Archive for the ‘刑事事件’ Category
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【報道解説】下着窃盗事件の常習犯を逮捕
【報道解説】下着窃盗事件の常習犯を逮捕
下着窃盗事件の刑事処罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道】
派遣社員の男性(47歳)は、令和4年6月5日未明に、東京都江戸川区のアパート1階の女性宅にガラスを割って侵入し、下着など24点、9,000円相当を窃盗した疑いで、警視庁葛西警察署に逮捕された。
男性の自宅からは、女性の下着や服が100点以上押収された。
同じような被害は、この女性宅でこれまでも2件、近くのアパート1階の女性宅で4件確認されていて、警視庁は、男性の犯行とみて調べている。
男性は、2021年11月に同じような窃盗の罪で服役を終えて、出所していた。
(令和4年6月7日に配信された「FNNプライムオンライン」より抜粋)
【下着窃盗事件の刑事処罰とは】
下着窃盗事件を起こした場合には、「他人の財物を盗んだ」として窃盗罪に問われるとともに、「他人の住居に不法侵入した」として住居侵入罪に問われるケースが多いです。
住居や庭に不法侵入した場合には「窃盗罪と住居侵入罪」が成立し、他方で、コインランドリー等に不法侵入して下着窃盗事件を起こした場合には「窃盗罪と建造物侵入罪」が成立すると考えられます。
窃盗罪の刑事処罰の法定刑は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」とされており、住居侵入罪や建造物侵入罪の法定刑は「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」とされています。
下着窃盗事件の場合には、窃盗罪と住居侵入罪とは、手段と目的の関係にある「牽連犯」に当たることから、成立する犯罪のうち、最も重い犯罪の刑である窃盗罪の法定刑で、刑事処罰を受ける形になります。
・刑法 第235条(窃盗)
「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」
・刑法 第130条(住居侵入等)
「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」
【被害者示談交渉による弁護活動】
下着窃盗事件は、被害者の存在する犯罪であるため、弁護士に示談交渉活動を依頼することで、被害者側に対して、謝罪や被害弁償・慰謝料支払いの意思を伝え、被害者からの許しの意思を含む示談を成立させることが、早期釈放や刑事処罰の軽減のための、重要な弁護活動となります。
下着窃盗事件においては、被害者側が加害者に恐怖心を抱いているケースが多く、加害者やその家族が、直接に被害者側との示談交渉を行うことは、原則として認められないことが多いです。
そこで、刑事事件に強い弁護士が示談交渉を仲介することで、弁護士だけに被害者側の連絡先が伝えられる形での示談交渉を進めることを、被害者側に打診することが、下着窃盗事件の示談解決に向けて必要となります。
まずは、下着窃盗事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。
下着窃盗事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
【報道解説】風俗店案内所のトラブルで傷害罪
【報道解説】風俗店案内所のトラブルで傷害罪
風俗店案内所で発生したトラブルが傷害事件へと発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
「東京都在住のAさんは、友人5人と風俗店を利用することになり、東京都町田市の路上で風俗店無料案内所を利用しました。
しかし、希望する条件と合う風俗店を紹介されなかったことに腹を立てたAさんらは、風俗店案内所の店員Vさんに対して、顔を殴るなどの暴行を加えて、重傷を負わせました。
なお、Vさんの怪我は、誰の暴行によって生じたものかはわかりませんでした。
Aさんらは、通報により駆け付けた警視庁町田警察署の警察官に現行犯逮捕されましたが、翌々日には釈放されました。」
(5月26日読売新聞より配信されたニュースを元にしたフィクションです)
【傷害罪はどのような場合に成立するのか】
人の顔を殴る、蹴るなどの行為は刑法208条が定める暴行罪に当たります。
そして、暴行の際に相手方に対して怪我を負わせてやろうという意思で相手方に対して怪我を負わせた場合はもちろんのこと、たとえ相手方に怪我を負わせてやろうという意思がなくても、暴行自体を自発的に行い、その結果相手方に対して怪我を負わせた場合は刑法204罪が定める傷害罪が成立することになります。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役刑、又は50万円以下の罰金刑となっています。
