Archive for the ‘刑事事件’ Category

【事例解説】窃盗罪に近い器物損壊罪の逮捕事案

2023-05-03

【事例解説】窃盗罪に近い器物損壊罪の逮捕事案

埼玉県春日部市の窃盗罪に類似した器物損壊事件ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【事例紹介】

「埼玉県春日部市にある会社で働くAさんは、職場の同僚Vさんから嫌がらせを受けていました。
ある日、仕返しをしようと思ったAさんは、Vさんがデスクの引き出しに保管している私物を自宅に持ち帰ってごみとして捨てました。
その後も何回かVさんの私物を持ち出して処分し続けたため、不審に思ったVさんがデスク周りに小型の隠しカメラを設置すると、Aさんが私物を持っていく様子が記録されていたので、Vさんは埼玉県警春日部署に被害届を提出しました。
その後、Aさんは春日部署の警察官に逮捕されました。」
(この事例はフィクションです)

【嫌がらせの仕返し目的で相手の私物を持ち去ると窃盗罪?】

相手の物を勝手に持ち去って処分してしまうとどのような罪に問われるのでしょうか。
刑法235条の窃盗罪が成立するのではないかと思われる方が多いかと思いますが、窃盗罪が成立するためには、相手の私物を持っていく際に、その人に「不法領得の意思」という意思があることが必要になります。
不法領得の意思とは、権利者を排除して他人の物を自己の所有物とし、その経済的用法に従って使用し処分する意思のことをいいますが、前者の権利者を排除して他人の物を自己の所有物とする意思のことを権利者排除意思、後者の他人の物を経済的用法に従って使用し処分する意思のことを利用処分意思といいます。

事例のAさんは、持ち去ったVさんの私物を転売して利益を得ようというわけではなく、単に、Vさんの私物がなくなればVさんが困るだろうという嫌がらせ目的でVさんの私物を持ち去っています。
このような場合には、Vさんは不法領得の意思のなかの利用処分意思が欠けているということになって窃盗罪が成立しない可能性が高いです。

【利用処分意思がないと判断した判例】

利用処分意思がないとして窃盗罪が成立しないと判断されることが本当にあるのかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、実際に、利用処分意思がないとして窃盗罪の成立を否定した判例があります。
今回取り上げた事例とは事件内容が異なりますが、学校の校長に恨みを持っていた教員が、校長を失脚させる目的で校長が管理していた教育勅語を持ち出して隠した事件で、大審院(現在の最高裁判所に相当します)は教員には利用処分意思がないとして窃盗罪は成立しないと判断しました(大審院大正4年5月21日判決)。
この判例は大正時代の判例ではありますが、現在でも利用処分意思を否定した判例として意義のある判例と考えられています。

【嫌がらせの仕返し目的で相手の私物を持ち去って捨てるとどのような罪になる?】

Aさんに窃盗罪が成立しないと考えられる場合に、Aさんは何の罪にも問われることがないのかというと、そうではありません。
Aさんは、Vさんの私物を持ち出して最終的にごみとして処分していますので、刑法261条の器物損壊罪が成立する可能性があります。
器物損壊罪の法定刑は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料となっています。

なお、事例ではAさんが持ち出して処分したものはVさんの「私物」となっていますが、Aさんが持ち出して捨てたものが書類であった場合は、その書類の種類次第で、器物損壊罪ではなく、刑法258条が規定する公用文書等毀棄罪や、刑法259条が規定する私用文書等毀棄罪が成立する可能性もあります。
公用文書等毀棄罪の法定刑は3か月以上7年以下の懲役刑となっており、私用文書等毀棄罪の法定刑は5年以下の懲役刑となっています。

【ご家族が逮捕されてお困りの方は】

ご家族が逮捕されてお困りの方は、弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
突然、警察に身柄を拘束されて自由に家族と話すこともできない状況になったご本人様にとっては、弁護士によるサポートが必要になるでしょう。
弁護士が接見に行くことで、ご本人様に事件の見通しや今後の手続きの流れ等の説明をすることができますので、ご本人様の不安に思う気持ちを和らげることが期待できるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が逮捕されてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

【事例解説】認知症高齢者による窃盗事件

2023-04-29

【事例解説】認知症高齢者による窃盗事件

埼玉県草加市の認知症高齢者による窃盗事件ついて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【事例紹介】

