Archive for the ‘少年事件’ Category

【お客様アンケート】少年による未成年児童に対する強制わいせつ等の性犯罪事件で保護観察を獲得

2023-07-10

【お客様アンケート】少年による未成年児童に対する強制わいせつ等の性犯罪事件で保護観察を獲得

本件は、当時高校生の少年が、埼玉県内の路上で複数の女性に対してわいせつな行為をしたという複数の罪の性犯罪事件でした。
(弁護士契約の守秘義務の観点から、犯行の概要のみお伝えします。)

【捜査段階:逮捕と勾留中の示談交渉】

まず、被疑者は、最初の強制わいせつ罪で逮捕された後、勾留が決定しました。
この段階で、検察官や裁判所に対して勾留の必要性は低いとする弁護人意見書の提出や、勾留決定後に勾留に対する不服申し立て(準抗告)を行いましたが、勾留を解除することはできませんでした。

そこで弁護人は、勾留期間中には被疑者の接見をこまめに通いつつ、被害者に対する謝罪や被害弁償を迅速に進めました。

本件では、謝罪や被害弁償のお話を聞いていただくまでに時間がかかり、事件が家庭裁判所に送致された後、具体的な示談交渉が開始しました。

本事件では、合計2件の強制わいせつ罪が審判対象となったため、2名の被害者の保護者様と示談を進めた結果、1件は被害弁償の受領にとどまりましたが、もう1件は「少年の更生に期待し処分を望まない」等の宥恕条項を入れ込むことに成功しました。

【家庭裁判所送致後の審判準備】

本件は、事件が家庭裁判所に送致され、審判が開かれることになりました。

この事件では、付添人弁護士は少年や保護者の方の家庭裁判所での調査や面談の助言や支援を行ったにとどまらず、少年の通っている高校の教頭先生とも面談をさせていただき、家庭のみならず、学校でも少年の更生に向けた環境を整えることに全力を注ぎました。

同時に、付添人弁護士は、謄写した法律記録や、少年の調査過程を記載した社会記録を読み込み、被害者の保護者様に謝罪と被害弁償を申し出て、一定の合意に達したことや、少年が事件を深く反省し、内省を深め、更生に向けた環境づくりをしていると主張する資料をまとめ、来る少年審判に臨みました。

【結果】

最終的に、本件は家庭裁判所によって、保護観察処分が決定され、少年が少年院に送致されることは免れる結果となりました。

事件の大きさ等から非常に不安になっていた契約者である保護者様はもちろん、自分の性衝動の歪みに悩み更生に向けて歩き始めた少年から、付添人として信頼に足る活動を行い、結果として保護観察処分を獲得したことに対して高く評価していただき、弊所の付添人活動に非常にご満足いただける結果となりました。

【お客様アンケート】学校女子トイレ侵入、更衣室への盗撮カメラ設置の少年事件で不処分獲得

2023-07-06

【お客様アンケート】学校女子トイレ侵入、更衣室への盗撮カメラ設置の少年事件で不処分獲得

本件は、当時高校生の少年が、埼玉県内の学校の女子トイレに侵入したとして、建造物侵入罪で逮捕された性犯罪事件でした。
また、余罪として、バイト先の更衣室への盗撮カメラの設置の疑いも後日追送致されました。
(弁護士契約の守秘義務の観点から、事実の詳細は省略します。)

【捜査段階:逮捕後の勾留阻止】

未成年の者であっても、家庭裁判所に送致される前は「被疑者」として取り扱われます。

この事件では、被疑者は逮捕された段階で弊所に弁護士契約を受任いただいたため、まず、弁護活動の初動として、逮捕に引き続いて身体拘束を行う「勾留」を阻止する段階から弁護活動を開始しました。

弁護人は、被疑者は事実を認めており反省していること、監督者による監視により逃亡や証拠隠滅の恐れが無いことを主張する弁護人意見書を提出し、勾留の決定を阻止すべく働きかけました。

結果、裁判所は勾留を決定することなく被疑者は釈放となり、以後、在宅での捜査へ切り替わりました。

【家庭裁判所送致後の付添人活動】

その後、本件は、家庭裁判所に送致され、審判が開かれることになりました。

弁護人は、少年や少年の保護者が家庭裁判所に呼び出されたり調査官と面談する際には、電話や対面で丁寧に打ち合わせを行い、少年事件手続を円滑に進めるよう綿密に支援しました。