【誰が怪我を負わせたかが不明な場合はどうなるのか】
刑法の一般論として、犯罪の結果が誰の行為によって生じたのか明らかではない場合は、通常は罪に問われることはありません。
しかし、今回取り上げた事例のように、複数の者の暴行によって傷害の結果が生じたものの、誰の暴行によって傷害の結果が生じたかが明らかでない場合は、暴行に参加した者について傷害罪が成立することになります。
そのため、Aさんには傷害罪が成立することになるでしょう。
Aさんに傷害罪が成立することになる説明としては、次の2つが考えられます。
【傷害罪が成立する可能性―共謀】
まず、考えられる説明として、Aさんと友人たちに傷害罪の共同正犯(刑法60条、204条)が成立している場合があります。
刑法60条には、「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。」と規定されています。
これは、2人以上の人が共同して犯罪を実行した場合は、他人が行った行為についても、自分が行ったものとして責任を追うということを意味しています。
取り上げた事例においては、Aさんと友人たちの間で、「一緒に風俗店案内所の店員Vさんを暴行しよう」という、共同して犯罪を行うことを内容とする共謀が成立し、そのような共謀に基づいて暴行に及んでいた場合には、Aさんは、たとえ自身の暴行によってVさんを怪我を負わせていなくても傷害罪の共同正犯が成立することになります。
従って、共謀がある場合、Aさんには傷害罪が成立することになります。
【傷害罪が成立する可能性―同時傷害の特例】
それでは、Aさんと友人たちの間で共謀が存在していない場合は、Aさんは傷害罪の責任を負わないと考えられそうですが、傷害罪については、刑法207条の同時傷害の特例が適用されることになりますので、Aさんは傷害罪の責任を負うことになります。
2人以上の複数人で暴行を加えて傷害を負わせた場合には、暴行に参加した者全員の暴行によって傷害の結果が発生しているものの、誰がどの程度の傷害結果を生じさせたのか、その軽重が分からない場合や、そもそも誰の暴行によって傷害結果が生じたのかが分からない場合がよくありますが、このような場合を例外的に共同正犯として取り扱うとするのが刑法207条の同時傷害の特例の規定です。
今回取り上げた事例においては、Aさんを含めた合計6人で、風俗店案内所の店員Vさんを暴行して傷害を負わせていますから、仮に共謀の事実が認められなかったとしても、この刑法207条が適用されることになりますので、Aさんらは、傷害罪の共同正犯として扱われることになります。
従って、共謀がない場合でも、Aさんは傷害罪についての責任を負うことになるでしょう。
【傷害事件の場合の刑事弁護活動】
今回取り上げた事例では、Aさんは、逮捕後釈放されていますが、釈放されたからといって事件が終了した訳ではありません。
今後は、検察官がAさんを傷害罪で起訴するかどうかの判断を下すまで、Aさんは在宅での捜査が続くことになるでしょう。
傷害事件のように、被害者の方がいる事件の場合、被害者の方との示談交渉が大事になります。
弁護士を通じて、被害者の方に対して謝罪と被害の回復を申し入れることによって、被害者の方の処罰感情を和らげることが出来れば、起訴を回避することも可能になるでしょう。
示談交渉については決まった方法というものがありませんので、これまでの弁護士の経験によるところが大きい弁護活動といえるでしょう。
そのため、示談交渉を依頼する弁護士選びは非常に重要になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う事務所で、傷害事件の被害者の方と示談を締結し、起訴を回避した経験が豊富な弁護士が在籍しております。
風俗店案内所の店員に怪我を負わせてしまい、傷害罪で警察の捜査を受けている方、傷害罪について起訴を回避したいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度御相談下さい。
【報道解説】強盗致傷罪で逮捕
【報道解説】強盗致傷罪で逮捕
金銭を奪うために加えた暴行によって相手方を怪我をさせたことにより、強盗致傷罪の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「女性になりすましてSNSで呼び出した高校生に暴行を加え、金を奪おうとした疑いで、21歳の男ら2人が逮捕された。
A容疑者(21)らは2022年3月、埼玉県川越市の路上で、男子高校生に『金を出せ』と脅して暴行を加え、けがをさせた疑いが持たれている。
A容疑者らは、SNSで若い女性になりすまし、高校生を呼び出していたという。」
(令和4年5月24日にFNNプライムオンラインにて配信された報道より引用)
【強盗致傷罪とは】
刑法240条は、強盗致傷罪について規定しています。
