【報道解説】児童福祉法違反の性犯罪で逮捕
児童福祉法違反の疑いで被疑者が逮捕された報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道】
逮捕されたのは、岐阜県海津市の26歳の看護師の男で、令和4年1月から2月にかけて、複数回にわたり勤務する岐阜県内の病院に入院していた18歳未満の少女にわいせつな行為をさせた児童福祉法違反の疑いが持たれています。
令和4年2月8日、少女が岐阜県警が設置する性犯罪被害の相談窓口に「入院中に男性看護師に体を触られた」と相談をしたことで事件が発覚しました。
(令和4年3月25日に配信された東海テレビより引用)。
【解説~児童福祉法~】
この報道の中では「児童福祉法」に違反したとして、被疑者が逮捕されました。
児童福祉法は、児童の心身の健全な育成のために定められた法律で、児童の福祉のために認められる権利や支援、施設に関する規定があります。
こうした児童福祉法では、罰則をもって禁止されている行為があり、その中のひとつが、児童福祉法34条1項6号になります。
児童福祉法34条1項6号では、18歳未満の「児童に淫行をさせる行為」を禁止し、これに違反すると、児童福祉法第60条1項により、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はこれを併科した刑が科されることになります。
【解説~淫行とは~】
児童福祉法の「児童に淫行をさせる行為」については、平成28年6月21日に出された重要な最高裁判所の判例がありますので、今回はこの判例について簡単に説明します。
この判例は、「淫行」の意味と、「させる行為」に当たるか否かの判断のための要素を呈示しています。
まず、「淫行」の意味ついては、「児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為」のことをいうと判断しています。
これは、性交や性交に準ずる性交類似行為の中で、さらに、児童の健全な育成を阻害するおそれがあるものに限定することを意味します。
こうした解釈からは、真摯な交際関係の下で行われた性行為は「淫行」に当たらないことになる可能性が高いですが、他方、単に自身の性欲のはけ口にするためだけに児童と性行為をするような場合は、「淫行」に当たることになります。
そして、「させる行為」の意味については、「児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をいう」と述べた後で、「させる行為」にあたるか否かの判断は、「行為者と児童の関係、助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度、淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯、児童の年齢、その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断する」と述べました。
そして、この判例では、被告人が16歳の被害者の方が通う高校の常勤講師であり、高校内で性的接触を持った後で、ほどなくホテルで性交したという事実関係のもとで、被告人が被害者の方と性交をした行為を「淫行をさせる行為」であると判断しました。
今回取り上げた報道において、仮に「淫行」行為の事実が認められた場合、「させる行為」があったか否かの判断については、この判例に従ってなされることになるでしょう。
報道によると、逮捕された看護師の方と被害に遭われた児童の方との間には、看護師の方が児童の治療を担当していたという関係があったとのことですので、この関係の影響がどれほどのものであったかがひとつのポイントになりそうです。
【刑事事件の解決のために】
今回は、看護師の方が児童福祉法違反の疑いで逮捕された報道を取り上げました。
報道のように、ご家族の中で、児童福祉法違反の疑いで逮捕されてしまった方がいる場合、いち早く、刑事事件に精通した弁護士に依頼して初回接見に向かってもらうことをお勧めします。
この初回接見によって、弁護士から今後の事件の見通しや今後の対応について適切な助言を貰うことが期待できるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、児童福祉法違反を始めとした刑事弁護の経験が豊富な弁護士が在籍しております。
ご家族の方が児童福祉法違反の疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスのご利用をご検討ください。