また、家庭裁判所で法律記録や少年の身上経歴等の記載された社会記録を読み込み、被害者と一定の合意に達したことや、少年が深く反省を深めている情状資料をまとめ、来る審判期日に臨みました。

【被害者への謝罪と被害弁償】

本事件では、家庭裁判所に送致後、バイト先の更衣室の盗撮カメラの設置の事実が追送致されたため、その後被害者への被害弁償を申し出たため、示談交渉の着手は通常よりも遅くならざるを得ませんでした。

家庭裁判所の審判期日という時間的制限もあったため、弁護人は示談交渉を迅速に進めた結果、2名の被害者の保護者にたいして、それぞれ謝罪と被害弁償を受け取っていただくことができました。

【結果】

最終的に、本件は家庭裁判所の審判の結果、不処分が言い渡されることになりました。

少年自身はもちろん、少年の保護者様も初めての少年事件手続で非常に不安になっており、前田弁護士が丁寧に少年手続を支えたことや、少年の家族関係の調整を図ったことについて感謝の言葉をいただきました。

また、少年が内省を深めることで家庭環境を改善することができた結果、審判結果が不処分で決着したことについて高く評価していただき、弊所の弁護活動・付添人活動に非常にご満足いただける結果となりました。

【お客様アンケート】スカート盗撮の少年事件で保護観察処分

2023-06-24

【お客様アンケート】スカート盗撮の少年事件で保護観察処分

本件は、当時高校生の少年が、埼玉県内の電車内で女性のスカートを盗撮したとして埼玉県迷惑行為防止条例違反で立件された性犯罪事件でした。
(弁護士契約の守秘義務の観点から、事実の詳細は省略します。)

【捜査段階:示談交渉】

未成年の者であっても、家庭裁判所に送致される前は「被疑者」として取り扱われます。

この事件では、被疑者は逮捕されるには至らず、在宅での呼出し捜査が進められました。

そのため、弁護活動の初動として身柄解放をする必要はなかったため、弁護人は検察官を通じて被害者に謝罪と被害弁償を行いたい旨と伝え、被害者の承諾を得た後、被害者との示談交渉を丁寧に進めました。

本件では、弁護士を通じた謝罪にとどまらず、被疑者の少年自身も深く反省を示すため謝罪文を作成し、被害者にお届けさせていただきました。

結果、被害者に謝罪と被害弁償を受け取っていただき、少年の責任を問わず今後の更生に期待するとの宥恕の文言をいただくことに成功しました。

【家庭裁判所送致後の付添人活動】

その後、本件は、家庭裁判所に送致され、審判が開かれることになりました。

弁護人は、少年や少年の保護者が家庭裁判所に呼び出されたり調査官と面談する際には、電話や対面で丁寧に打ち合わせを行い、少年事件手続を円滑に進めるよう綿密に支援しました。

また、家庭裁判所で法律記録や少年の身上経歴等の記載された社会記録を読み込み、被害者と一定の合意に達したことや、少年が深く反省を深めている情状資料をまとめ、来る審判期日に臨みました。

【結果】

最終的に、本件は家庭裁判所によって保護観察処分が言い渡されることになりました。

少年自身はもちろん、少年の保護者様も初めての少年事件手続で非常に不安になっており、前田弁護士が丁寧に少年手続を支えたことや、結果として保護観察処分で済むよう決着したことに対して高く評価していただき、弊所の弁護活動・付添人活動に非常にご満足いただける結果となりました。

【事例解説】16歳高校生が特殊詐欺で逮捕

2023-05-23

【事例解説】16歳高校生が特殊詐欺で逮捕

埼玉県久喜市で16歳の高校生が特殊詐欺の受け子をした疑いで警察に逮捕された事件ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【事例紹介】

「16歳の高校生のAさんは兵庫県神戸市で両親と一緒に暮らしていますが、SNSで見つけた書類の受け取りのアルバイトに応募して採用されました。
Aさんは、関西地方で数回、書類の受け取りのアルバイトをした後、指示役の人に、埼玉県久喜市にある家に書類を受け取りに行くように指示されました。
Aさんは、指示に従って埼玉県久喜市にある家に、金融機関の職員を装って書類を受け取りに行ったところ、家で待っていた埼玉県警久喜警察署の警察官に現行犯逮捕されました。」
(この事例はフィクションです)