強盗致傷罪が成立するためには、「強盗が」、強盗の機会に、「人を負傷させた」という要件を充たす必要があります。
引用した報道では詳しい事実関係については明らかとなっていませんが、Aさんが高校生から金銭を奪うために加えた暴行が、高校生の反抗を抑圧する程度の暴行であれば、Aさんは「強盗」に当たることになるでしょう。
そして、そのような強盗の手段として用いられた暴行によって高校生が怪我をしていますので、Aさんは強盗の機会に「人を負傷させた」として強盗致傷罪の疑いで逮捕されたと考えられます。
なお、報道では「金を奪おうとした」との記載にとどまり、実際にAさんが金銭を高校生から奪ったかについては定かではありませんが、仮にAさんが金銭を奪っていなくとも、金銭を奪うために用いた暴行によって相手方を怪我をさせたのであれば、刑法243条が定める未遂罪は成立することはなく、強盗致傷罪の既遂が成立することになります。
強盗致傷罪の法定刑は、無期又は6年以上の懲役刑で、罰金刑が定められておらず、最も軽い刑で6年の懲役刑となっていますので、様々な犯罪について規定する刑法の中において、科される刑罰が大変重い犯罪です。
【強盗致傷罪で起訴された場合】
強盗致傷罪が起訴されると次に示すように通常の公判手続とは異なる点があります。
まず、強盗致傷罪のように法定刑で無期懲役が定められている事件が起訴された場合、その事件は、裁判員裁判の対象になります。
裁判員裁判制度は、職業裁判官と一緒に、国民の中から抽選で選ばれた人が裁判員として裁判に参加して、有罪・無罪の判断、有罪の場合の量刑をどうするかを決める裁判制度です。
裁判員裁判制度においては、量刑を判断にあたっては国民感情が反映されることになりますので、職業裁判官のみによって行われる通常の裁判に比べて、量刑が重くなる傾向があると言われています。
また、裁判員裁判の対象となる事件については、公判が開かれる前に公判前整理手続と呼ばれる手続が行われることになります。
公判前整理手続は、第1回公判期日の前に、裁判所、検察官、弁護人が事件の争点を明確にして、証拠の整理を行い、これからどのように審理を進めていくかという審理計画を作成することを目的とする手続ですが、審理計画の作成に時間がかかってしまい、結果として公判が長引いてしまうおそれがあります。
【強盗致傷罪の弁護活動】
このように強盗致傷罪は法定刑が重く重大な犯罪ですが、被害者に対する示談の有無によって、刑事処罰の可能性を低くする可能性が残されています。
事件を起訴するか否かを決定する権限は検察官にあり、検察官が事件を起訴するか否かの判断をするにあたっては、被害に遭われてしまった方の処罰感情を重視する傾向にあります。
そのため、検察官が起訴・不起訴の判断を下すまでに、被害に遭われてしまった方に対して謝罪と被害の回復を行い、示談を締結することができれば、軽い処分となる可能性を高めることができます。
【軽い処分を目指したい方は】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱っている事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、被害者の方との示談交渉により、示談を締結することができ、強盗致傷罪から窃盗罪と傷害罪の2罪に分離させた結果、不起訴処分を獲得した経験のある弁護士が在籍しております。
強盗致傷罪を起こしてしまいお困りの方、強盗致傷罪について少しでも軽い処分を目指したい方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度御相談下さい。
【報道解説】わいせつ電磁的記録記録媒体陳列で逮捕
【報道解説】わいせつ電磁的記録記録媒体陳列で逮捕
動画販売サイトでわいせつ動画を公開したことにより、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「動画投稿サイト『FC2コンテンツマーケット』にわいせつ動画を公開したとして、警視庁は19日、無職の男性(43)をわいせつ電磁的記録記録媒体陳列容疑で逮捕したと発表した。
2020年10月以降、自分で撮影したわいせつ動画113本をFC2で販売し、約2億9400万円を売り上げたとみて調べている。
発表によると、男性は昨年12月~今年4月、SNSなどで募集した女性と一緒に撮影したわいせつ動画2本をFC2に公開し、不特定多数が閲覧できる状態にした疑い。
逮捕は17日。『生活費を稼ぐためだった』と供述している。」
(5月19日読売新聞オンラインより一部引用)
【わいせつ電磁的記録記録媒体陳列とは】
刑法175条1項では、善良な性秩序を維持するために、わいせつな画像や動画を公然陳列した者に、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処すか、又は懲役及び罰金を併科するとしています。
ここでいう公然陳列とは、わいせつな画像や動画の内容を不特定又は多数の者が認識できる状態に置くことをいいます。
