起訴するか否かを決定する権限は検察官にあり、検察官が事件を起訴するか否かの判断をするにあたっては、被害に遭われてしまった方の処罰感情を重視する傾向にあります。
そのため、検察官が起訴不起訴の判断を下すまでに、被害に遭われてしまった方に対して謝罪と被害の回復を行い、示談を締結することができれば、軽い処分となる可能性を高めることができます。

【軽い処分を目指したい方は】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱っている事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、被害者の方との示談交渉により、示談を締結することができ、強盗致傷罪から窃盗罪と傷害罪の2罪に分離させた結果、不起訴処分を獲得した経験のある弁護士が在籍しております。
強盗致傷罪を起こしてしまいお困りの方、強盗致傷罪について少しでも軽い処分を目指したい方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度御相談下さい。

【報道解説】下着窃盗の常習犯を逮捕

2023-10-18

【報道解説】下着窃盗の常習犯を逮捕

下着窃盗事件の刑事処罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道】

派遣社員の男性(47歳)は、令和4年6月5日未明に、東京都江戸川区のアパート1階の女性宅にガラスを割って侵入し、下着など24点、9,000円相当を盗んだ疑いで、警視庁葛西警察署に逮捕された。
男性の自宅からは、女性の下着や服が100点以上押収された。
同じような被害は、この女性宅でこれまでも2件、近くのアパート1階の女性宅で4件確認されていて、警視庁は、男性の犯行とみて調べている。
男性は、2021年11月に同じような窃盗の罪で服役を終えて、出所していた。
(令和4年6月7日に配信された「FNNプライムオンライン」より抜粋)

【下着窃盗事件の刑事処罰とは】

下着窃盗事件を起こした場合には、「他人の財物を盗んだ」として窃盗罪に問われるとともに、「他人の住居に不法侵入した」として住居侵入罪に問われるケースが多いです。
住居や庭に不法侵入した場合には「窃盗罪と住居侵入罪」が成立し、他方で、コインランドリー等に不法侵入して下着窃盗事件を起こした場合には「窃盗罪と建造物侵入罪」が成立すると考えられます。

窃盗罪の刑事処罰の法定刑は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」とされており、住居侵入罪や建造物侵入罪の法定刑は「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」とされています。
下着窃盗事件の場合には、窃盗罪と住居侵入罪とは、手段と目的の関係にある「牽連犯」に当たることから、成立する犯罪のうち、最も重い犯罪の刑である窃盗罪の法定刑で、刑事処罰を受ける形になります。

・刑法 第235条(窃盗)
「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」
・刑法 第130条(住居侵入等)
「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」

【被害者示談交渉による弁護活動】

下着窃盗事件は、被害者の存在する犯罪であるため、弁護士に示談交渉活動を依頼することで、被害者側に対して、謝罪や被害弁償・慰謝料支払いの意思を伝え、被害者からの許しの意思を含む示談を成立させることが、早期釈放や刑事処罰の軽減のための、重要な弁護活動となります。

下着窃盗事件においては、被害者側が加害者に恐怖心を抱いているケースが多く、加害者やその家族が、直接に被害者側との示談交渉を行うことは、原則として認められないことが多いです。
そこで、刑事事件に強い弁護士が示談交渉を仲介することで、弁護士だけに被害者側の連絡先が伝えられる形での示談交渉を進めることを、被害者側に打診することが、下着窃盗事件の示談解決に向けて必要となります。

まずは、下着窃盗事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

東京都江戸川区の下着窃盗事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【事例解説】ブラックバイトに参加 特殊詐欺未遂で逮捕 

2023-10-14

【事例解説】ブラックバイトに参加 特殊詐欺未遂で逮捕 

埼玉県志木市でブラックバイトに参加して詐欺未遂の疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【事例紹介】

「Aさんは、手軽にできて時給の高いアルバイトをしようと思いSNSで検索したところ、書類の配達のバイトを見つけたので、応募して採用されました。
Aさんは、早速、電話で埼玉県熊谷市にある家に行って偽名を名乗って書類を受け取り、受け取った書類を所定の場所にいる担当者に渡すように指示されました。
Aさんは、この仕事はいわゆる「ブラックバイト」という違法な仕事ではないかと不安になりましたが、仕事を指示者から強く圧力をかけられました。
Aさんは、埼玉県志木市にある家に向かい、呼び鈴を押して偽名を名乗ったところ、家から出てきた埼玉県警朝霞署の警察官に詐欺未遂の現行犯で逮捕されました。
(この事例はフィクションです)

