違法捜査で証拠を否定、一部無罪に 埼玉県熊谷市の刑事事件の裁判に強い弁護士

違法捜査で証拠を否定、一部無罪に 埼玉県熊谷市の刑事事件の裁判に強い弁護士

平成28年に埼玉県熊谷市で起きた放火などの刑事裁判で、今年5月10日、さいたま地方裁判所は、埼玉県警が被告人の自宅を7カ月半の間、捜査のためにビデオ撮影していたのはプライバシーを侵害し違法として、複数の起訴事実の一部である建造物等以外放火などの罪について、被告人を無罪とする判決を言い渡しました。
(平成30年5月11日朝日新聞より抜粋しています。)

【今もなくならない違法捜査とその刑事裁判への影響】

ご存知のとおり、日本の刑事手続において、検察官が起訴した事件の有罪率は99%を超えるとの統計がある中で、逆にどのような場合に無罪判決が下されるかの有力な一つの例として、捜査機関による違法捜査が挙げられます。

刑事裁判は、国家が犯罪の疑いのあると認定された者に対して刑罰を科す以上、真実の追求の一方で、基本的人権の保障に資する適切な刑事手続に基づいて運用されなくてはなりません。

そして、現代の刑事裁判の大前提として、事実の認定は証拠がなければ行うことはできません(刑事訴訟法317条)。

時として、捜査機関である警察や検察は、犯罪事実の究明を求めるあまり、被疑者・被告人の基本的人権を損なう行き過ぎた捜査をしてしまうことがあり、そこで得られた証拠刑事裁判でどのように扱うのか問題となることがあります。

この点、最高裁判例は、違法な手続きで収集された証拠物の証拠能力について、事案の真相究明と刑事手続の適正な手続保障を定める憲法第31条等を比較考慮し、証拠物の押収において適正手続の趣旨を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが将来における違法捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合、その証拠能力は否定すべきものであると解しています。

他の共犯2人と車に放火したなどとして起訴された上記刑事裁判の過程で、検察側は被告人の共謀を立証するため、埼玉県警が平成15年10月から7カ月半被告人宅を撮影し、ガソリンの携行缶を被告人が運ぶ映像を証拠として提出していました。

判決において、裁判官は捜査のためのビデオ撮影期間の長さや、被告人宅の玄関内が映り込むなど撮影方法を問題視し、プライバシー侵害の度合いは高く違法と判断し、映像以外に共謀を裏付ける証拠もないとして建造物等以外放火罪などの一部の罪を無罪としました。

今後、捜査機関には適正な捜査がより一層求められますが、不当で違法捜査に対しては刑事事件に詳しい弁護士に依頼し、断固として争っていく余地はまだまだ残されているでしょう。

埼玉県熊谷市における刑事事件や裁判の不当な捜査でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の法律相談または初回接見サービスをご検討ください。
埼玉県警熊谷警察署への初回接見費用:40,060円)

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