埼玉県加須市でコンビニ強盗で逮捕
ある日の深夜、埼玉県加須市にあるコンビニ店に、無職Aさんが刃物を持って押し入り、店員Vさんに対して刃物を押し付けて「レジにある金を全部よこせ」と脅迫しました。
Vさんはレジにあった紙幣(合計6万円相当)をAさんに渡し、Aさんは紙幣を奪ってコンビニ裏に止めてあった原付バイクで逃走しました。
Vさんはすぐに埼玉県警加須警察署に110番通報し、警察はコンビニ内や道路上の防犯カメラを解析して強盗犯人の身元を割り出し、Aさんを強盗罪の疑いで逮捕しました。
Aさんは警察で厳しい取調べを受けている中、AさんがVさんを刃物で脅した際、Vさんが若干ながら負傷していたと警察官から聴き、罪状が強盗致傷罪となった場合には罪が重くなると聞かされました。
(※フィクションです)
上記刑事事件例は、今年5月30日、高知県のドラッグストアで現金を強奪したとして、高知市の無職男性を強盗罪の疑いで緊急逮捕した事案をモデルにしています。
男は女性店員に刃物を突きつけて「1500円を出せ」と脅し、店員が要求通りの金を渡すと逃走しました。
逮捕後の調べに対し、被疑者は遊行費の使用目的で金が必要だったと犯行の動機を語っているようです。
被疑者は強盗現場からバイクで逃走したものの、「どうせばれる。逃げ切れない」と思い直し、約半日後に警察署に出頭し、警察署が強盗罪の疑いで緊急逮捕に至りました。
暴行または脅迫を用いて他人の財物を奪うことを「強盗」と言い、強盗罪は5年以上の有期懲役という非常に重い法定刑で処断されることになります(刑法第236条)。
強盗罪における「暴行」または「脅迫」とは、社会通念上、一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものである必要があると解されており、その判断は不特定多数人の客観的基準により判断されるものであり、実際に被害者個人の主観を基準とするものではないとされています(判例)。
そして、被害者に対して匕首(あいくち、大型ナイフに相当する刃物)を示して脅迫して金品を奪取する行為について、たとえ被害者の心が強く、たまたま犯人の脅迫行為に犯行を抑圧されなかったとしても、刃物を示しての金品奪取は社会通念上被害者の反抗を抑圧するに足りる強度の暴行や脅迫に当たるとして、強盗罪の既遂が成立すると判断しています(最高裁判例)。
また、強盗が人を負傷させた時は、無期または6年以上の懲役が科されるところ(強盗致傷罪、刑法第240条)、ここで言う「負傷」とは、例えば被害者が刃物を自分から握ったために手や指に切創が出来た場合や、犯人が金品を奪った後に犯人の追跡を容易にすることができないように、被害者の手首を手錠で縛り、地面に自分から倒れさせた場合等の負傷も含むとされていることから、広く、犯人が被害者の反抗の抑圧に乗じて行った暴行や脅迫による負傷を含めると解することができそうです。
上記の法定刑で示した通り、強盗罪または強盗致傷罪で刑事事件化した場合、極めて高い確率で公開の刑事裁判となり、実刑判決が下されることが予想されますが、上記の高知県の強盗事案のように、場合によっては自首(刑法第42条第1項)が成立して刑の減軽が期待できる余地も残されており、早い段階で刑事事件に詳しい弁護士に相談することが望ましいでしょう。
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