Archive for the ‘刑事事件’ Category
【事例解説】建造物損壊罪で被害届
【事例解説】
建造物損壊罪で被害届 泥酔状態で他人の家の玄関扉を破壊したことにより、建物の所有者に建造物損壊罪で被害届を出された事例における刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例紹介】
「Aさんは深夜に、泥酔状態でVさんの家を自分の家だと思い込んでしまい、Vさんの家に入り込もうとしました。 しかし、Vさんの家の玄関扉は鍵がかかって開かなかったため、AさんはイライラしてVさんの家の玄関扉を蹴ったり、そばに落ちていた石で叩いたりするなどして、玄関扉を大きくへこませた後に、その場から立ち去りました。 その後、様子を見に来たVさんが、家の玄関扉に大きなへこみができているのを見て警察に被害届を提出しました。 被害届をきっかけに捜査を開始した警察は、Aさんが玄関扉をへこませたことが分かり、Aさんに『事情を聴きたいから一度署まで来てくれ』との連絡をしました。」
(この事例はフィクションです)
【建造物損壊罪とは】
他人の物を勝手に壊してしまうと器物損壊罪という犯罪が成立する可能性がありますが、建物の一部を損壊してしまうと器物損壊罪ではなく、建造物損壊罪という犯罪が成立する可能性があります。 建造物損壊罪が成立するためには、他人の「建造物」を「損壊」させる事が必要になります。 ここでいう「建造物」とは、家屋その他これに類似する建築物のことをいい、屋根があって壁または柱で支えられており、土地に定着して、少なくともその内部に人が出入りできるものをいいます。
「建造物」に当たるものとしては、天井板や敷居、屋根瓦、そして今回取り上げた事例のような住居の玄関扉があります。 このような「建造物」を、物理的にその全部または一部を破壊するか、その建造物の本来の効用を失わせる行為をすると「損壊」したと評価されることになり、建造物損壊罪が成立することになります。
事例のように、玄関扉を大きくへこませる行為は、物理的に建造物の一部を破壊したと言えるでしょうから、Aさんは建造物損壊罪が成立する可能性が高いと考えられます。 なお、事例とは異なって、Aさんが破壊したものが、Vさんの家の取り外し可能な窓ガラスであった場合は、「建造物」を「損壊」したとはいえないので、器物損壊罪が成立することになると考えられます。
【建造物損壊罪で被害届を出されてしまってお困りの方は】
事例のように玄関扉をへこませると建造物損壊罪が成立する可能性が高いですが、建造物損壊罪の法定刑は5年以下の懲役刑となっていて、罰金刑が定められていないので、建造物侵入罪として検察官に事件を起訴された場合は、かならず公開の裁判が開かれることになります。 これは、法定刑が3年以下の懲役または30万円以下の罰金若しくは科料となっている器物損壊罪と比較してみると、器物損壊罪よりも重い犯罪であるということができるでしょう。
法定刑が器物損壊罪よりも重い建造物損壊罪ですが、事件を起こしたからと言って、必ず起訴されるというわけではありません。 被害者の方に謝罪の意思を示し、被害弁償を行うことで、事件について真摯に反省していることを示すことが出来れば、不起訴処分となる可能性も十分考えられます。 このような示談交渉については弁護士に依頼するのが良いでしょう。 そのため、建造物損壊事件を起こしてしまい、警察の捜査を受けられているという方は、いち早く弁護士に相談して、今後の事件の見通しや、示談が可能か、示談金はいくらぐらいなのかということについてアドバイスを得られることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 建造物損壊事件を起こして警察の捜査を受けてお困りの方、被害者の方との示談をお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】中学校内の暴力で少年が暴行罪で逮捕
【報道解説】
中学校内の暴力で少年が暴行罪で逮捕 中学校で同学年の生徒を抱きかかえて3階の窓から体を外に出したとして、暴行罪の疑いで14歳の中学生が逮捕された刑事事件・少年事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「埼玉県熊谷市の中学校で、同学年の生徒を抱きかかえたまま、体を校舎3階の窓から外に出す暴行を加えたとして、市内に住む14歳の少年が逮捕されました。 警察によりますと男子中学生は、市内の中学校で、校舎3階にあるトイレの窓から、同級生の男子中学生を抱きかかえたまま体を外に出す暴行を加えた疑いが持たれています。 窓は地上からの高さがおよそ8mでした。 被害を受けた生徒の保護者から相談を受けた警察が、学校や目撃した別の生徒の話を聞くなどして、男子中学生を逮捕しました。 調べに対し男子中学生は『窓の外に出したりしていない』と話しているということです。」
(令和4年11月29日にRCC中国放送より配信された報道より、事実を一部変更しています)
【中学生が暴行罪で逮捕?】
今回取り上げた報道では、学校内で起きた事件で14歳の男子中学生が暴行の疑いで逮捕されています。 確かに、人を抱きかかえるという行為は人の身体に対する有形力の行使として刑法208条の暴行罪に当たる可能性がある行為ですが、単に生徒同士でふざけ合っていただけではないのかと思われた方がいるかと思います。
確かに、学校内で生徒同士がふざけ合っていただけなら警察が逮捕に踏み出す可能性は低いですが、今回の事件では人を抱きかかえただけではなく、抱きかかえて地上から8メートルにある3階の窓から身体を外に出した疑いがあるとのことです。 仮に地上8メートルの3階から人が落ちた場合、落ちた人が死亡する可能性がありますので、本当に落とそうとしたのであれば、人を抱きかかえて窓から体を外に出す行為は殺人未遂に当たり得る行為になります。 殺人未遂となれば重大事件になります。
