Author Archive

【報道解説】防犯アプリで痴漢を現行犯逮捕

2022-10-07

【報道解説】

防犯アプリで痴漢を現行犯逮捕 電車内で痴漢の被害を受けている女性が、防犯アプリで被害を訴えたことをきっかけに犯人が現行犯逮捕されたケースを弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「通勤電車内で女性を取り囲んで痴漢をしたとして、警視庁池袋署は22日、自称埼玉県川口市、契約社員の男(34)を強制わいせつ容疑で、50歳代の無職男を東京都迷惑防止条例違反(痴漢)容疑で逮捕したと発表した。 逮捕は15日。 発表によると、契約社員の男は15日午前9時頃、赤羽―池袋駅間を走行中のJR埼京線の電車内で、20歳代の女性の下半身を触った疑い。 無職男も女性の体に自身の下半身を押しつけた疑い。 いずれも容疑を認めている。 契約社員の男と無職男に面識はなかった。 女性は当時、2人を含む5人ほどの男に不自然に囲まれていて、防犯アプリで被害を訴えたという。 気づいた乗客が契約社員の男らを取り押さえて駅員に引き渡した。」

(令和4年9月23日に読売新聞オンラインで配信された報道より引用)

【防犯アプリとは?】

今回取りあげた報道の中で登場する「防犯アプリ」は、別の報道によると、警視庁が配信している防犯アプリの「Digi Police(デジポリス)」というアプリのようです。 このデジポリスの機能のひとつに「痴漢撃退機能」という機能があります。 具体的には、「痴漢撃退機能」を起動するとスマートフォンの画面に大きく「痴漢です 助けてください」という文字が大きく表示されて、画面をタップすると「助けてください」という音声がなって、周囲の人に痴漢被害にあっていることを知らせることができます。 また、痴漢の被害を受けている本人だけではなく、周囲の人が「ちかんされていませんか」という画面をスマートフォン上に大きく表示することも出来るようです。 取りあげた報道の女性も、こうした機能を使って周囲の人に痴漢されていることを知らせたことで犯人を現行犯逮捕することができたと考えられます。

【なぜ犯罪の名前が違うのか?】

ところで、今回逮捕された被疑者は2人いますが、契約社員の30代男性は強制わいせつ罪の疑いで、無職の50代男性は東京都迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されています。 同じタイミングで同じ女性に対して痴漢をした疑いがあるのに、どうして罪名が違っているのかと疑問に思われた方がいると思いますが、これはそれぞれの痴漢行為の具体的な態様が異なるためであると考えられます。 明確な基準が定められている訳ではありませんが、服の上から相手のお尻に触れたという場合は迷惑行為防止条例で、下着の中に手を入れて直接陰部を触ったり弄んだりする行為は強制わいせつ罪として立件される傾向にあるといえます。

報道では、30代の男性は女性の下半身を触った疑いがあり、50代の男性は性の体に自身の下半身を押しつけた疑いがあるとのことで、それ以上の具体的な行為の態様は明らかではありませんが、被害に遭った女性の証言などからそれぞれ強制わいせつ罪と東京都迷惑行為防止条例5条1項1号違反に当たる行為をした疑いがあると警察が判断したと考えられます。

ちなみに、強制わいせつ罪の法定刑は6カ月以上10年以下の懲役で、東京都迷惑迷惑行為防止条例5条1項1号に違反した場合の法定刑は6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金となっていて(同条例8条1項2号)、強制わいせつ罪の法定刑の方が重く処罰されることになります。

【他の人は罪に問われないのか?】

報道では、被害者の女性は5人ほどの男性に不自然に囲まれて痴漢の被害に遭ったそうです。 このうち2人の男性は今回逮捕された30代男性と50代男性ですが、女性を囲んでいた他の男性も痴漢行為をしたのであれば当然罪に問われますし、仮に痴漢行為をしていなくても、女性の逃げ道をふさぐ等の方法で、他の人が痴漢行為を行いやすくしたのであれば、強制わいせつ罪や東京都迷惑行為防止条例違反の幇助犯(刑法62条1項)として処罰される可能性があります。

また、さらに進んで幇助犯としてではなくて刑法60条が定める共同正犯として処罰される場合もあります。 共同正犯は自分が痴漢行為をしていなくても痴漢行為をしたものとして、痴漢行為をした人と同じ罪が成立する場合を言い、刑法63条1項で刑の減軽が定められている幇助犯と異なって、法律上減刑が定められていません。 そのため、今後の捜査状況によっては、残りの男性についても警察の捜査が及んで罪に問われる可能性があると考えられます。