「埼玉県草加市に住むAさん(80代)は、近所のスーパーマーケットで数点の食料品を商品棚から直接自分のカバンに入れ、商品をレジに通さないで店の外に出たところ、店員に見つかって、警察に通報されました。
Aさんは、通報により駆けつけた埼玉県警草加警察署の警察官によって、窃盗罪で現行犯逮捕されました。
Aさんの息子であるBさんは、警察からの連絡でAさんが窃盗で逮捕されていることを知りました。
Bさんは、Aさんが過去に認知症の診断を受けた経験があることから、Aさんのためにいち早く弁護士に対応を依頼したいと考えています。」
(この事例はフィクションです)

【認知症高齢者でも逮捕される?】

万引きは刑法235条に規定されている窃盗罪に該当します。
仮に、スーパーでの万引き行為が窃盗罪として起訴されて有罪となってしまうと、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑が科される可能性があります。

ところで、事例のAさんは認知症を患っています。
認知症とは、脳の病気や障害などの原因によって、記憶力や思考力、判断力などの認知機能が低下して日常生活に支障をきたす状態のことを言いますが、そのような認知機能が低下した人が窃盗にあたる行為をしたときは、犯罪にならないのだから警察に逮捕されることはないと思われる方がいらっしゃるかもしれません。

たしかに刑法39条1項では、「心神喪失者の行為は、罰しない」と規定し、同条2項では、「心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する」と規定しています。
「心神喪失者」とは、精神の障害によって、物事の良い悪いを判断する能力や、物事の良い悪いを判断して行動する能力がない状態の人のことをいい、「心神耗弱者」とは、精神の障害によって、物事の良い悪いを判断する能力や、物事の良い悪いを判断して行動する能力が著しく減退した状態のことをいいます。

そのため、認知症の高齢者の方が窃盗をした場合に心神喪失者であると判断されれば、窃盗罪が成立しないことになりますし、心神喪失とまではいかなくても心神耗弱者であると判断されれば、その刑が減刑されることになります。
ただ、警察が通報によって駆け付けた現場で、窃盗をした疑いがある高齢者の方が認知症で心神喪失者や心神耗弱者であると即断することはできませんから、認知症を患っている高齢者の方であっても、逮捕される可能性は十分にあり得ます。

【認知症の方が警察に逮捕されたことを知ったら?】

認知症のご高齢の方が警察に逮捕されたことを知った場合、いち早く弁護士に初回接見に行ってもらいましょう。
逮捕された認知症のご高齢の方のご家族様にとっては、やはり逮捕された方の健康を一番心配するところだと思います。

いちはやく警察署の留置施設から身柄が解放してもらって自宅で生活することを望まれる場合は、初回接見をきっかけに事件の概要を知ることが出来た弁護士にそのまま依頼して、身柄解放のための弁護活動を取ってもらうことをお勧めします。
ご家族様が、逮捕された認知症のご高齢の方をしっかりと監督できるということを弁護士の交渉によって検察官や裁判官に分かってもらうことができれば、逮捕後早期に身柄を解放してもらうことが可能な場合があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県草加市で認知症のご高齢の方が窃盗の疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

【報道解説】盗撮者が被害者に捕まって逮捕

2023-04-27

【報道解説】盗撮者が被害者に捕まって逮捕

盗撮の被害者の方に捕まってそのまま警察に逮捕されたケースについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「3月2日午前、札幌市南区の路上で、盗撮をしようと10代の女性のスカートの中にスマートフォンを向けたとして、21歳の大学生の男が逮捕されました。
北海道迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されたのは、札幌市南区澄川に住む21歳の大学生の男です。
男は、2日午前9時半ごろ、札幌市南区澄川4条6丁目の路上で、10代の女性に後ろから近づき、スカートの中にスマートフォンを向けて撮影しようとした疑いが持たれています。
被害に遭った女性から、警察に『盗撮犯を捕まえた』と通報があり、男は駆け付けた警察官にその場で逮捕されました。
取り調べに対し、男は『女性の下着を撮影したかった』などと話し、容疑を認めているということです。」
(令和5年3月4日にHBC北海道放送で配信された報道より引用)

【北海道の盗撮の罪】

現在、盗撮行為は各都道府県が定める迷惑行為防止条例が適用されて罰則の対象になっています。
そのため、地域ごとに、罰則の対象になる盗撮行為や刑罰の重さも異なってきます。

