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【報道解説】住居侵入、強盗致傷罪で逮捕
【報道解説】住居侵入、強盗致傷罪で逮捕
埼玉県川口市で起きた住居侵入、強盗致傷事件で逮捕者が出た刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【報道紹介】
「埼玉県川口市の住宅で昨年11月、住人の男性を粘着テープで縛り現金を奪ったなどとして、埼玉県警は25日、住居侵入と強盗致傷の疑いで、茨城県日立市相田町の職業不詳、北A容疑者(21)といずれも同市に住む職業不詳の19歳の男と17歳の男を逮捕した。
認否を明らかにしていない。
逮捕容疑は、共謀して11月15日、川口市前上町の住宅に侵入し、室内にいた住人の20代男性に粘着テープで縛るなどの暴行を加え、現金約500万円と通帳などを奪って頸椎(けいつい)捻挫などの軽傷を負わせたとしている。
19歳の男が指示役で他の2人は実行役とみられる。」
(令和5年1月25日に埼玉新聞で配信された報道より一部抜粋して引用)
【住居侵入や強盗致傷はどのような罪に問われるのか?】
最近のニュースでは、関東圏内で多発していた3人組による強盗事件について警察が被疑者を続々と逮捕しているというニュースを目にすることが多くなっていると思います。
警察は組織的な強盗事件の可能性も含めて捜査を進めているようですが、今回取り上げた報道も、埼玉県川口市で起きた強盗事件について、強盗事件に関わった被疑者を3人逮捕したというものです。
被害者の家の中に入って被害者を縛り上げて現金などを無理やり奪い去ったという事件の場合は、家の中に侵入した行為について刑法130条前段の住居侵入罪が、現金を無理やり奪い去った行為については刑法236条1項の強盗罪が成立する可能性が高いと言えます。
また、強盗を行う際に被害者を怪我させたり死亡させたりした場合は刑法240条の強盗致死傷罪という犯罪が成立する可能性もあります。
強盗が人を負傷させた場合を強盗致傷罪と呼び、強盗が人を死亡させた場合を強盗致死罪と呼んで、この2つは単なる強盗罪の場合よりも重く処罰されることになります。
これらの犯罪に対する処罰について、住居侵入罪は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金が、強盗罪は5年以上の有期懲役が、強盗致傷罪は無期又は6年以上の懲役が、強盗致死罪は死刑又は無期懲役が科される可能性があります。
【実行犯でなくても責任を負う可能性がある】
複数人で強盗の計画を立てて、その計画に基づいて強盗事件を起こしたという場合は、強盗事件に関わった人たちに刑法60条の共同正犯が成立する可能性があります。
仮に、強盗罪の共同正犯が認められた場合、自分がやっていない行為についても自分がやったものとして責任を負わなければいけなくなります。
そのため、取り上げた報道のように、自分は強盗を指示しただけで強盗を実行したのが他の人であるという場合において強盗事件の参加者の間で共同正犯関係が認められるのであれば、実際に強盗をしていない指示役の人にも実際に強盗を担当した場合と同様に、強盗罪あるいは強盗致傷罪が成立することになります。
【ご家族が強盗や強盗致傷の疑いで警察に逮捕されてしまった場合】
埼玉県でご家族が強盗や強盗致傷の疑いで警察に逮捕されてしまって、何をどうしたら良いのかが分からずにお困りの方は、弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
初回接見を通して、弁護士が逮捕されたご家族の方から事件ついてしっかりとお話を聞くことができますので、事件の見通しや今後の事件の流れといったことを知ることができるでしょう。
特に、今回の埼玉県川口市の強盗致傷事件のように、逮捕された被疑者の年齢が19歳、17歳の場合は少年法という法律も適用されることになりますので、事件の手続が通常の刑事事件の場合とは異なりますので、逮捕されたご家
族の年齢が20歳に満たない場合は、より一層弁護士によるサポートが有益になると言えるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県川口市でご家族が強盗や強盗致傷の疑いで警察に逮捕されてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。
【報道解説】自殺幇助未遂で逮捕
【報道解説】自殺幇助未遂で逮捕
自殺幇助未遂の疑いで埼玉県警吉川警察署に逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【報道紹介】
「交流サイト(SNS)で知り合った女性の自殺を手助けしようとしたとして、埼玉県警吉川署は17日、自殺ほう助未遂の疑いで、茨城県常総市本石下、無職の男(51)を逮捕した。
逮捕容疑は昨年12月20日午後8時27分ごろ、事前にSNSで自殺をほのめかす投稿を行った三郷市の20代女性に対してダイレクトメッセージを送信するなどして連絡を取り、女性を茨城県つくば市内のつくばエクスプレスつくば駅まで誘い出し、自身が運転する車に乗せ自殺を手助けしようとした疑い。
同署によると、被害女性は車から降り、同市内にあるコンビニエンスストアまで逃走し夫に連絡。