報道では、警察が14歳の男子中学生を逮捕する前に学校や事件を目撃した生徒に話を聞いていたとのことですので、警察としてはこうした逮捕前の捜査によって単に中学生がふざけ合ったのではないと判断して、更なる事案の解明のために、まずは逮捕が確実に認められるであろう暴行罪で14歳の男子中学生を逮捕したものと考えられます。
【14歳の中学生が逮捕されると今後どうなるのか?】
14歳の中学生が犯罪に当たる行為をしてしまうと少年事件として取り扱われることになります。 少年事件の場合は、通常の刑事事件のように検察官が事件を起訴するかどうかを決定するのではなく、全ての事件が家庭裁判所に送られることになり、家庭裁判所が刑罰の代わりに最終的な少年の処遇を決定することが原則となります。
このように少年事件の場合は通常の刑事事件とは異なる手続きとなりますが、事件が家庭裁判所に送致される前の捜査段階においては14歳の中学生の場合であっても基本的に通常の刑事事件と同じになりますので、逮捕された少年がすぐに帰宅することができない場合があります。 まず、14歳の中学生であっても、検察官は一定の条件のもとに逮捕後72時間以内に勾留請求をすることができます。 検察官の勾留請求が裁判官に認められると、少年の身柄は原則として10日間、延長すると最長20日間にわたって、警察署の留置施設などに拘束されることになります。 これに加えて少年事件の場合は、勾留の代わりに観護措置という手段(「勾留に代わる観護措置」といいます。)によって、逮捕後も少年の身柄が拘束されることがあります。
「観護措置」とは、事件が家庭裁判所に送られた後に家庭裁判所が事件や少年について調査するために行うことをいい、①在宅で家庭裁判所調査官の観護に付すものと②少年を都道府県に設置されている少年鑑別所で拘束するものの2つがありますが、②の少年鑑別所で少年の身柄を拘束するものが大多数です。 「勾留に代わる観護措置」とは、文字通り、この観護措置を勾留の代わりに行って、逮捕した少年の身柄を鑑別所で拘束することを言います。 勾留に代わる観護措置の期間は、検察官が勾留に代わる観護措置の請求を出した日から10日間で、勾留の場合と異なって延長することができません。
以上は、事件が家庭裁判所に送致される前の話ですが、事件が家庭裁判所に送致されてからも、さきほども登場した観護措置によって少年の身柄が鑑別所に拘束される場合があります。 この観護措置の期間は原則として2週間ですが、期間を継続する必要があれば1回に限り更新することができますので、4週間にわたって身柄が拘束されることになります。
また、例外として死刑、懲役又は禁錮に当たる事件で、犯行の動機、態様及び結果その他の当該犯罪に密接に関連する重要な事実といった非行事実の認定に関して証人尋問・鑑定・検証を行うことを決定したものや、既に証人尋問・鑑定・検証を行ったたものについて、少年を収容しなければ審判に著しい支障が生じるおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある場合は、観護措置の期間を更に2回更新することができます。
そのため、例えば少年が自分はやっていないと事件を否認しているときなどは最大で8週間の観護措置が取られる場合があり得ます。 このように14歳の中学生のお子さんが逮捕されたという場合は、長期間にわたって身柄が拘束されるおそれがあります。 長期間身柄が拘束されるとお子さんの学校生活への影響が大きく、将来に不利益となる可能性もあり得ますので、中学生のお子さんが逮捕されたということを知った場合は、いち早く弁護士に依頼されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 お子さんが警察に暴行罪などの暴力犯罪で刑事事件化または逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】クロスボウの無許可所持で銃刀法違反で検挙
【報道解説】
クロスボウの無許可所持で銃刀法違反で検挙 クロスボウを無許可で所持したとして銃刀法違反の疑いで書類送検された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「自宅でクロスボウ(ボウガン)1丁を違法に所持したとして、岐阜県警岐阜中署は8日、岐阜市の無職男(84)を銃刀法違反(所持)容疑で岐阜地検に書類送検した。 今年3月施行の改正銃刀法で、経過措置終了後の9月15日以降、クロスボウの無許可所持が禁止となり、クロスボウの所持容疑での摘発は全国初とみられる。 県警がクロスボウの回収を進めていた今年9月初旬、男はクロスボウ所持について岐阜中署に相談したが、回収に納得いかないとして無許可でクロスボウを所持し続けていたという。」
(令和4年11月9日読売新聞オンラインで配信された報道より引用)
【銃刀法が改正されてクロスボウの所持が原則禁止されました】
今年の9月15日から改正された銃刀法(正式には「銃砲刀剣類所持等取締法」と言います)によって、クロスボウ(ボウガン)を許可なく所持することが禁止されましたが、今回取り上げた報道は、クロスボウの所持として摘発された日本初のケースとのことです。
改正された銃刀法3条1項によって、一定の例外を除いて、クロスボウの所持が禁止されました。 例外的にクロスボウの所持が許される場合としては、法令に基づいて職務のため所持する場合(銃刀法3条1項1号)や、銃刀法4条に基づいて公安委員会の許可を受けた人が所持する場合(銃刀法3条1項3号)などがあります。
このクロスボウの所持の禁止については、全てのクロスボウの所持が禁止されているわけではなく、一定の条件が定められています。 具体的には、引いた弦を固定し、これを解放することによつて矢を発射する機構を有する弓のうち、内閣府令で定めるところにより測定した矢の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定めた値である6.0ジュール以上のクロスボウが禁止の対象になっています(銃刀法3条1項1つ目のかっこ書き、銃刀法施行規則第3条の2及び3条の3参照)。