【痴漢行為を認める場合の弁護活動】

混雑した電車内での痴漢事件の場合、痴漢行為を実際にしたかどうか、仮に被害者の身体に触れたとしても故意ではなかったということが裁判で争われるケースが珍しくないですが、捜査段階において、そのような事実関係について争わずに痴漢行為を認めるのであれば、被害者の方と示談を締結することが非常に重要になります。 被害者の方と示談を早期に締結することができれば、検察官による起訴を回避して、前科が付くことを避けることも可能になるでしょう。 このような示談交渉は、示談交渉の経験が豊富な弁護士に依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所で、痴漢事件での示談交渉の経験が豊富な弁護士が在籍しております。 痴漢事件で被害者の方との示談をお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】女子高校生への淫行で準強制わいせつ罪で逮捕

2022-10-03

【報道解説】

女子高校生への淫行で準強制わいせつ罪で逮捕 女子高校生に対してわいせつな行為をしたとして準強制わいせつ罪の疑いで外国人男性が逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「英会話塾を経営するイギリス人の男が教え子の女子高校生にわいせつな行為をしたとして逮捕されました。 準強制わいせつの疑いで逮捕されたのは群馬県伊勢崎市の英会話塾経営者でイギリス人のA容疑者(56)です。 警察によりますと、A容疑者は去年11月、自宅で開いていた英会話塾で教え子の女子高校生(10代)に、体をさわるなどのわいせつな行為をした疑いがもたれています。 警察は女子高校生がA容疑者から1対1で授業を受けていて、抵抗できる心理状態ではなかったとしています。 調べに対し、A容疑者は『間違っている』などと容疑を否認しています。」

(9月29日にTBSNEWSDIGで配信された報道より一部匿名にして引用)

【準強制わいせつ罪とは】

女子高校生に対してわいせつな行為をした場合、各都道府県が定めるいわゆる淫行条例に違反したとして警察に逮捕されるニュースをよく目にすることがあるかと思います。 淫行条例は、18歳未満の青少年に対してみだらな行為をした場合に刑事罰を科す規定ですが、この淫行条例が適用される場合というのは、みだらな行為を行うことについて18歳未満の青少年が同意している場合です。 18歳未満の青少年が、みだらな行為やわいせつな行為を行うことについて同意していない場合には、刑法に規定されている強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪や強制性交等罪・準強制性交等罪という犯罪が適用される可能性があります。

準強制わいせつ罪とは刑法178条1項に規定されている犯罪で、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした」場合に成立する犯罪です。 具体的にどのような場合に準強制わいせつ罪が成立するかというと、熟睡や泥酔している人にわいせつな行為をした場合や、医師が治療行為と称してわいせつな行為をした場合が考えられます。

今回取り上げた報道では、英会話塾経営者のイギリス人男性が教え子の女子高校生に対して体を触るなどのわいせつな行為をした疑いがあるとのことですが、過去の裁判例には、被告人が、英語の個人レッスンを受けていた女子高校生に対して、英語上達のためのリラックス法のために必要であると称して女子高校生に対して下着まで脱がせて着替えさせた行為に準強制わいせつ罪の成立を認めたものがあります(東京高等裁判所平成15年9月29日判決)。

そのため、逮捕されたイギリス人男性は否認しているようですが、仮に、英会話塾の経営者であるという立場を利用して教え子である女子高校生が抵抗することを心理的に困難な状態に陥らせた上で、わいせつな行為をしたのであれば、準強制わいせつ罪に当たることになるでしょう。 ちなみに準強制わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役となっています。

【ご家族の外国籍の方が警察に逮捕されてお困りの方は】

外国籍のご家族の方が警察に逮捕されてお困りの方は、弁護士に依頼して初回接見に言ってもらうことをお勧めします。 弁護士が初回接見に向かうことで、事件の全体像を把握して今後の見通しを立てることができますし、その後も予定されているであろう警察の取り調べに対するアドバイスを行うこともできます。 また、今回取り上げた報道のように外国籍の方が逮捕された場合には、弁護士の初回接見に通訳の方も一緒に派遣することもできます。