【気づかない内に特殊詐欺に関わってしまうことがある!】

事例のAさんのように書類の配送・配達のアルバイトだと思ってバイトを始めたころ、書類の受け取りが特殊詐欺などの違法行為(いわゆるブラックバイト)であったため、書類を受け取りに行ったら突然警察に逮捕されたという事件が珍しくありません。
このような特殊詐欺では、被害者の方から書類を受け取る場面が、被害者の方と実際に対面することもあって、警察に逮捕されるリスクが一番高い場面であるといえます。

そのため、特殊詐欺を計画している大元の犯行グループは、書類の受け取り役をグループとは全く関係ないSNSでアルバイトとして募集してきた人物に担わせて、仮に書類の受け取り役が警察に逮捕されても、警察が大元の犯行グループまでたどり着かないように対策を立てています。
こうしたことに気が付かず、簡単にお金を稼ぐことができるアルバイトだと思って書類の受け取りをしてしまうと、詐欺の疑いで警察に逮捕されてしまう場合があります。

【書類を受け取っただけだから罪は軽い?】

刑法60条には「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。」という規定があります。
これは、2人以上の人が共同して犯罪を実行した人を共同正犯として、他の人が行った行為についても、自分が行ったものとしてその責任を負うということを意味しています。
そのため、詐欺罪の共同正犯になってしまうと、たとえ書類の受け取りしかやっていなくても、他の人が行った嘘の電話をかける行為や最終的に金目の物を受け取る行為といった行為についても自分がやったものとして責任を負うことになります。

書類を受け取ったことで詐欺罪の共同正犯が成立するかは、実際にそのときにどういった認識があったかといった事情も非常に重要になりますので、書類の受け取り役が必ずしも詐欺罪の共同正犯になるという訳ではありません。
ただ、自宅訪問時に偽名を名乗るよう指示されたりと「これってもしかして詐欺じゃないのかな」と思うような事情があれば、詐欺罪の共同正犯が認められやすくなってしまうでしょう。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役刑となっていますので、詐欺罪の共同正犯になると、書類の受け取りしかしていなくても、10年以下の懲役刑が科される場合があります。

なお、事例のAさんは書類を受け取る前に埼玉県警朝霞署の警察官に現行犯逮捕されていますから、実際に書類を受け取ってはいません。
そのため、Aさんには詐欺罪の既遂の共同正犯が成立する可能性はなく、詐欺罪の未遂の共同正犯が成立する可能性があるのみですが、詐欺罪の未遂といっても、法定刑は詐欺罪の既遂の場合と同じで10年以下の懲役刑となっています(ただし、刑法43条によって刑を減軽することができます)。

【ご家族が特殊詐欺で警察に捕まってお困りの方は】

ご家族の中に、特殊詐欺に関わってしまったことで警察に詐欺の疑いで逮捕されてしまった方がいる場合には、弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
初回接見によって、弁護士が警察の留置場で拘束されているご家族の方から直接事件についてお話を聞くことができますので、事件の見通しや今後の手続の流れ、弁護士が取ることができる刑事弁護活動などについて知ることができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県志木市でご家族が特殊詐欺で警察に捕まってお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

【報道解説】業務上横領罪で事件化する前に 示談交渉に強い弁護士

2023-10-10

【報道解説】業務上横領罪で事件化する前に 示談交渉に強い弁護士

埼玉県で業務上横領の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】

「会社の口座から自身の口座に振り込み入金し、現金を着服したとして、埼玉県警捜査2課と深谷署は1日、業務上横領の疑いで、麺類製造・販売会社元経理担当で自称パート従業員の男(48)=熊谷市拾六間=を逮捕した。」
(令和5年2月2日に埼玉新聞で配信された報道より一部抜粋して引用)

【意外に罪が重い業務上横領罪】

今回取り上げた報道では、男性が業務上横領罪の疑いで逮捕されています。

業務上横領罪は刑法253条に規定する犯罪で、「業務上自己の占有する他人の物を横領した」場合に成立する犯罪です。
業務上横領罪が成立する場合としては、会社から割り当てられた業務として会社の備品を管理する業務を担っていた人が管理している会社の備品を転売した場合や、経理として会社の口座を管理している人が会社の口座から自分の口座へと送金して会社の資金を着服した場合などが考えられます。

