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【事例解説】盗撮で迷惑行為防止条例違反 略式命令で罰金

2023-01-19

【事例解説】

盗撮で迷惑行為防止条例違反 略式命令で罰金 盗撮行為による迷惑行為防止条例違反で、略式命令による罰金が科された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例紹介】

「東京都に住むAさんは、都内の駅の上りエスカレーターでスマートフォンを前にいた女性のスカートの中に差し入れて女性のスカート内の下着を撮影しました。 Aさんはその場で、私服姿で見張っていた警察官に取り囲まれて逮捕されました。 逮捕後釈放されたAさんは、東京都迷惑行為防止条例違反(盗撮)の罪で罰金20万円の略式命令を受けました。」 (この事例はフィクションです)

【略式命令とは?】

Aさんは東京都内の駅という「公共の場所」において、スカート内の下着という「人の通常衣服で隠されている下着」と、「写真機」であるスマートフォンを用いて撮影していますので、東京都迷惑行為防止条例5条1項2号ロに違反することになります。 東京都迷惑行為防止条例5条1項2号ロに違反して盗撮行為をしてしまうと、同条例8条2項1号によって1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。

Aさんは警察に逮捕されたのちに最終的に罰金20万円の略式命令を受けています。 この略式命令とは簡易裁判所が100万円以下の罰金又は科料を科す裁判を言います。 略式命令がなされる裁判は検察官によって提出された書面のみで審理することになりますので、通常の裁判のイメージとは異なって簡易な裁判手続となりますので、起訴された被告人が罪を認めている場合には裁判が早期に終了するというメリットがあります こうした裁判手続を略式手続と言います。

略式手続を行うためには、検察官が正式な裁判を求める公判請求ではなくて略式起訴を行うことになりますが、略式起訴を行うためには事前に被疑者に対して略式手続で事件を進めることについて同意が必要になります。 この同意は、略式手続では正式な裁判(公判)と異なって、裁判の場において無罪を主張するといったことが出来なくなりますから、こうした正式な裁判による審理を受けられなくなることについて被疑者に理解してもらうために求められています。 被疑者の同意がなければ、検察官は略式起訴を行うことはできませんので略式手続ではなく、正式な裁判である公判によって審理されることになります。

【盗撮で前科が付くことを回避したいとお考えの方は】

略式命令によって罰金を納付した場合、手続きが簡易なものであってもその罰金は立派な前科になります。 そのため、事件が早く終了するならと安易に略式手続によることについて同意してしまうと略式命令によって前科がつき、現在のお仕事に影響が出る場合があり得ます。 現在のお仕事への影響を最小限にするためには、警察による捜査が始まった段階で早期に弁護士に相談されることをお勧めします。

検察官が起訴するかどうかの判断を下す前に、弁護士を通じて被害者の方と示談を締結できれば略式起訴ではなく不起訴となる可能性を高めることができるでしょう。 また、既に略式命令が下された場合でも略式命令の内容に不服がある場合には、被告人は正式な裁判で審理を求めるように請求することができますので、このような場合にも弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 盗撮で事件を起こして前科が付くことを避けたいとお考えの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】携帯電話を奪って器物損壊罪で逮捕

2023-01-15

【報道解説】

携帯電話を奪って器物損壊罪で逮捕 警察に通報されることを避けるために相手の携帯電話を奪い去ったとして器物損壊罪の疑いで逮捕されたケースについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「警察によると、A容疑者は予約していたタクシーが乗り場にいなかったため、受付カウンターで運転手の男性と口論になり、運転手が警察に通報しようとしたところ、スマートフォンを奪ってそのまま立ち去ったということです。」

(令和4年12月20日に関西テレビで配信され報道より一部抜粋して引用)

【相手の携帯電話を奪い去ったのに窃盗罪ではないのか?】

今回取り上げた報道のAさんは器物損壊罪の疑いで逮捕されています。 Aさんはタクシー運転手の方の携帯電話を奪い去っていますが、このように相手の物を勝手に奪い去るというのは窃盗罪が成立するのではないかと思う方がいらっしゃるかもしれません。 窃盗罪は刑法235条に規定されている犯罪で、仮に窃盗罪で起訴されて有罪となると、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。