逮捕された後の手続きについては日本人であっても詳しく知っているという方は多くありませんし、また刑事手続きについて理解するためには難しい専門用語を使う場合があります。 そのため、外国籍の方が逮捕された場合は、その方が日本に在住していて日常生活には困らない程度の日本語をマスターしていても、刑事手続についてしっかり説明するために通訳の方を一緒に派遣した方が良い場合もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所で、これまで外国籍の方に対する刑事弁護活動の経験が豊富な弁護士が在籍しております。 外国籍のご家族の方が準強制わいせつ罪の疑いで警察に逮捕されてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】売春防止法違反で風俗店経営者ら逮捕

2022-09-29

【報道解説】

売春防止法違反で風俗店経営者ら逮捕 売春防止法違反の疑いで派遣型風俗店の経営者らが逮捕された場合の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「東京・台東区の派遣型風俗店で従業員の女性に売春をさせたとして、3店舗の経営者ら9人が逮捕されました。 合わせて17億円以上を売り上げていました。 派遣型風俗店の経営者で韓国籍のA容疑者(58)と他2店舗の経営者、従業員の男女ら9人は台東区のホテルに従業員の女性を派遣し、売春をさせた疑いが持たれています。 警視庁によりますと、3店舗は無店舗型風俗店として届け出を出していましたが、従業員に売春行為をさせ、これまでに3店舗、合わせて17億円以上を売り上げていました。 A容疑者ら8人は容疑を認め、1人は容疑を一部否認しています。 手口が同じことから、3店舗は同一のグループとみられています。」

(令和4年9月14日にテレ朝NEWSで配信された報道より一部匿名にして引用)

【売春防止法の処罰対象】

売春防止法2条では、「売春」を「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」と定義して、売春防止法3条において、「何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない」と規定して売春行為を禁止しています。 もっとも、売春防止法においては、売春行為をした女性や売春行為の相手となった男性に対する罰則規定は定められておらず、売春を助長するような行為を処罰の対象としています。

売春防止法が、どのような売春助長行為に罰則を科しているのか一部取り上げてみますと、例えば、売春防止法5条1項1号では、公衆の目にふれるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘した場合は、6か月以下の懲役又は1万円以下の罰金を科すとしています。 また、売春防止法6条1項では、売春を斡旋(あっせん)するした者に2年以下の懲役又は5万円以下の罰金を科すと定めています。 さらに、売春防止法11条1項では、売春に使われることを知って売春を行う場所を提供した者には3年以下の懲役又は10万円以下の罰金を科すと定めていますし、同条2項では、そのような場所の提供を業として行った者には7年以下の懲役及び30万円以下の罰金を科すと規定しています。

取り上げた報道では、逮捕された派遣型風俗店の経営者らがどのような行為をしたとして売春防止法に違反した疑いがあるかが必ずしも明らかではありませんが、売春の相手方となるように客を公衆の目でふれるような方法で勧誘したのであれば売春防止法5条1項1号に違反することになりますし、客がいるホテルに女性を派遣して売春させたということであれば、売春行為を斡旋したとして売春防止法6条1項に違反した可能性があります。

【売春防止法違反で刑事事件化したら】

今回取り上げた報道では、派遣型風俗店の経営者のみならず従業員も売春防止法違反の疑いで逮捕されています。 逮捕された従業員の方がどのような認識で日々の業務に当たっていたかは明らかではありませんが、一般論として、従業員は経営者の指示を受けて日々の業務をこなすことになるでしょうから、従業員としては、経営者から指示された業務が売春防止法に違反する行為であると知らずに日々の業務に当たっていたという可能性が想定されます。

そのような場合に、「売春防止法に違反するとは知らなかった」と警察に正直に話しても、信じてもらえずに「本当は知っていたんだろう」と警察に決めつけられて事実とは異なる供述調書が作成されるおそれがあります。 いったん正式に作成された調書については、その後に内容を訂正してもらうことは大変難しいですので、自分の言い分がきっちり反映された調書を作成してもらうためには、警察の取り調べ前に弁護士に相談されることをお勧めします。 弁護士に相談することで、取り調べにはどのようなことを話せば良いのか、自分の言い分と異なる調書が作成されないようにするためにはどうすれば良いのかといったことについて具体的なアドバイスを得ることができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 ご家族の中に、売春防止法違反の疑いで逮捕された方がいてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】下着を見せつけて迷惑行為防止条例違反で逮捕

2022-09-25

【報道解説】

下着を見せつけて迷惑行為防止条例違反で逮捕 コンビニでチャックを下ろして下着を見せつけたことにより、千葉県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されたケースを弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

