埼玉県さいたま市で特殊詐欺の出し子が窃盗罪で逮捕
埼玉県さいたま市で特殊詐欺グループに参加している無職の女性Aさん(21歳)は、指示役の男性から連絡を受けて、駅のコインロッカーに入っていたカードで現金を引き出すよう命じられました。
Aさんは、さいたま市桜区のATMから被害者の高齢女性Vから騙し取った複数のカードを使用して、数十回にわたって支払限度額限界まで引き出すことを繰り返し、およそ3000万円近くの現金を奪いました。
Vによる詐欺罪の被害届を受理していた埼玉県警浦和西警察署は、市内の防犯カメラやATMに設置されたカメラ等から、現金を引き出している若い女性がAさんであることを特定し、Aさんを窃盗罪の疑いで逮捕しました。
警察の調べに対し、Aさんは事実を認めています。
(フィクションです。)
上記刑事事件例は、高齢女性がオレオレ詐欺でだまし取られたキャッシュカードで約1億円を不正に引き出したとして、当時19歳だった無職女性が窃盗罪の疑いで逮捕された事案をモデルにしています。
警察の調べによると、上記被疑者は、詐欺グループの現金引き出し役「出し子」であり、事実を認めており、面識のない男から指示を受け、コインロッカーに入っていたカードを使用して、東京都中央区や千代田区のコンビニ店や銀行の現金自動預け払い機(ATM)計21か所で99回にわたって、80歳代の女性がだまし取られたカード18枚を使って総額約1億円を引き出し、金はロッカーに戻したと見られています。
特殊詐欺グループによる犯行と聞くと、まず最初に詐欺罪の犯行を連想してしまいますが、財産犯罪として刑罰が定められている行為は、それぞれの法律が保護する利益(法益)に即して刑罰が定められているため、当初詐欺罪によって生じた財物から、さらに別の窃盗罪が成立することはしばしば見られる現象です。
特殊詐欺グループによる詐欺の一般的な犯行では、高齢の被害者に対して電話等で現金やキャッシュカードまたはクレジットカードを渡すように騙すことは詐欺罪の範囲に含まれます。
しかし、詐欺罪とは、人間を騙して財物を交付させることによって成立するため、いったん騙し取った後のキャッシュカード等を用いてATMから現金を引き出す行為自体は、詐欺罪には該当しません。
この場合は、自分が管理権限または処分権限がないカードを不法に使用して現金を引き出しているため、イメージとしては道具を使って現金を奪っていることと同じであり、窃盗罪で処罰されることになります。
日本の刑法の法定刑では、窃盗罪は10年以下の懲役または50万円以下の罰金であるのに対し、窃盗罪は10年以下の懲役のみとなっており、これは人を騙して財産を奪うという行為態様の悪質性を考慮して刑を重くしていると解釈されています。
昨今では、組織的な特殊詐欺グループに対する刑事責任の追及は厳格化しており、成人であれば実刑判決、少年であっても少年院送致を決定する厳しい処分(措置)が多く見られます。
他方で、特に少年を含む若者に多いとされる「出し子」や「受け子」等のグループの末端的な者に対する刑事事件や少年事件では、しっかりした弁護活動を行っていれば、執行猶予付き判決であるとか保護観察処分が下される例も多いところです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部では、特殊詐欺による詐欺罪または窃盗罪で受任いただいた事件も多く、経験豊富な刑事事件弁護士が適切な弁護活動を行い、最善の結果を目指します。
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(埼玉県警浦和西警察署への初回接見費用:36,400円)