このような窃盗罪が成立するためには、相手の物を奪った際の犯人の心の中に「権利者を排除して他人の物を自己の所有物とし、その経済的用法に従って使用し処分する意思」という意思が存在する必要があります。 この意思のことを不法領得の意思といいます。 盗んだ物を転売して利益を得ようとするために相手の物を勝手に持ち去った場合には、不法領得の意思が認められることになりますが、今回のAさんは、奪い去った携帯電話をそのまま使用する目的であったり、転売しようとする目的があった訳ではありません。 Aさんは、あくまで、タクシー運転手の方が警察に通報しないように電話をさせない目的で携帯電話を奪い去っていますので、このような目的は不法領得の意思があるとは言えない可能性が高いです。 そのため、Aさんには窃盗罪が成立する可能性が低いと言えるでしょう。

なお、記事中ではAさんが携帯電話を奪った旨の記載がありますので、強盗罪が成立するのではないかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、強盗罪の成立に当たっても不法領得の意思が要求されますので、不法領得の意思がない場合は強盗罪は成立しません。 また、そもそも強盗罪が成立するためには、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加えたことによって相手の物を奪い去る必要がありますが、このような暴行・脅迫を加えたのでければ強盗罪は成立しません。

【相手の携帯電話を奪い去ったのに器物損壊罪?】

それでは、どうして携帯電話を壊した訳でもないのに器物損壊罪の疑いで逮捕されたのでしょうか。 器物損壊罪は刑法261条に規定されている犯罪で、「他人の物を損壊」した場合に成立する犯罪です。 器物損壊罪が成立する典型的なケースは相手の持ち物を物理的に破壊することですが、実は器物損壊罪の成立に当たって必要とされる「損壊」というのは、その物を本来の目的で使用することができない状態にすることを意味します。

そのため、相手の持ち物を物理的に破壊したときはもちろん、相手の持ち物を持ち去って持ち物を使用できなくさせる行為も「損壊」に当たることになります。 連絡手段である携帯電話を奪い去る行為は、携帯電話の本来的な用法である連絡手段としての使い方を害しているといえるでしょうから、Aさんには器物損壊罪が成立する可能性が高いと言えるでしょう。 器物損壊罪の法定刑は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料となっています。

【器物損壊の場合の刑事弁護活動】

器物損壊罪は刑法264条によって親告罪という犯罪に当たりますので、器物損壊罪については、被害者の方の告訴がないと検察官は起訴することができません。 そのため、器物損壊罪の場合の刑事弁護活動としては、弁護士を通して被害者の方との示談をして被害者の方に告訴を取り下げてもらうことが非常に重要になるでしょう。 示談締結によって告訴を取り下げてもらうことができれば、検察官は器物損壊罪について起訴をすることができませんから、器物損壊罪について前科が付くことはありません。

このような示談交渉は、刑事事件の弁護活動の経験が豊富な弁護士に依頼されることをお勧めします。 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 器物損壊の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方、被害者の方との示談をお考えの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】眠っている女性への痴漢で、準強制わいせつ・窃盗・わいせつ目的略取未遂で逮捕

2023-01-11

【報道解説】

眠っている女性への痴漢で、準強制わいせつ・窃盗・わいせつ目的略取未遂で逮捕 電車内で寝ている女性の体を触った上、女性のリュックを盗んで女性を抱きかかえて連れ去ろうとしたとして準強制わいせつ、窃盗、わいせつ目的略取未遂の疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「令和4年12月1日、埼玉県警熊谷警察署は1日、準強制わいせつと窃盗、わいせつ目的略取未遂の疑いで熊谷市の会社員の男(39)を逮捕したと発表した。 逮捕容疑は5月19日午後11時25分~55分ごろ、JR高崎線の車内で、座席で寝ていた女性会社員(36)の隣に座り体を触った疑い。 男は、現金数万円などが入った女性のリュックサックを盗み、わいせつ目的で抱きかかえて連れ去ろうとした疑いも持たれている。 同署によると、『記憶にありません』と容疑を否認している。 女性が助けを求めた店の従業員が110番通報した。 駅構内の防犯カメラ映像などの捜査で浮上した。」

(令和4年12月2日に千葉日報オンラインで配信された報道より、犯行場所等の事実を一部改変して引用)

【準強制わいせつ罪はどのような場合に成立するのか】

電車内で眠っている女性や酔いつぶれている女性に「わいせつな行為」をすると、刑法178条1項の準強制わいせつ罪が成立することになります。 法律上、どのような行為をすれば「わいせつな行為」に当たるということは規定されていませんが、女性の乳房や陰部を直接触るといった行為や、女性の唇にキスをする行為、服の上から女性の胸やおしりと言った性的部位をもてあそぶ行為は「わいせつな行為」に当たると考えられています。 このような準強制わいせつ罪を犯した場合、6か月以上10年以下の懲役刑が科される可能性があります。