【報道紹介】

「コンビニの店員にスラックスのチャックを下ろし下着を見せつけたとして、千葉県警千葉中央署は16日、千葉市若葉区、県立B高教諭、A容疑者(32)を県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕した。 『自分がやったことで間違いない』と容疑を認めている。 逮捕容疑は6月6日午前7時20分ごろ、千葉市中央区内のコンビニで会計をする際、カウンター奥のレジにいたパートの女性(46)に対し、スラックスのチャックを全開にして下着を露出したとしている。 同署によると、A容疑者が会計を終え、外に出た後、同日中に被害関係者が同署に通報していた。 同署は余罪なども含めて捜査を進める。 B高によると、A容疑者の勤務態度に問題はなかったという。」

(令和4年8月16日に産経新聞で配信された報道より一部匿名にして引用)

【コンビニで下着を見せつけると…?】

報道では、Aさんは、コンビニでズボンのチャックを下ろして下着を見せつけたために逮捕されたとあります。 不特定または多数人が認識することができる状況で、自身の陰部を露出したため事案において、公然わいせつ罪(刑法174条)の疑いで逮捕されるという事案はご存じの方もいらっしゃると思います。

報道では、Aさんは、迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されたとの記載があります。 事件が起きた千葉県が定める迷惑行為防止条例(正式には「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」)第3条の2第3号では、公共の場所や乗物における卑わいな言動を禁止しています(ただし、同条1号、2号でそれぞれ禁止されている盗撮や痴漢にあたるものを除きます)。 このような卑わいな言動は、みだりに人を著しく羞恥させ又は人に不安を覚えさせるような行為である必要があります。

報道では詳しい事実関係については明らかになっていませんが、Aさんがコンビニでズボンのチャックを下ろして下着を見せつけた行為が、たとえば単にトイレに行った後にズボンのチャックを上げ忘れたために下着がちょっと外部に出ていたというような状態を超えて、みだりに人を著しく羞恥させ又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動であると当局が判断したために、迷惑行為防止条例違反で逮捕されたと考えられます。 なお、仮に卑わいな言動をして有罪となってしまうと、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります(同条例13条の2第1項2号)。

【迷惑行為防止条例違反で逮捕されてお困りの方は】

ご家族の中に、迷惑行為防止条例違反で逮捕された方がいる場合は、いち早く弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。 Aさんのように県立高校の教員という地方公務員の方が事件を起こした場合は、刑事処分に加えて、教育委員会の懲戒処分が科される可能性が非常に高いですが、この懲戒処分は、刑事処分が最終的にどのようなものであったかという点が少なからず影響すると考えられます。 そのため、その後の懲戒処分の影響も考慮すると、なるべく早期に弁護士に依頼して、刑事事件の解決を目指すことが非常に有用であると言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です ご家族の方が、迷惑行為防止条例違反で逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】従業員に行き過ぎたセクハラで強制わいせつ罪で逮捕

2022-09-21

【報道解説】

従業員に行き過ぎたセクハラで強制わいせつ罪で逮捕 強制わいせつ事件の示談解決について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】

東京都大田区で、パン屋を経営していた男性(68歳)が、アルバイトの女子高校生にわいせつな行為をしたとして、警視庁田園調布警察署で逮捕された。 男性は、令和4年6月4日に、店の厨房で皿を洗うなど閉店の準備をしていたアルバイトの女子高校生に対し、後ろから抱きつき、胸や尻を触るなどの、わいせつな行為をした疑いがもたれている。 男性は、警察の取調べに対して容疑を認め、「理性が抑えきれなかった」「他のアルバイトの女性の胸や尻も触った」と供述しているということで、警視庁は余罪があるとみて調べている。

(令和4年8月26日に配信された「TBS NEWS DIG」より抜粋)

【強制わいせつ事件の刑事処罰とは】

暴行又は脅迫を用いて、わいせつな行為をした場合には、刑法の「強制わいせつ罪」が成立します。 本件において、後ろから抱きついたという行為態様が、「被害者が抵抗するのを著しく困難にする程度の行為」といえる場合には、「暴行又は脅迫」があったと認定され、強制わいせつ罪に当たると判断される可能性があります。

・刑法 176条 「十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」

【強制わいせつ事件の示談解決】

強制わいせつ事件で逮捕された場合には、逮捕から2,3日の間に、さらに10日間の勾留(身柄拘束)を続けるかどうかが判断されます。 逮捕後の勾留期間(身柄拘束)は、原則として10日間、延長されれば最大20日間とされており、勾留期間の終わるときに、刑事処罰の起訴・不起訴の判断がなされます。 刑事処罰の起訴・不起訴の判断があるまでの勾留期間に、弁護士を依頼して、警察の取調べ対応の検討や、被害者側との示談交渉をまとめることが、刑事処罰の軽減や、不起訴処分の獲得のための、重要な弁護活動となります。