【特殊詐欺の受け子をするとどのような罪に問われる?】

書類の受け取りのアルバイトと思って応募して採用されてアルバイトが特殊詐欺の受け子だったという場合があります。
このような特殊詐欺の受け子として事件に関わってしまうと、刑法235条の窃盗罪や刑法246条1項の詐欺罪に問われる可能性があります。
仮に窃盗罪で起訴されて有罪となると10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑が科される可能性がありますし、詐欺罪で起訴されて有罪となると10年以下の懲役刑が科される可能性があります。

【16歳の高校生が家から離れた場所で警察に現行犯逮捕されるとどうなる?】

事例のAさんは16歳の高校生ですが、Aさんのように特殊詐欺の受け子をした人が20歳未満の場合は、少年法という法律が適用されることになりますので、こうした事件のことを少年事件と言います。
少年事件の場合は通常の刑事手続きとは異なり、警察や検察による捜査が進められた後は、事件を家庭裁判所に送致することになります。
そして、事件の送致を受けた家庭裁判所でも、少年の調査が進められることになり、家庭裁判所が事件を起こした少年の更生という観点から、少年に刑事罰を科す代わりに、少年の最終的な処遇を決定することになります。

このように少年事件の場合の手続きは、事件が家庭裁判所に送致されるまでの警察や検察による捜査の段階と、事件が家庭裁判所に送致された後の段階で大きく分けることができます。
警察や検察による捜査が行われている場合は、事件を起こした場所を管轄する警察や検察が対応することになりますが、事件を家庭裁判所に送致した後は、事件を起こした少年の住所(基本的には保護者の方がいる場所)を管轄する家庭裁判所が対応することになる場合が多いです。

取り上げた事例でいうと、Aさんは埼玉県久喜市で特殊詐欺の受け子をしていますから、埼玉県久喜市を管轄する久喜警察署やさいたま地方検察庁(さいたま市浦和区)が捜査を進めることになります。
そして、捜査が進み、事件を家庭裁判所に送致するとなった場合、送致先の家庭裁判所は、Aさんが現在両親と暮らしている兵庫県神戸市を管轄する神戸家庭裁判所になり、神戸家庭裁判所がAさんの最終的な処遇を決定することになる可能性が高いと言えるでしょう。

【警察から高校生のお子さんを逮捕したと連絡が来たら?】

事例のように、高校生のお子さんが、現在住んでいる場所とは離れた場所で逮捕されたということを知った場合は、いち早く弁護士に依頼して、弁護士にお子さんが逮捕されて留置されている警察署に接見に行ってもらうことが重要になるでしょう。
その際は、先ほども説明した通り、警察や検察による捜査の段階と事件が家庭裁判所に送致された段階で、事件を担当する警察や検察、家庭裁判所の場所が異なる可能性がありますから、逮捕直後の捜査段階から家庭裁判所による判断がなされるまで一貫した弁護活動をするために、全国に支部がある法律事務所に依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、札幌、仙台、千葉、さいたま、新宿、八王子、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡という全国各都市に事務所がある、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県外に住んでいるお子さんが、埼玉県内の警察に逮捕されたということを知ったものの、何をどうしたら良いか分からずお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

【報道解説】17歳少年の特殊詐欺の逮捕事件

2023-04-05

【報道解説】17歳少年の特殊詐欺の逮捕事件

埼玉県深谷市で起きた特殊詐欺事件の刑事手続等ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】

「埼玉県警深谷署は7日、詐欺の疑いで、東松山市に住む高校3年の少年(17)を逮捕した。
 逮捕容疑は、氏名不詳の者と共謀し、7日午後0時10分ごろから数回にわたり、深谷市に住む女性(82)方に市役所職員などを名乗り、『後期高齢者保険の還付金がある』『今から職員がキャッシュカードを取りに行く』と電話し、同日午後1時10分ごろ、女性宅でキャッシュカード1枚をだまし取った疑い。
女性の長女が同署に連絡した。
同署によると、市内警戒中に、目撃情報と似ている少年を見つけた。少年は容疑を認めているという。キャッシュカードから現金100万円の引き出しが確認された。」
(令和5年2月9日に埼玉新聞で配信された報道より引用)