【窃盗をするとどのような刑罰になるのか】

電車で寝ている女性に痴漢行為をした際に、女性が寝ていることをいいことに女性の現金を盗んだ場合は、別途刑法235条の窃盗罪が成立することになります。 窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役刑又は50万円以下の罰金刑となっています。

【わいせつ目的略取未遂とは】

今回取り上げた報道では、逮捕された男性は準強制わいせつ罪と窃盗罪に加えて、わいせつ目的略取未遂の疑いで逮捕されています。 犯罪を行おうとその実行に着手したものの、犯罪を最後まで行うことができなかった場合を「未遂」といい、犯罪を最後までやり遂げた場合を「既遂」と言います。 犯罪を最後までやり遂げることができなかった未遂の場合も刑事罰の対象になりますが、全ての犯罪の未遂が処罰されているわけではなく、「この犯罪の未遂は処罰します」という趣旨の規定が置かれている犯罪のみが処罰の対象となっています(刑法44条)。

刑法225条に規定されているわいせつ目的略取罪は、わいせつ目的で、暴行・脅迫といった強制的な手段を用いるなどして被害者の意思を抑制して、被害者を自分や第三者が支配する環境に置いた場合に成立しますので、この時点でわいせつ目的略取罪が既遂となります。 このわいせつ目的略取罪については刑法228条が未遂犯処罰規定となっていますので、わいせつ目的略取罪の未遂は処罰の対象となります。

取り上げた報道では、電車内で体を触った女性を抱きかかえて連れ去ろうとした疑いがあるとのことですので、おそらく警察は、逮捕した男性が被害者に対して更なるわいせつ行為をしようと抱きかかえて移動したものの、家や近くのトイレなど自分が支配する領域まで被害者を移動させることができなかったと判断したため、わいせつ目的略取罪の未遂の疑いでも逮捕したと思われます。 ちなみに、わいせつ目的略取未遂の場合の法定刑は、わいせつ目的略取罪の場合と同じで1年以上10年以下の懲役刑となっていますが、刑法43条によって未遂の場合はその刑を減軽することができるとされています。

【ご家族がある日突然警察に逮捕されたら】

今回取り上げた報道は、今年の5月半ばの事件について、それから半年以上たった12月1日に逮捕したというものです。 このように事件が起きてからしばらく経ってから、ある日突然警察が自宅を訪れて逮捕すると言う場合はさほど珍しいことではありません。 逮捕されたご本人は自分がどういう事になっているか分からないまま、警察から半年以上前の出来事について取り調べを受けることになりますが、こうした状況の中で半年以上前の出来事について詳しく話すということは非常に困難なことだろうと思います。 しかし、記憶があやふやなことを正直に「よく覚えていない」と取調べの警察に話しても警察から「本当は覚えているんだろう」「反省していない」などど自分が犯人であることと決めつけられてしまい、最終的にはそうした警察の対応に精神的に疲れてしまい、やってもいないことをやったと虚偽の自白をしてしまうおそれがあります。

こうした冤罪事件を防止するためには、警察がご家族を逮捕してからすぐにでも弁護士が事件に介入する必要があります。 弁護士が逮捕直後に事件に介入することで、逮捕直後から行われる取調べの対応についてアドバイスをすることができます。 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 ある日突然ご家族が電車内での痴漢の疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】ナイフ暴行事件で現行犯逮捕

2023-01-03

【報道解説】

ナイフ暴行事件で現行犯逮捕 宮城県仙台市のナイフ暴行事件を例に、傷害・暴行事件と殺人未遂事件の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道事例】

知人の脇腹をプラスチックのナイフで突いたとして、暴行の疑いで、仙台市青葉区に住む25歳女性が現行犯逮捕された。 警察によると、女性は、令和4年12月23日午後9時20分頃に、仙台市青葉区内にある知人男性(30代)の自宅で、男性の左脇腹をプラスチック製のナイフで突いた疑いが持たれている。 被害者男性が警察に通報し、駆け付けた警察官が女性を現行犯逮捕した。 警察の取調べに対して、女性は「突いたことは間違いない」と話しているという。

(令和4年12月24日に配信された「tbc東北放送」より抜粋)

