埼玉県春日部市で盗んだスマホで偽装誘拐して逮捕

埼玉県春日部市で盗んだスマホで偽装誘拐して逮捕

スマートフォン(スマホ)の窃盗による個人情報の入手から派生する様々な刑事事件とその刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

<事例>

埼玉県春日部市在住の無職Aさんは、市内の飲食店で隣り合ったカップルの男性Bから財布やスマートフォン(スマホ)の入ったバッグを窃盗し、そのスマホを利用して、あたかもスマホ所有者の男性であると偽って、交際している女性Vさんに連絡をとり、「友達の家にいるからお前も来いよ」と嘘の情報を流し、わいせつ行為目的で自宅に誘いました。
VさんはAさんの様子に不信感を抱き、友人経由でBに確認を取ったところ、Bはスマホを紛失しており、Aさんとは友人でも何でもないと判明したため、VさんはAさん宅から逃げ出し、埼玉県警春日部警察署に助けを求めました。
その後、警察は、Aさんを窃盗罪およびわいせつ目的誘拐罪の疑いで逮捕し、勾留が決定しました。
(※フィクションです)

上記刑事事件例は、コンビニのトイレで拾ったスマホの所有者になりすまして、少女とSNSでやりとりして自宅に誘い出したとして、今年12月11日、大阪府警が、建設作業員男性をわいせつ目的誘拐罪占有離脱物横領罪の疑いで逮捕した事案をモデルにしています。

四條畷警察署によると、被疑者は12月9日午後6時ごろ、大阪市内のコンビニの多目的トイレで、府内の20代男性が置き忘れたスマホを拾い、スマホの所有者の交際相手で10代後半の少女から同午後11時ごろ、SNSのメッセージ機能で「家に行って良い?」と連絡があったため、被疑者は「友だちの家にいる」と欺いて自宅の住所を告げて誘い出し、10日午前1時40分~同4時半ごろの間、わいせつ目的誘拐した疑いが持たれています。

警察の調べに対し、被疑者は「もし女の子からの連絡だったら、わいせつな行為ができると思った」と被疑事実を認めている模様です。

被害者少女は被疑者から「彼氏はすぐに戻る」と聞かされていたが、別の知人男性からSNSで「彼氏のスマホが誰かに乗っ取られている」と教えられ、だまされていることに気づいて自ら脱出し、知人男性が110番通報して刑事事件化に至ったとのことです。

【スマホを利用拡大による未成年者被害者の増加】

昨今では、スマホの所有が当たり前になった感があり、総務省の平成30年統計によれば、10代後半でスマホを所有している割合は82%に及び、20代では95%に達するとのことです。

そのような中、危機意識やリテラシーの薄い未成年者に対して、特に未成年女子を被害者とするスマホを利用した犯罪が増加しつつあるようです。

その具体的な例として、家出をしたい少女や家庭に不満を持っている少女に対して「家に来ない?」「泊めてあげると」等と持ちかける未成年者誘拐罪が頻繁に報道されるようになってきています。

刑法第225条は、営利、わいせつ、結婚、または生命もしくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、または誘拐した場合について、1年以上10年以下の懲役を科すとしています(営利目的等略取および誘拐罪)。
この条文では、犯行目的と実行行為の2つを組み合わせて罪名が呼ばれることが実務上多く、例えば、営利目的の略取行為であれば営利目的略取罪、わいせつ目的誘拐行為であればわいせつ目的誘拐罪などと呼ばれます。

「略取」とは、暴行または脅迫を手段として、他人の意思に反し、その生活環境から離脱させ、自己または第三者の事実的支配の下に置く行為を言います(判例)。
ここで言う「脅迫」とは、畏怖心を生じさせる目的で他人に害悪を告知する一切の場合を言い、必ずしも反抗を抑圧するに足りる程度の者である必要はないとされています。

また、「誘拐」とは、詐欺または誘惑の手段によって他人の自己の実力的支配下に置き、その居所を移させる場合に成立し、甘言によって人を惑わし判断を誤らせることは誘惑に当たるとされています(判例)。

また、上記実際の刑事事件では、誘拐されたのが高校生の女子であることから、未成年者誘拐罪が成立していると思われます。
ただし、刑法224条(未成年者略取および誘拐罪)は、未成年者を略取または誘拐した者に対して、3月以上7年以下の懲役を科しているところ、一つの行為が二つ以上の罪名に該当する場合、その成立する最も重い罪によって処断する(観念的競合、刑法第54条)こととされており、より罪の重いわいせつ目的誘拐罪で処断されることとなるでしょう。

誘拐罪では示談交渉が極めて難航することが予想されますが、逮捕後の身柄解放、および少しでも軽い刑事処分となるよう、早い段階で刑事事件の経験豊富な弁護士に依頼することをお勧めします。

埼玉県春日部市で盗んだスマホ偽装誘拐して刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回無料相談や初回接見サービスをご検討ください。

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