取り上げた報道のように北海道の公共の場所でスカートの中の下着を盗撮するといった行為は、北海道迷惑行為防止条例2条の2第2号アに違反することになると考えられます。
こうした盗撮行為をすると、北海道迷惑行為防止条例11条1項によって、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、仮に常習的に盗撮行為を行っていた場合には、北海道迷惑行為防止条例11条2項によって、より重い1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。

【お子様が盗撮で警察に逮捕されてしまったら?】

警察から、お子様を盗撮の疑いで逮捕したと連絡があったら、いち早く弁護士に初回接見に行ってもらうよう依頼されることをお勧めします。
この初回接見では、弁護士がお子様が留置されている警察署に出向くことで、逮捕されたお子様から直接、盗撮事件についてお話を伺うことができますので、事件の見通しや今後の流れなどについて知ることができるでしょう。
そして、初回接見をきっかけに弁護士に盗撮事件の弁護活動を依頼されることで、逮捕されたお子さんの早期の身柄解放や、被害者の方との示談交渉といった早期の事件解決のための弁護活動を取ることが可能になるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が盗撮の疑いで警察に逮捕されてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】大麻栽培で逮捕・勾留・接見禁止

2023-04-25

【事例解説】大麻栽培で逮捕・勾留・接見禁止

埼玉県戸田市の大麻栽培事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【事例紹介】

「Aさんは、埼玉県戸田市にある自宅の2階で大麻草を栽培しており、栽培した大麻草を販売して生計を立てていました。
ある日、Aさんから大麻草を購入したBさんが大麻の所持で逮捕されたことをきっかけに、埼玉県警蕨警察署の警察官がAさんの自宅に令状をもって現れて、Aさんの家の中を捜索した上でAさんを逮捕しました。
Aさんは、逮捕後、勾留されることが決まりましたが、勾留決定の際に一緒に接見等禁止決定が付いてしまいました。」
(この事例はフィクションです)

【営利目的の大麻栽培の罪】

大麻取締法では、大麻について所持していたり、譲り渡したり、逆に譲り受けたりといった、大麻に関係する様々な行為を規制の対象にしています。
このような大麻取締法で規制される行為のひとつには大麻を栽培した場合も含まれています。

具体的な規定を見てみますと、大麻取締法24条1項では、「大麻を、みだりに、栽培し…た者は、7年以下の懲役に処する」と規定し、その次にある大麻取締法24条2項では、「営利の目的で前項の罪を犯した者は、10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役及び300百万円以下の罰金に処する」と規定されています。

事例のAさんは大麻草を売ることで生計を立てていますので、大麻取締法24条2項の営利目的による大麻栽培の罪に当たる可能性が高いと考えられます。

【接見等禁止決定とは?】

Aさんは逮捕後に勾留が決まっています。
逮捕されてから勾留が決まると、そのまま身柄が留置場で拘束されることになります。
勾留によって身柄が拘束される場合は、弁護人以外の家族の方とも留置施設で面会できるのが原則です。

ただ、裁判官が勾留を決定するにあたって、被疑者が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると判断した場合は、被疑者が弁護人以外の人と面会することをを禁止したり、弁護人以外の人と手紙のやり取りをすることを制限することができます(刑事訴訟法81条)。
このような制限を、一般的に接見等禁止と呼びます。
接見等禁止決定は、共犯者がいるような犯罪や組織的な犯罪に付くことが多いです。

【接見等禁止決定が付されている家族と面会したい方は】

事例のAさんのように接見等禁止決定が付されて長期間にわたって面会できないという状況は、身柄を拘束されているご本人様や、身柄が拘束されている被疑者のご家族様にとって、大変重い苦痛であると思います。
そのため、接見等禁止決定が付されて大麻取締法違反の疑いで勾留されているご家族の方と面会できずにお困りの方は、弁護士に依頼されることをお勧めします。

接見等禁止決定が付されている場合、弁護士は、接見等禁止決定の全部または一部を解除するように裁判官に申立てることができます。
このような接見等禁止決定の全部または一部の解除決定は、刑事訴訟法上に具体的な規定が置かれているわけではありませんが、弁護士が裁判官に働きかけて、裁判官の職権の発動を促すという形になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県戸田市で大麻取締法違反の疑いで勾留されているご家族の方と面会できずにお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

