埼玉県春日部市で電車内の暴力行為で書類送検
電車内のマナー違反等を理由に乗客同士で喧嘩や暴力行為に発展した場合に生じうる刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
<事件例>
埼玉県在住の会社員Aさんは、通勤に利用する東武伊勢崎線の春日部駅付近を走行中の電車内において、何度も咳き込んでいる乗客Vに対して、「マスクをつけろ」「咳を我慢しろ」等と指摘して険悪な関係になり、その結果、Vの胸や腹を手拳で殴りつける暴力行為に発展しました。
乗客の仲裁により、AさんとVは次の駅で降車したものの、再度駅で掴み合いになったため、乗客の通報により駆けつけた埼玉県警春日部警察署により、AさんとVは共に暴行罪の疑いで事情聴取を求められました。
警察の調べに対し、Aさんは暴行の事実を認めているものの、VもAに対して暴行を振るったこと、喧嘩の原因はVにあること等を主張しています。
後日、事件は警察からさいたま地方検察庁へ送致(書類送検)され、Aさんは検察官から事情聴取の呼び出しを受けました。
(フィクションです。)
上記刑事事件例は、令和2年2月20日、福岡市営地下鉄でマスクを着用していないことを巡り隣同士に座っていた男性2人が言い合いになり、非常通報ボタンが押されるトラブルとなった事実をモデルにしています。
市交通局によると、七隈線天神南発橋本行きの列車内で2月18日午後8時ごろ、乗客の男性が咳をしていた隣の男性に「マスクをしていない」と指摘し口論になったため、指摘した男性が通報ボタンを押し、列車は最寄り駅に停車し、2人は降ろされました。
市交通局では、コロナウイルスの感染について乗客に不安が広がっており、マスクをするなど、咳エチケットを推進しているところですが、一方で過剰な対応や行き過ぎた行動にも自粛を求めています。
【電車など公共の場での暴力行為】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部においても、電車内や駅構内において、混雑や遅延によってイライラしたために小競り合いや喧嘩となり、暴行罪や脅迫罪で刑事事件化してしまった方のご相談が寄せられることがあります。
その内何件かは弊所にて受任となりましたが、電車内や駅構内という多数の人目につく公共の場所における犯罪であるために、現行犯逮捕や事後的な被疑者の特定による逮捕に至るケースも多くあります。
このようなケースでは、被害者が逮捕事実を素直に認め、捜査機関に対して協力的な対応を行うことを前提に、被害者との接触を断ち、被害者に対する威迫や暴力による罪証(証拠)隠滅のおそれがないことを示すべく、例えば被害者と遭遇するおそれのある交通機関の利用の一時自粛や同居の家族による監督を徹底する等して、身柄拘束からの釈放を訴えかけ、在宅での捜査へ切り替えるよう働きかけを行います。
また、仮に釈放された場合であっても、それをもって事件が終了とはならず、例えば傷害罪であれば15年以下の懲役または50万円以下の罰金という法定刑の範囲内で、検察官が当該事件に対する刑事処分を決定していきます。
上記刑事事件程度の暴行による傷害罪の刑事事件であれば、量刑相場としては罰金20万から30万円程度が科されることが予想され、被疑事実について同意していおり被疑者が望むのであれば、検察官が罰金の略式命令を求める手続きを行い、裁判所がそれを認めた場合には、公開の刑事裁判を開くことなく、罰金の納付をもって即時事件が終了することになります。
このような事案で不起訴処分を勝ち取るには、被害者に対する示談の締結がほぼ必須と思われます。
罰金という前科を避けたいのであれば、想定される罰金額よりも多少多めの示談金を提示し、かつ、被害者に対する謝罪と再犯防止や二度と接触しないよう誓約する旨を約束して示談に応じて頂けることは多いとことです。
ただし、電車内または駅構内でのいざこざから興奮冷めやらず、被疑者に対して強い憤りを抱えている被害者も多いため、刑事事件の示談交渉に経験豊富な弁護士に依頼することが安全と言えます。
埼玉県春日部市で電車内・駅構内における暴力事件で暴行罪、傷害罪で刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回無料相談や初回接見サービスをご検討ください。