被害者側は、加害者に対する恐怖心を持つことが多く、直接の加害者と被害者の示談交渉は困難となるため、刑事事件に強い弁護士を依頼して、弁護士を仲介することで、示談交渉をスムーズに進めることが必要となります。 また、被害者が未成年のケースにおいては、未成年者の保護者との示談交渉を行い、謝罪や慰謝料支払いの意思を伝えることで、加害者を許す意思を含むような示談成立を目指すことにより、後の刑事処罰の判断に有利に影響することが期待されます。 まずは、セクハラ強制わいせつ事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。 セクハラ、強制わいせつ事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】埼玉県本庄市の体罰暴行事件で逮捕

2022-09-17

【報道解説】

埼玉県本庄市の体罰暴行事件で逮捕 暴行事件の示談解決について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

埼玉県本庄市の私立中学校で、中学生に対して竹刀で突くなどの暴行を加えたとして、教員の男性が、令和4年8月25日に暴行容疑で逮捕された。 男性は剣道部の監督で、去年12月に、稽古中に部員の男子中学生に対し、顔を手で叩き竹刀でのどや脇腹を突く暴行を複数回加えた疑いが持たれている。 警察は、男性の指導日誌やスマートフォンなどを押収していて、部活動で日常的な体罰があったかどうかを調べている。 複数の生徒が暴行を受けたとみられている。

(令和4年8月25日に配信された「読売新聞オンライン」より抜粋)

【体罰暴行事件の刑事処罰とは】

部活の指導中に、物理的な接触等の「人の身体に対する不法な有形力の行使」があった場合には、刑法の「暴行罪」が成立する可能性があります。 また、「有形力の行使」により怪我を負わせた場合には、刑法の「傷害罪」が成立します。

暴行罪の法定刑は、「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」とされており、傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされています。 暴行罪と傷害罪のどちらが成立するかは、被害者側の怪我の病院診断書が、警察に提出されているかどうかが、判断の分かれ目になることが多いです。

弁護士に依頼して、被害者側との示談を成立させることで、被害届を取り下げたり、病院診断書の提出を阻止することが、刑事処罰の軽減のために重要な弁護活動となります。

【体罰暴行事件の示談解決】

暴行傷害事件においては、被害者側との示談が成立しているかの事情や、治療費や慰謝料支払いが済んでいるかの事情や、被害者が加害者を許しているかの事情が、刑事処罰の判断に大きく影響すると考えられます。 刑事事件に強い弁護士に依頼することで、被害者側との示談交渉を行い、被害届の取下げ等の、加害者を許す意思を含む示談を成立させることが、不起訴処分や刑罰軽減に結び付きます。

学校での体罰暴行事件では、被害者が未成年となるため、その保護者との示談交渉となります。 また、被害者が複数人いる場合には、それぞれの被害者との示談交渉をまとめる必要が出てくるケースも想定されます。 まずは、体罰暴行事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。 埼玉県本庄市の体罰暴行事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】過失により空気銃で射撃して負傷させる重過失致傷罪

2022-09-13

【報道解説】

過失により空気銃で射撃して負傷させる重過失致傷罪 許可を得ずに所持していた空気銃で従業員の頭を誤ってしまい、重過失致傷の疑いで逮捕された場合の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】

「北海道別海町の牧場で、従業員の男性が誤って空気銃で撃たれた事件で、逮捕・送検された男が『カラスのことばかり考えていた』と話していることがわかりました。 重過失傷害の疑いで、検察に身柄を送られたのは、別海町の酪農業・A容疑者です。 A容疑者は15日朝、牧場内のカラスを駆除しようと空気銃を発砲し、誤って従業員のVさんの頭を撃った疑いが持たれています。 Vさんは意識は戻りましたが重傷です。 A容疑者は容疑を認めていて『カラスのことばかり考えていた』と話しているということです。 空気銃はVさんの物で、A容疑者は所持などの許可を受けておらず、警察は銃刀法違反の疑いでも調べています。」

(8月18日にHTB北海道ニュースで配信された報道より一部匿名にして引用)

【重過失致傷罪とは?】

刑法211条では 「業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。」 と規定しており、前段で業務上過失致死罪を、後段で重過失致死傷罪を定めています。