【報道解説】ひったくりの窃盗事件で逮捕

2023-04-17

【報道解説】ひったくりの窃盗事件で逮捕

埼玉県さいたま市浦和区で起きたひったくり事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】

「埼玉県警浦和署は11日、窃盗の疑いで住居不定無職の男(48)を逮捕した。
逮捕容疑は8日午後4時11分ごろ、さいたま市南区文蔵3丁目の路上で、徒歩で通行中の女性(54)の後方から自転車で近づき、追い抜きざまに現金2万円などが入った女性の手提げバッグを奪った疑い。
女性にけがはなかった。」
(令和5年2月15日で埼玉新聞で配信された報道より一部抜粋して引用)

【ひったくりはどのような罪に問われる?】

隙をついて被害者の方が持っているバッグや財布と言った金目の物を奪い去る行為を「ひったくり」と言います。

ひったくりをすると、基本的に刑法235条の窃盗罪が成立ますが、被害者の方からバッグなどを持ち去る際に、暴力を用いたり、被害者の方に怪我を負わせてしまったりした場合は、窃盗罪に加えて刑法208条の暴行罪や刑法204条の傷害罪が併せて成立する場合もあります。
窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金で、暴行罪の法定刑は2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料、傷害罪の法定刑は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑となっています。

ただ、具体的な状況によっては、ひったくり行為が更に重い罪が成立する場合があります。
例えば、路上にいた被害者の方が持っていたバッグを後ろからスクーターで近付いて奪い去るというひったくり行為の際に、被害者の方がバッグを奪われまいと抵抗した場合にバッグごと被害者の肩を引きずった上でバッグを奪い去ったというようなひったくりの場合は、相手方の反抗を抑圧する程度の暴行を加えてバッグを奪ったとして刑法236条1項の強盗罪が成立する可能性が高いです。

また、強盗の際に相手に怪我を負わせた場合には刑法240条の強盗致傷罪が、死亡させた場合には同じく刑法240条の強盗致死罪が成立することになります。
強盗罪の法定刑は5年以上の有期懲役で、強盗致傷罪の法定刑は無期又は6年以上の懲役で、強盗致死罪の法定刑は死刑又は無期懲役となっています。

【ひったくりの疑いでご家族が警察に逮捕されてお困りの方は】

ご家族がひったくり事件の容疑者として浦和署に逮捕されたということを知った場合は、いち早く弁護士に初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
ひったくり事件の場合、先ほど説明したように、具体的にどのようなひったくり行為をしたのかということで成立する犯罪が異なります。

また、仮に、ひったくり行為が強盗致傷罪や強盗致死罪として起訴された場合は、その裁判は裁判員裁判の対象になりますし、裁判員裁判の公判が開かれる前には公判前整理手続という手続が開かれることになりますので、通常の刑事裁判とは異なる流れで裁判が開かれることになります。

初回接見を依頼されることで、初回接見に向かった弁護士から直接、浦和署に逮捕されたご家族がどのような罪に問われる可能性があるのか、今後どのような手続きで事件が処理されていくのかといったことについて説明を受けることができますので、今後の見通しを立てることができるようになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県さいたま市浦和区で、ご家族がひったくり事件を起こして浦和署に逮捕されてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

【報道解説】保育士が園児に暴行して書類送検

2023-04-13

【報道解説】保育士が園児に暴行して書類送検

保育士が園児に暴行を働いた疑いで警察から検察へと書類送検された事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「去年、千葉県松戸市の認可保育所で、園児の頭を叩くなどの暴行を加えたとして、当時保育士だった女性2人が書類送検されました。
去年10月、園内で30歳の女性は当時1歳の男の子の頭を手で叩き、31歳の女性は当時2歳の男の子の右手を引っ張り、頭をおもちゃのふたで叩くなどの暴行を加えた疑いがもたれています。
31歳の女性は容疑を認め、30歳の女性は容疑を否認しているということですが、警察は起訴を求める『厳重処分』の意見を付けて書類送検しました。」
(令和5年2月10日にTBSNEWSDIGで配信された報道より一部抜粋して引用)

【暴行罪は軽い犯罪?】

今回取り上げた報道は、当時保育士であった女性が園児に対する暴行の疑いで検察に書類送検されたというものです。

刑法208条に規定されている暴行罪が成立するためには、「暴行」をする必要がありますが、「暴行」とは人の身体に対する不法な有形力の行使と定義されています。
分かりづらい定義かと思いますが、人の身体に向けて物理的に攻撃をした場合は「暴行」に当たることになります。
そのため、人の手を引っ張ったり、人の頭を叩くといった行為をした場合は暴行罪として罪に問われる可能性があります。