【高校生が特殊詐欺で逮捕された場合の身柄拘束】

SNS上では「書類を受け取るだけの簡単なバイト」や「指定された口座から現金を引き出すだけの楽なバイト」などの言葉と共に特殊詐欺の受け子・出し子役の勧誘がなされています。
高校生のお子さんが、簡単にお金が稼げるならと、受け子や出し子として実際に特殊詐欺に関わってしまったがために警察に逮捕されるということは全く珍しいことではありません。

高校生のお子さんが、特殊詐欺の受け子や出し子として、刑法246条1項の詐欺罪や刑法235条の窃盗罪に当たり得る行為をしてしまうと、警察に逮捕されて身柄が拘束されてしまうことになるでしょう。
警察に逮捕されると48時間以内に一度警察から検察へと事件が送致されることになり、事件の送致を受けた検察官は24時間以内に勾留請求をするかどうかの判断を下すことになります。

逮捕した高校生のお子さんの身柄を更に拘束しておくためになされた勾留請求が認められて勾留が決まってしまうと、原則として10日間身柄が拘束されることになりますし、また、勾留期間は最長で10日間延長することができます。
こうした逮捕・勾留は事件ごとに行われることになりますから、特殊詐欺の受け子や出し子を複数件やってしまうと、2回、3回と逮捕・勾留がなされてしまう場合もあり得ます。

こうした逮捕・勾留を経て捜査機関による捜査が終了すると、事件は検察から家庭裁判所へと送られることになります。
家庭裁判所では少年審判を開いて、特殊詐欺の受け子や出し子をした少年の最終的な処遇を決めることになるのですが、少年審判を開く前に、家庭裁判所は観護措置として、事件を起こした少年の身柄を少年鑑別所で収容することができます。
観護措置の期間は原則としては2週間ですが、一度に限って2週間の更新をすることが認められていますので、実務上は、観護措置の期間として4週間がなされることが多いです。

ですので、高校生のお子さんが、特殊詐欺の受け子や出し子として警察に逮捕されると、その後の勾留や観護措置の期間と合わせて2か月間に満たないぐらいの期間にわたって身柄が拘束されてしまう可能性があることになります。

【弁護士に依頼するとどのようなメリットがある?】

高校生のお子さんが、特殊詐欺の受け子や出し子として警察に逮捕されたということを知った場合は、いち早く弁護士に事件について依頼することをお勧めします。
弁護士が逮捕直後に事件に介入することができれば、身柄開放に向けた弁護活動について早期に取り組むことが可能になります。
また、最終的に少年の処遇が決定される少年審判において少年院送致といった重い処遇を回避するためにも、早いタイミングから弁護士が対応をとることが非常に重要になるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県深谷市で未成年のお子様が詐欺の疑いで深谷警察署に逮捕されてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください

【報道解説】中学校内の暴力で少年が暴行罪で逮捕

2022-12-10

【報道解説】

中学校内の暴力で少年が暴行罪で逮捕 中学校で同学年の生徒を抱きかかえて3階の窓から体を外に出したとして、暴行罪の疑いで14歳の中学生が逮捕された刑事事件・少年事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「埼玉県熊谷市の中学校で、同学年の生徒を抱きかかえたまま、体を校舎3階の窓から外に出す暴行を加えたとして、市内に住む14歳の少年が逮捕されました。 警察によりますと男子中学生は、市内の中学校で、校舎3階にあるトイレの窓から、同級生の男子中学生を抱きかかえたまま体を外に出す暴行を加えた疑いが持たれています。 窓は地上からの高さがおよそ8mでした。 被害を受けた生徒の保護者から相談を受けた警察が、学校や目撃した別の生徒の話を聞くなどして、男子中学生を逮捕しました。 調べに対し男子中学生は『窓の外に出したりしていない』と話しているということです。」

(令和4年11月29日にRCC中国放送より配信された報道より、事実を一部変更しています)

【中学生が暴行罪で逮捕?】

今回取り上げた報道では、学校内で起きた事件で14歳の男子中学生が暴行の疑いで逮捕されています。 確かに、人を抱きかかえるという行為は人の身体に対する有形力の行使として刑法208条の暴行罪に当たる可能性がある行為ですが、単に生徒同士でふざけ合っていただけではないのかと思われた方がいるかと思います。

確かに、学校内で生徒同士がふざけ合っていただけなら警察が逮捕に踏み出す可能性は低いですが、今回の事件では人を抱きかかえただけではなく、抱きかかえて地上から8メートルにある3階の窓から身体を外に出した疑いがあるとのことです。 仮に地上8メートルの3階から人が落ちた場合、落ちた人が死亡する可能性がありますので、本当に落とそうとしたのであれば、人を抱きかかえて窓から体を外に出す行為は殺人未遂に当たり得る行為になります。 殺人未遂となれば重大事件になります。