もっとも、警察庁が市販されているクロスボウで実験したところ、実験に用いたクロスボウのなかでおもちゃのクロスボウを除く全てのクロスボウが6.0ジュール以上の数値を示したという実験結果があるとのことですので、多くのクロスボウが規制の対象になると考えられます。
(参考:https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/hoan/crossbow/crossbowpower.html)
こうした銃刀法の規制の対象になるクロスボウを、例外的に許容される場合がなく所持した場合は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる可能性があります(銃刀法31条の16第1項1号)。
【銃刀法の改正を知らずにうっかりクロスボウを所持していた場合は?】
今回取り上げた報道では、クロスボウの所持で摘発された男性は、クロスボウの所持が罰則の対象から外されていた期間に警察にクロスボウの相談をしていたという経緯があるとのことですので、男性は銃刀法が改正されてクロスボウの所持が罰則の対象になることは知っていたものと考えられます。 それでは銃刀法の改正について知らずに、うっかりクロスボウを所持していた場合はどうなのでしょうか。
結論からいえば、銃刀法の改正について知らずに、うっかりクロスボウを所持していた場合でも、罪に問われる可能性があると考えられます。 クロスボウを所持したことによって罪に問われるには、クロスボウを所持していた人に「罪を犯す意思」(故意)が必要になります。
この「罪を犯す意思」については刑法38条3項本文という規定があり、「法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。」と定めていますので、銃刀法の改正について知らなかったということを理由に罪に問われないということにはならないと考えられます。 そのため銃刀法の改正について知らずに、うっかりクロスボウを所持したことで警察に検挙されてしまった場合でも前科が付く可能性があります。
前科がつくことを避けたいとお考えの方は、まずは一度弁護士に相談されることをお勧めします。 具体的な事件の内容によっては、検察から起訴を猶予してもらって前科がつくことを回避できる場合がありますので、弁護士に相談してアドバイスを貰うことが有益でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 クロスボウを無許可で所持したとして銃刀法違反の疑いで警察に摘発されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】芸能人をストーカーして逮捕
【報道解説】
芸能人をストーカーして逮捕 好きになった芸能人に対してストーカー行為を行ったことによって、ストーカー規制法違反の疑いで逮捕されたケースを弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【報道紹介】
「女性芸能人にストーカー行為を繰り返したとして、22歳の専門学校生が警視庁に逮捕されました。 埼玉県川越市の17歳の男子高校生は、女性芸能人に、先月から4回にわたりつきまとい、執拗に女性芸能人の行動を盗撮するなど、ストーカー行為をした疑いが持たれています。 警視庁によりますと、男子高校生は去年からつきまとい行為を始めていて、警視庁から、ストーカー規制法に基づく「警告」を4回受けていました。 取り調べに対し『街中ですれ違って一目惚れした』『好きでしょうがなかった』と容疑を認めているということです。」
(令和4年5月18日に配信されたTBS NEWSより、事実を一部変更しています)
【ストーカー行為とは?】
※以下で、かっこ内に記載された条文は、ストーカー規制法の条文になります。
報道では、ストーカー規制法違反の疑いで逮捕されたとありますが、「ストーカー行為」とはどのような行為を意味するのでしょうか。 ストーカー規制法では、ストーカー行為を「つきまとい等」や、承諾なく相手方の位置情報を取得する行為などの「位置情報無承諾取得等」を反復して行う行為としています(2条4項)。
前者の「つきまとい等」については、「等」という言葉のとおり、以下に示す①から⑧の8つの行為のうち、いずれかの行為を「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で、「当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者」に対して行うことをいいます(2条1項柱書)。
①つきまとい・待ち伏せ・立ちふさがり・見張り・押しかけ・うろつき行為(同項1号)
②監視していると思わせるような事項を告げ、又は知りうる状態に置く行為(同項2号)
③面会・交際等義務のないことの要求(同項3号)
④著しく粗野又は乱暴な言動(同項4号)
⑤無言電話・電話拒否後の連続した電話・文書送付・FAX送信・電子メールの送信等の行為(同項5号)
⑥汚物などの送付(同項6号)
⑦名誉を害する事項を告げ、又はその知りうる状態に置く行為(同項7号)
⑧性的羞恥心を侵害する事項を告げる等行為(同項8号)
なお、①から④までの行為と、⑤のうち電子メールの送信等の行為については、「身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に」という限定が付くことになります(2条4項)。
報道では、逮捕された男子高生は、「好きでしょうがなかった」と供述しているとのことですので、女性芸能人に対して恋愛感情を抱いていたと考えられます。 そして、そのような恋愛感情に基づいて、過去4回つきまとい行為を行い、盗撮等の行動の自由を害するような方法で2条1項1号の「つきまとい」を行っているので、身体の安全が害されるような方法により行われたといえ、「ストーカー行為」に当たることになるでしょう。