夫が『妻が行方不明になった』などと110番し、警察官が女性を保護。
付近の飲食店にいた男を確保した。女性にけがはなかった。
2人に面識はなく、昨年12月12日ごろからコミュニケーションアプリで自殺をする趣旨のやりとりをしていたという。
男は『自殺を助けるつもりはありませんでした』と容疑を否認しているという。」
(令和5年1月18日に埼玉新聞で配信された報道より引用)
【「自殺ほう助の未遂」ってどんな罪?】
他人の生命を奪う行為は刑法199条の殺人罪に当たる可能性がある行為ですが、自分で自分の生命を絶つ行為については現在の刑法では処罰の対象にはなりません。
そのため、自殺行為そのものは何かの犯罪に当たるという訳ではありません。
ただ、現行の刑法では、自殺行為に自殺者以外の他人が関与した場合には、その他人が関与した行為を処罰の対象にしています。
具体的に条文を挙げて説明すると、刑法202条の前段では、「人を教唆し若しくは幇助して自殺させ」た者を6か月以上7年以下の懲役又は禁錮に処すると規定しています。
この刑法202条前段を読むと、刑法202条前段には、人を教唆(きょうさ)して自殺させることと人を幇助(ほうじょ)して自殺させることの2つの行為を規定していることに気が付くかと思います。
人を教唆し自殺させるというのは、まだ自殺を決意していない人をそそのかして自殺させる事を意味していて、これを自殺教唆罪といいます。
他方、人を幇助して自殺させることというのは、自殺者が自殺を行うにあたって自殺の実行を物理的または精神的に容易にする行為をすることを意味していて、これを自殺幇助罪といいます。
そして、この自殺教唆罪と自殺幇助罪を併せて自殺関与罪ということがあります。
自殺をそそのかしたり自殺を幇助したりして実際に自殺者が自殺を実行した場合は、それぞれ自殺教唆罪の既遂と自殺幇助罪の既遂が成立することになりますので、刑法202条前段によって処罰の対象になります。
これに加えて、刑法203条では自殺関与罪の未遂を処罰の対象にしていますので、実際に自殺者が自殺を実行しなくても、自殺をそそのかしたり幇助したりした時点で、自殺教唆罪の未遂と自殺幇助罪の未遂がそれぞれ成立することになって処罰の対象になります。
自殺教唆罪の未遂や自殺幇助罪の未遂の法定刑は、既遂の場合と同じで、6か月以上7年以下の懲役又は禁錮となっています(ただし、刑法43条によって刑を減軽することができます)。
【自殺関与罪で警察の捜査を受けてお困りの方は】
自殺関与罪(自殺教唆罪または自殺幇助罪)は法定刑に罰金が定められていませんので、捜査の結果、検察官が起訴をするという判断を下した場合、必ず正式な刑事裁判が開かれて審理されることになります。
これは自殺関与罪の未遂(自殺教唆罪の未遂または自殺幇助罪の未遂)の場合でも一緒です。
ただ、捜査の早い段階から、弁護士を弁護人として選任して、その都度適切な刑事弁護活動を受けることができれば、最終的に検察官から起訴をしないという不起訴処分を獲得して、前科が付くことを回避するということも可能な場合があるでしょう。
そのため、自殺関与罪(自殺教唆罪または自殺幇助罪)や自殺関与罪の未遂(自殺教唆罪の未遂または自殺幇助罪の未遂)で警察の捜査を受けられている方は、いちはやく弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県で自殺関与罪(自殺教唆罪または自殺幇助罪)や自殺関与罪の未遂(自殺教唆罪の未遂または自殺幇助罪の未遂で警察の捜査を受けてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。
【報道解説】職場内トラブルの傷害罪で逮捕
【報道解説】
職場内トラブルの傷害罪で逮捕 職場内トラブルによる傷害罪の刑事事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事件概要】
埼玉県在住の会社員男性A(36歳)は、埼玉県大宮市所在の勤務先の同僚会社員男性V(22歳)の頭部を空き瓶で殴って頭部挫創の傷害を負わせたとして、傷害罪の疑いで逮捕されました。 傷害を負ったVが、Aの犯行翌日に警察に被害届を提出し、捜査がAの逮捕に至りました。 警察の調べでは、AはVが仕事中にミスをしたことに腹を立て暴行に及んだと動機を語っており、Aは逮捕容疑を認めています。
(令和5年1月25日の「HBC北海道放送ニュース」の記事をもとに、一部事実を変更したフィクションです。)
【傷害罪】
傷害罪を規定する刑法第204条は、「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万以下の罰金に処する。」としています。 刑法において、傷害罪は暴行罪の結果的加重犯と言われています。 結果的加重犯とは、一つの違法な行為を行い、結果が生じなければ軽い方の罪で処罰し、結果が生じた場合には重い方の罪で処罰するものをいいます。
暴行罪は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」に成立します。 他方、暴行行為を加えた結果、被害者が傷害を負った場合は、暴行罪の結果的加重犯として傷害罪が成立します。 上記刑事事件では、AがVの頭部を空き瓶で殴るという暴行行為を行い、その結果、頭部挫創という傷害が生じているため、傷害罪が成立することになります。