このような業務上横領罪の法定刑は10年以下の懲役刑となっています。
法定刑に罰金が定められていませんので、仮に検察官が業務上横領罪で起訴するという判断をした場合は、略式起訴することができず正式な裁判が開かれることになります。

【業務上横領罪が会社に発覚したら?】

会社の資金を着服してしまったなどの業務上横領罪に当たる行為をしてしまった場合は、弁護士に今後の対応についてご相談されることをお勧めします。
業務上横領罪については、まず最初に会社内部で調査が行われて、調査の結果、会社が業務上横領罪について刑事告訴をしたところで警察などの捜査機関が捜査に乗り出すという流れで刑事事件化することが多いです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部に寄せられる業務上横領の相談事例についても、まず会社側が業務上横領の事実を認識し、横領が疑われている方と会社側で話し合いを行い、横領した金額を返せば、会社側は被害届や刑事告訴を行わないと申し入れるケースが見受けられます。

そのため、業務上横領罪について会社が被害届や刑事告訴する前に、弁護士を通して会社に対して謝罪や横領金額の返金などの示談交渉をして、会社が謝罪と被害の弁済を受け入れてくれるといった形で会社と示談を締結することができれば、警察が業務上横領罪について捜査に乗り出す前に当事者間で事件を解決することができる場合があります。

また、被害を受けた会社側も、少しでも横領された金額が返金されることを望むことが多いので、横領を疑われている方の段階的な財産処分を通じて被害弁償をすることで、事実上の示談が成立することもあり得ます。

このように業務上横領罪を刑事事件化する前に当事者間で示談ができれば業務上横領罪の前科を付けずに事件を解決することができるでしょう。
そのような解決を目指すには、業務上横領罪が会社に発覚してから、少しでも早く弁護士に相談することが重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県で業務上横領罪が会社に発覚してお困りの方や、業務上横領罪の前科を付けたくないとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

【報道解説】強盗致傷罪で逮捕 裁判員裁判の手続き

2023-10-06

【報道解説】強盗致傷罪で逮捕 裁判員裁判の手続き

金銭を奪うために加えた暴行によって相手方を怪我をさせたことにより、強盗罪の疑いで逮捕された刑事事件例と裁判員裁判の概要について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】

「女性になりすましてSNSで呼び出した高校生に暴行を加え、金を奪おうとした疑いで、21歳の男ら2人が逮捕された。
A容疑者(21)らは2022年3月、埼玉県川越市の路上で、男子高校生に『金を出せ』と脅して暴行を加え、けがをさせた疑いが持たれている。
A容疑者らは、SNSで若い女性になりすまし、高校生を呼び出していたという。」
(令和4年5月24日にFNNプライムオンラインにて配信された報道より引用)

【強盗致傷罪とは】

刑法240条は、強盗致傷罪について規定しています。
強盗致傷罪が成立するためには、「強盗が」、強盗の機会に、「人を負傷させた」という要件を充たす必要があります。
引用した報道では詳しい事実関係については明らかとなっていませんが、Aさんが高校生から金銭を奪うために加えた暴行が、高校生の反抗を抑圧する程度の暴行であれば、Aさんは「強盗」に当たることになるでしょう。
そして、そのような強盗の手段として用いられた暴行によって高校生が怪我をしていますので、Aさんは強盗の機会に「人を負傷させた」として強盗致傷罪の疑いで逮捕されたと考えられます。
なお、報道では「金を奪おうとした」との記載にとどまり、実際にAさんが金銭を高校生から奪ったかについては定かではありませんが、仮にAさんが金銭を奪っていなくとも、金銭を奪うために用いた暴行によって相手方を怪我をさせたのであれば、刑法243条が定める未遂罪は成立することはなく、強盗致傷罪の既遂が成立することになります。

強盗致傷罪の法定刑は、無期又は6年以上の懲役刑で、罰金刑が定められておらず、最も軽い刑で6年の懲役刑となっていますので、様々な犯罪について規定する刑法の中において、科される刑罰が大変重い犯罪です。