【ストーカー規制法に基づく警告とは?】
ストーカー規制法第4条では、つきまとい等の被害を受けた方が警察に対して申出を行った場合、警察がつきまとい等を行った者に対して、更に反復してつきまとい等の行為をしてはならないと警告を出すことができます(4条1項)。 この警告が出されると、当該警告の内容や警告を出した日時が、警告の申出をした方に通知されることになります(4条3項)。
【ストーカー行為の罰則】
実際の報道では、ストーカー行為をしていた人が、17歳の女子高生ですので、実際に刑罰が科されることはなく、家庭裁判所による保護処分に付されるでしょうが、仮に20際以上の者がストーカー行為を行うと、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられることになります(18条)。
【ストーカー規制法違反でお困りの方は】
ご家族の中で、ストーカー規制法違反で逮捕されてお困りの方は、まずは刑事事件に精通した弁護士に依頼して、接見に行ってもらうことをお勧めします。 この弁護士による接見をきっかけに、早期に弁護士が事件に介入することが出来れば、身柄拘束の解放に向けた弁護活動をとることができ、身柄拘束による社会生活への影響を最小限に抑えることが期待できます。 また、ストーカー規制法違反の事件では、被害者の方との示談が大事になってきますが、示談交渉についても、示談経験が豊富な弁護士に依頼された方が、よりよい結果になる可能性が高くなるといえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、ストーカー規制法違反の事件の弁護経験が豊富な弁護士が在籍しております。 ご家族の中にストーカー規制法違反の疑いで逮捕された方がいる、あるいは、自身がストーカー規制法違反の疑いで警察から捜査を受けているという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度御相談ください。
【報道解説】コンビニのセルフコーヒーの不正利用の窃盗罪から逃走して強盗殺人未遂で逮捕
【報道解説】
コンビニのセルフコーヒーの不正利用の窃盗罪から逃走して強盗殺人未遂で逮捕 コンビニ店でのセルフコーヒーの不正利用を指摘して追ってきたオーナーを車から振り落としたとして強盗殺人未遂の疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「群馬県内のコンビニ店でコーヒー用のカップにカフェラテを注ぎ、注意した店のオーナーを車から振り落としたとして逮捕された男が注意された際、『トイレに行きたい』と言って逃げようとしたことが分かりました。 A容疑者(60)は太田市のコンビニ店で、オーナーの男性がしがみついているのに車を250メートルほど蛇行運転し、振り落とした強盗殺人未遂の疑いで送検されました。 男性は、外傷性くも膜下出血の重傷です。 警察によりますと、増倉容疑者はSサイズのコーヒーを110円で購入しましたが、180円のMサイズのカフェラテを注いだところを見つけられ、男性に注意されました。 その際、A容疑者は『トイレに行きたい』と嘘をつき、車に乗り込んで逃走を図ったということです。 A容疑者は『違います』と容疑を否認しています。」
(令和4年10月27日にテレ朝NEWSで配信された報道より引用)
【コンビニのセルフコーヒーの不正利用の罪】
最近のコンビニでは、それぞれの商品に対応したカップをレジで購入した後に購入者自身がコーヒーマシンにカップを置き、代金を支払ったカップに対応する商品のボタンを押すという形態でコーヒーなどの飲み物が販売されています。 コーヒーマシンでボタンを押す際はコンビニ店員ではなくて購入者自身がボタンを押す形となっているために、購入者がレジで購入した代金よりも高い商品のボタンを押して、警察に通報されたり、場合によっては警察に逮捕されるという事件が近年多く発生しているようです。
では、カップを購入した代金よりも高額の商品のボタンを押して飲み物を注いだ場合にどのような犯罪行為が成立するでしょうか。 まず、レジで店員からカップを購入する時点で既にカップの代金よりも高額の商品のボタンを押そうと考えていた場合には詐欺罪が成立すると考えられます。 また、レジで店員からカップを購入する時点では購入したカップに対応する商品のボタンを押そうと思っていたが、コーヒーマシンの前でボタンを押すときになって初めて購入したカップの代金よりも高額の商品のボタンを押そうと思った場合は、窃盗罪が成立すると考えられます。 実際には、どの時点でカップの代金よりも高額の商品のボタンを押そうと思ったのかという判断が困難なため、より適用可能性の広い窃盗罪で検挙されているケースが非常に多いです。
窃盗罪で検挙されるというのは、事件を起こした被疑者にとっては詐欺罪で検挙されるよりも有利であるといえます。 というのも、詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役しか定められていない一方で、窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又はは50万円以下の罰金となっていますので、詐欺罪で検挙されて起訴されると必ず正式な裁判が開かれることになりますが、窃盗罪で検挙されて起訴された場合には、法定刑に罰金刑が定められていることから略式手続による起訴を行うことができるからです。
【セルフコーヒーの不正利用を指摘されて逃走した場合の加重犯罪】
刑法238条では事後強盗罪を規定しており、窃盗を犯した犯人が、一定の場合に暴行または脅迫を行った場合には、窃盗の犯人を強盗として扱うと定めています。 この一定の場合には、①盗んだ財物を取り返されることを防止する目的、②逮捕を免れる目的、③罪跡を隠滅する目的の3つが定められています。