【傷害罪の刑事弁護活動】
傷害罪や暴行罪といった暴力犯罪で軽い処罰を求めるためには、示談を締結することが刑事弁護活動で最も重要です。 被疑者が被害者に対し誠意を持って謝罪をして当事者間の問題解決(示談)に至れば、検察官が起訴することなく事件を終わらせる(不起訴)判断をする可能性が高まります。
ただ、被害者の怒りや被害の程度など、様々な事情から、示談が必ずしも円滑に進むとは限りません。 被害者が示談に応じない、あるいは、様々な示談条件を提示してくる等、示談交渉が難航する場合もあり得ますので、刑事事件の示談交渉の経験豊富な刑事事件専門の弁護士に弁護を依頼することを強くお勧めします。
【傷害罪の刑事弁護活動】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害罪の示談交渉を数多く経験し、不起訴処分を獲得した実績が多数あります。 ご家族が傷害罪等の暴力事件で逮捕されてお困りの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスをご検討ください。
【報道解説】電車トラブルの傷害罪で現行犯逮捕
電車トラブルによる傷害罪の刑事事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道解説】
埼玉県在住の会社員男性A(25歳)は、会社帰りのJR埼京線の電車内で、同じ車両にいた会社員V(40歳)の顔を殴って鼻骨骨折させたとして、傷害罪の疑いで現行犯逮捕されました。 埼玉県警大宮警察署の調べでは、Aは電車内で座り込んでいたところ、Vに「電車内で座るな、邪魔だ」と言われ逆上し、Vに暴行を加えたとのことで、Aは逮捕容疑を認めている模様です。 (令和4年6月23日の神奈川新聞「カナコロ」の記事をもとに、大幅に事実を変更したフィクションです。)
【傷害罪とは】
傷害罪は刑法第204条に規定されています。 傷害罪は、「人の身体を傷害した」場合に成立し、「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科されます。 刑法に規定する暴力犯罪において、傷害罪は、暴行罪の結果的加重犯と言われています。 つまり、暴行罪は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」に成立し、その結果「人の身体を傷害した」場合に傷害罪が成立することになります。 ここで言う「暴行」とは、「人の身体に対する不法な有形力の行使」とされており、上記刑事事件例のように、人の顔を殴るという行為は、明確に「暴行」に該当し、その結果鼻骨骨折という傷害の結果が生じているため、傷害罪が成立することになります。
【電車トラブルから発展した傷害罪】
本来、犯罪行為が行われたからといって、すべての犯罪を警察が逮捕権を行使する訳ではありません。 警察は、逮捕のような強制処分ではなく任意の方法で捜査を進めることが原則とされており、逮捕が必要な場合には、裁判所が逮捕を必要と判断し、逮捕を許可して逮捕状を発行することが必要とされています(通常逮捕)。 しかし、上記刑事事件例のように、電車トラブルによる傷害罪という事案では、多くの人の目の前で傷害罪という犯罪が行われるため、逮捕状の発行を必要としない「現行犯逮捕」される可能性が非常に高いと言えます。 電車トラブルによる傷害罪で現行犯逮捕されてしまうと、そのまま警察の留置場で身柄を拘束されることになるため、それ以後、会社や学校に行けなくなる等の社会的不利益が生じます。
【傷害罪の刑事弁護活動】
そのため、電車トラブルの傷害罪で現行犯逮捕された場合、まずは早期に身柄を解放してほしいというニーズが考えられます。 被疑者が逮捕されると、警察は事件を検察官に送致します。 検察官は、逮捕に引き続いて被疑者の身柄を最大10日間拘束する「勾留」の必要の有無を判断し、検察官が勾留請求してこれを裁判所が認めると勾留が決定していまいます。 さらに勾留の満期において、さらに最大10日間の勾留延長が可能であるため、被疑者は最大20日間勾留されることもあり得ます。 これだけ長期間身柄が拘束されると、会社を解雇されたり、会社を辞職せざるを得なくなったり、その他重い懲戒処分を受けたり、様々な生活に支障をきたすことになるでしょう。 このような逮捕事案では、逮捕された段階ですぐに刑事事件の経験豊富な弁護士に弁護を依頼し、勾留が決定されることを回避する活動をしてもらうことで、早期に身柄が解放できるよう手を打つことをお勧めします。
【傷害罪の刑事弁護活動】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害罪等の逮捕事案を数多く受任し、勾留阻止のための活動を数多く経験し、勾留阻止による早期釈放の実績を多数挙げております。 電車トラブルの傷害罪で逮捕されお困りの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスをご利用ください。
【報道解説】携帯電話を奪って器物損壊罪で逮捕
【報道解説】
