埼玉県小川町でSNS上の個人間融資の詐欺罪

埼玉県小川町でSNS上の個人間融資の詐欺罪

昨今、SNSなどを通じて個人間融資を呼び掛けるやりとりが多く見られ、そこから詐欺罪などへ刑事事件化するケースとその刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【事件例】
埼玉県小川町に住む大学生Aさん(21歳)は、遊行費欲しさのため、SNS個人融資を広く呼びかけ、その際、「融資のためには前金として3万円のご入金をいただきます。前金はご返済後に返金いたします」と虚偽の説明文章を加え、複数の融資希望者から合計100万円を超える振込を受けました。
このたび、Aさんが振込先に利用していた友人の銀行口座が凍結されるに至り、違法な個人融資詐欺の実態が明らかになり、Aさんは埼玉県警小川警察署によって詐欺罪の疑いで逮捕され、勾留が決定しました。
(フィクションです。)

上記刑事事件例は、お金を貸すという虚偽の融資話をSNSで持ちかけ、面識のない20代の女性から保証金名目で現金をだまし取ったとして、19歳の少女が詐欺罪の疑いで警視庁に逮捕された事案をモデルにしています。

被疑者少女は、今年4月から11月にかけて、小学6年の女児(12歳)を含む30都道府県の115人から、計207万円の送金を受けていたとして、警察は余罪の可能性が高いと関連を調べています。

警視庁少年事件課によると、被疑者少女は今年8月6から8日、14万円を借りたいと希望した千葉県富津市のアルバイト女性(20歳)に、融資をうたっていたのとは別のSNSで「1割を前金で頂きます。全額返済後にお返し致します」などと伝え、1万4千円を指定した口座に振り込ませ、だまし取った疑いがあります。

警察の調べに対して、少女自身が同様の手口で過去に5万円をだまし取られたといい、「お金を取り返すためと、生活費や遊ぶお金がほしかった」と詐欺の動機を供述しているとのことです。

被害者らに振り込ませる口座は、被疑者自身の名義のほか、友人や親族から借りた預金口座などを利用しており、11月15日に友人が貸していた口座を使おうとしたところ、凍結されていたことから詐欺の事実が発覚した模様です。

【SNS上で広がる個人融資の罠】

SNS上で見知らぬ個人同士が金の貸し借りを持ちかける「個人間融資」をめぐっては、トラブルが相次いでいるようで、国民生活センターによると、「個人間融資」に関する相談は昨年度から増加し、保証金をだまし取られる被害のほか、違法な高金利での貸し付けや、金を借りた相手から性的な関係を要求される被害などが報告されているということです。

金融機関から融資を受けられない多重債務者だけでなく、SNSが身近な若い世代からの相談も目立っているということで、国民生活センターや金融庁などは、こうした「個人間融資」を利用しないよう呼びかけています。

貸金業の登録をせずにSNS上などで無許可の融資を行うことは法令に抵触する疑いがあり、詐欺の手口のほか高金利のヤミ金融にも悪用されています。

金融庁も対策に乗り出していて、先月からツイッター上で公式のアカウントを開設し、「個人間融資」を持ちかけるツイートに対して、「違法な疑いがある」などと公開の形式で、直接、返信しています。

返信を受けたツイートは、これまでの1か月ほどでおよそ40件に上り、削除されたものもあったということです。

【詐欺罪の刑事弁護】

頭書刑事事件例のように融資の前金を振り込ませるタイプの手口について、詐欺罪(刑法第246条)は、人を欺いて財物を交付させることが要件となっているため、前金を振り込んでくれれば本当に融資をするつもりだったと、詐欺の意思を否認する主張をする者も出てくるかもしれません(この場合でも、無許可の融資が銀行業法や貸金業法などの他の規制法令に抵触し刑事罰が適用される可能性は免れません)。

しかし、融資詐欺の捜査にあたっては、その融資の計画性や長期的な運用の妥当性について捜査機関によって極めて厳しい追及を受けるため、詐欺目的を客観的に否定することは実際には非常に困難であることが多いとされています。

このように、厳しい弁護活動が予想される詐欺罪刑事事件では、刑事事件の捜査対応や裁判の経験豊富な弁護士に依頼するとご安心いただけます。

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