【傷害・暴行事件と殺人未遂事件の違い】

他人に対して、何らかの物理的な力を加えるなどの暴行行為により、相手がケガをした場合には傷害罪が成立し、他方で、相手がケガをしなかった場合には暴行罪が成立します。 傷害罪の刑事処罰の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされており、暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」とされています。 暴行行為の際に、「相手を殺そうとする意思」(殺人の故意)があった場合には、殺人未遂罪が成立する可能性があります。 殺人未遂罪の刑事処罰の法定刑は「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」とされています。

「殺人の故意」とは、「これをやれば、相手が死ぬかもしれないけれども、それでも構わない」と考えて、暴行行為などをした場合にも、(未必の)故意が認められるとされています。 警察の取調べにおいて、事件当時の具体的な暴行行為の程度や、事件発生に至った経緯などを、どう供述するかが、その後の刑事処罰の判断に大きく影響すると考えられます。

事件捜査の初期段階で、刑事事件に強い弁護士と法律相談することで、警察取調べの供述対応を、弁護士とともに検討することが、その後の刑罰軽減のために重要な弁護活動となります。 また、被害者側との示談交渉活動を、弁護士が仲介して行うことで、被害者側からの許しを得られるような示談が成立した場合には、示談成立の事情が、刑事処罰の軽減に影響することが期待されます。 まずは、ナイフ暴行事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。 宮城県仙台市のナイフ暴行事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】薬物使用のわいせつ目的略取誘拐事件で逮捕

2022-12-30

【報道解説】

薬物使用のわいせつ目的略取誘拐事件で逮捕 埼玉県草加市で発生した、わいせつ目的略取誘拐罪と準強制性交等罪の刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】

埼玉県警捜査1課と埼玉県草加警察署は、令和4年11月16日、わいせつ誘拐罪と準強制性交等罪の疑いで、千葉県松戸市在住の自営業の男性(22歳)を逮捕した。 逮捕容疑は、5月4日午後10時40分頃に、東京都足立区の路上で、都内居住の10代の女子高校生を自身の普通乗用車に乗せ、八潮市内のホテル客室に連れ込んで誘拐し、翌日午前9時10分頃までの間、性的暴行を加えた疑い。

男性は、車内と客室内で睡眠作用を有する薬物を被害者女性に摂取させ、抵抗できない状態にさせていた。 帰宅した被害者女性の異変に気付いた40代母親が事情を聴き、警視庁成城警察署に通報し、被害者女性の供述やホテル周辺の防犯カメラの解析などから男性を特定した。 男性は警察取調べに対して、「ホテルには行ったが、そのようなことはしていない」と容疑を否認しているという。

(令和4年11月17日に配信された「埼玉新聞」より抜粋)

【わいせつ目的略取誘拐罪とは】

「略取」とは、暴行や脅迫といった強制的手段を用いて、被害者を自己や第三者の支配下に置くことをいいます。 「誘拐」とは、欺罔や誘惑などの間接的な手段を用いて、被害者を自己や第三者の支配下に置くことをいいます。 略取や誘拐といった行為が、刑事犯罪に該当するための要件として、未成年者を略取誘拐した場合や、営利目的、わいせつ目的、結婚目的、生命若しくは身体に対する加害目的、身の代金目的、所在国外移送目的で略取誘拐した場合に、刑事処罰の対象となります。

・刑法第225条

「営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。」

【準強制性交等罪とは】

被害者の同意無しに性行為があった場合には、「強制性交等罪」が成立します。 他方で、被害者が飲酒や薬物の影響下にあったり、睡眠状態にあるなど、被害者の心神喪失や抗拒不能という状態を利用して、性行為があった場合には、「準強制性交等罪」に当たるとして、「強制性交等罪」と同様の法定刑での刑事処罰を受けます。

・刑法第178条2項

「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。」

性犯罪においては、事件当時の具体的な経緯を、警察取調べでどのように供述していくかが、まずは重要になります。 捜査初期の警察取調べで供述する段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することで、事件の認め/否認をどう話すかといった供述方針を検討することが、その後の刑事弁護に大きく影響を与えます。

また、被害者のいる性犯罪事件において、容疑を認めて謝罪をする方針の場合には、弁護士が仲介して、被害者やその保護者との示談交渉活動を行い、謝罪や慰謝料支払いの意思を示すことで示談が成立すれば、その後の被害者の被害感情の緩和と、刑事処罰の軽減に繋がることが期待されます。

まずは、わいせつ目的略取誘拐事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。 埼玉県草加市のわいせつ目的略取誘拐事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】強盗致傷罪で逮捕