携帯電話を奪って器物損壊罪で逮捕 警察に通報されることを避けるために相手の携帯電話を奪い去ったとして器物損壊罪の疑いで逮捕されたケースについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「警察によると、A容疑者は予約していたタクシーが乗り場にいなかったため、受付カウンターで運転手の男性と口論になり、運転手が警察に通報しようとしたところ、スマートフォンを奪ってそのまま立ち去ったということです。」
(令和4年12月20日に関西テレビで配信され報道より一部抜粋して引用)
【相手の携帯電話を奪い去ったのに窃盗罪ではないのか?】
今回取り上げた報道のAさんは器物損壊罪の疑いで逮捕されています。 Aさんはタクシー運転手の方の携帯電話を奪い去っていますが、このように相手の物を勝手に奪い去るというのは窃盗罪が成立するのではないかと思う方がいらっしゃるかもしれません。 窃盗罪は刑法235条に規定されている犯罪で、仮に窃盗罪で起訴されて有罪となると、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。
このような窃盗罪が成立するためには、相手の物を奪った際の犯人の心の中に「権利者を排除して他人の物を自己の所有物とし、その経済的用法に従って使用し処分する意思」という意思が存在する必要があります。 この意思のことを不法領得の意思といいます。 盗んだ物を転売して利益を得ようとするために相手の物を勝手に持ち去った場合には、不法領得の意思が認められることになりますが、今回のAさんは、奪い去った携帯電話をそのまま使用する目的であったり、転売しようとする目的があった訳ではありません。 Aさんは、あくまで、タクシー運転手の方が警察に通報しないように電話をさせない目的で携帯電話を奪い去っていますので、このような目的は不法領得の意思があるとは言えない可能性が高いです。 そのため、Aさんには窃盗罪が成立する可能性が低いと言えるでしょう。
なお、記事中ではAさんが携帯電話を奪った旨の記載がありますので、強盗罪が成立するのではないかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、強盗罪の成立に当たっても不法領得の意思が要求されますので、不法領得の意思がない場合は強盗罪は成立しません。 また、そもそも強盗罪が成立するためには、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加えたことによって相手の物を奪い去る必要がありますが、このような暴行・脅迫を加えたのでければ強盗罪は成立しません。
【相手の携帯電話を奪い去ったのに器物損壊罪?】
それでは、どうして携帯電話を壊した訳でもないのに器物損壊罪の疑いで逮捕されたのでしょうか。 器物損壊罪は刑法261条に規定されている犯罪で、「他人の物を損壊」した場合に成立する犯罪です。 器物損壊罪が成立する典型的なケースは相手の持ち物を物理的に破壊することですが、実は器物損壊罪の成立に当たって必要とされる「損壊」というのは、その物を本来の目的で使用することができない状態にすることを意味します。
そのため、相手の持ち物を物理的に破壊したときはもちろん、相手の持ち物を持ち去って持ち物を使用できなくさせる行為も「損壊」に当たることになります。 連絡手段である携帯電話を奪い去る行為は、携帯電話の本来的な用法である連絡手段としての使い方を害しているといえるでしょうから、Aさんには器物損壊罪が成立する可能性が高いと言えるでしょう。 器物損壊罪の法定刑は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料となっています。
【器物損壊の場合の刑事弁護活動】
器物損壊罪は刑法264条によって親告罪という犯罪に当たりますので、器物損壊罪については、被害者の方の告訴がないと検察官は起訴することができません。 そのため、器物損壊罪の場合の刑事弁護活動としては、弁護士を通して被害者の方との示談をして被害者の方に告訴を取り下げてもらうことが非常に重要になるでしょう。 示談締結によって告訴を取り下げてもらうことができれば、検察官は器物損壊罪について起訴をすることができませんから、器物損壊罪について前科が付くことはありません。
このような示談交渉は、刑事事件の弁護活動の経験が豊富な弁護士に依頼されることをお勧めします。 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 器物損壊の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方、被害者の方との示談をお考えの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】ナイフ暴行事件で現行犯逮捕
【報道解説】
ナイフ暴行事件で現行犯逮捕 宮城県仙台市のナイフ暴行事件を例に、傷害・暴行事件と殺人未遂事件の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道事例】