報道では、警察が14歳の男子中学生を逮捕する前に学校や事件を目撃した生徒に話を聞いていたとのことですので、警察としてはこうした逮捕前の捜査によって単に中学生がふざけ合ったのではないと判断して、更なる事案の解明のために、まずは逮捕が確実に認められるであろう暴行罪で14歳の男子中学生を逮捕したものと考えられます。

【14歳の中学生が逮捕されると今後どうなるのか?】

14歳の中学生が犯罪に当たる行為をしてしまうと少年事件として取り扱われることになります。 少年事件の場合は、通常の刑事事件のように検察官が事件を起訴するかどうかを決定するのではなく、全ての事件が家庭裁判所に送られることになり、家庭裁判所が刑罰の代わりに最終的な少年の処遇を決定することが原則となります。

このように少年事件の場合は通常の刑事事件とは異なる手続きとなりますが、事件が家庭裁判所に送致される前の捜査段階においては14歳の中学生の場合であっても基本的に通常の刑事事件と同じになりますので、逮捕された少年がすぐに帰宅することができない場合があります。 まず、14歳の中学生であっても、検察官は一定の条件のもとに逮捕後72時間以内に勾留請求をすることができます。 検察官の勾留請求が裁判官に認められると、少年の身柄は原則として10日間、延長すると最長20日間にわたって、警察署の留置施設などに拘束されることになります。 これに加えて少年事件の場合は、勾留の代わりに観護措置という手段(「勾留に代わる観護措置」といいます。)によって、逮捕後も少年の身柄が拘束されることがあります。

「観護措置」とは、事件が家庭裁判所に送られた後に家庭裁判所が事件や少年について調査するために行うことをいい、①在宅で家庭裁判所調査官の観護に付すものと②少年を都道府県に設置されている少年鑑別所で拘束するものの2つがありますが、②の少年鑑別所で少年の身柄を拘束するものが大多数です。 「勾留に代わる観護措置」とは、文字通り、この観護措置を勾留の代わりに行って、逮捕した少年の身柄を鑑別所で拘束することを言います。 勾留に代わる観護措置の期間は、検察官が勾留に代わる観護措置の請求を出した日から10日間で、勾留の場合と異なって延長することができません。

以上は、事件が家庭裁判所に送致される前の話ですが、事件が家庭裁判所に送致されてからも、さきほども登場した観護措置によって少年の身柄が鑑別所に拘束される場合があります。 この観護措置の期間は原則として2週間ですが、期間を継続する必要があれば1回に限り更新することができますので、4週間にわたって身柄が拘束されることになります。

また、例外として死刑、懲役又は禁錮に当たる事件で、犯行の動機、態様及び結果その他の当該犯罪に密接に関連する重要な事実といった非行事実の認定に関して証人尋問・鑑定・検証を行うことを決定したものや、既に証人尋問・鑑定・検証を行ったたものについて、少年を収容しなければ審判に著しい支障が生じるおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある場合は、観護措置の期間を更に2回更新することができます。

そのため、例えば少年が自分はやっていないと事件を否認しているときなどは最大で8週間の観護措置が取られる場合があり得ます。 このように14歳の中学生のお子さんが逮捕されたという場合は、長期間にわたって身柄が拘束されるおそれがあります。 長期間身柄が拘束されるとお子さんの学校生活への影響が大きく、将来に不利益となる可能性もあり得ますので、中学生のお子さんが逮捕されたということを知った場合は、いち早く弁護士に依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 お子さんが警察に暴行罪などの暴力犯罪で刑事事件化または逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】18歳の少年が強制性交等罪で起訴

2022-07-23

【報道解説】18歳の少年らが器物損壊罪や傷害罪で逮捕

2022-07-15

少年の性犯罪と少年法改正の影響

2022-04-05

少年の性犯罪と少年法改正の影響

少年による強制性交等罪などの性犯罪事件を取り上げ、令和4年4月1日から施行される改正少年法との関連で今後変化する少年事件の手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【刑事事件例】