2022-12-26

【報道解説】強盗致傷罪で逮捕

金銭を奪うために加えた暴行によって相手方を怪我をさせたことにより、強盗罪の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「女性になりすましてSNSで呼び出した高校生に暴行を加え、金を奪おうとした疑いで、21歳の男ら2人が逮捕された。
A容疑者(21)らは2022年3月、埼玉県川越市の路上で、男子高校生に『金を出せ』と脅して暴行を加え、けがをさせた疑いが持たれている。
A容疑者らは、SNSで若い女性になりすまし、高校生を呼び出していたという。」
(令和4年5月24日にFNNプライムオンラインにて配信された報道より引用)

【強盗致傷罪とは】

刑法240条は、強盗致傷罪について規定しています。
強盗致傷罪が成立するためには、「強盗が」、強盗の機会に、「人を負傷させた」という要件を充たす必要があります。
引用した報道では詳しい事実関係については明らかとなっていませんが、Aさんが高校生から金銭を奪うために加えた暴行が、高校生の反抗を抑圧する程度の暴行であれば、Aさんは「強盗」に当たることになるでしょう。
そして、そのような強盗の手段として用いられた暴行によって高校生が怪我をしていますので、Aさんは強盗の機会に「人を負傷させた」として強盗致傷罪の疑いで逮捕されたと考えられます。
なお、報道では「金を奪おうとした」との記載にとどまり、実際にAさんが金銭を高校生から奪ったかについては定かではありませんが、仮にAさんが金銭を奪っていなくとも、金銭を奪うために用いた暴行によって相手方を怪我をさせたのであれば、刑法243条が定める未遂罪は成立することはなく、強盗致傷罪の既遂が成立することになります。

強盗致傷罪の法定刑は、無期又は6年以上の懲役刑で、罰金刑が定められておらず、最も軽い刑で6年の懲役刑となっていますので、様々な犯罪について規定する刑法の中において、科される刑罰が大変重い犯罪です。

【強盗致傷罪で起訴された場合】

強盗致傷罪が起訴されると次に示すように通常の公判手続とは異なる点があります。

まず、強盗致傷罪のように法定刑で無期懲役が定められている事件が起訴された場合、その事件は、裁判員裁判の対象になります。
裁判員裁判制度は、職業裁判官と一緒に、国民の中から抽選で選ばれた人が裁判員として裁判に参加して、有罪・無罪の判断、有罪の場合の量刑をどうするかを決める裁判制度です。
裁判員裁判制度においては、量刑を判断にあたっては国民感情が反映されることになりますので、職業裁判官のみによって行われる通常の裁判に比べて、量刑が重くなる傾向があると言われています。

また、裁判員裁判の対象となる事件については、公判が開かれる前に公判前整理手続と呼ばれる手続が行われることになります。
公判前整理手続は、第1回公判期日の前に、裁判所、検察官、弁護人が事件の争点を明確にして、証拠の整理を行い、これからどのように審理を進めていくかという審理計画を作成することを目的とする手続ですが、審理計画の作成に時間がかかってしまい、結果として公判が長引いてしまうおそれがあります。

【強盗致傷罪の弁護活動】

このように強盗致傷罪は法定刑が重く重大な犯罪ですが、被害者に対する示談の有無によって、刑事処罰の可能性を低くする可能性が残されています。
事件を起訴するか否かを決定する権限は検察官にあり、検察官が事件を起訴するか否かの判断をするにあたっては、被害に遭われてしまった方の処罰感情を重視する傾向にあります。
そのため、検察官が起訴不起訴の判断を下すまでに、被害に遭われてしまった方に対して謝罪と被害の回復を行い、示談を締結することができれば、軽い処分となる可能性を高めることができます。

【軽い処分を目指したい方は】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱っている事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、被害者の方との示談交渉により、示談を締結することができ、強盗致傷罪から窃盗罪と傷害罪の2罪に分離させた結果、不起訴処分を獲得した経験のある弁護士が在籍しております。
強盗致傷罪を起こしてしまいお困りの方、強盗致傷罪について少しでも軽い処分を目指したい方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度御相談下さい。

【報道解説】従業員を決闘させて決闘罪で逮捕

2022-12-22

【報道解説】

従業員を決闘させて決闘罪で逮捕 従業員に決闘をさせたとして決闘罪で逮捕された希少な刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】