【強盗致傷罪で起訴された場合】

強盗致傷罪が起訴されると次に示すように通常の公判手続とは異なる点があります。

まず、強盗致傷罪のように法定刑で無期懲役が定められている事件が起訴された場合、その事件は、裁判員裁判の対象になります。
裁判員裁判制度は、職業裁判官と一緒に、国民の中から抽選で選ばれた人が裁判員として裁判に参加して、有罪・無罪の判断、有罪の場合の量刑をどうするかを決める裁判制度です。
裁判員裁判制度においては、量刑を判断にあたっては国民感情が反映されることになりますので、職業裁判官のみによって行われる通常の裁判に比べて、量刑が重くなる傾向があると言われています。

また、裁判員裁判の対象となる事件については、公判が開かれる前に公判前整理手続と呼ばれる手続が行われることになります。
公判前整理手続は、第1回公判期日の前に、裁判所、検察官、弁護人が事件の争点を明確にして、証拠の整理を行い、これからどのように審理を進めていくかという審理計画を作成することを目的とする手続ですが、審理計画の作成に時間がかかってしまい、結果として公判が長引いてしまうおそれがあります。

【強盗致傷罪の弁護活動】

このように強盗致傷罪は法定刑が重く重大な犯罪ですが、被害者に対する示談の有無によって、刑事処罰の可能性を低くする可能性が残されています。
事件を起訴するか否かを決定する権限は検察官にあり、検察官が事件を起訴するか否かの判断をするにあたっては、被害に遭われてしまった方の処罰感情を重視する傾向にあります。
そのため、検察官が起訴不起訴の判断を下すまでに、被害に遭われてしまった方に対して謝罪と被害の回復を行い、示談を締結することができれば、軽い処分となる可能性を高めることができます。

【軽い処分を目指したい方は】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱っている事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、被害者の方との示談交渉により、示談を締結することができ、強盗致傷罪から窃盗罪と傷害罪の2罪に分離させた結果、不起訴処分を獲得した経験のある弁護士が在籍しております。
強盗致傷罪を起こしてしまいお困りの方、強盗致傷罪について少しでも軽い処分を目指したい方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度御相談下さい。

【報道解説】チケット転売で逮捕 チケット不正転売禁止法違反の弁護活動

2023-09-12

【報道解説】チケット転売で逮捕 チケット不正転売禁止法違反の弁護活動

埼玉県のチケット不正転売禁止法違反事件ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本戦の観戦チケットを定価の4倍の高値で転売したとして、埼玉県警は、無職の男(25)と会社員の女(24)をチケット不正転売禁止法違反容疑で逮捕したと発表した。
埼玉県警の発表によると、2人は昨年11月、今年3月にいずれも東京ドームで行われた豪州戦の外野指定席(6000円)3枚と、イタリア戦の外野指定席(7000円)2枚の計5枚を転売サイトを通じて都内の30~40歳代の男女2人に計13万円で不正に転売した疑い。
調べに2人とも容疑を認め、男は「自分は野球ファンで、全国に観戦に行く際の宿泊費などに充てるためだった」と供述している。
(令和5年4月21日の「読売新聞オンライン」の記事を元に、事実を一部変更したフィクションです。)

【チケット不正転売禁止法の立法趣旨】

市場価値のある商品の転売については、自由市場経済の側面から、転売は市場の需要に合致した価格に調整する機能があるとして、「転売」を肯定する意見も一部で存在します。

しかし、いわゆる「転売ヤー(転売屋)」と呼ばれる業者は、希少価値の高いチケットを転売目的で大量に購入し、オークションサイトなどを利用して高額で販売しても、興行主や出演者などにとって何の利益もありません。

また、本当にチケットを必要としている消費者にとって、定価を超えた高額な代金を払うことは、大きな負担となります。
定価の価格でチケットを購入していたら、何度もコンサートやイベントなどへ行ったり、会場で販売されているタオルやTシャツなどのグッズを買ったりできたかもしれません。

これまでチケットの転売は、「ダフ屋行為」として各都道府県の迷惑防止条例で取り締られてきました。
しかし迷惑行為防止条例では、インターネット上での売買には適用できないため、そういった「ダフ屋行為」に加え、インターネット上でのチケットの不当な高額転売等を禁止するため、「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(通称「チケット不正転売禁止法」)が、2019年6月14日に施行されました。
(政府広報オンラインより一部引用)