埼玉県さいたま市大宮区在住の高校3年生Aさん(18歳)は、同じ学校の女子Vさんと交際をしていましたが、Vさんから別れを切り出されたことに不満を感じていました。
その後、AさんがVさんに対して復縁を迫った際に激しい口論となり、その結果、AさんはVさんに強いて性行為を行いました。
後日、Vさん両親から埼玉県警大宮警察署に対して強制性交等罪の被害が訴えられ、Aさんは強制性交等罪の疑いで逮捕され、10日間の勾留が決定しました。
Aさんの両親は、Aさんが今後どれぐらい長く勾留され、今年4月の民法改正による成人年齢が18歳に引き下げられる中、Aさんがどのような法律上の責任を負うことになるのか不安になり、刑事事件少年事件に詳しい弁護士に相談をすることにしました。

(上記刑事事件例はフィクションです。)

【少年法改正】

令和3年5月21日に少年法改正法案が成立し、今年令和4年4月1日から施行されます。
この少年法改正は、同日づけの成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正とセットになって、今後の刑事事件および少年事件に大きな影響を与えることになります。

今回の少年法改正は、従来よりも重い法律上の責任を与える民法改正と足並みをそろえるべく、罪を犯した18歳、19歳の者を「特定少年」と位置づけ、17歳以下の少年とは異なる法的手続きが行われることになります。

少年法上の「少年」とは20歳未満の者であり、この点に少年法の改正はありません。
ですので、「特定少年」についても、少年法改正後も少年法が適用されることには変わりありません。
よって、基本的には「特定少年」の少年事件は、原則として全件家庭裁判所に送致され、家庭裁判所で処分を下されることになります。

ただし、従来から、たとえ少年事件であっても一定の重大事件であれば成年と同じく刑事裁判手続きへ差し戻す「逆送」という規定がありました。
特定少年」の少年事件では、今回の少年法改正により、逆送の対象となる範囲が従来より拡大されることになり、「死刑、無期懲役または短期1年以上の懲役・禁錮の罪」に該当する事件が逆送範囲に加わるため、例えば、現住建造物等放火罪強盗罪強制性交等罪組織的詐欺罪などの少年事件が原則として逆送され、成年と同じく刑事裁判を経て刑事責任を負うことになります。

また、少年事件は、少年の実名や写真等の報道が原則禁止されているところ、少年法改正によって、特定少年の事件が逆送され、検察官によって起訴されて刑事裁判が決定した場合には、少年の実名や写真等の報道が可能となります。

【少年事件も刑事事件専門の弁護士へお任せ】

少年法改正によって、今後「特定少年」として成年と同じ刑事責任を負うことになる事案が増加することが予想されます。
刑事事件の手続き自体に成年と少年の区別はありませんが、とはいえ少年の精神年齢の未熟さや環境に対する影響の受けやすさを考慮すれば、被疑者または被告人として厳しい責任追及を受ける少年に寄り添って刑事弁護活動を行うことができる弁護士が今後より一層必要とされます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門として国内で数少ない法律事務所であり、成年の刑事事件不起訴獲得や執行猶予獲得はもちろん、少年不起訴処分獲得や保護観察処分の獲得などで多くの実績をあげ、依頼者様から高く評価をいただいております。

埼玉県さいたま市大宮区で、少年による強制性交等罪などの性犯罪事件刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所への初回無料の法律相談または初回接見サービスをご検討ください。

【改正少年法】19歳が強姦事件で刑務所に?

2022-03-14

【改正少年法】19歳が強姦事件で刑務所に?

令和4年(2022年)4月1日施行の改正少年法により、18歳・19歳の少年が刑務所に収容される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説致します。

【ケース】

埼玉県川口市在住のAは、埼玉県内の専門学校に通う19歳です。
事件当日、Aは専門学校の帰宅途中に川口市内の路上を歩いていたところ、通行人Vとすれ違いました。
Aは欲情をもよおし、背後からVの胸を鷲掴みしたうえで近くの公園に連れ込み、恐怖で抵抗できないVの衣服を脱がせて性行為をしました。
また、Vは公園に連れ込まれる際に転倒し、擦過傷(切り傷)を負いました。

行為後、Vの通報を受けて捜査を開始した川口市内を管轄する武南警察署の警察官は、捜査の結果Aによる犯行であるとの裏付け捜査をしたうえで、Aを通常逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAの家族は、Aが20歳未満であるにも関わらず、実刑判決を受け刑務所に行く可能性があると知らされました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【いわゆる強姦事件について】

