埼玉県久喜市で高層から物を投げつけて刑事事件化
埼玉県久喜市在住の会社員Vさんが、市内の歩道を歩いていた時、突然、近くて大きな音がしたのでその方向を見ると、どうやら高い場所から消火器が落ちてきたようです。
Vさんは、埼玉県警久喜警察署に対して、道路上に上から消火器が落ちてきたと通報しました。
通報を受けた警察が捜査を開始したところ、落ちてきた消火器は、道路沿いに建てられている10階立てマンションの共用部分に備え付けてあった消火器であり、何らかの偶発的な事故で消火器の固定具が外されることは考えられないこと、そして、同じマンション付近の道路において、1か月前にも拳大の石が道路に落ちてきたとの通報がされたこともあり、警察は何者かによって意図的に消火器が落とされたものとして、器物損壊罪などの疑いでマンション住人や出入りする者を中心に捜査を進めています。
(フィクションです。)
嫌がらせやストレス解消等の理由により、公共の場所で、物が投げられる行為がたびたび報道されており、例えば国道の歩道橋から石やブロック塀を落としたり、道路を走っている自動車や線路を走っている電車に対して投石が行われたりして、刑事事件化する例も見られます。
上記刑事事件のように、高層の建築物の上から、下に物を投げる行為によっても、場合によって、刑法上様々な犯罪が成立する可能性があります。
まず、上記事案のように建物付属の備品である消火器等を、故意に高い場所から下へ向かって投げつけた場合では、当該備品を損壊させたことによって器物損壊罪が成立することになるでしょう。
次に、物を歩行者に対して投げつけた場合ですが、人に対して、不法に物理的な圧力を加えることだけでも暴行罪が成立することから、たとえ物が歩行者に直撃しなかった場合でも、暴行罪が成立する可能性があります。
そして、投げつけた物が歩行者に直撃し、それによって傷害を負わせた場合ですが、この場合、どのような物を、どのような意図で投げつけたかによって成立する罪が変わる可能性があります。
具体的には、社会通念上、高層の建築物からある程度重量のある物を投げつけた場合、重力加速度によって落下エネルギーが増し、下にいる者に直撃した場合、死亡してしまうことが容易に想定できる場合があります。
そのようなことが予見できるにも関わらず、高層の建築物からある程度重量のある物を歩行者に対して投げつけた場合、たとえ落下物が下にいる人に対して当たらなかった場合でも、殺人未遂罪が成立する可能性があります。
逆に、そのような死亡リスクが社会通念上想定されない場合は、人を負傷させる目的で物を投げつけたとして傷害罪等が成立する可能性があります。
また、仮に物を落とすことについて故意がなかった場合、つまり、物を「落としてしまった」ことによって、人を負傷させてしまった場合ですが、この場合でも、過失傷害罪の罪が成立することがあり得ます。
このように、高層建築物から物を投げつけて、または落としてしまった場合、どのような物を、どのような高さで、どのような意図(故意)で、投げて(落として)しまったかによって、成立する犯罪が異なりますが、たとえ故意による犯罪であっても、まず被害者に対する謝罪や被害弁償を行い、発生させてしまった被害を回復して罪を償う姿勢を示すことが刑事弁護上重要です。
このような刑事事件では、刑事事件の専門知識を持った、公正な第三者である刑事事件弁護士が介入することで、示談がスムーズに進む可能性が大きいため、円滑な事件解決をお望みの場合は、事件を弁護士に依頼することをおすすめします。
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(埼玉県警久喜警察署への初回接見費用:38,600円)