知人の脇腹をプラスチックのナイフで突いたとして、暴行の疑いで、仙台市青葉区に住む25歳女性が現行犯逮捕された。 警察によると、女性は、令和4年12月23日午後9時20分頃に、仙台市青葉区内にある知人男性(30代)の自宅で、男性の左脇腹をプラスチック製のナイフで突いた疑いが持たれている。 被害者男性が警察に通報し、駆け付けた警察官が女性を現行犯逮捕した。 警察の取調べに対して、女性は「突いたことは間違いない」と話しているという。
(令和4年12月24日に配信された「tbc東北放送」より抜粋)
【傷害・暴行事件と殺人未遂事件の違い】
他人に対して、何らかの物理的な力を加えるなどの暴行行為により、相手がケガをした場合には傷害罪が成立し、他方で、相手がケガをしなかった場合には暴行罪が成立します。 傷害罪の刑事処罰の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされており、暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」とされています。 暴行行為の際に、「相手を殺そうとする意思」(殺人の故意)があった場合には、殺人未遂罪が成立する可能性があります。 殺人未遂罪の刑事処罰の法定刑は「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」とされています。
「殺人の故意」とは、「これをやれば、相手が死ぬかもしれないけれども、それでも構わない」と考えて、暴行行為などをした場合にも、(未必の)故意が認められるとされています。 警察の取調べにおいて、事件当時の具体的な暴行行為の程度や、事件発生に至った経緯などを、どう供述するかが、その後の刑事処罰の判断に大きく影響すると考えられます。
事件捜査の初期段階で、刑事事件に強い弁護士と法律相談することで、警察取調べの供述対応を、弁護士とともに検討することが、その後の刑罰軽減のために重要な弁護活動となります。 また、被害者側との示談交渉活動を、弁護士が仲介して行うことで、被害者側からの許しを得られるような示談が成立した場合には、示談成立の事情が、刑事処罰の軽減に影響することが期待されます。 まずは、ナイフ暴行事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。 宮城県仙台市のナイフ暴行事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
【報道解説】強盗致傷罪で逮捕
【報道解説】強盗致傷罪で逮捕
金銭を奪うために加えた暴行によって相手方を怪我をさせたことにより、強盗罪の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「女性になりすましてSNSで呼び出した高校生に暴行を加え、金を奪おうとした疑いで、21歳の男ら2人が逮捕された。
A容疑者(21)らは2022年3月、埼玉県川越市の路上で、男子高校生に『金を出せ』と脅して暴行を加え、けがをさせた疑いが持たれている。
A容疑者らは、SNSで若い女性になりすまし、高校生を呼び出していたという。」
(令和4年5月24日にFNNプライムオンラインにて配信された報道より引用)
【強盗致傷罪とは】
刑法240条は、強盗致傷罪について規定しています。
強盗致傷罪が成立するためには、「強盗が」、強盗の機会に、「人を負傷させた」という要件を充たす必要があります。
引用した報道では詳しい事実関係については明らかとなっていませんが、Aさんが高校生から金銭を奪うために加えた暴行が、高校生の反抗を抑圧する程度の暴行であれば、Aさんは「強盗」に当たることになるでしょう。
そして、そのような強盗の手段として用いられた暴行によって高校生が怪我をしていますので、Aさんは強盗の機会に「人を負傷させた」として強盗致傷罪の疑いで逮捕されたと考えられます。
なお、報道では「金を奪おうとした」との記載にとどまり、実際にAさんが金銭を高校生から奪ったかについては定かではありませんが、仮にAさんが金銭を奪っていなくとも、金銭を奪うために用いた暴行によって相手方を怪我をさせたのであれば、刑法243条が定める未遂罪は成立することはなく、強盗致傷罪の既遂が成立することになります。
強盗致傷罪の法定刑は、無期又は6年以上の懲役刑で、罰金刑が定められておらず、最も軽い刑で6年の懲役刑となっていますので、様々な犯罪について規定する刑法の中において、科される刑罰が大変重い犯罪です。
【強盗致傷罪で起訴された場合】
強盗致傷罪が起訴されると次に示すように通常の公判手続とは異なる点があります。
まず、強盗致傷罪のように法定刑で無期懲役が定められている事件が起訴された場合、その事件は、裁判員裁判の対象になります。
裁判員裁判制度は、職業裁判官と一緒に、国民の中から抽選で選ばれた人が裁判員として裁判に参加して、有罪・無罪の判断、有罪の場合の量刑をどうするかを決める裁判制度です。
裁判員裁判制度においては、量刑を判断にあたっては国民感情が反映されることになりますので、職業裁判官のみによって行われる通常の裁判に比べて、量刑が重くなる傾向があると言われています。
また、裁判員裁判の対象となる事件については、公判が開かれる前に公判前整理手続と呼ばれる手続が行われることになります。
