執行猶予期間中の窃盗罪で執行猶予はつく? 埼玉県北本市の再犯に詳しい弁護士
埼玉県北本市の年金受給者Aさん(68)は、60歳を超えてから万引き(窃盗)を繰り返し行うようになり、罰金刑の言い渡しを受け、その後懲役1年6月執行猶予3年の判決を受けました。
Aさんは65歳前後から認知症の症状が進行し、医師に障害等級3級の認知症の診断を下されましたが、その後再度の万引き(窃盗)により埼玉県警鴻巣警察署に窃盗罪の容疑で逮捕され、事件は検察に送致され、検察官は窃盗罪で起訴しました。
(※フィクションです。)
【執行猶予期間中の再犯について執行猶予の可能性はゼロ?】
刑法25条は、前に実刑判決を受けたことがない等の条件を前提に、3年以下の懲役、禁錮または50万円以下の罰金の言い渡しを受けた者について、情状により、1年以上5年以下の範囲で刑の全部を執行猶予することができると規定しています。
上記の執行猶予期間中に再犯を犯し、実刑判決を受けた場合には、必ず執行猶予は取り消され(刑法26条第1号)、また、執行猶予期間中に再犯を犯し、罰金刑を受けた場合でも、裁判所の裁量により執行猶予は取り消されることになります(刑法26条の2第1号)。
つまり、執行猶予の取消しにより、執行猶予されていた前の罪と、今回犯した罪の両方について処罰されることになります。
執行猶予期間中の再犯、例えば窃盗罪や性犯罪など再犯性の高い刑事事件では、実際の裁判例ではほとんど再び執行猶予付きの判決が下されることはありません。
しかし、今年1月29日、食料品を万引き(窃盗)して執行猶予付き判決を受けたのち、その執行猶予期間中に再度万引き(窃盗)を行って起訴された80歳男性の窃盗罪被告事件について、東京地方裁判所は被告人の認知機能低下の影響を考慮し、懲役1年保護観察付の執行猶予3年の判決を言い渡しました。
この裁判では、被告人がかつて脳梗塞を患い、衝動的に反社会的行動をとる高次脳機能障害と診断された意見書が提出され、福祉施設に入所して更生支援計画の元で処置を受ける点が評価され、再度の執行猶予付き判決に至ったと考えられます。
今後、高齢化社会の進行に伴い、窃盗罪などの再犯性の高い刑事事件での執行猶予付き判決の獲得について、上記判例は重要な意味を持つでしょう。
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(埼玉県鴻巣警察署への初回接見費用:37,700円)