取り上げた報道では、逮捕された男性は、110円で購入したカップに180円のカフェラテを注ぐというかたちで窃盗をした後に、追いかけて車にしがみついてきたコンビニオーナーから逃れるために、車を250メートルほど蛇行運転して振り落とすという暴行を加えていることから、窃盗の犯人が、②の逮捕を免れる目的あるいは③の罪跡を隠滅する目的で暴行を加えたといえるでしょうから、事後強盗罪が成立すると考えられます。
こうして、窃盗を犯した人が事後強盗罪に該当すると強盗として扱われることになりますので、この上更に、人に怪我を負わせたり、死亡させた場合には刑法240条の強盗致死傷罪が適用されることになります。 強盗致死傷罪には、故意に人を死亡させた場合の強盗殺人、故意に人を怪我させた場合の強盗傷人、故意によらずに人を死亡させた場合の強盗致死、故意によらずに人を怪我させた場合の強盗致傷の4つのパターンが含まれています。
取り上げた報道では、被害に遭われたコンビニのオーナーは外傷性くも膜下出血の重傷を負っているとのことですが、今回行われた暴行が、250メートルほど蛇行運転して車から振り落とすという人を死に至らしめる危険が極めて高い行為であると判断されたために、強盗傷人ではなく、強盗殺人未遂として逮捕されたのだと考えられます。
【強盗殺人未遂で刑事事件化したら】
強盗殺人罪の法定刑は、死刑又は無期懲役のみとなっており非常に刑が重い犯罪です。 強盗殺人未遂を犯した場合には、「その刑を減軽することができる」(刑法43条)こととなっていますが、強盗殺人未遂の法定刑も強盗殺人罪と同じく死刑又は無期懲役のみとなっていますので、強盗殺人未遂も刑が重い犯罪であるといってよいでしょう。
また、強盗殺人未遂として起訴されて刑事裁判となった場合、その刑事裁判は裁判員裁判となりますので、通常の刑事裁判よりも異なる手続となります。 そのため、ご家族が強盗殺人未遂の疑いで警察に逮捕された場合は、まずは弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。 この初回接見によって、弁護士が逮捕されたご家族の方より直接事件についてお話を伺うことができますので、事件の見通しや、今後の手続の流れといったことについて弁護士から説明を受けることが期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 ご家族が強盗殺人未遂の疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】盗撮したSDカードを飲み込んで証拠隠滅
【報道解説】
盗撮したSDカードを飲み込んで証拠隠滅 盗撮に気がつかれて盗撮したSDカードを飲み込んで証拠隠滅を図った刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【報道紹介】
埼玉県さいたま市大宮区のスーパーにおいて、で小型カメラを女性のスカートの下に差し入れたとして、埼玉県迷惑行為防止条例違反の疑いで66歳の男性が逮捕されました。 警察にると、被疑者男性は、スーパーで買い物に来ていた被害者女性の背後から、靴に仕込んだ小型カメラをスカートの下に差し入れた疑いで、男性の不審な動きを見た別の買物客が警察に通報しました。 駆け付けた大宮警察署の警察官が職務質問をしたところ、男はカメラからマイクロSDカードを抜き、かみ砕いて飲み込んだということです。 警察の調べに対し、男は盗撮の事実を認めています。
(令和4年10月27日にテレ朝NEWSで配信された報道より、事実を一部変更して引用)
【スーパーマーケットでスカートの中を盗撮した場合の罪―愛知県の場合】
埼玉県迷惑行為防止条例第2条の2では、「何人も、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為」をしてはならないとし、その第1条第1項で「人の通常衣服等で覆われている下着又は身体を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置すること。 」を禁止しています。 また、同項2号では、実際に盗撮していなくても、下着等を撮影するために、撮影器機を衣服等で覆われている人の身体や下着に差し向けて覗き見る行為も禁止しています。
取り上げた報道では、逮捕された男性は、スーパーマーケットという公共の場所において、女性のスカートの下に小型カメラを差し入れたとのことです。 報道記事に記載されている事実関係からでは、実際にスカートの中を盗撮したかどうかが明らかではありません。 ただ、前述したように、埼玉県迷惑行為防止条例では、盗撮の前の段階である撮影器機を下着に差し向ける行為も禁止していますので、スーパーマーケットで女性のスカートの下に小型カメラを差し入れたのであれば、埼玉県迷惑行為防止条例2条の2第1項2号に違反することになると考えられます。
この場合、埼玉県迷惑行為防止条例12条第2条によって、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。 また、このような行為を常習的に行っていた場合、同条第15条第4項によって、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。
【盗撮したSDカードを飲で証拠隠滅すると】
逮捕された男性は、通報により駆け付けた警察官から職務質問を受けている最中に、カメラからマイクロSDカードを抜いてかみ砕いて飲み込んだとのことです。 仮に、かみ砕いて飲み込んだマイクロSDカードの中に盗撮のデータが入っていた場合そのようなマイクロSDカードをかみ砕いて飲み込んでしまうと、証拠隠滅罪が成立するのではないかと思われる方がいらっしゃるかもしれません。 確かに、刑法104条には証拠隠滅罪を規定しています。 しかし、証拠隠滅罪が成立するためには、「他人の」刑事事件の証拠を隠滅する必要がありますので、「自分の」刑事事件の証拠を隠滅した場合は、証拠隠滅罪は成立しないことになります。