【「特定興行入場券の不正転売」とは?】

チケット不正転売禁止法3条では、「何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない。」と規定しています。
この規定に違反すると、チケット不正転売禁止法9条1項によって、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又は両方の刑が併せて科される可能性があります。

チケット不正転売禁止法で処罰対象となる「特定興行入場券の不正転売」は、「興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするもの(チケット不正転売禁止法3条4項)」となっています。
つまり、プロ野球やコンサートのチケットのような「特定興行入場券」を興行主の事前の同意なく、反復継続して、定価を超える価格で転売する行為を刑事罰の対象にしているということです。

【チケット不正転売禁止法違反のでお悩みの方は】

施行からまだ数年しかたっていない法律ですが、大型イベント等で国内需要が高まった時期には、チケット不正転売禁止法違反で逮捕者が出たと報道されるようになりつつあります。
例えば、令和2年8月27日に大阪地方裁判所では、チケット不正転売禁止法と有印私文書偽造・同行使の成立を認めて、懲役1年6月(執行猶予3年)、罰金30万円の有罪判決が出されています。

このように実際にチケット不正転売禁止法違反違反で検挙・有罪とされた事例がありますでので、チケット不正転売禁止法違反違反の疑いで警察の捜査を受けられている方は、いち早く弁護士に相談して、今後の対応などについてアドバイスをもらうことをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県内でチケット不正転売禁止法違反の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

【事例解説】埼玉県で集団窃盗で逮捕

2023-08-31

【事例解説】埼玉県で集団窃盗で逮捕

埼玉県や関東全域で広く集団窃盗を繰り返した疑いで、窃盗罪等で逮捕された事件ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【事例紹介】

寺院を狙った盗みを繰り返したとして、埼玉県警は25日までに、窃盗罪などの疑いで自称埼玉県熊谷市、無職のA男(26)ら男3人を逮捕した。
他の逮捕者はブラジル国籍の群馬県太田市生まれ、住所不定、無職のB男(22)、前橋市生まれ、住所不定、無職のC男(28)の両容疑者。
県警は3人が広域窃盗団の実行役とみており組織の全容解明を進める。
3人の逮捕容疑は、2月24日、埼玉県さいたま市内の寺院に忍び込んで現金約21万円などを盗んだのをはじめ、単独または複数で犯行を重ねて6月下旬までに関東全域で計9カ所の寺院に侵入、計約38万円と軽乗用車(30万円相当)などを盗んだ疑い。
認否を明らかにしていない。
被害届を受けた埼玉県警が防犯カメラの映像などから3人の容疑を固めた。
埼玉県警によると、寺院での被害は今年2月以降、県内の3件を含め、関東地方を中心に計33件確認されており、余罪の可能性で捜査を進めている。
(令和5年8月25日の山陽新聞DIGITALの記事を元に、事実を一部変更したフィクションです)

【集団窃盗の罪の重さ】

上記刑事事件では、複数の財産犯罪が成立していたことが示唆されていますが、第一に窃盗罪の疑いで逮捕に至ったとされています。

刑法第235条によれば、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」とされています。

窃盗罪のような財産犯罪は、犯罪の成立がすなわち犯罪者の経済的利益につながるため、犯行を重ねる可能性が高く、同種余罪が多数立件されることがしばしば見受けられます。
もちろん、窃盗罪による損失が大きければ大きいほど捜査機関は悪質な犯行であると考え、法定刑の中でもより罪が重くなる可能性が高まります。

また、犯行態様についていえば、一人で犯行を行うことに比べ、複数名で組織的に窃盗を行うことは、役割分担を定め、より機能的に窃盗行為を円滑に行うためであることから、通常の単独の窃盗犯に比べて、非常に悪質な犯行とみなされます。

【集団窃盗の逮捕・勾留手続き】

集団窃盗のように通常の窃盗罪の中でも悪質で、特に余罪が多数見込まれる組織的な犯行グループについては、捜査機関は逮捕に向けて組織的かつ精力的に刑事責任を追及すべく捜査を進めます。

