女性を監禁し怪我させた男を逮捕
監禁と傷害によって逮捕された事例を題材に、刑事弁護士の弁護活動について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説いたします。
事例
埼玉県さいたま市大宮区在住のAはさいたま市大宮区内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aはさいたま市大宮区内の路上で知人Vを殴り怪我を負わせるなどした後、Vを無理やり自車に乗せ、6時間余り脱出不可能な状態にしました。
さいたま市大宮区を管轄する大宮警察署の警察官は、Aを監禁等の疑いで逮捕しました。
Aの家族は、刑事事件に強いと評判の弁護士に相談することにしました。
(本件は事実をもとにしたフィクションです。)
~監禁・傷害で逮捕~
まず、本事例において監禁罪(刑法220条)が成立することに大きく争いはないと思われます。
Aが、Vを無理やり自車に乗せ、6時間に渡って移動の自由を奪った行為は「不法に人を……監禁した」に当たることは明白といえるからです。
もっとも、Aは監禁行為とは別にVを殴り怪我を負わせています。
では、AがVに怪我を負わせた行為にはどのような犯罪が成立するのでしょうか。
刑法221条は「前条(注:逮捕・監禁)の罪を犯し、よって人を死傷させた者」に逮捕等致死傷罪が成立すると規定しています。
そうすると、本件のようにいわば監禁の過程でVに怪我を負わせたケースにおいては、監禁致傷罪が成立するとも考えられます。
しかし、刑法44条は「未遂を罰する場合は、各本条で定める」としており、未遂罪が成立するためには未遂処罰規定が定められている必要があることに注意が必要です。
そこで、逮捕及び監禁罪を定める第31章(220条以下)を見てみると、監禁罪には未遂処罰規定が存在しないことが分かります。
したがって、上記221条が「前条(本件では監禁)の罪を犯し」、「よって人を」死「傷させた」と規定している以上、監禁致傷罪が成立するためには、傷害結果を負わせる前に監禁(既遂)罪が成立している必要があることが文言上明らかです。
よって、本件AがVに傷害を負わせた行為には、別途傷害罪(204条)が成立することになると考えられます。
~逮捕・勾留段階で保釈?~
法律に明るくない一般の方や急に刑事事件に巻き込まれてしまった方が勘違いしがちであることとして「保釈」というものがあります。
保釈とは、刑事訴訟法88条以下に規定されており、勾留中の「被告人」を身体拘束状態から解放する制度をいいます。
「被告人」とは、犯罪の疑いをかけられた者の起訴後の呼称であり、起訴前の「被疑者」(マスコミ用語でいうところの容疑者)とは異なります。
刑訴法は189条以下に、「第二編 第一審 第一章 捜査」に関する規定を置いています。
その中でも、207条1項をみてみると、同条項は「(前3条の規定による)勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない」としています。
ここでは、但し書きに注目してみてください。
つまり、ここに書いてあることは、捜査段階(被疑者勾留の段階)では、裁判官は保釈の決定権限を持たないということです。
では、被疑者段階で勾留されてしまうと、釈放(身柄解放)される可能性は一切ないのでしょうか。
上述のように被疑者勾留に保釈の制度はありませんが、身体拘束からの解放手段は存在します。
勾留の決定を争う準抗告(刑訴法429条1項2号)や検察官による勾留請求(同法205条1項)に対して意見を述べるなど、弁護士として被疑者に対する身体拘束が必要ない旨を主張していく方法があるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は、監禁や傷害を含む刑事事件全般を取り扱う刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件のプロフェッショナルである弁護士が、早期の身柄解放などに向けて最善を尽くします。
埼玉県さいたま市大宮区にて、ご家族が監禁・傷害事件などの嫌疑で逮捕された場合、まずは年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。