「重過失致死傷罪」とありますが、「重過失致死傷罪」という犯罪があるのではなく、重大な過失によって、被害者の方が死亡した場合の「重過失致死罪」と、怪我した場合の「重過失致傷罪」の2つの犯罪を便宜上まとめて表記する際に「重過失致死傷罪」という言葉が用いられることになります。 報道では、Vさんは死亡していませんので、「重過失致傷罪」の疑いでAさんは逮捕されています。

【どのような場合に銃刀法違反になる?】

Aさんは重過失傷害罪の疑いで逮捕されましたが、現在はさらに銃刀法違反の疑いについても警察で捜査を受けているとのことです。 銃刀法3条では、一定の場合を除いて「鉄砲」を「所持」することを禁止しています。 この「鉄砲」には「空気銃」も含まれます(銃刀法2条1項」が、「圧縮した気体を使用して弾丸を発射する機能を有する銃のうち、内閣府令で定めるところにより測定した弾丸の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるもの」(銃刀法2条1項)という条件を満たす「空気銃」でなければなりません。 このような「空気銃」を所有していなくても、わずかの間でも自分の手で持つといった形で「所持」してしまうと、銃刀法31条の3第1項によって、1年以上10年以下の懲役刑が科される可能性があります。

報道では、Aさんは空気銃を実際に発砲したことは認めているようですので、今後は、Aさんが発砲した空気銃が銃刀法が定める「空気銃」に該当するのか、Aさん個人に銃刀法が例外的に所持を認める事由があるかといったことが捜査されることが予想されます。

【ご家族の方が重過失致傷罪、銃刀法違反の疑いで逮捕されてお困りの方は】

取り上げた報道のように、ご家族の中に、重過失致傷罪や銃刀法違反の疑いで警察に逮捕された方がいるという場合は、弁護士に依頼して、初回接見に行ってもらうことをお勧めします。 この初回接見を通して、弁護士から事件の概要や、今後の手続の流れ、事件がどのような見通しとなるかということを説明してもらうことができるでしょう。 いち早く弁護士に刑事弁護活動を行ってもらうことで、重過失致傷罪に関しては、被害者の方と示談交渉を進めて示談を締結することができれば、被疑者にとって有利な事情となります。

また、被害者がいない銃刀法違反に関しては、贖罪寄附をするなどして事件について真摯に反省していることを示すことができれば、こちらも被疑者にとって有利な事情となるでしょう。 さいたま支部では、数丁の実銃を所持していた銃刀法違反の刑事事件の刑事裁判において、執行猶予を勝ち取り実刑を回避した実績もございます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 突然、ご家族の中で、重過失致傷罪や銃刀法違反の疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】18歳未満の女性をソープランドで働かせ児童福祉法違反で逮捕

2022-09-09

【事例解説】

18歳未満の女性をソープランドで働かせ児童福祉法違反で逮捕 18歳未満の女性をソープランドで雇用して性的なサービスを提供させたとして、児童福祉法違反の疑いで逮捕されたケースを弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例紹介】 「ソープランドを経営するAさんは、路上で女性Ⅴさんを誘い、Vさんが生活に困っていることに乗じて、自身が経営するソープランドで働かせようと考えました。 ソープランドで勤務するにあたって、AさんはVさんの年齢を尋ねると、Vさんは本当は17歳でしたが、本当の年齢を言ったら働けなくなると思い、19歳と年齢をごまかしました。 Aさんは、Vさんの年齢を確認するため顔写真付き身分証の提示を求めましたが、Vさんは忘れてきたと言い、結果としてAさんはVさんの年齢を確認することをせず、Vさんを雇用しました。 ソープランド従業員としてVさんを雇っていましたが、ある日突然Aさんのもとに警察が『この店に18歳未満の子いるよね』と訪ねてきて、そのままAさん児童福祉法違反の疑いで逮捕しました。」

(この事例はフィクションです)

【18歳未満の子を風俗店で働かせると…?】

児童福祉法は児童の健全な育成のために定められている法律です。 そこでは、児童の健全な育成に悪い影響を及ぼす行為は禁止されています。 そのため、自身の立場を利用して18歳未満の児童をソープランドやデリヘルなどの風俗店で働かせて、客に性的なサービスを提供させる行為は、児童福祉法34条1項6号で禁止されている「児童に淫行をさせる行為」にあたる行為として禁止されています。 これに違反すると10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその両方が科される可能性があります(児童福祉法60条1項)。

