【報道解説】電車内の痴漢で逮捕
東京都で電車内での痴漢の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【報道紹介】
「電車内で20代の女性の体を触ったとして、警視庁が東京都迷惑防止条例違反の疑いで、同庁亀有署交通課に所属する30代の警部補の男を現行犯逮捕していたことが4日、捜査関係者への取材で分かった。
逮捕容疑は1日午後11時40分ごろ、東京都世田谷区を走行中の小田急線の電車内で女性の尻を触ったとしている。
捜査関係者によると、同僚と酒を飲んだ後だった。近くにいた女性の知人が気付いて取り押さえ、駅に駆け付けた警察官に引き渡した。既に釈放されているという。」
(令和4年4月4日に産経新聞より引用)
【痴漢事件で無罪を主張したい場合】
紹介した報道のように電車内での痴漢事件は、防犯カメラの映像などの客観的証拠が無いことが多く、痴漢をやっていないと刑事裁判で争う場合は、痴漢事件を疑われて起訴された被告人の供述や、被害に遭われた被害者の方や痴漢事件の目撃者の供述内容を検討して、どの供述が信用できるのか、どの供述が信用できないのかという形で争われることが多いです。
【痴漢事件で無罪となった裁判例】
電車内の痴漢事件において、被害者の供述が信用できるかが問題になった裁判例のひとつに千葉地方裁判所平成27年1月14日判決があります。
この裁判例では、足の踏み場の無いほど混雑した電車内で、女性の服の上から左胸を手で揉んだという痴漢事件の犯人が、被害に遭った女性の正面で左向きに立っていた被告人であるのかが問題になりました。
被告人が犯人であると立証するための証拠が被害女性の供述しかなかったことから、裁判所は被害女性の供述に信用性があるかを検討しました。
裁判所は、検討の結果、被害女性の供述は信用性が乏しいと判断しました。
そのような判断の理由として、被害女性の犯人が被告人であると判断した供述についてはその判断過程に飛躍があったこと、痴漢行為時の被告人の体勢に関する供述が被害女性の憶測に基づいてなされた可能性があること、犯行内容に関わる重要な事実について被害女性が一貫した供述をしていないかった等の点を挙げることが出来ます。
他方で、裁判所は、被告人の供述は逮捕当初から一貫して犯行を否認しており、供述内容にも特に不自然・不合理な点はないと裁判所は判断しました。
以上を踏まえて、裁判所は、犯人が被告人であるということを証明することができないため、被告人は無罪であるという判決を下しました。
このように、供述の信用性が問題になる場合には、供述内容自体に不自然・不合理な点がないか、供述が捜査過程から一貫しているか、争いのない事実や客観的証拠によって立証される事実と供述内容を比較した際に、両者に整合性があるかという点が信用性判断のポイントになるでしょう。
【刑事事件の解決のために】
やってもいない痴漢を疑われて警察の捜査を受けてお困りの方は、刑事弁護の経験が豊富な弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士から取調べなどの警察の捜査に関してアドバイスを貰うことで、捜査過程において一貫した供述をしておくことが期待できるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、痴漢の否認事件をはじめとした刑事事件に精通した弁護士が在籍しております。
痴漢冤罪でお困りの方は、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談下さい。