そのため、被疑者らが逮捕された場合、きわめて高い確率で勾留(逮捕に引き続き最大10日間の身体拘束をすること)手続きに移り、裁判所もこのような悪質な組織的犯罪については勾留を広く認める傾向が強いです。
また、勾留には最大10日間の延長もあるため、1つの罪について、最大20日間の身体拘束がなされることが実務上多いです。
また、その後、別の窃盗事実が立件されるたびに、別件逮捕(再逮捕)、そして勾留(再勾留)が繰り返される結果、余罪が発覚するたびに約20日の身体拘束が延々と繰り返されることも珍しくありません。

さらに、このような集団犯罪では、留置所内での口裏合わせ等による証拠隠滅(罪証隠滅)防止の観点から、共犯者らは別々の留置所に収容されたり、家族の方を含む一般の方との面会(接見)が禁止されること(接見禁止命令)も極めて多いです。

【集団窃盗の刑事弁護】

事例のように、もしご家族やご友人が集団窃盗に加わって逮捕された場合は、いち早く弁護士に依頼して、被疑者の方が逮捕されて留置されている警察署に接見に行ってもらうことが重要です。

上記のとおり、集団窃盗で逮捕・勾留された場合、裁判所が接見禁止命令を下した結果、家族の方の面会が許されなくなることが予想されますので、弁護士を介さなければ被疑者の方との意思疎通を取ることは原則不可能となります。
疑われている被疑事実に対して、被疑者の方がどのように認識し、事実を認めるのか否認するのか、あるいは一部を認めるのか、謝罪と被害弁償を進めたいのか等の意思確認を行わなければ、弁護活動の第一歩を進めることはできません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、埼玉県や北関東のみならず、日本全国に展開する、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県内で発生した集団窃盗罪で家族が逮捕されて、どうしたら良いか分からずお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部のご利用をご検討ください。

【報道解説】携帯電話不正利用防止法違反で逮捕

2023-06-07

【報道解説】携帯電話不正利用防止法違反で逮捕

携帯電話不正利用防止法違反の疑いで、埼玉県警サイバー捜査課と大宮署が被疑者を逮捕した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】

「埼玉県警サイバー捜査課と大宮署は25日、携帯電話不正利用防止法違反(未承諾有償譲り受け)…の疑いで、大阪市北区曽根崎1丁目、会社員の男(26)を再逮捕し…た。
会社員の男の再逮捕容疑は、氏名不詳者らと共謀の上、昨年4月11日から16日の間、交流サイト(SNS)を利用してスマートフォンを有償で譲渡する契約者を募り、募集に応じた3人に対して有償譲渡の目的を隠してスマートフォン9台を契約させ、報酬と引き換えにスマートフォンを譲り受けた疑い。」
(令和5年4月26日に埼玉新聞で配信された報道より一部抜粋して引用)

【携帯電話不正利用防止法とは?】

報道では、「携帯電話不正利用防止法」という法律名が登場していますが、これは、正式には、「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」という法律名です。
携帯電話不正利用防止法は、オレオレ詐欺といった特殊詐欺の犯罪に匿名で契約された携帯電話が利用されていたことに対処するために、携帯電話の事業者に契約者の本人確認を義務付けるために出来た法律です。

この携帯電話不正利用防止法では、携帯電話の不正な利用の防止を図ることを目的に様々な規定を置いていますが、そのひとつが、携帯電話不正利用防止法7条1項です。

携帯電話不正利用防止法7条1項では、「契約者は、自己が契約者となっている役務提供契約に係る通話可能端末設備等を他人に譲渡しようとする場合には、親族又は生計を同じくしている者に対し譲渡する場合を除き、あらかじめ携帯音声通信事業者の承諾を得なければならない。」と規定しています。

この規定は、要するに、親が契約した携帯電話を子供に使わせるといった場合を除き、自分で契約した携帯電話を他人に譲渡する場合は、自社で通信回路を持った大手通信キャリアや格安SIM会社といった携帯音声通信事業者の承諾を得る必要があるという事を定めています。

携帯電話不正利用防止法7条1項に違反して、自身が契約した携帯電話を、業として(反復継続して)携帯電話事業者に無断で他人に有償で譲渡した人には、携帯電話不正利用防止法20条1項によって、2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金が科されるか、又はこの懲役刑と罰金刑がを併せて科される可能性があります。