公判前整理手続は、第1回公判期日の前に、裁判所、検察官、弁護人が事件の争点を明確にして、証拠の整理を行い、これからどのように審理を進めていくかという審理計画を作成することを目的とする手続ですが、審理計画の作成に時間がかかってしまい、結果として公判が長引いてしまうおそれがあります。
【強盗致傷罪の弁護活動】
このように強盗致傷罪は法定刑が重く重大な犯罪ですが、被害者に対する示談の有無によって、刑事処罰の可能性を低くする可能性が残されています。
事件を起訴するか否かを決定する権限は検察官にあり、検察官が事件を起訴するか否かの判断をするにあたっては、被害に遭われてしまった方の処罰感情を重視する傾向にあります。
そのため、検察官が起訴不起訴の判断を下すまでに、被害に遭われてしまった方に対して謝罪と被害の回復を行い、示談を締結することができれば、軽い処分となる可能性を高めることができます。
【軽い処分を目指したい方は】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱っている事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、被害者の方との示談交渉により、示談を締結することができ、強盗致傷罪から窃盗罪と傷害罪の2罪に分離させた結果、不起訴処分を獲得した経験のある弁護士が在籍しております。
強盗致傷罪を起こしてしまいお困りの方、強盗致傷罪について少しでも軽い処分を目指したい方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度御相談下さい。
【報道解説】従業員を決闘させて決闘罪で逮捕
【報道解説】
従業員を決闘させて決闘罪で逮捕 従業員に決闘をさせたとして決闘罪で逮捕された希少な刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【報道紹介】
「ガールズバーで働く女性従業員と元従業員を決闘させたとして、埼玉県大宮警察署は17日、さいたま市大宮区の飲食店経営者、A(30)を決闘罪の疑いで逮捕しました。 発表によると、Aは、8月3日午後11時35分頃、さいたま市大宮区の飲食店前の歩道において、同飲食店で働く10歳代の従業員と元従業員の女性2人に対し、『お前らタイマン(決闘)して白黒つけろ』と命じ、実際に殴り合いをさせた疑い。 1人は顔や頭に打撲のけがを負った。 同署は女性2人も同容疑で調べている。」
(令和4年11月18日に読売新聞オンラインで配信された報道より、一部事実を変更しています)
【決闘をしたり決闘に関与したらどのような罪になる?】
今回取り上げた報道では、逮捕された男性は女性2人に決闘をさせた疑いがあるとのことです。 決闘については、明治22年に定められた法律である「明治二十二年法律第三十四号(決闘罪ニ関スル件)」という6つ条文からなる法律が刑事罰をもって規定しています。
この決闘罪ニ関スル件によれば、決闘については次の4つの場合に罰則が科されることになります。
①決闘を挑んだ人、決闘の挑戦に応じた人は6カ月以上2年以下の懲役(1条)
②決闘を行った人は2年以上5年以下の懲役(2条)
③決闘の立ち合いをした人や決闘の立ち合いを約束した人は1ヶ月以上1年以下の懲役(4条1項)
④決闘が行われることを知ったうえで決闘の場所を貸与・提供した人は1ヶ月以上1年以下の懲役(4条2項)
今回取り上げた報道では、女性たちが決闘をした場所が逮捕された男性が経営する飲食店内であったことが読み取れますので、決闘が行われることを知って場所を提供したとして、決闘罪ニ関スル件4条2項に違反した可能性が考えられるでしょう。
【「決闘」とは?】
このように決闘を行った場合や決闘に関与した場合には刑事罰が科されることになるのですが、そもそも「決闘」とはどのような行為を言うのでしょうか。 「決闘」の定義については、残念ながら法律上定められていません。 ただ、過去の最高裁裁判所の判例には「決闘」を「当事者間の合意により相互に身体又は生命を害すべき暴行をもつて争闘する行為」と定義したものがあります(最高裁判所昭和26年3月16日判決)。
【決闘をして相手を怪我させたり殺してしまったら?】
取り上げた報道では、実際に決闘を行った女性2人のうち1人が顔や頭に打撲の怪我を負っているとのことです。 こうして決闘によって相手を怪我させた場合には、別途刑法204条の傷害罪が成立することになりますが、決闘罪ニ関スル件3条によってこの傷害罪と決闘に関する罪のうち刑罰が重い方で処罰されることになります。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっていますので、決闘の相手を怪我させた場合はより重い傷害罪で処罰されることになるでしょう。 また、仮に決闘相手を死亡させた場合には、殺意がなければ刑法205条の傷害致死罪が、殺意があれば刑法199条の殺人罪が成立すると考えられます。傷害致死罪の法定刑は3年以上の有期懲役刑で、殺人罪の法定刑は死刑又は無期若しくは5年以上の懲役刑となっていますので、決闘の相手を死亡させた場合には傷害致死罪や殺人罪として処罰されることになると考えられます。
【決闘に関して警察の捜査を受けてお困りの方は】