無修正の性交渉の動画を動画販売サイトにアップロードする行為は、わいせつな動画を不特定又は多数の人が認識できる状態に置く行為といえるでしょうから、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪が成立することになるでしょう。
【逮捕されたらスピードが勝負】
警察に逮捕された場合、多くの場合は以下のような流れで手続きが進むことになります。
警察が逮捕した人(被疑者)を取り調べた結果、被疑者の身柄を引き続き拘束する必要があると判断した場合、警察は逮捕してから48時間以内に事件を検察に送致しなければなりません。
もっとも、実際には、警察が48時間経過するぎりぎりまで取り調べてから事件を検察に送致するということはなく、遅くとも逮捕された日の翌々日のお昼ごろまでには事件を検察に送致する場合が多いです。
事件の送致を受けた検察官は、被疑者を取調べた上で、検察官が被害者の身柄を更に拘束する必要があると判断した場合は、裁判官に対して勾留の請求をします。
この勾留の請求は、検察官が事件の送致された被疑者を受け取ってから、24時間以内、被疑者が逮捕されてから72時間以内に行う必要があります。
勾留の請求を受けた裁判官が事件の記録を読み、被疑者から事件についての話を聴いたうえで、勾留を認める判断がなされると勾留が正式に決定されることになります。
勾留が決定してしまうと、原則10日間、勾留期間が延長されると更に10日間、合計すると最大20日間にわたって身柄を拘束される場合がありますので、勾留の開始決定はその人の社会生活に重大な影響を及ぼすことになります。
そのような勾留による影響を避けたい場合、勾留を回避する弁護活動が非常に重要になりますので、ご家族の誰かが逮捕されたという連絡を受けた場合、いちはやく弁護士に初回接見を依頼して、弁護士を逮捕されたご家族の元へと派遣されることをお勧めします。
この初回接見によって、事件の見通しや今後の事件の流れなどについて弁護士から説明を受けることができるでしょう。
そして、この初回接見をきっかけにして弁護士が逮捕直後に事件に介入することができれば、事件の送致を受けた検察官や勾留請求を受けた裁判官に、勾留を行う必要がないことを主張するといった、勾留決定を回避するための弁護活動をとることが可能となります。
弁護士のこのような弁護活動によって、勾留の開始決定を回避する可能性を上げることが期待できるでしょう。
俗に言う、「逮捕直後はスピードが勝負」というのは、逮捕後、勾留の開始決定がなされるまでには時間の制約があることからスピーディーに手続が進んでしまうため、勾留を阻止するための弁護活動をとるためには、いち早く弁護士が事件に介入する必要があるということを意味しています。
もちろん、勾留開始が決定した後でも、勾留の開始について準抗告などの不服を申立てる手段がありますので、勾留が決定したからといって、諦めずに弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、勾留の開始決定を阻止した経験のある弁護士や、勾留の延長を阻止した経験がある弁護士が在籍しております。
ご家族の中で、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列の疑いで逮捕された方がいてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで、ご相談下さい。
【報道解説】公然わいせつ罪(幇助含む)で逮捕
【報道解説】公然わいせつ罪(幇助含む)で逮捕
公然わいせつ罪および公然わいせつ罪の幇助の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「客の男女に公然とわいせつな行為をする場所を提供したとして、警視庁は、東京都渋谷区道玄坂2丁目のハプニングバー『Sleeping Beauty~眠れる森の美女~』の経営者の男(40)と、同店のスタッフで21~42歳の男女9人の計10人を公然わいせつ幇助(ほうじょ)の疑いで現行犯逮捕し、9日発表した。
保安課によると、10人は共謀し、5月7日深夜、同店の利用客の男(34)と女(27)=いずれも公然わいせつ容疑で現行犯逮捕=に個室を提供し、他の客の前でわいせつな行為をするのを手助けした疑いがある。
個室は『プレールーム』と呼ばれ、マジックミラー越しに外から様子が見える状態だった。
経営者の男を含む4人が容疑を否認し、残りの6人は容疑を認めているという。」
(令和4年5月9日に配信された朝日新聞DIGITALより引用)
【ハプニングバーとは】
ハプニングバーとは、会員制のバーの形態でお酒の提供を受けながら、様々な嗜好をもった会員同士がバーの中で交流し、場合によっては「ハプニング」と称して会員同士で性的接触を行うことができるバーのことを意味するようです。