暴行・脅迫をして被害者と性行為をする行為は俗に強姦と呼ばれ、刑法177条の強制性交等罪に当たります。
また、その過程で被害者は怪我をしていることから、本件では強制性交等致傷罪が適用されます。
条文はそれぞれ以下のとおりです。

(強制性交等)
刑法177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。(以下略)
(強制わいせつ等致死傷)
刑法181条2項 第177条、(略)又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。

【少年法改正について】

公職選挙法の改正により選挙権年齢が、民法改正により成年年齢が、それぞれ引き下げられることとなりました。
これにより、改正少年法が令和3年5月21日に成立、同年5月28日に交付され、令和4年4月1日に施行(スタート)されます。

少年法改正後も、少年の定義は「20歳未満」として扱われます。(少年法2条1項)
但し、18歳・19歳は「特定少年」として、少年とは異なる取り扱いがなされます。(改正少年法62条各項)
≪通常の少年の手続きについては、こちらも併せて御覧ください。≫
この章では、その中でも重要な内容である「逆送対象事件の拡大」について見て行きます。

まず、特定少年についても、18歳未満の少年と同じく捜査機関の捜査を受けたのち家庭裁判所に送致されます。
次に、家庭裁判所は、少年の調査を経て審判を行い少年に対する保護処分を下すか、少年に対する検察官送致(通称:逆送)の決定を下します。
逆送の決定を受けた場合、検察官は少年を成人と同じように起訴することができます。

この逆送の対象について、以下のような区別がなされます。
①少年すべてに対応
⑴少年法では、死刑、拘禁刑(現時点では懲役刑/禁錮刑)に当たる罪の事件を犯した少年について、調査を行い罪質と情状を検討して、刑事処分が相当であると判断した場合には逆送することができます。(必要的逆送―少年法20条1項)

⑵上記に加え、故意の犯罪行為で被害者を死亡させた事件について、犯人が事件当時16歳以上だった場合には、原則として必ず逆送されます。(原則逆送―少年法20条2項)
これには、殺人罪や傷害致死罪、危険運転致死傷罪、保護責任者遺棄致死罪などが挙げられます。

⑶このほかに、事件当時は少年だったが捜査や調査の過程で20歳の誕生日を迎えてしまったという年齢超過の場合には、必ず逆送されます。(少年法19条2項)

②改正少年法による「特定少年」
上記①に加え、18歳・19歳の特定少年は
⑴調査を行った結果、家庭裁判所裁判官が「刑事処分が相当である」と判断した場合、罪名を問わず逆送することができます。(改正少年法62条1項)

⑵①⑴の場合に加え、特定少年が「死刑又は無期若しくは短期1年以上の拘禁刑(現時点では懲役刑/禁錮刑)」に当たる罪を犯した場合には、原則として逆送されます。(改正少年法62条2項)

【逆送によるデメリット】

今回ケースで想定している強制性交等致傷罪について見ると、罰条が「無期又は六年以上の懲役」とされています。
これは、少年法改正前であれば上記①⑴の必要的逆送対象になるため、逆送するかどうかの判断は家庭裁判所裁判官に委ねられていました。
しかし、改正後は特定少年として②⑵に該当することから、Aは必ず逆送されることになります。

逆送された場合、一部の事件は家庭裁判所に再送致されますが、原則として刑事裁判に処されます。
特にAについて言うと、強制性交等致傷罪という重い罪で起訴されることになるため、実刑判決を受けて刑務所に収容される可能性が高いと言えます。

また、家庭裁判所での審判は非公開の審判廷で行われますが、特定少年が起訴された場合には成人と同じ法廷で、傍聴人の前で裁判(Aの場合は強制性交等致傷罪での起訴なので裁判員裁判)を受けることになります。
それだけでなく、特定少年が起訴された場合には推知報道の原則が適用されなくなるため、実名報道・顔写真や護送中の映像などがテレビ・新聞・インターネット上で公開することができます。(改正少年法68条)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部では、これまでに数多くの少年事件に携わってきました。
令和4年4月1日施行の改正少年法対象事件についても、これまでの経験を踏まえて適切な弁護活動・付添人活動を行っていきます。

埼玉県川口市にて、18歳・19歳の特定少年に当たるお子さんが強制性交等致傷事件などの刑事事件を起こしてしまい、逆送される恐れがある場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部に御相談下さい。

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