【18歳未満だと知らなかったという弁解は通るのか?】

児童福祉法60条4項によれば、児童の年齢が18歳未満であることを知らないことを理由として、処罰を免れることができないというのが原則です。 ただし、18歳未満であることを知らなかったことについて過失がないときは、例外的に処罰を免れることができます。 それではどのような場合に、18歳未満であることを知らなかったことについて過失がないといえるかについてですが、これには古い判例で「過失がない」とはいえない、すなわち過失があったとして被告人を児童福祉法違反で有罪とした昭和34年5月11日決定があります。 この判例は、被告人が、18歳未満の女性を接客婦を雇い入れるにあたり、女性の年齢を調査するために女性の実家を訪問して、直接、女性の両親とも接触し、そこで提出された他人の戸籍抄本を女性のものであると簡単に信じた事案について、被告人に「過失がない」とはいえないと判断しました。

この判例を踏まえると、女性の話を漫然と信じたり、女性の身体の発育状況から安易に18歳以上であると判断した場合や、顔写真のない住民票の写しをもって女性を18歳以上であると判断した場合は、「過失がない」とはいえないと判断される可能性が高いでしょう。 また、仮に女性が偽造した顔写真付き証明書を提示したことで18歳以上であると判断した場合も、顔写真付き証明書で年齢を確認したという事実を証明することが出来なければ「過失がない」と判断されることは難しいと考えられます。

【児童福祉法違反の疑いで突然警察に逮捕されてしまったという場合は】

児童福祉法34条1項6号の「児童に淫行をさせる行為」に違反した場合の刑罰は、児童福祉法の中で最も重い刑罰になります。 そのため、ご家族の方が児童福祉法違反の疑いで警察に逮捕された場合はいち早く弁護士に依頼して初回接見を依頼されることをお勧めします。

逮捕直後から、警察による取り調べが開始されますが、そこでは、捜査機関側が思うようなストーリーに沿った調書を作成するため、事実とは異なった供述をするよう誘導される危険性があります。 事実に反する調書が作成されることを防ぎ、不必要な刑事処分を受けることを回避するためには、捜査開始直後に弁護士が事件に介入することが重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 風俗店で18歳未満の児童を働かせたことにより児童福祉法違反の疑いで警察に逮捕されたという方がご家族の中にいてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

【報道解説】公然わいせつで風俗店経営者が逮捕

2022-09-05

【報道解説】

公然わいせつで風俗店経営者が逮捕 性的行為を他人が見られる状況で行った風俗店に対する刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「東京・蒲田にある風俗店が警視庁に摘発され、経営者の男ら4人が公然わいせつの疑いで逮捕されました。 警視庁によりますと、大田区蒲田の風俗店Xの経営者、A容疑者ら2人は17日、他の客が見られる状態で50代の女性従業員と男性客にわいせつな行為をさせた疑いがもたれています。 女性従業員と男性客も逮捕されましたが、その後、釈放されています。 店は、性的サービスをしたとして去年4月に営業停止処分を受けていましたが、その後も営業を続け、この2年間で約2000万円を売り上げたとみられています。 調べに対し、2人は容疑を認めているということです。」

(令和4年7月19日に日テレNEWSで配信された報道より一部匿名表記にして引用)

【公然わいせつ罪とは】

不特定または多数の人が認識することができるような状態で、性行為や性交に類似した行為といったわいせつな行為を行ってしまうと、刑法176条の公然わいせつ罪が成立する可能性があります。 この不特定または多数の人が認識することができるような状態というのは、路上や公共の場所以外にも、室内であっても、これに当たる場合があります。

今回、女性従業員と男性客のわいせつな行為は、風俗店の店内という室内で行われたとのことですが、風俗店を利用する別の客などが、このわいせつな行為を認識できるような状況であれば、不特定または多数の人が認識できるような状態であるといえるでしょう。 公然わいせつ罪の法定刑は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金、又は拘留若しくは科料となっています。

【実際にわいせつな行為をしていなくても罪に問われる場合がある】

今回、風俗店の経営者であるAさんも公然わいせつの疑いで逮捕されています。 Aさんが実際に公然わいせつに当たる行為をしたかについては報道では明らかではありませんが、風俗店の経営者として、他の客から見えるような場所でわいせつな行為ができるような風俗店をつくり、女性従業員を雇ってそのような行為をさせていたということであれば、公然わいせつ罪の共同正犯(刑法60条、176条)として公然わいせつ罪をした人と一緒に罪に問われることになるでしょう。