各社報道によると、本件のハプニングバーの中には80人ほどの会員がおり、その多くが、ローション入りの水鉄砲を打ち合うイベントが開催に参加していたとのことです。
【公然わいせつ罪とは】
公然わいせつ罪は、刑法174条に規定されている犯罪で、「公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」とされています。
公然わいせつ罪が成立するためには、①「公然と」②「わいせつな行為をした」という2つの要件を満たす必要があります。
簡単にそれぞれの要件について説明します。
公然わいせつ罪の1つ目の要件である「公然と」とは、不特定又は多数の人が認識することができる状態をいい、実際に不特定又は多数の人が認識する必要はありません。
この公然性の要件については、会員制の形を取って会員以外の外部の人が出入りできないような場所であっても、不特定又は多数の人が認識することができる状態であると考えられています。
報道によると、性行為を行った場所は、バーの中にあるプレールームと呼ばれる個室で、取り付けられたマジックミラーによって個室の様子を外から伺うことができる状態であった様です。
そのような状態の個室で性行為を行うことは、バーの中にいた多数の会員が認識できる状態で性行為を行ったといえますので、「公然と」との要件は満たされることになるでしょう。
公然わいせつ罪の2つ目の要件である「わいせつな行為」の「わいせつ」の意味については、性欲を刺激、興奮又は満足させる行為であり、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為のことをいいますが、その判断については、その時代の社会通念を踏まえた価値判断となりますので、「わいせつな行為」に当たるかについては難しい判断が必要になる場合があります。
もっとも、性交渉を見せる行為や、性器を露出する行為は「わいせつな行為」の典型例といえますので、プレールームで性行為を行っていた会員は、「わいせつな行為」をしたといえるでしょう。
【公然わいせつ罪の幇助とは】
報道では、実際に性交渉を行っていた2人が公然わいせつ罪の疑いで、その他の従業員が、公然わいせつ罪の幇助の疑いで現行犯逮捕されたとあります。
幇助とは、刑法62条1項に規定されている犯罪類型で、犯罪を行うことを容易にするために手助けする行為のことをいいます。
本件では、外から部屋の内部を伺うことができるマジックミラーを付けた個室を会員に提供することで、不特定又は多数の会員が性行為を認識できるような状態にしたことが、公然わいせつを容易にしたといえますので、そのような個室を提供した従業員が公然わいせつ罪の幇助犯として逮捕されたのでしょう。
【公然わいせつ罪、公然わいせつ罪の幇助の疑いで摘発された場合の弁護活動】
今回とりあげた事件の場合、バーの中にいた会員は、ハプニングバーがどのようなコンセプトのバーであるかを理解しており、バー内部で性行為が行われていることについても想定していたと考えられますので、そのような会員を公然わいせつ罪の被害に遭われてしまった方ということは出来ないでしょう。
従って、被害者の方がいない公然わいせつ事件の場合、被害者の方と示談をするという刑事弁護活動は行うことができません。
このような場合、罪を犯したことについて真摯な反省を示すことが非常に重要になります。
反省を示すひとつの方法として、日弁連や弁護士会、犯罪被害者の支援団体、更生保護施設などに贖罪寄付という寄付を行うことがありますが、贖罪寄付を行うにあたっては、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。
贖罪寄付を行う前に、そもそも、贖罪寄付を行うことが有効な事件であるのか法律のプロである弁護士が判断する必要がありますし、また、贖罪寄付は、ただ単に寄付をすれば良いという訳ではないので、どのような寄付先を選べばよいのか、どの程度の額を寄付すれば反省の意思を有効に示すことができるのかといったことについて、弁護士からアドバイスを得る必要があるでしょう。
それに加えて、贖罪寄付はあくまで反省を示すひとつの要素でしかありませんので、真摯に反省しているということを、起訴前であれば検察官に、起訴された後であれば裁判官に理解してもらうためには、贖罪寄付をしたという事実だけでなく、さまざまな方法で伝える必要があります。
そうした検察官や裁判官とのやりとりには、弁護士を付けることが大変効果的です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、被害者の方がいない公然わいせつ事件において贖罪寄付などの刑事弁護活動の経験が豊富な弁護士が在籍しております。
公然わいせつ事件の摘発を受けてお困りの方、贖罪寄付をお考えになっている方は、まずは一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで御相談ください。