「ガールズバーで働く女性従業員と元従業員を決闘させたとして、埼玉県大宮警察署は17日、さいたま市大宮区の飲食店経営者、A(30)を決闘罪の疑いで逮捕しました。 発表によると、Aは、8月3日午後11時35分頃、さいたま市大宮区の飲食店前の歩道において、同飲食店で働く10歳代の従業員と元従業員の女性2人に対し、『お前らタイマン(決闘)して白黒つけろ』と命じ、実際に殴り合いをさせた疑い。 1人は顔や頭に打撲のけがを負った。 同署は女性2人も同容疑で調べている。」

(令和4年11月18日に読売新聞オンラインで配信された報道より、一部事実を変更しています)

【決闘をしたり決闘に関与したらどのような罪になる?】

今回取り上げた報道では、逮捕された男性は女性2人に決闘をさせた疑いがあるとのことです。 決闘については、明治22年に定められた法律である「明治二十二年法律第三十四号(決闘罪ニ関スル件)」という6つ条文からなる法律が刑事罰をもって規定しています。

この決闘罪ニ関スル件によれば、決闘については次の4つの場合に罰則が科されることになります。

①決闘を挑んだ人、決闘の挑戦に応じた人は6カ月以上2年以下の懲役(1条)

②決闘を行った人は2年以上5年以下の懲役(2条)

③決闘の立ち合いをした人や決闘の立ち合いを約束した人は1ヶ月以上1年以下の懲役(4条1項)

④決闘が行われることを知ったうえで決闘の場所を貸与・提供した人は1ヶ月以上1年以下の懲役(4条2項)

今回取り上げた報道では、女性たちが決闘をした場所が逮捕された男性が経営する飲食店内であったことが読み取れますので、決闘が行われることを知って場所を提供したとして、決闘罪ニ関スル件4条2項に違反した可能性が考えられるでしょう。

【「決闘」とは?】

このように決闘を行った場合や決闘に関与した場合には刑事罰が科されることになるのですが、そもそも「決闘」とはどのような行為を言うのでしょうか。 「決闘」の定義については、残念ながら法律上定められていません。 ただ、過去の最高裁裁判所の判例には「決闘」を「当事者間の合意により相互に身体又は生命を害すべき暴行をもつて争闘する行為」と定義したものがあります(最高裁判所昭和26年3月16日判決)。

【決闘をして相手を怪我させたり殺してしまったら?】

取り上げた報道では、実際に決闘を行った女性2人のうち1人が顔や頭に打撲の怪我を負っているとのことです。 こうして決闘によって相手を怪我させた場合には、別途刑法204条の傷害罪が成立することになりますが、決闘罪ニ関スル件3条によってこの傷害罪と決闘に関する罪のうち刑罰が重い方で処罰されることになります。

傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっていますので、決闘の相手を怪我させた場合はより重い傷害罪で処罰されることになるでしょう。 また、仮に決闘相手を死亡させた場合には、殺意がなければ刑法205条の傷害致死罪が、殺意があれば刑法199条の殺人罪が成立すると考えられます。傷害致死罪の法定刑は3年以上の有期懲役刑で、殺人罪の法定刑は死刑又は無期若しくは5年以上の懲役刑となっていますので、決闘の相手を死亡させた場合には傷害致死罪や殺人罪として処罰されることになると考えられます。

【決闘に関して警察の捜査を受けてお困りの方は】

決闘に関して警察の捜査を受けられている方は、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。 弁護士に相談することで、そもそも決闘に関してどのような罪が成立するのか、決闘に関する罪以外にも成立する犯罪がないのか、複数の罪の成立が考えられる場合にはどのような罰が科される可能性があるのかといった事件の見通しなどについて説明を受けることができますので、今後に備えてどのような対応を取ればよいのかといったことを知ることができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 決闘の疑いで警察に捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】建造物損壊罪で被害届

2022-12-14

【事例解説】

建造物損壊罪で被害届 泥酔状態で他人の家の玄関扉を破壊したことにより、建物の所有者に建造物損壊罪で被害届を出された事例における刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例紹介】

「Aさんは深夜に、泥酔状態でVさんの家を自分の家だと思い込んでしまい、Vさんの家に入り込もうとしました。 しかし、Vさんの家の玄関扉は鍵がかかって開かなかったため、AさんはイライラしてVさんの家の玄関扉を蹴ったり、そばに落ちていた石で叩いたりするなどして、玄関扉を大きくへこませた後に、その場から立ち去りました。 その後、様子を見に来たVさんが、家の玄関扉に大きなへこみができているのを見て警察に被害届を提出しました。 被害届をきっかけに捜査を開始した警察は、Aさんが玄関扉をへこませたことが分かり、Aさんに『事情を聴きたいから一度署まで来てくれ』との連絡をしました。」

