【報道解説】携帯電話を奪って器物損壊罪で逮捕

【報道解説】

携帯電話を奪って器物損壊罪で逮捕 警察に通報されることを避けるために相手の携帯電話を奪い去ったとして器物損壊罪の疑いで逮捕されたケースについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「警察によると、A容疑者は予約していたタクシーが乗り場にいなかったため、受付カウンターで運転手の男性と口論になり、運転手が警察に通報しようとしたところ、スマートフォンを奪ってそのまま立ち去ったということです。」

(令和4年12月20日に関西テレビで配信され報道より一部抜粋して引用)

【相手の携帯電話を奪い去ったのに窃盗罪ではないのか?】

今回取り上げた報道のAさんは器物損壊罪の疑いで逮捕されています。 Aさんはタクシー運転手の方の携帯電話を奪い去っていますが、このように相手の物を勝手に奪い去るというのは窃盗罪が成立するのではないかと思う方がいらっしゃるかもしれません。 窃盗罪は刑法235条に規定されている犯罪で、仮に窃盗罪で起訴されて有罪となると、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。

このような窃盗罪が成立するためには、相手の物を奪った際の犯人の心の中に「権利者を排除して他人の物を自己の所有物とし、その経済的用法に従って使用し処分する意思」という意思が存在する必要があります。 この意思のことを不法領得の意思といいます。 盗んだ物を転売して利益を得ようとするために相手の物を勝手に持ち去った場合には、不法領得の意思が認められることになりますが、今回のAさんは、奪い去った携帯電話をそのまま使用する目的であったり、転売しようとする目的があった訳ではありません。 Aさんは、あくまで、タクシー運転手の方が警察に通報しないように電話をさせない目的で携帯電話を奪い去っていますので、このような目的は不法領得の意思があるとは言えない可能性が高いです。 そのため、Aさんには窃盗罪が成立する可能性が低いと言えるでしょう。

なお、記事中ではAさんが携帯電話を奪った旨の記載がありますので、強盗罪が成立するのではないかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、強盗罪の成立に当たっても不法領得の意思が要求されますので、不法領得の意思がない場合は強盗罪は成立しません。 また、そもそも強盗罪が成立するためには、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加えたことによって相手の物を奪い去る必要がありますが、このような暴行・脅迫を加えたのでければ強盗罪は成立しません。

【相手の携帯電話を奪い去ったのに器物損壊罪?】

それでは、どうして携帯電話を壊した訳でもないのに器物損壊罪の疑いで逮捕されたのでしょうか。 器物損壊罪は刑法261条に規定されている犯罪で、「他人の物を損壊」した場合に成立する犯罪です。 器物損壊罪が成立する典型的なケースは相手の持ち物を物理的に破壊することですが、実は器物損壊罪の成立に当たって必要とされる「損壊」というのは、その物を本来の目的で使用することができない状態にすることを意味します。

そのため、相手の持ち物を物理的に破壊したときはもちろん、相手の持ち物を持ち去って持ち物を使用できなくさせる行為も「損壊」に当たることになります。 連絡手段である携帯電話を奪い去る行為は、携帯電話の本来的な用法である連絡手段としての使い方を害しているといえるでしょうから、Aさんには器物損壊罪が成立する可能性が高いと言えるでしょう。 器物損壊罪の法定刑は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料となっています。

【器物損壊の場合の刑事弁護活動】

器物損壊罪は刑法264条によって親告罪という犯罪に当たりますので、器物損壊罪については、被害者の方の告訴がないと検察官は起訴することができません。 そのため、器物損壊罪の場合の刑事弁護活動としては、弁護士を通して被害者の方との示談をして被害者の方に告訴を取り下げてもらうことが非常に重要になるでしょう。 示談締結によって告訴を取り下げてもらうことができれば、検察官は器物損壊罪について起訴をすることができませんから、器物損壊罪について前科が付くことはありません。

このような示談交渉は、刑事事件の弁護活動の経験が豊富な弁護士に依頼されることをお勧めします。 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 器物損壊の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方、被害者の方との示談をお考えの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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