暴行罪と聞くと大したことのない刑が軽い犯罪だと思われるかもしれませんが、暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっています(「拘留」とは1日以上30日未満の期間、刑事施設に収容する刑罰のことを言い、「科料」とは1000円以上1万円未満の金銭の納付を命じる刑罰のことを言います。)。
法定刑に懲役刑が定められていますので、捜査の段階で暴行の事実について認めている場合でも、事件の具体的な状況次第によっては、検察官によって起訴されて正式な刑事裁判が開かれてしまうということもあり得ます。

【前科が付くと保育士になることができない?】

報道では、事件当時保育士であった被疑者2名が書類送検されたということですが、書類送検とは、警察での捜査の結果をまとめた書類を検察に送ることを意味しています。
捜査書類を受け取った検察官は、被疑者を暴行罪として起訴するかどうかの判断をすることになります。

ところで、保育士資格には、児童福祉法のなかで保育士になることができない一定の場合が定められています。
具体的な条文を挙げて説明しますと、児童福祉法18条の5柱書では、「次の各号のいずれかに該当する者は、保育士となることができない。」と規定して、保育士になることができない場合として、第1号から第5号までの5つの場合を規定してます。

そして、5つの場合のひとつである第2号では「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者」と規定しています。
この児童福祉法18条の5第2号によれば、刑事裁判の結果、執行猶予が付かずに懲役刑や禁固刑となった者であれば刑の満了から2年間は保育士にになることができませんし、また、執行猶予付きの判決であった場合でも執行猶予の期間満了から2年間は保育士になることができないことになります。

【暴行罪で前科を付けたくないとお考えの方は】

先ほども説明した通り、暴行罪の法定刑には懲役刑が定められていますので、事件によっては、暴行罪で起訴されて刑事裁判が開かれた結果として執行猶予付きの有罪判決となった場合、執行猶予の期間が満了してから2年の間は保育士になることができません。

このように、国家資格の中には前科が付くとその効力を失うものがありますから、暴行事件といった刑事事件を起こしたことで前科がついて仕事ができなくなるといったことを避けたいとお考えの方は、いち早く弁護士に刑事弁護活動の依頼をされることをお勧めします。
弁護士に依頼することで、弁護士は、前科が付くことを回避するために検察官に起訴を猶予してもらうように交渉をしたり、仮に起訴されて裁判で有罪となったとしても仕事への影響がないような判決を求めるといったことができるようになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
暴行罪で前科が付くことを避けたいとお考えの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】死亡事故を起こして現行犯逮捕

2023-04-09

【報道解説】死亡事故を起こして現行犯逮捕

埼玉県坂戸市で起きた死亡事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】

「11日午後6時半ごろ、坂戸市中小坂の県道片柳川越線で、軽乗用車が歩行者の同市石井、無職の女性(81)をはねた。
女性は病院に運ばれたが、頭を強く打って約1時間後に死亡。
西入間署は同日、自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で、軽乗用車を運転していた川越市下広谷、会社員の女(36)を現行犯逮捕した。」
(令和5年2月15日に埼玉新聞で配信された報道より一部抜粋して引用)

【自動車で人を跳ねるとどのような罪に問われる?】

自動車を運転中に、脇見をしてしまったり、ハンドル操作を誤ってしまったりのように自動車の運転上必要な注意を怠ったことで人を跳ねてしまうと、自動車運転処罰法(自動車運転死傷行為処罰法)5条が規定する過失運転致死傷罪が成立することになるでしょう。

過失運転致死傷罪には、跳ねた人に怪我を負わせてしまった場合の過失運転致傷罪と、跳ねた人を死亡させてしまった場合の過失運転致死罪の2つの場合があり、それぞれ、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。
ただ、過失運転致傷罪の場合は、例外的に、被害者の方の怪我の程度が軽い場合は情状によって刑を免除することができます(自動車運転処罰法5条但書)。

取り上げた報道では、軽乗用車を運転した女性が過失運転致傷罪の疑いで西入間署に現行犯逮捕されていますが、これは事後直後の段階では被害者の方の安否が不明であったため、ひとまず罪の成立が明らかな過失運転致傷罪の疑いで現行犯逮捕したものと考えられます。
ただ、残念ながら、その後被害者の方は亡くなられてしまったため、今後は過失運転致死罪の疑いで捜査が進められることになることになるでしょう。