また、携帯電話不正利用防止法7条1項に違反していることを知った上で、携帯電話不正利用防止法7条1項に違反した未承諾の他人名義の携帯電話を、業として有償で譲り受けた人にも、携帯電話不正利用防止法20条2項によって、先ほどと同じく、2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金が科されるか、又はこの懲役刑と罰金刑がを併せて科される可能性があります。

【携帯電話不正利用防止法違反でお困りの方は】

携帯電話不正利用防止法違反の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士に相談されることをお勧めします。
「携帯電話不正利用防止法」という法律については聞きなじみがないかと思いますが、弁護士に相談されることで、ご自身が携帯電話不正利用防止法のどう言った規定に違反している可能性があるのか、今後どのような捜査が予想されるのか、事件の見通しがどういったものになるのかといったことなどについて、アドバイスをもらうことが出来るでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県内で携帯電話不正利用防止法違反違反の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

【事例解説】埼玉県朝霞市のチケット不正転売禁止法違反事件

2023-06-04

【事例解説】埼玉県朝霞市のチケット不正転売禁止法違反事件

埼玉県朝霞市のチケット不正転売禁止法違反事件ついて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【事例紹介】

「埼玉県朝霞市に住む会社員Aさんは小遣い稼ぎのために、自身で正式に購入したプロ野球の試合のチケットを定価よりも高い価格で転売するという行為を繰り返していました。
ある日の早朝、Aさんが仕事に行く前に、自宅に埼玉県警朝霞警察署の警察官が訪れて、Aさんは、チケット不正転売禁止法違反の疑いで朝霞警察署の警察官に逮捕されました。」
(この事例はフィクションです)

【チケット不正転売禁止法とは?】

事例のAさんは、チケット不正転売禁止法違反の疑いで逮捕されています。

プロ野球のチケットを自分で正式に購入した場合、自分が買ったチケットは自分の物なのだから、自分のチケットを転売しようが何しようが自由なのではないかと思われる方がいるかもしれません。
しかし、プロ野球や演劇、コンサートといったチケットの転売を無制限に認めてしまうと、いわゆる「転売ヤー」と呼ばれる人たちに、チケットが買い占められて高額転売が横行する可能性があります。
しかし、このような事態は興行主や純粋にスポーツの試合観戦やコンサート鑑賞を楽しみたい一般消費者にとって望ましい事態とはいえません。
というのも、興行主の側からすると、転売ヤーが高額転売しても興行主の利益には繋がりませんし、一般消費者の側からすると、高額転売がなされることによってチケットが入手しづらい状況になるからです。

そこで、このような事態に対応するためにチケット不正転売禁止法という法律(正式な名称は「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」と言います)が成立して、2019年から施行されています。

【「特定興行入場券の不正転売」とは?】

チケット不正転売禁止法3条では、「何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない。」と規定し、この規定に違反した場合は、チケット不正転売禁止法9条1項によって、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金が科されるか、又はこの懲役刑と罰金刑が併せて科される可能性があります。

このように刑事罰の対象になる「特定興行入場券の不正転売」については、チケット不正転売禁止法3条4項が、「興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするもの」と定義しています。
難しく規定されていますが、要するに、プロ野球やコンサートのチケットのような「特定興行入場券」を興行主の事前の同意なく、反復継続して、定価を超える価格で転売する行為を刑事罰の対象にしているということです。

【「特定興行入場券」とは?】

先程から、「特定興行入場券」という言葉が度々登場していますが、チケット不正転売禁止法上においては、「特定興行入場券」を、芸術や芸能、スポーツイベント(まとめて「興行」と言います)などのチケットで、不特定又は多数の者に販売され、次の①~③の全てに該当するチケットととしています。

①チケットの販売に際し、興行の主催者の同意のない有償譲渡を禁止する旨を明示し、かつ、その旨が券面(電子チケットの場合は映像面)に記載されていること(チケット不正転売禁止法2条3項1号参照)。
②興行が行われる日時・場所・入場資格者か座席が指定されたチケットであること(チケット不正転売禁止法2条3項2号参照)。
③入場資格者が指定されたチケットの場合は(ⅰ)の条件を、座席が指定されたチケットの場合は(ⅱ)の条件を満たす必要があります。
(ⅰ)入場資格者が指定されたチケットの場合は、入場資格者の氏名と電話番号やメールアドレスと言った連絡先を確認する措置が講じられており、その旨がチケットの券面に記載されていること(チケット不正転売禁止法2条3号イ参照)。
(ⅱ)座席が指定されたチケットの場合は、購入者の氏名と連絡先を確認する措置が講じられており、その旨がチケットの券面に記載されていること(チケット不正転売禁止法2条3号ロ参照)。