(この事例はフィクションです)

【建造物損壊罪とは】

他人の物を勝手に壊してしまうと器物損壊罪という犯罪が成立する可能性がありますが、建物の一部を損壊してしまうと器物損壊罪ではなく、建造物損壊罪という犯罪が成立する可能性があります。 建造物損壊罪が成立するためには、他人の「建造物」を「損壊」させる事が必要になります。 ここでいう「建造物」とは、家屋その他これに類似する建築物のことをいい、屋根があって壁または柱で支えられており、土地に定着して、少なくともその内部に人が出入りできるものをいいます。

「建造物」に当たるものとしては、天井板や敷居、屋根瓦、そして今回取り上げた事例のような住居の玄関扉があります。 このような「建造物」を、物理的にその全部または一部を破壊するか、その建造物の本来の効用を失わせる行為をすると「損壊」したと評価されることになり、建造物損壊罪が成立することになります。

事例のように、玄関扉を大きくへこませる行為は、物理的に建造物の一部を破壊したと言えるでしょうから、Aさんは建造物損壊罪が成立する可能性が高いと考えられます。 なお、事例とは異なって、Aさんが破壊したものが、Vさんの家の取り外し可能な窓ガラスであった場合は、「建造物」を「損壊」したとはいえないので、器物損壊罪が成立することになると考えられます。

【建造物損壊罪で被害届を出されてしまってお困りの方は】

事例のように玄関扉をへこませると建造物損壊罪が成立する可能性が高いですが、建造物損壊罪の法定刑は5年以下の懲役刑となっていて、罰金刑が定められていないので、建造物侵入罪として検察官に事件を起訴された場合は、かならず公開の裁判が開かれることになります。 これは、法定刑が3年以下の懲役または30万円以下の罰金若しくは科料となっている器物損壊罪と比較してみると、器物損壊罪よりも重い犯罪であるということができるでしょう。

法定刑が器物損壊罪よりも重い建造物損壊罪ですが、事件を起こしたからと言って、必ず起訴されるというわけではありません。 被害者の方に謝罪の意思を示し、被害弁償を行うことで、事件について真摯に反省していることを示すことが出来れば、不起訴処分となる可能性も十分考えられます。 このような示談交渉については弁護士に依頼するのが良いでしょう。 そのため、建造物損壊事件を起こしてしまい、警察の捜査を受けられているという方は、いち早く弁護士に相談して、今後の事件の見通しや、示談が可能か、示談金はいくらぐらいなのかということについてアドバイスを得られることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 建造物損壊事件を起こして警察の捜査を受けてお困りの方、被害者の方との示談をお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【お知らせ】さいたま支部の事務所移転

2022-12-14

【お知らせ】さいたま支部の事務所移転

本日12月14日より、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部の事務所が移転となりました。

(移転前)

〒330-0844
埼玉県さいたま市大宮区下町2-55 明邦下町ビル2階

(移転後)

〒330-0844
埼玉県さいたま市大宮区高鼻町1-53-4 高鼻町川鍋ビル4階

電話番号やFAX番号に変更はございません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。

今後とも、刑事事件・少年事件に関する法律相談や初回接見サービスのご利用につきまして、お引き立てのほどよろしくお願い申し上げます。

<法律相談・初回接見サービスをご希望の方へのフリーダイヤル>

0120-631-881

<法律相談・初回接見サービスに関するホームページ>

【報道解説】中学校内の暴力で少年が暴行罪で逮捕

2022-12-10

【報道解説】

中学校内の暴力で少年が暴行罪で逮捕 中学校で同学年の生徒を抱きかかえて3階の窓から体を外に出したとして、暴行罪の疑いで14歳の中学生が逮捕された刑事事件・少年事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「埼玉県熊谷市の中学校で、同学年の生徒を抱きかかえたまま、体を校舎3階の窓から外に出す暴行を加えたとして、市内に住む14歳の少年が逮捕されました。 警察によりますと男子中学生は、市内の中学校で、校舎3階にあるトイレの窓から、同級生の男子中学生を抱きかかえたまま体を外に出す暴行を加えた疑いが持たれています。 窓は地上からの高さがおよそ8mでした。 被害を受けた生徒の保護者から相談を受けた警察が、学校や目撃した別の生徒の話を聞くなどして、男子中学生を逮捕しました。 調べに対し男子中学生は『窓の外に出したりしていない』と話しているということです。」

(令和4年11月29日にRCC中国放送より配信された報道より、事実を一部変更しています)