【人をはねたときに無免許運転だった場合は?】

ちなみに、今回取り上げた報道には関係がありませんが、過失運転致死傷罪を犯したときに運転者が無免許運転であった場合は、より重い刑が科される可能性があります。
まず、無免許運転それ自体が道路交通法117条の2の2第1号によって3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性がある行為になります。
また、過失運転致死傷罪を犯したときに運転者が無免許運転であった場合は、先ほど説明した過失運転致死罪の法定刑は、自動車運転処罰法6条4項によって引き上げられて、10年以下の懲役刑となっています。

【自動車で人身事故を起こしてしまった場合は】

自動車で人身事故を起こしてしまって、過失運転致傷罪や過失運転致死罪の疑いで警察の捜査を受けられてお困りの方は、まずは弁護士にご相談されることをお勧めします。
よく、交通事故のための保険に加入している方が人身事故を起こした場合、被害者の方との示談等については保険会社の担当者がやってくれるから、自分は何もしなくても良いと思われている方がいらっしゃいますが、保険によってカバーできるのはあくまで民事上の責任の範囲までの場合が多いです。
そのため、人身事故を起こした加害者として過失運転致傷罪や過失運転致死罪の刑事罰に問われる可能性がある場合には、別途刑事事件のための対応をとっていくことが必要になるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は交通事故・事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県坂戸市で人身事故を起こしてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

【報道解説】17歳少年の特殊詐欺の逮捕事件

2023-04-05

【報道解説】17歳少年の特殊詐欺の逮捕事件

埼玉県深谷市で起きた特殊詐欺事件の刑事手続等ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】

「埼玉県警深谷署は7日、詐欺の疑いで、東松山市に住む高校3年の少年(17)を逮捕した。
 逮捕容疑は、氏名不詳の者と共謀し、7日午後0時10分ごろから数回にわたり、深谷市に住む女性(82)方に市役所職員などを名乗り、『後期高齢者保険の還付金がある』『今から職員がキャッシュカードを取りに行く』と電話し、同日午後1時10分ごろ、女性宅でキャッシュカード1枚をだまし取った疑い。
女性の長女が同署に連絡した。
同署によると、市内警戒中に、目撃情報と似ている少年を見つけた。少年は容疑を認めているという。キャッシュカードから現金100万円の引き出しが確認された。」
(令和5年2月9日に埼玉新聞で配信された報道より引用)

【高校生が特殊詐欺で逮捕された場合の身柄拘束】

SNS上では「書類を受け取るだけの簡単なバイト」や「指定された口座から現金を引き出すだけの楽なバイト」などの言葉と共に特殊詐欺の受け子・出し子役の勧誘がなされています。
高校生のお子さんが、簡単にお金が稼げるならと、受け子や出し子として実際に特殊詐欺に関わってしまったがために警察に逮捕されるということは全く珍しいことではありません。

高校生のお子さんが、特殊詐欺の受け子や出し子として、刑法246条1項の詐欺罪や刑法235条の窃盗罪に当たり得る行為をしてしまうと、警察に逮捕されて身柄が拘束されてしまうことになるでしょう。
警察に逮捕されると48時間以内に一度警察から検察へと事件が送致されることになり、事件の送致を受けた検察官は24時間以内に勾留請求をするかどうかの判断を下すことになります。

逮捕した高校生のお子さんの身柄を更に拘束しておくためになされた勾留請求が認められて勾留が決まってしまうと、原則として10日間身柄が拘束されることになりますし、また、勾留期間は最長で10日間延長することができます。
こうした逮捕・勾留は事件ごとに行われることになりますから、特殊詐欺の受け子や出し子を複数件やってしまうと、2回、3回と逮捕・勾留がなされてしまう場合もあり得ます。

こうした逮捕・勾留を経て捜査機関による捜査が終了すると、事件は検察から家庭裁判所へと送られることになります。
家庭裁判所では少年審判を開いて、特殊詐欺の受け子や出し子をした少年の最終的な処遇を決めることになるのですが、少年審判を開く前に、家庭裁判所は観護措置として、事件を起こした少年の身柄を少年鑑別所で収容することができます。
観護措置の期間は原則としては2週間ですが、一度に限って2週間の更新をすることが認められていますので、実務上は、観護措置の期間として4週間がなされることが多いです。

ですので、高校生のお子さんが、特殊詐欺の受け子や出し子として警察に逮捕されると、その後の勾留や観護措置の期間と合わせて2か月間に満たないぐらいの期間にわたって身柄が拘束されてしまう可能性があることになります。

