埼玉県川越市で展示物転倒による怪我人発生で書類送検

埼玉県川越市で展示物転倒による怪我人発生で書類送検

関東県内でイベントを企画・運営する会社の経営者Aさんは、埼玉県川越市の駅前広場に取引先の商品宣伝につながる大型マスコットを設置しました。
取引先企業は幼い子どもを持つ家庭向けの生活用品を扱う企業であったため、そのようなマーケット層に宣伝するため、設置する大型マスコットは、小さい子どもが触ったり遊んだりできるよう工夫が凝らされたものでした。
ところが、ある日、幼稚園児の集団がこの大型マスコットにしがみついて遊んでいると、マスコットは加重に耐え切れず転倒してしまい、幼稚園児数名および保育士女性1名にぶつかって怪我を負わせてしまいました。
通報を受けた埼玉県警川越警察署が現場検証した結果、当該マスコットは児童や幼児が触れ合う目的で作製されたものであるにも関わらず、十分な強度をもって設計または設置されていなかったため転倒した疑いが強いと判断し、当該マスコットの開発・設計・設置等に関わったAさんらに対して、業務上過失致傷罪の疑いで在宅のまま捜査を進め、事件を検察官送致(書類送検)しました。
(フィクションです。)

上記刑事事件例は、2016年11月に東京都新宿区の明治神宮外苑であった芸術イベントでジャングルジム状の木製展示物が発火して、当該展示物で遊んでいた幼稚園男児(当時5歳)が焼死した火災で、警視庁今年3月18日、展示物を制作した学生やイベント主催者らを重過失致死傷罪業務上過失致死傷罪の疑いで書類送検した事案をモデルにしています。

警視庁は、当該展示物を再現した実験を行い、このような木製展示物に発熱電球を使用すれば、構造上出火することが容易に予想され、その点について展示物を製作した学生らに(重)過失があり、また、イベント責任者らは展示物を利用して遊ぶことの注意喚起を怠ったと判断した模様です。

刑法第211条によれば、業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合(業務上過失致死傷罪)、5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金を科すとしており、重大な過失により人を死傷させた場合(重過失致死傷罪)も同様となります。

業務上過失致死傷罪における「業務」とは、判例によれば、人が社会生活上の地位に基づいて反復・継続して行う行為で、他人の生命・身体等に危険を加えるおそれがあるものと言うとしており、一般的に「ビジネス」という言葉にイメージされるとおりの対価の発生は必ずしも必要ではなく、純粋な娯楽のためであっても良いと解されています。

また、重大な過失とは、注意義務違反の程度が著しい場合を言い、発生した結果の重大性や結果発生の可能性の大きさは必ずしも必要としないとされています。

よって、重過失致死傷罪刑事事件について、「確かに自分には過失があったと思うがこのような重大な結果が発生するとは予想しなかった」というような主張は、重過失をしていないことの主張としては効果がなく、逆に事実を一部否認していると受け取られ、後の刑事手続上で不利な立場になる可能性もあり得ます。

このような刑事事件では、事案の性質上、すぐに逮捕されるということは少なく、在宅のまま捜査が進むこと(書類送検)が多いですので、事件化した段階で、すぐに刑事事件を専門とする弁護士に相談し、どのような刑事処分の見通しとなるか、どのような捜査対応が良いのか見解を聞くことをお勧めいたします。

埼玉県川越市展示物転倒による怪我人発生で刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所への初回無料の法律相談または初回接見サービスをご検討ください。
埼玉県警川越警察署への初回接見費用:38,700円)

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