【中学生が暴行罪で逮捕?】

今回取り上げた報道では、学校内で起きた事件で14歳の男子中学生が暴行の疑いで逮捕されています。 確かに、人を抱きかかえるという行為は人の身体に対する有形力の行使として刑法208条の暴行罪に当たる可能性がある行為ですが、単に生徒同士でふざけ合っていただけではないのかと思われた方がいるかと思います。

確かに、学校内で生徒同士がふざけ合っていただけなら警察が逮捕に踏み出す可能性は低いですが、今回の事件では人を抱きかかえただけではなく、抱きかかえて地上から8メートルにある3階の窓から身体を外に出した疑いがあるとのことです。 仮に地上8メートルの3階から人が落ちた場合、落ちた人が死亡する可能性がありますので、本当に落とそうとしたのであれば、人を抱きかかえて窓から体を外に出す行為は殺人未遂に当たり得る行為になります。 殺人未遂となれば重大事件になります。

報道では、警察が14歳の男子中学生を逮捕する前に学校や事件を目撃した生徒に話を聞いていたとのことですので、警察としてはこうした逮捕前の捜査によって単に中学生がふざけ合ったのではないと判断して、更なる事案の解明のために、まずは逮捕が確実に認められるであろう暴行罪で14歳の男子中学生を逮捕したものと考えられます。

【14歳の中学生が逮捕されると今後どうなるのか?】

14歳の中学生が犯罪に当たる行為をしてしまうと少年事件として取り扱われることになります。 少年事件の場合は、通常の刑事事件のように検察官が事件を起訴するかどうかを決定するのではなく、全ての事件が家庭裁判所に送られることになり、家庭裁判所が刑罰の代わりに最終的な少年の処遇を決定することが原則となります。

このように少年事件の場合は通常の刑事事件とは異なる手続きとなりますが、事件が家庭裁判所に送致される前の捜査段階においては14歳の中学生の場合であっても基本的に通常の刑事事件と同じになりますので、逮捕された少年がすぐに帰宅することができない場合があります。 まず、14歳の中学生であっても、検察官は一定の条件のもとに逮捕後72時間以内に勾留請求をすることができます。 検察官の勾留請求が裁判官に認められると、少年の身柄は原則として10日間、延長すると最長20日間にわたって、警察署の留置施設などに拘束されることになります。 これに加えて少年事件の場合は、勾留の代わりに観護措置という手段(「勾留に代わる観護措置」といいます。)によって、逮捕後も少年の身柄が拘束されることがあります。

「観護措置」とは、事件が家庭裁判所に送られた後に家庭裁判所が事件や少年について調査するために行うことをいい、①在宅で家庭裁判所調査官の観護に付すものと②少年を都道府県に設置されている少年鑑別所で拘束するものの2つがありますが、②の少年鑑別所で少年の身柄を拘束するものが大多数です。 「勾留に代わる観護措置」とは、文字通り、この観護措置を勾留の代わりに行って、逮捕した少年の身柄を鑑別所で拘束することを言います。 勾留に代わる観護措置の期間は、検察官が勾留に代わる観護措置の請求を出した日から10日間で、勾留の場合と異なって延長することができません。

以上は、事件が家庭裁判所に送致される前の話ですが、事件が家庭裁判所に送致されてからも、さきほども登場した観護措置によって少年の身柄が鑑別所に拘束される場合があります。 この観護措置の期間は原則として2週間ですが、期間を継続する必要があれば1回に限り更新することができますので、4週間にわたって身柄が拘束されることになります。

また、例外として死刑、懲役又は禁錮に当たる事件で、犯行の動機、態様及び結果その他の当該犯罪に密接に関連する重要な事実といった非行事実の認定に関して証人尋問・鑑定・検証を行うことを決定したものや、既に証人尋問・鑑定・検証を行ったたものについて、少年を収容しなければ審判に著しい支障が生じるおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある場合は、観護措置の期間を更に2回更新することができます。

そのため、例えば少年が自分はやっていないと事件を否認しているときなどは最大で8週間の観護措置が取られる場合があり得ます。 このように14歳の中学生のお子さんが逮捕されたという場合は、長期間にわたって身柄が拘束されるおそれがあります。 長期間身柄が拘束されるとお子さんの学校生活への影響が大きく、将来に不利益となる可能性もあり得ますので、中学生のお子さんが逮捕されたということを知った場合は、いち早く弁護士に依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 お子さんが警察に暴行罪などの暴力犯罪で刑事事件化または逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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