埼玉県和光市の少年による故意の死亡事件
未成年者(少年)が殺人や傷害致死などのように、故意に死亡事件を起こした場合の少年事件手続と刑事責任の可能性について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【事件例】
埼玉県和光市在住の無職Aさん(19歳)は、18から19歳の同年代の友人らと共謀して、対立関係にあったグループのVさん(20歳)を集団で暴行を加え、その結果、Vさんは搬送先の病院で死亡してしまいました。
埼玉県警朝霞警察署は、Aさんら暴行を加えた少年らを殺人罪の疑いで逮捕し、少年らは検察官によって家庭裁判所へ送致されました。
(フィクションです。)
上記刑事事件例は、今年10月、福井県坂井市の東尋坊の海で、滋賀県東近江市の20歳の男性の遺体が見つかった事件で、被害者が知人7人から、ハンマーで歯を折られたり、火の付いたたばこを鼻に入れられたり、執拗な暴行を受け、その後、東尋坊の崖で少年らに「はよ落ちろ」と迫られ、飛び降り死亡した事件をモデルにしています。
これらを行った7名は、殺人罪の疑い等で逮捕され、その内成人の1名は、大津地方検察庁が殺人罪の疑いで起訴し、他の6名の17~19歳の少年6人については、被害者を極度に追い込んで飛び降りさせたとして、殺人などの非行事実を理由に大津家庭裁判所に送致されました。
家庭裁判所は、少年6人について2週間の観護措置(少年審判を円滑に進めたり、少年の処分を適切に決めるための検査を行う等の措置が必要な場合に、少年を少年鑑別所に送致し、一定期間そこに収容すること)を決定し、今後、少年審判を経て処分を決めていく模様です。
成人の被告人の起訴状によると、7人による被害者への暴行は、10月16日夜から18日朝の27時間余りにわたって断続的に行われ、被害者は脚を車でひかれたほか、木製バットやフライパンで殴打されたり、ハンマーを口に入れられて引っ張られる等の陰惨な暴行を受け、骨折や全身挫傷などの重傷を負ったとのことです。
その後、被害者は18日午後、高さ約20メートルの東尋坊の崖の縁に立たされ、後方に立った少年らに、飛び降りるよう命じられたとされています。
【少年の故意の死亡事件は一般の刑事裁判へ】
原則として、少年(20歳未満の者)に対しては、非行的性格の矯正や環境の調整による健全な育成の観点から、家庭裁判所の審判に付すことになります(少年法3条)。
しかし、少年が死刑、懲役または禁錮にあたる事件を起こした場合は、家庭裁判所が調査や審判を通じて罪質や情状を検討し、刑事処分が相当かを判断することになり(同20条1項、同23条1項)、また、犯罪行為時点で16歳以上の少年が、故意の犯罪行為により人を死亡させた場合(殺人罪、傷害致死罪、強盗致死罪など)には、原則として、家庭裁判所は事件を検察官へ送致(逆送)しなければならないとされています(同20条第2項)。
近年で言えば、平成29年3月の名古屋地方裁判所における、殺人罪や殺人未遂罪で起訴された元少女の裁判員裁判が逆送された事件として挙げられます。
この事件は、第一審で無期懲役判決が下され、現在は名古屋高等裁判所で控訴審の公判が行われています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件のみを取り扱う専門性の高い法律事務所ですので、少年事件の殺人罪その他重大な事件の逆送事案も安心してお任せください。
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