埼玉県羽生市の自転車運転で重過失致死傷罪の少年事件
自転車のスピードの出しすぎ等による死亡事故の少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【事件例】
埼玉県羽生市在住の高校生Aさんが、朝寝坊をしたために猛スピードでスポーツタイプの自転車で歩道を走行していたところ、十字路に差し掛かる際に左右の確認を怠り、歩道を渡ろうとしたVさん(72歳)と衝突しました。
VさんはAさんとの衝突により車道に倒れこみ、倒れる際にブロック塀に頭を強く打ち付けたために、病院へ搬送されたものの間もなく死亡してしまいました。
Aさんからの事情聴取を終えた埼玉県警羽生警察署は、Aさんのスピードの出しすぎや前方や左右への確認が不十分であったことを認め、重過失致死罪の疑いで在宅のまま事件を検察庁に送致(書類送検)しました。
(フィクションです。)
上記刑事事件例は、今年5月、大分市の県道の歩道を歩いていた女性(当時61歳)が自転車にはねられて死亡した事故について、今年12月9日、大分中央警察署が自転車で走行していた市内の男子高校生を重過失致死罪の疑いで大分地方検察庁に書類送検した事案をモデルにしています。
警察によると、事故は5月29日午後8時45分頃、大分市小池原の県道沿いの幅約3・5メートルの歩道で発生し、高校生は自転車も走行可能な歩道をスポーツタイプの自転車で帰宅途中に、友人と2人でウォーキングをしていた女性に正面からぶつかり、女性は頭を強く打ち、翌日亡くなった模様です。
数年前からロードバイクやスポーツタイプの自転車の人気が高まっており、自転車産業振興協会の調査によれば、自転車販売店1店あたりの年間総販売台数は過去15年ほどに間に約26%ほど減少してしまった反面、車種別内訳を見るとスポーツタイプの自転車の販売台数は、同じ期間の間で約5倍の伸びを見せているそうです。
総販売台数に占める構成比は1.6%から11.8%と、約7倍も拡大し、自動車産業における存在感を増しているようです。
このようなスポーツタイプの自転車は、軽量で、道路の整備された市街地では従来の家庭用自転車に比べてかなりのスピードが出せることから、昨今ではこのような自転車が歩道を走らないよう呼びかける啓発運動や、車道に自転車専用レーンを整備した道路も増えてきています。
このような、スポーツタイプ自転車による事故の報道や歩行者や自動車に対するマナー違反等の批判の声も高まっており、社会問題化しつつあります。
上記刑事事件例は、大阪市の歩道をスポーツタイプの自転車で走行中、前方の確認などを怠り急な進路変更を行い、対向してきた女性が運転する自転車と衝突し、弾みで車道上に転倒した女性がトラックにひかれて死亡する事故を起こしたとして、重過失致死罪で書類送検された男性の事例をモデルにしています。
自転車運転における重大な過失によって他人を死傷させた場合には、重過失致死傷罪(刑法第211条後段)が適用される可能性があります。
自転車運転において重過失致死傷罪が適用された例としては、スマホ見ながらの運転やイヤホン着用、飲み物を片手に持った不注意運転、遅刻して送れそうになったとの理由による危険な猛スピード運転等が挙げられ、過失の悪質さによっては検察官によって起訴されて公開の刑事裁判となり、実刑判決が求刑された例が見受けられます。
少年事件の場合、事件は家庭裁判所に送られ、予想される処分としては保護観察処分の決定が下されることが考えられます。
ただし、交通事案の死亡事故の場合で、特に重過失致死罪のように、罪質や情状に照らして刑事処分が相当と判断される場合、家庭裁判所は事件を地方裁判所に逆送し、少年は成人の刑事事件と同じく刑事裁判を受けることになる可能性も否定できません。
このような自転車運転による重過失致死傷罪の刑事事件では、被疑者・被告人側が否認する例はほとんど見られず、過失の事実を争うことは実際にはほとんどありません。
よって、被害者やご遺族に対する真摯な謝罪、損害の賠償、そして謝罪金やお見舞金、場合によっては贖罪寄附等を検討し、様々な点から効果的な情状主張を行い、より軽い処分・処遇を求めることが効果的ですので、このような場合は刑事事件および少年事件の両面に経験豊富な弁護士に依頼することをお勧めいたします。
埼玉県羽生市の自転車運転による重過失致死傷罪でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所への初回無料の法律相談または初回接見サービスをご検討ください。