なぜ、自分の刑事事件に関する証拠を自分で隠滅した場合には証拠隠滅罪が成立しないかというと、犯人が自分の犯罪の証拠を隠滅しないように犯人自身に期待することがおよそ困難であると考えられているからです。 そのため、今回逮捕された男性が、かみ砕いて飲み込んだマイクロSDカードの中に盗撮のデータが入っていた場合、男性は自分の刑事事件の証拠を隠滅したことになると考えられますので、証拠隠滅罪は成立しないといえるでしょう。
もっとも、犯人が、自分の刑事事件に関する証拠を第三者に隠滅するよう依頼して、第三者が証拠を隠滅した場合は、証拠を隠滅した第三者には証拠隠滅罪が成立しますし、証拠隠滅を依頼した犯人にも証拠隠滅罪の教唆犯(刑法61条1項)が成立することになります。 なお、証拠隠滅罪の法定刑は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金となっています。
【家族が盗撮に逮捕されたら】
警察から、ご家族の方を盗撮の疑いで逮捕したという連絡を受けた場合、まずは弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。 この初回接見によって、弁護士が警察の留置場に留置されているご家族の元に面会して、逮捕されたご家族から直接事件についてお話を伺うことができますので、事件の概要や今後の見通しについて知ることができます。 また、逮捕されたご家族の方に、今後の手続きの流れについての説明や取調べでのアドバイスを行います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 ご家族が盗撮の疑いで警察に逮捕されてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】駅での器物損壊事件で逮捕
【報道解説】
駅での器物損壊事件で逮捕 器物損壊事件の刑事責任とその弁護活動の中心となる示談活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
千葉県船橋警察署は、器物損壊罪の疑いで、千葉県八千代市に住む自称会社員の男性(37歳)を現行犯逮捕した。 逮捕容疑は、令和4年10月16日午後5時50分頃に、JR西船橋駅で、ごみ箱を蹴ってへこませた疑い。 船橋警察署によると、容疑者男性は酒を飲んだ帰りとみられ、駅員に取り押さえられた。
(令和4年10月18日に配信された「千葉日報オンライン」より抜粋)
【器物損壊事件の刑事処罰とは】
他人の物を故意に壊した場合には、その物の所有者(被害者)が警察に被害届を出すことにより、刑法の「器物損壊罪」が成立し、刑事処罰を受ける可能性があります。 器物損壊罪の刑事処罰の法定刑は、「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」とされています。
・刑法261条
「前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。」
器物損壊罪は、わざと意図的に物を壊した場合に成立する犯罪であり、過失によって物を壊してしまった場合には、刑事事件には当たりません。 上記の事例のような、「酒に酔って起こした器物損壊事件」では、容疑者本人が泥酔していて、事件当時の記憶が無いケースが、よくあります。
器物損壊行為の事実を認めて、被害者に謝罪して示談交渉を行い、刑事処罰の軽減を目指すのか、あるいは、「やっていない」と否認の主張をするのかは、事件対応の大きな分岐点となるため、刑事事件に強い弁護士に法律相談して、今後の方針を検討することが重要となります。
【器物損壊事件の示談解決】
器物損壊罪は「親告罪」とされており、被害者が警察に被害届を出さない限りは、刑事事件になることはありません。 したがって、器物損壊罪の刑事事件化を防ぐために、弁護士を通じて被害者側との示談交渉を行い、被害者からの許しを得る示談の成立により、被害届提出を阻止すること、あるいは既に出ている場合の被害届を取り下げてもらうことが、不起訴処分による前科回避に向けて、重要な弁護活動となります。
器物損壊事件では、被害者側が加害者側に恐怖心を持っているケースや、当事者同士の話し合いの際に新たな争いが発生してしまうケースも考えられるため、当事者同士の直接の示談交渉が認められないことも多いです。 そこで、弁護士が仲介して、被害者側との示談交渉を行い、謝罪と慰謝料支払いの意思を伝えることで、スムーズに示談を成立させて、被害届提出の阻止、あるいは被害届の取下げを実現することが重要となります。
上記の事例のように、被害者が個人ではなく、鉄道会社や大手企業などの場合には、示談交渉に一切応じてもらえないケースも考えられます。 被害者に対する被害弁償だけでも済ませることや、警察取調べに対して、事件当時の犯行状況をどのように供述するかを検討する、といった弁護活動が考えられます。 まずは、器物損壊事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。 駅などの公共場所での器物損壊事件でお困りの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
【報道解説】中学生淫行で入浴姿を盗撮して逮捕
【報道解説】
中学生淫行で入浴姿を盗撮して逮捕 12歳の女子中学生が入浴している様子を盗撮したとして、児童買春・児童ポルノ規制法違反の疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「札幌市のホテルで、女子中学生2人が入浴する様子をカメラで撮影したとして、埼玉県の51歳の男Aが逮捕されました。 A容疑者は、去年8月11日、インスタグラムを通じて知り合った札幌市豊平区の当時12歳の女子中学生2人と、札幌市内のホテルに入り、2人が入浴する様子をカメラで盗撮した児童ポルノ禁止法違反の疑いが持たれています。
