会社のクレジットカードを使い背任で逮捕

会社のクレジットカードを使い背任で逮捕

会社のクレジットカードを使い背任で逮捕されてしまった事例を題材に、刑事弁護士の弁護活動等について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例

埼玉県越谷市在住のAは、勤務先の会社のクレジットカードを使用し、第三者Xのために会社に必要ない物品の購入を繰り返していました。
越谷市内を管轄する越谷警察署の警察官は、Aを背任の疑いで逮捕しました(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~背任で逮捕・背任と横領の違い~

本件の上記事例をぱっと見た瞬間、多くの人が思い浮かんだのは横領という犯罪ではないでしょうか。
たしかに、横領罪と背任罪は事案によっては、極めて微妙な判断が求められることがあることも少なくない犯罪です。
もっとも、本件では、横領罪は成立しないと考えられます。
横領罪(委託物横領罪や業務上横領罪)が成立するためには、自己の計算で横領行為を行ったことが必要となりますが、今回は会社のクレジットカードを使い(つまり会社の名義・計算で)物品購入を行っていることから、横領罪は成立しないと考えられるのです。

背任
第247条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

上記のとおり、刑法は247条において背任罪についての定めを置いています。
では、本事例において、横領罪が成立しないとしても背任罪が成立するのでしょうか。
まず、会社の事務処理者たるAは、会社が許諾した用途でのみクレジットカードを使うことが許されているのであって、会社に不必要な用途でクレジットカードを使用した行為が任務違背行為に当たることは明白といえます。
またAは、会社に必要のない物品を第三者Xのために購入していることから、「第三者の……利益を図」る目的があったといえます。
そして、物品購入代金という「損害」を会社に生じさせており、Aの行為に背任罪が成立すると考えることができると思われます。

なお、横領罪には未遂処罰規定がないのに対して、背任罪は未遂の場合も犯罪が成立することに注意が必要です(刑法250条)。
したがって、仮に結果が生じていなくても、未遂罪として処罰される可能性があることになります。
さらに付言すると、背任罪は会社法に特別背任罪という加重類型が定められている(会社法960条)ことから、こちらの罪に当たるかどうかも慎重な検討を要するでしょう。

~専門性の高い刑事弁護士による弁護活動とは~

背任罪で逮捕されてしまうと、勾留(刑事訴訟法207条1項・60条)される可能性は極めて高くなります。
すなわち、逮捕から勾留延長(同法208条2項)も含めた身体拘束は、最大23日間もの間続くことも覚悟しなければなりません。
したがって、刑事弁護士による弁護活動としては、起訴されるかどうか(刑事裁判となるかどうか)が最大の焦点となるでしょう。
不起訴となれば、前科も付かず、刑事処分も受けることがないため、被疑者(容疑者)となってしまった方にとって非常に大きな利益となり得ます。
特に犯罪の成立自体を争わない場合には、背任罪も財産犯ですから、被害者の被害の回復として被害弁償等するなどの情状弁護が重要になってくると思われます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は、背任罪を含む財産犯事件を多数扱っている刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件の経験豊富な弁護士が、依頼者様のご相談等をお待ちしております。
背任事件で逮捕された方のご家族は、24時間365日対応のフリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐにご連絡ください。

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