埼玉県上尾市の脅迫文を送って逮捕
埼玉県上尾市の大型病院に勤めていた元看護士のAさんは、病院内の人間関係が悪く、特定の医師に恨みを抱いて退職した経緯があることから、看護士時代のツテを利用して青酸カリを入手し、「XX医師および〇〇医師はすぐに辞職せよ。1か月以内に辞職しなければ不幸が起こる。今後飲み物に注意しろ」という脅迫文とともに青酸カリを送付しました。
脅迫文を受けた病院は、埼玉県警上尾警察署に脅迫文と同封されていた白い粉(青酸カリ)を提供して脅迫罪の被害届を提出して捜査が開始され、警察の鑑定によって白い粉が青酸カリだと判明しました。
間もなく、Aさんは脅迫罪の疑いで逮捕され、逮捕事実について大筋を認めました。
警察は、青酸カリの入手経路等について余罪の捜査も進んでいます。
大手就職・転職サイトの調査によれば、社会人が退職する理由で最大の理由が、人間関係に起因するものとされています。
人間関係において、特に問題となるのが、上司や先輩といった上の立場の者に対する不満や怒り等が多く、今の仕事から逃げ出すために転職活動を行うというネガティブな動機でな転職を行う者も少なくないそうです。
また、昨今では、悪化した人間関係や対会社との遣り取りを行いたくないというニーズを汲み取って、退職代行という新しいサービスも生まれているようです。
上位刑事事件例では、脅迫文と毒物・劇薬等の送付という手段による脅迫罪のモデルを挙げています。
生命・身体・自由・名誉・財産に対して危害を加える旨を告知して人を脅迫した場合、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます(刑法第222条第1項。脅迫罪)。
脅迫罪は、人の意思決定の自由が侵害されたことに対して刑罰を与える趣旨であり、上記のとおり危害を加える旨が告知されたことが社会通念上客観的に理解できる程度の言葉・文章で脅迫された事実があれば脅迫罪は成立し、実際に脅迫された者が、恐怖や畏怖の感情を抱く必要はないとするのが判例の立場です。
日本国憲法では、公共の福祉に反しない限り、何人も居住・移転・職業選択の自由を有するのであり(憲法第22条第1項)、人の意に反して仕事を辞めさせることは、職業選択の「自由」を侵害するものとして脅迫罪の対象となり得ます。
脅迫罪の刑事事件では、加害者と被害者との間で強い感情的なわだかまりがあり、加害者による被害者への威迫等により罪証(証拠)隠滅が懸念されるため、逮捕に引き続き最大10日間の勾留される可能性があります。(さらに勾留期間が延長される可能性もあり得ます。)
また、毒物及び劇物取締法では、法律の中で「毒物」「劇物」「特定毒物」を定めていますが、この法律を補完するものとして「毒物及び劇物指定令」という政令により、毒物等の指定の追加が行われることがあります。
青酸カリ(シアン化合物)については、指定令により「毒物」として扱うよう定めてあり、法令で許される範囲外の利用方法については刑事処罰を受ける可能性があることにも注意が必要です。
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(埼玉県警上尾警察署への初回接見費用:36,400円)