【弁護士に依頼するとどのようなメリットがある?】

高校生のお子さんが、特殊詐欺の受け子や出し子として警察に逮捕されたということを知った場合は、いち早く弁護士に事件について依頼することをお勧めします。
弁護士が逮捕直後に事件に介入することができれば、身柄開放に向けた弁護活動について早期に取り組むことが可能になります。
また、最終的に少年の処遇が決定される少年審判において少年院送致といった重い処遇を回避するためにも、早いタイミングから弁護士が対応をとることが非常に重要になるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県深谷市で未成年のお子様が詐欺の疑いで深谷警察署に逮捕されてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください

【報道解説】交通死亡事故で過失運転致死罪で現行犯逮捕

2023-04-01

【報道解説】交通死亡事故で過失運転致死罪で現行犯逮捕

埼玉県所沢市で起きた交通死亡事故で過失運転致死罪で刑事事件化した例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】

「2日午前6時48分ごろ、埼玉県所沢市所沢新町の県道交差点で、同市山口の会社員の男性(64)が運転するバイクが、右折してきたトラックと衝突。
男性は胸などを強く打ち、搬送先の病院で死亡が確認された。
所沢署はトラックを運転していた東京都あきる野市瀬戸岡の自営業の男(52)を自動車運転処罰法違反(過失致傷)容疑で現行犯逮捕した。」
(令和5年2月3日に埼玉新聞で配信された報道
https://news.yahoo.co.jp/articles/99ebb4a17b0304be9a8d6acaf19dc84e2300a90e
より一部抜粋して引用)

【交通事故で人を負傷・死亡させたら】

今回取り上げた報道では、「自動車運転処罰法違反(過失致傷)」という言葉があります。
「自動車運転処罰法」とは、正式には「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」という名称の法律で、「自動車運転処罰法」の他に、「自動車運転死傷行為処罰法」という略称で呼ばれることがあります。

この自動車運転処罰法の第5条の本文では、
「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。」
と規定されています。

自動車運転処罰法5条の規定のなかで登場する「人を死傷させた」という部分は、これは人を死亡させた場合と人を怪我させた(傷を負わせた)場合のふたつの場合があることを意味しています。
そのため、自動車の運転上必要な注意を怠ったことで人を死亡させた場合は過失運転致死罪として処罰される可能性があり、自動車の運転上必要な注意を怠ったことで人を怪我させた場合には過失運転致傷罪として処罰される可能性があることになります。
ですので、記事の中に登場する「自動車運転処罰法違反(過失致傷)」とは、自動車運転処罰法5条が規定する過失運転致傷罪のことを意味していることになります。

取り上げた報道の男性は、この自動車運転処罰法5条に規定する過失運転致傷罪の疑いで現行犯逮捕されていますが、これは、事故直後の段階では、被害者の方が怪我を負って亡くなっていなかったことから、ひとまず過失運転致傷罪の疑いで現行犯逮捕したものと考えられます。
ただ、逮捕後に、残念ながら被害者の方は搬送先の病院でお亡くなりになられていることから、今後は過失運転致傷罪の疑いで捜査が進められることになるでしょう。

【交通事故でご家族が逮捕されたら】

埼玉県所沢市でご家族が交通事故が原因で所沢署に逮捕されてお困りの方は、まずは弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
初回接見によって、弁護士が直接、所沢署に逮捕されたご家族の方から事故についてお話を聞くことができますで、今後どのように手続が進んでいくのか、予想される刑事罰はどのようなものか、弁護活動としてどのような対応をとることができるのかということについて知ることができるでしょう。

そして、この初回接見をきっかけに、逮捕直後に弁護士に弁護活動を依頼することができれば、身柄の早期解放のための対応をとることが可能になります。
一度警察に逮捕されて長期間にわたって身柄が拘束されてしまいますと、逮捕された方のその後の社会生活に与える影響は大きなものになりますが、弁護士の早期釈保のための弁護活動によって、そうした影響を最小限に抑えることが期待できるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県所沢市で交通事故でご家族が所沢警察署に逮捕されてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

【報道解説】飲酒して酒気帯び運転で事故を起こし逮捕

2023-03-28

【報道解説】飲酒して酒気帯び運転で事故を起こし逮捕

【報道紹介】

埼玉県さいたま市緑区で起きた酒気帯び運転の道路交通法違反の刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