決闘に関して警察の捜査を受けられている方は、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。 弁護士に相談することで、そもそも決闘に関してどのような罪が成立するのか、決闘に関する罪以外にも成立する犯罪がないのか、複数の罪の成立が考えられる場合にはどのような罰が科される可能性があるのかといった事件の見通しなどについて説明を受けることができますので、今後に備えてどのような対応を取ればよいのかといったことを知ることができるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 決闘の疑いで警察に捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【事例解説】建造物損壊罪で被害届
【事例解説】
建造物損壊罪で被害届 泥酔状態で他人の家の玄関扉を破壊したことにより、建物の所有者に建造物損壊罪で被害届を出された事例における刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例紹介】
「Aさんは深夜に、泥酔状態でVさんの家を自分の家だと思い込んでしまい、Vさんの家に入り込もうとしました。 しかし、Vさんの家の玄関扉は鍵がかかって開かなかったため、AさんはイライラしてVさんの家の玄関扉を蹴ったり、そばに落ちていた石で叩いたりするなどして、玄関扉を大きくへこませた後に、その場から立ち去りました。 その後、様子を見に来たVさんが、家の玄関扉に大きなへこみができているのを見て警察に被害届を提出しました。 被害届をきっかけに捜査を開始した警察は、Aさんが玄関扉をへこませたことが分かり、Aさんに『事情を聴きたいから一度署まで来てくれ』との連絡をしました。」
(この事例はフィクションです)
【建造物損壊罪とは】
他人の物を勝手に壊してしまうと器物損壊罪という犯罪が成立する可能性がありますが、建物の一部を損壊してしまうと器物損壊罪ではなく、建造物損壊罪という犯罪が成立する可能性があります。 建造物損壊罪が成立するためには、他人の「建造物」を「損壊」させる事が必要になります。 ここでいう「建造物」とは、家屋その他これに類似する建築物のことをいい、屋根があって壁または柱で支えられており、土地に定着して、少なくともその内部に人が出入りできるものをいいます。
「建造物」に当たるものとしては、天井板や敷居、屋根瓦、そして今回取り上げた事例のような住居の玄関扉があります。 このような「建造物」を、物理的にその全部または一部を破壊するか、その建造物の本来の効用を失わせる行為をすると「損壊」したと評価されることになり、建造物損壊罪が成立することになります。
事例のように、玄関扉を大きくへこませる行為は、物理的に建造物の一部を破壊したと言えるでしょうから、Aさんは建造物損壊罪が成立する可能性が高いと考えられます。 なお、事例とは異なって、Aさんが破壊したものが、Vさんの家の取り外し可能な窓ガラスであった場合は、「建造物」を「損壊」したとはいえないので、器物損壊罪が成立することになると考えられます。
【建造物損壊罪で被害届を出されてしまってお困りの方は】
事例のように玄関扉をへこませると建造物損壊罪が成立する可能性が高いですが、建造物損壊罪の法定刑は5年以下の懲役刑となっていて、罰金刑が定められていないので、建造物侵入罪として検察官に事件を起訴された場合は、かならず公開の裁判が開かれることになります。 これは、法定刑が3年以下の懲役または30万円以下の罰金若しくは科料となっている器物損壊罪と比較してみると、器物損壊罪よりも重い犯罪であるということができるでしょう。
法定刑が器物損壊罪よりも重い建造物損壊罪ですが、事件を起こしたからと言って、必ず起訴されるというわけではありません。 被害者の方に謝罪の意思を示し、被害弁償を行うことで、事件について真摯に反省していることを示すことが出来れば、不起訴処分となる可能性も十分考えられます。 このような示談交渉については弁護士に依頼するのが良いでしょう。 そのため、建造物損壊事件を起こしてしまい、警察の捜査を受けられているという方は、いち早く弁護士に相談して、今後の事件の見通しや、示談が可能か、示談金はいくらぐらいなのかということについてアドバイスを得られることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 建造物損壊事件を起こして警察の捜査を受けてお困りの方、被害者の方との示談をお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】中学校内の暴力で少年が暴行罪で逮捕
【報道解説】
中学校内の暴力で少年が暴行罪で逮捕 中学校で同学年の生徒を抱きかかえて3階の窓から体を外に出したとして、暴行罪の疑いで14歳の中学生が逮捕された刑事事件・少年事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「埼玉県熊谷市の中学校で、同学年の生徒を抱きかかえたまま、体を校舎3階の窓から外に出す暴行を加えたとして、市内に住む14歳の少年が逮捕されました。 警察によりますと男子中学生は、市内の中学校で、校舎3階にあるトイレの窓から、同級生の男子中学生を抱きかかえたまま体を外に出す暴行を加えた疑いが持たれています。 窓は地上からの高さがおよそ8mでした。 被害を受けた生徒の保護者から相談を受けた警察が、学校や目撃した別の生徒の話を聞くなどして、男子中学生を逮捕しました。 調べに対し男子中学生は『窓の外に出したりしていない』と話しているということです。」
