【報道解説】盗撮したSDカードを飲み込んで証拠隠滅

【報道解説】

盗撮したSDカードを飲み込んで証拠隠滅 盗撮に気がつかれて盗撮したSDカードを飲み込んで証拠隠滅を図った刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】

埼玉県さいたま市大宮区のスーパーにおいて、で小型カメラを女性のスカートの下に差し入れたとして、埼玉県迷惑行為防止条例違反の疑いで66歳の男性が逮捕されました。 警察にると、被疑者男性は、スーパーで買い物に来ていた被害者女性の背後から、靴に仕込んだ小型カメラをスカートの下に差し入れた疑いで、男性の不審な動きを見た別の買物客が警察に通報しました。 駆け付けた大宮警察署の警察官が職務質問をしたところ、男はカメラからマイクロSDカードを抜き、かみ砕いて飲み込んだということです。 警察の調べに対し、男は盗撮の事実を認めています。

(令和4年10月27日にテレ朝NEWSで配信された報道より、事実を一部変更して引用)

【スーパーマーケットでスカートの中を盗撮した場合の罪―愛知県の場合】

埼玉県迷惑行為防止条例第2条の2では、「何人も、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為」をしてはならないとし、その第1条第1項で「人の通常衣服等で覆われている下着又は身体を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置すること。 」を禁止しています。 また、同項2号では、実際に盗撮していなくても、下着等を撮影するために、撮影器機を衣服等で覆われている人の身体や下着に差し向けて覗き見る行為も禁止しています。

取り上げた報道では、逮捕された男性は、スーパーマーケットという公共の場所において、女性のスカートの下に小型カメラを差し入れたとのことです。 報道記事に記載されている事実関係からでは、実際にスカートの中を盗撮したかどうかが明らかではありません。 ただ、前述したように、埼玉県迷惑行為防止条例では、盗撮の前の段階である撮影器機を下着に差し向ける行為も禁止していますので、スーパーマーケットで女性のスカートの下に小型カメラを差し入れたのであれば、埼玉県迷惑行為防止条例2条の2第1項2号に違反することになると考えられます。

この場合、埼玉県迷惑行為防止条例12条第2条によって、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。 また、このような行為を常習的に行っていた場合、同条第15条第4項によって、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。

【盗撮したSDカードを飲で証拠隠滅すると】

逮捕された男性は、通報により駆け付けた警察官から職務質問を受けている最中に、カメラからマイクロSDカードを抜いてかみ砕いて飲み込んだとのことです。 仮に、かみ砕いて飲み込んだマイクロSDカードの中に盗撮のデータが入っていた場合そのようなマイクロSDカードをかみ砕いて飲み込んでしまうと、証拠隠滅罪が成立するのではないかと思われる方がいらっしゃるかもしれません。 確かに、刑法104条には証拠隠滅罪を規定しています。 しかし、証拠隠滅罪が成立するためには、「他人の」刑事事件の証拠を隠滅する必要がありますので、「自分の」刑事事件の証拠を隠滅した場合は、証拠隠滅罪は成立しないことになります。

なぜ、自分の刑事事件に関する証拠を自分で隠滅した場合には証拠隠滅罪が成立しないかというと、犯人が自分の犯罪の証拠を隠滅しないように犯人自身に期待することがおよそ困難であると考えられているからです。 そのため、今回逮捕された男性が、かみ砕いて飲み込んだマイクロSDカードの中に盗撮のデータが入っていた場合、男性は自分の刑事事件の証拠を隠滅したことになると考えられますので、証拠隠滅罪は成立しないといえるでしょう。

もっとも、犯人が、自分の刑事事件に関する証拠を第三者に隠滅するよう依頼して、第三者が証拠を隠滅した場合は、証拠を隠滅した第三者には証拠隠滅罪が成立しますし、証拠隠滅を依頼した犯人にも証拠隠滅罪の教唆犯(刑法61条1項)が成立することになります。 なお、証拠隠滅罪の法定刑は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金となっています。

【家族が盗撮に逮捕されたら】

警察から、ご家族の方を盗撮の疑いで逮捕したという連絡を受けた場合、まずは弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。 この初回接見によって、弁護士が警察の留置場に留置されているご家族の元に面会して、逮捕されたご家族から直接事件についてお話を伺うことができますので、事件の概要や今後の見通しについて知ることができます。 また、逮捕されたご家族の方に、今後の手続きの流れについての説明や取調べでのアドバイスを行います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 ご家族が盗撮の疑いで警察に逮捕されてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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