警察によりますとA容疑者は『ホテルでシャワーを浴びてくれたらお金をあげる』などと言って女子中学生を誘い、1人あたり約3万5000円を支払っていました。 事件の3日後に女子中学生の母親が、娘が多額の現金を持っていることに気付いて問いただし、警察に相談。
その後、警察がA容疑者を特定して自宅を家宅捜索したところ、盗撮に使われたカメラや映像が押収されました。 調べに対し、A容疑者は『若い子の裸が見たかった』などと話し、容疑を認めているということです。 A容疑者のスマートフォンなどからは、他にも複数の女児とみられるポルノ動画が見つかっていて、警察は、余罪についても調べを進めています。」
(令和4年10月25日にHBCニュース北海道で配信された報道より一部匿名にして引用)
【女子中学生が入浴中の様子を盗撮すると?】
入浴中の様子を被害者の同意なくひそかに撮影する行為は、盗撮行為として、各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反として罰則を受ける可能性があります。 例えば、北海道迷惑行為防止条例2条の2第3号では、浴場や更衣室において、衣服の全部又は一部を着けない状態でいる人の姿を撮影することを禁止しており、これに違反した場合は同条例11条1項により、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
ただ、今回取り上げた報道のように、盗撮の被害者が18歳未満の児童である場合は迷惑行為防止条例違反ではなく、児童ポルノを製造したとして児童買春・児童ポルノ規制法違反となる可能性があります。 まず、18歳未満の児童の入浴中の様子というのは、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」として、児童買春・児童ポルノ規制法2条3項3号が定める「児童ポルノ」に当たる可能性が高いです。 そして、そのような児童ポルノを製造した場合の罰則について、児童買春・児童ポルノ規制法では複数の規定を置いています。
仮に、児童が入浴中の様子の撮影について同意していた場合は、7条4項の児童ポルノ製造罪になる可能性がありますが、そうではなく、児童に無断でひそかに入浴中の様子を撮影したということあれば、7条5項の盗撮による児童ポルノ製造罪が成立することになるでしょう。
今回取り上げた報道では、詳しい事実関係については明らかではありませんが、被害に遭った女子中学生はホテルでシャワーを浴びたら現金をもらえるという約束をしているようですので、入浴中の様子を撮影することについては女子中学生の同意がないと思われます。 そのため、本件では、7条5項の盗撮による児童ポルノ製造罪の疑いで逮捕されたと考えられます。 なお、児童買春・児童ポルノ規制法7条4項、5項に違反した場合の法定刑は、いずれも、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となっています。
【児童ポルノ製造について出頭をお考えの方は】
児童ポルノ製造に関する事件については、被害者が18歳未満の児童であるということもあり、児童本人ではなく児童の保護者からが警察に相談したことをきっかけに、立件されるということが珍しくありません。 そのため、例えば、児童ポルノの製造にあたって児童本人が同意していた場合や、児童本人にお金を渡していて児童本人と警察には言わないと約束した場合であっても、児童の保護者からの相談をきっかけに、ある日突然、警察が自宅に訪れて逮捕していくという場合が十分にありえます。
児童ポルノを製造したことで警察に逮捕される前に、警察への出頭を考えているという方は、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。 弁護士に相談することで、事件の見通しや今後の手続きの流れ、出頭前に弁護士を選任することのメリットなどについて説明を受けることができるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 児童ポルノ製造について警察に逮捕されるかご不安な方や警察への出頭をお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】女性に抱きついて暴行で逮捕
【報道解説】
女性に抱きついて暴行で逮捕 面識の無い女性に背後から抱きついたとして暴行の疑いで男性が逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「神奈川県茅ケ崎署は2日、暴行の疑いで、住所不定、無職の男(53)を逮捕した。 逮捕容疑は、1日午後2時40分ごろ、茅ケ崎市茅ケ崎3丁目の温浴施設内エレベーターで、同市内に住む従業員の女性(47)に背後から抱きついた、としている。 調べに対し『ハグしただけで暴行はしていない』と供述し、容疑を否認している 署によると、エレベーターには2人しかいなかった。 面識はなかったという。」
(令和4年10月2日にカナコロ:神奈川新聞社で配信された報道より引用)
【抱きつきは暴行罪になる?】
今回取りあげた報道では、逮捕された男性が警察の取り調べにおいて「ハグをしただけで暴行はしていない」と供述しているようです。 刑法208条が規定する暴行罪は、殴る蹴るなどの暴力行為をした場合に成立する犯罪だと思われている方がいるかもしれませんが、後ろから女性に抱きつく(ハグをする)行為は暴行罪に当たる行為になりますので、逮捕された男性には暴行罪が成立する可能性が高いと言えます。 ちなみに、暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金、又は拘留若しくは科料となっています。
【抱きつきは強制わいせつ罪になる?】