なお、このような風俗店の経営者ではなく、単なるスタッフとして働いていた場合であっても、公然わいせつを行いやすくするような仕事をしていた場合には、公然わいせつ罪の幇助犯(刑法62条1項、176条)に問われる可能性があります。

【他の客のわいせつな行為がみえる風俗店を利用してしまった場合は】

他の客と風俗店の従業員とのわいせつな行為がみえるような風俗店を利用して、従業員とわいせつな行為をしてしまったという場合は、公然わいせつ罪に問われる可能性があります。 今回取り上げた報道でも、実際にわいせつな行為をしていた男性客も、公然わいせつ罪の疑いで逮捕されています。

なお、報道では、男性客は逮捕後にすぐ釈放されたということですが、釈放されたからといって無罪放免という訳ではありませんので、今後は、在宅での捜査が続くことが予想されます。 そのため、他の客と風俗店の従業員とのわいせつな行為がみえるような風俗店を利用してしまい、警察の捜査の対象になるかもしれないとご不安な方は、一度弁護士に相談して、今後の対応などについて、弁護士から専門的なアドバイスを貰うことをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です 利用した風俗店の経営者が公然わいせつの疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】ストーカー規制法違反の逮捕事案で不起訴処分

2022-09-01

【報道解説】

ストーカー規制法違反の逮捕事案で不起訴処分 GPS機器を用いて被害者に無断で被害者の位置情報を複数回取得した行為により、ストーカー規制法違反の疑いで逮捕された後に不起訴となった刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「先月、20代の知人女性のリュックサックにGPS機器を入れ、複数回無断で位置情報を取得したとしてストーカー規制法違反の疑いで逮捕された61歳の男性について、東京地検は不起訴としました。 東京地検は不起訴の理由を明らかにしていません。」

(7月28日にTBS NEWS DIGより配信された報道より引用)

【ストーカーはどのような場合に逮捕されるのか?】

ストーカー規制法では、「ストーカー行為」をした場合や、禁止命令に違反した場合に罰則を科すという内容になっていますので、このような行為をした場合にはストーカー行為規制法違反を理由に逮捕されることになるでしょう。 GPS機器を使った場合にどのような理由でストーカー行為規制法違反になるのかといったことについて簡単に説明すると、特定の者に対する恋愛感情といった好意の感情や、そのような好意の感情が満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、特定の者の持ち物にGPS機器を入れて無断で位置情報を取得する行為は「位置情報無承諾取得等」と呼ばれることになります。 そして、「位置情報無承諾取得等」を反復して行うと「ストーカー行為」に当たることになります。 そのため、知人女性のリュックサックにGPS機器を入れて複数回無断で位置情報を取得する行為は「ストーカー行為」にあたる可能性が高いと言えるでしょう。

【どのような場合に不起訴処分となるのか?】

報道では、逮捕された男性が不起訴処分となったとありますが、不起訴処分となる場合として代表的なものには次のような場合があります。

・被疑者が死亡していた場合や時効が完成していた場合など、起訴をするための条件(訴訟条件)が欠けていることが明らかになった場合。

・被疑者がした行為がそもそも犯罪の構成要件に当たらない場合や、正当防衛の成立や犯行時に心神喪失状態であったなどの犯罪の成立を阻害する事実が明らかとなった場合。

・捜査の結果、犯罪となる事実を行った人物が被疑者ではないことが明らかとなったなどの嫌疑なしの場合、犯罪を行った人物が被疑者である疑いがあるものの被疑者が犯人であることの証拠が不足している嫌疑不十分の場合。

・逮捕した被疑者に犯罪の疑いがあって犯人であることの証拠も充足しているものの、「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により」(刑事訴訟法2248条)検察官が起訴を必要しないと判断する起訴猶予の場合。

今回の事件では不起訴処分の理由が明らかとなっていませんが、一般的にストーカー行為規制法違反のような被害者の方がいる事件の場合では、被害者の方との示談締結は、不起訴処分を獲得のために重要な要素になります。

【ストーカー行為規制法違反について不起訴処分を目指したい方は】

不起訴処分となった場合は刑事裁判が開かれることがないので事件を早期に解決することができますし、また、刑事罰が科されることがありませんので前科が付くことを回避することもできます。 このように不起訴処分には様々なメリットがありますが、不起訴処分の獲得は容易なものではありません。 そのため、不起訴処分を獲得したいとお考えの方は、まずは刑事事件の弁護活動経験が豊富な弁護士にご相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。 ストーカー行為規制法違反で不起訴処分の獲得を目指したい方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0120631881 無料相談予約はこちら LINE予約はこちら