(令和4年11月29日にRCC中国放送より配信された報道より、事実を一部変更しています)
【中学生が暴行罪で逮捕?】
今回取り上げた報道では、学校内で起きた事件で14歳の男子中学生が暴行の疑いで逮捕されています。 確かに、人を抱きかかえるという行為は人の身体に対する有形力の行使として刑法208条の暴行罪に当たる可能性がある行為ですが、単に生徒同士でふざけ合っていただけではないのかと思われた方がいるかと思います。
確かに、学校内で生徒同士がふざけ合っていただけなら警察が逮捕に踏み出す可能性は低いですが、今回の事件では人を抱きかかえただけではなく、抱きかかえて地上から8メートルにある3階の窓から身体を外に出した疑いがあるとのことです。 仮に地上8メートルの3階から人が落ちた場合、落ちた人が死亡する可能性がありますので、本当に落とそうとしたのであれば、人を抱きかかえて窓から体を外に出す行為は殺人未遂に当たり得る行為になります。 殺人未遂となれば重大事件になります。
報道では、警察が14歳の男子中学生を逮捕する前に学校や事件を目撃した生徒に話を聞いていたとのことですので、警察としてはこうした逮捕前の捜査によって単に中学生がふざけ合ったのではないと判断して、更なる事案の解明のために、まずは逮捕が確実に認められるであろう暴行罪で14歳の男子中学生を逮捕したものと考えられます。
【14歳の中学生が逮捕されると今後どうなるのか?】
14歳の中学生が犯罪に当たる行為をしてしまうと少年事件として取り扱われることになります。 少年事件の場合は、通常の刑事事件のように検察官が事件を起訴するかどうかを決定するのではなく、全ての事件が家庭裁判所に送られることになり、家庭裁判所が刑罰の代わりに最終的な少年の処遇を決定することが原則となります。
このように少年事件の場合は通常の刑事事件とは異なる手続きとなりますが、事件が家庭裁判所に送致される前の捜査段階においては14歳の中学生の場合であっても基本的に通常の刑事事件と同じになりますので、逮捕された少年がすぐに帰宅することができない場合があります。 まず、14歳の中学生であっても、検察官は一定の条件のもとに逮捕後72時間以内に勾留請求をすることができます。 検察官の勾留請求が裁判官に認められると、少年の身柄は原則として10日間、延長すると最長20日間にわたって、警察署の留置施設などに拘束されることになります。 これに加えて少年事件の場合は、勾留の代わりに観護措置という手段(「勾留に代わる観護措置」といいます。)によって、逮捕後も少年の身柄が拘束されることがあります。
「観護措置」とは、事件が家庭裁判所に送られた後に家庭裁判所が事件や少年について調査するために行うことをいい、①在宅で家庭裁判所調査官の観護に付すものと②少年を都道府県に設置されている少年鑑別所で拘束するものの2つがありますが、②の少年鑑別所で少年の身柄を拘束するものが大多数です。 「勾留に代わる観護措置」とは、文字通り、この観護措置を勾留の代わりに行って、逮捕した少年の身柄を鑑別所で拘束することを言います。 勾留に代わる観護措置の期間は、検察官が勾留に代わる観護措置の請求を出した日から10日間で、勾留の場合と異なって延長することができません。
以上は、事件が家庭裁判所に送致される前の話ですが、事件が家庭裁判所に送致されてからも、さきほども登場した観護措置によって少年の身柄が鑑別所に拘束される場合があります。 この観護措置の期間は原則として2週間ですが、期間を継続する必要があれば1回に限り更新することができますので、4週間にわたって身柄が拘束されることになります。
また、例外として死刑、懲役又は禁錮に当たる事件で、犯行の動機、態様及び結果その他の当該犯罪に密接に関連する重要な事実といった非行事実の認定に関して証人尋問・鑑定・検証を行うことを決定したものや、既に証人尋問・鑑定・検証を行ったたものについて、少年を収容しなければ審判に著しい支障が生じるおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある場合は、観護措置の期間を更に2回更新することができます。
そのため、例えば少年が自分はやっていないと事件を否認しているときなどは最大で8週間の観護措置が取られる場合があり得ます。 このように14歳の中学生のお子さんが逮捕されたという場合は、長期間にわたって身柄が拘束されるおそれがあります。 長期間身柄が拘束されるとお子さんの学校生活への影響が大きく、将来に不利益となる可能性もあり得ますので、中学生のお子さんが逮捕されたということを知った場合は、いち早く弁護士に依頼されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 お子さんが警察に暴行罪などの暴力犯罪で刑事事件化または逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
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