報道を読んだ方の中には、抱きつく(ハグをする)行為は刑法176条の強制わいせつ罪ではないのかと思われた方がいらっしゃるかもしれません。 確かに、見知らぬ女性に抱きつく(ハグをする)という行為は、場合によっては強制わいせつ罪や、その未遂罪が成立する可能性があります。 刑法176条では、13歳以上の者に対しては、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした場合に強制わいせつ罪が成立するとしています。 そのため、被害者の反抗を著しく困難にする程度に抱きついたという場合は刑法176条の強制わいせつ罪における「暴行」に当たることになりますので、そうして抱きついた上で、被害者の胸や下半身をまさぐったり、無理やりキスをしたりなどのわいせつな行為をした場合には、強制わいせつ罪が成立する可能性が高いと考えられます。
他にも、たとえば、後ろから抱きつくと同時に被害者の胸を揉んだというような暴行とわいせつ行為が一緒に行われた場合にも強制わいせつ罪が成立する可能性が高いと言えます。 また、わいせつな行為を実際には行わなかったものの、わいせつな行為を行う目的で抱きついたのであれば、強制わいせつ罪の未遂罪が成立する可能性もあります。
以上のように、抱きつき行為が具体的にどのような態様であったのか、抱きついた後に被害者に対して行った行為がどのようなものであったか、どのような目的で抱きついたのか等の事情によっては、強制わいせつ罪や強制わいせつ罪の未遂罪が成立する可能性があります。 このような強制わいせつ罪の法定刑は、6か月以上10年以下の懲役となっています。
【暴行の疑いで刑事事件化したら】
取り上げた報道では、男性は暴行の疑いで逮捕されていますが、男性が女性に背後から抱きついたという事件ですので、今後の捜査では、男性が女性にわいせつな目的で抱きついたのか、抱きついた際に女性の身体のどこを触ったのかなどの抱きつき行為をしたときの具体的な状況などが詳しく捜査されることが予想されます。 抱きつき行為の目的や、その具体的な状況次第によっては、暴行事件ではなく、強制わいせつ事件や強制わいせつ罪の未遂事件として手続きが進んでいく場合もあり得ます。
先ほど説明した暴行罪と強制わいせつ罪の法定刑を比べるとわかるように、強制わいせつ罪の法定刑には罰金が定められていませんので、仮に検察官が事件を強制わいせつ事件として起訴した場合に必ず正式な裁判が開かれることになります。
従って、暴行罪よりも強制わいせつ罪のほうが重い犯罪であるといえますので、事件が暴行事件として処理されるのか、強制わいせつ事件として処理されるのかはその後の手続が大きく異なる可能性があります。そのため警察の取り調べにおいては、取り調べを担当する警察官の誘導に引っかかって、抱きつき行為が強制わいせつ罪に当たるようなものであったと虚偽の自白してしまわないよう、取調べには十分注意して臨む必要があります。 警察署の取調室という密室で、取調べのプロである警察官を相手に虚偽の自白を行わないようにするためには、事前に弁護士に相談して警察での取調べ等の対応についてアドバイスを得ておくことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 ハグをしたことにより暴行の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】体罰暴行事件で逮捕
【報道解説】
体罰暴行事件で逮捕 暴行事件の示談解決について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
埼玉県本庄市の私立中学校で、中学生に対して竹刀で突くなどの暴行を加えたとして、教員の男性が、令和4年8月25日に暴行容疑で逮捕された。 男性は剣道部の監督で、去年12月に、稽古中に部員の男子中学生に対し、顔を手で叩き竹刀でのどや脇腹を突く暴行を複数回加えた疑いが持たれている。 警察は、男性の指導日誌やスマートフォンなどを押収していて、部活動で日常的な体罰があったかどうかを調べている。 複数の生徒が暴行を受けたとみられている。
(令和4年8月25日に配信された「読売新聞オンライン」より抜粋)
【体罰暴行事件の刑事処罰とは】
部活の指導中に、物理的な接触等の「人の身体に対する不法な有形力の行使」があった場合には、刑法の「暴行罪」が成立する可能性があります。 また、「有形力の行使」により怪我を負わせた場合には、刑法の「傷害罪」が成立します。 暴行罪の法定刑は、「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」とされており、傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされています。
暴行罪と傷害罪のどちらが成立するかは、被害者側の怪我の病院診断書が、警察に提出されているかどうかが、判断の分かれ目になることが多いです。 弁護士に依頼して、被害者側との示談を成立させることで、被害届を取り下げたり、病院診断書の提出を阻止することが、刑事処罰の軽減のために重要な弁護活動となります。
【体罰暴行事件の示談解決】
暴行傷害事件においては、被害者側との示談が成立しているかの事情や、治療費や慰謝料支払いが済んでいるかの事情や、被害者が加害者を許しているかの事情が、刑事処罰の判断に大きく影響すると考えられます。 刑事事件に強い弁護士に依頼することで、被害者側との示談交渉を行い、被害届の取下げ等の、加害者を許す意思を含む示談を成立させることが、不起訴処分や刑罰軽減に結び付きます。 学校での体罰暴行事件では、被害者が未成年となるため、その保護者との示談交渉となります。
また、被害者が複数人いる場合には、それぞれの被害者との示談交渉をまとめる必要が出てくるケースも想定されます。 まずは、体罰暴行事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。 体罰暴行事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
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