「埼玉県警浦和東署は2日、道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで、さいたま市緑区東浦和8丁目、自称会社員の男(27)を現行犯逮捕した。
逮捕容疑は同日午前3時58分ごろ、同区芝原2丁目の路上で酒気を帯びた状態で乗用車を運転し、前方で信号待ちをしていた男性(19)が運転する軽乗用車に追突した疑い。
『酒を飲んでから運転したのは間違いない』と容疑を認めているという。
同署によると、現場は片側1車線。事故当時、軽乗用車には男性のほか2人が同乗しており、いずれも首の痛みを訴えて救急搬送された。
男の呼気からは1リットル当たり0・4ミリグラムのアルコールが検出された。」
(令和5年2月3日に埼玉新聞で配信された報道より引用)

【飲酒運転をするとどのような罪に問われるのか?】

お酒を飲んだ後に車を運転することを飲酒運転といいますが、道路交通法では飲酒運転をした場合には「酒気帯び運転罪」と「酒酔い運転罪」の2つに分けて規定しています。

酒気帯び運転罪は、酒気を帯びている状態で車両等の運転をした場合において、身体に血液1ミリットルにつき0・3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0・15ミリグラム以上にアルコールを保有する状態にあった場合に成立することになります(道路交通法117条の2の2第3号、道路交通法施行令44条の3)。
そして、酒気帯び運転罪の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。

次に、酒酔い運転罪についてですが、酒酔い運転罪は、酒気を帯びている状態で車両等の運転をした場合において、酒に酔った状態すなわち、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態にあった場合に成立することになります(道路交通法117条の2第1号)。

酒酔い運転罪の成立にあたっては、酒気帯び運転とは異なり、身体に残っていたアルコールの数値について具体的な数値は定められていません。
あくまで「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」にあったかどうかによりますので、例えば、お酒に極端に弱い人であれば、呼気検査の数値が酒気帯び運転の成立に必要な数値より低い場合でもあっても、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態といえるのであれば、酒酔い運転罪が成立することになると考えられます。
こうした酒酔い運転罪の法定刑は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっています。

酒気帯び運転罪と酒酔い運転罪の法定刑を見比べてみると分かりますが、道路交通法では酒酔い運転罪の方が重く処罰されています。

今回取り上げた報道では、現場にかけつけた浦和東署の警察官が、事故を起こした車を運転していた男性の様子と1リットル当たり0・4ミリグラムのアルコールが検出されたという呼気検査の結果から、酒酔い運転ではなく、酒気帯び運転罪の疑いで男性を現行犯逮捕したものと考えられます。

【飲酒運転で人を死傷させてしまうと?】

取り上げた報道では、飲酒運転で追突された車に同乗していた方たちが、首の痛みを訴えて救急搬送されたとのことです。
飲酒運転をした際に、人身事故を起こして人に怪我を負わせたり、人を死亡させたりした場合には、先ほど説明した道路交通法違反(酒気帯び運転罪又は酒酔い運転罪)に加えて自動車運転処罰法による処罰もなされる可能性があります。

例えば、飲酒運転の結果、自動車の運転上必要な注意を怠ってて人を死傷させた場合は、自動車運転処罰法5条に規定されている過失運転致死傷罪が成立する事になります。
過失運転致死罪の法定刑は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金となっています。

また、アルコールの影響によって正常な運転が困難な状態で自動車を走行させて人を死傷させた場合には、上記の過失運転致死傷罪ではなく、過失運転致傷致死傷罪よりも刑が重い自動車運転処罰法2条1号に規定する危険運転致死傷罪が成立することになります。
アルコールの影響によって正常な運転が困難な状態で自動車を走行させて人を怪我させた場合は危険運転致傷罪として15年以下の懲役刑が科される可能性がありますり、人を死亡させた場合には危険運転致死罪として1年以上の有期懲役が科される可能性があります。

【飲酒運転で警察の捜査を受けられている方は】

「飲酒運転をしてしまった」、「飲酒運転で人身事故を起こしてしまった」とひとくちにいっても、具体的な事実関係によって成立する犯罪は異なりますし、複数の犯罪が成立することもあり得ます。
そのため、飲酒運転をして警察の捜査を受けているという方や、飲酒運転で人身事故を起こしてしまったことで前科が付くことを回避したいとお考えの方は、まずは、弁護士に相談して、自身がどのような罪に問われることになるのか、前科が付くことを回避するためにはどのような対応が必要なのかなどについてアドバイスをもらうことをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県さいたま市で飲酒運転について警察の捜査を受けてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

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