プロ野球などのプロスポーツの試合や有名なアーティストのコンサートなどのチケットの多くは、上記の①〜③の全てを満たして「特定興行入場券」に該当することが多いと考えられます。

【チケット不正転売禁止法違反の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は】

これまで、チケット不正転売禁止法という法律について簡単に説明しました。
施行からまだ数年しかたっていない法律ですので、本当にチケット不正転売禁止法違反で逮捕されたり、前科が付くのかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、実際にチケット不正転売禁止法違反で逮捕・有罪となった事例もあります。
例えば、令和2年8月27日に大阪地方裁判所では、チケット不正転売禁止法と有印私文書偽造・同行使の成立を認めて、懲役1年6月(執行猶予3年)、罰金30万円の有罪判決が出されています。
また、今年の4月にも野球の世界大会のチケットを繰り返し高額転売したとして、チケット不正転売禁止法違反の疑いで警察に逮捕された事例があります。

このように実際にチケット不正転売禁止法違反違反で検挙・有罪とされた事例がありますでので、チケット不正転売禁止法違反違反の疑いで警察の捜査を受けられている方は、いち早く弁護士に相談して、今後の対応などについてアドバイスをもらうことをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県朝霞市で、チケット不正転売禁止法違反の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

【事例解説】虚偽の落とし主の詐欺事件

2023-05-11

【事例解説】虚偽の落とし主の詐欺事件

埼玉県狭山市の虚偽の落とし主を装った詐欺罪の刑事事件ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【事例紹介】

「埼玉県狭山市に住むAさんは、埼玉県警狭山警察署で落とし物を管理する業務を担当しているBさんに誘われて、狭山警察署に落とし物として届けられている現金を落とし主を装って受け取ることを計画しました。
Aさんは、計画に沿って、狭山警察署の落とし物の管理窓口に行き、事前にBさんから聞いていた現金が落ちていた状況等を受付に説明することで落とし主であることを装いました。
受付がAさんを現金の落とし主であると判断してしまったため、Aさんは現金を受け取ることができました。
Aさんは、その後、狭山警察署の警察官に詐欺の疑いで逮捕されました、」
(この事例はフィクションです)

【落とし物の現金を落とし主であると装って受けとると?】

先日のニュースで、昨年2022年に、都内で落とし物として届けられた現金の総額が約39億9700万円で、記録上過去最高の額になったとありました。
中には、約3400万円の現金が箱に入った状態で落とし物で届けられたケースもあるようです。

ところで、事例のAさんのように、警察に落とし物として届けられた現金を、現金の落とし主(所有者)でないにもかかわらず、落とし主(所有者)であるかのように装って、現金を受け取ってしまうと刑法246条1項の詐欺罪が成立する可能性が高いです。
仮に詐欺罪として起訴されて有罪となってしまうと、10年以下の懲役刑が科される可能性があります。

また、詐欺罪は刑法250条によって未遂の場合でも処罰の対象になる犯罪です。
そのため、事例を少し考えて、Aさんが落とし物の管理窓口に行って落とし物の現金を受け取ろうとしたものの、受付に「本当に現金の所有者なのか?」と不審に思われてしまい、現金を受けとることができなかった場合、Aさんは現金を受け取っていないからといって何の罪に問われないということにはなりません。

Aさんは現金を受け取っていなくても、受付に現金を受け取ろうと所有者であるかのように振るまう行為をしたことで、詐欺罪の未遂罪として処罰の対象になり得ます。
詐欺罪の未遂の場合の法定刑は、詐欺罪の既遂の場合と同じで10年以下の懲役刑です(ただし、刑法43条によって刑を減軽することができます)。

【詐欺罪で捜査を受けてお困りの方は】

詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役刑しか定められておらず、罰金刑が定められていませんので、詐欺事件が不起訴とならなければ、公開の法廷で裁判を受けることになります。
そのため、詐欺事件について早期解決を目指したい、詐欺罪の前科が付くのを避けたいという方は、いち早く、弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県狭山市で詐欺罪の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方や、ご家族が詐欺罪の疑いで逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

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