埼玉県狭山市の置き忘れの財布の窃盗罪
埼玉県狭山市の居酒屋で食事を楽しんでいた公務員男性Aさんは、隣の客Vがテーブル上に財布を置き忘れていったことに気付き、財布に入っていた紙幣2万円を盗み、財布はテーブルの上に置いたままにして帰宅しました。
財布の忘れ物を取りに戻ったVが財布から紙幣が抜き取られたことに気付き、埼玉県警狭山警察署に被害を訴えたため、警察は捜査を開始し、犯行時刻近辺で店内に出入りしていたAさんの身元を特定したうえで、AさんにVの財布について任意の事情聴取を求めたところ、Aさんが財布から紙幣を抜き取ったことを認めたため、窃盗罪の疑いで事件を検察官に送致(書類送検)しました。
(フィクションです。)
上記刑事事件例では、所有者が置き忘れした財布から現金を抜き取った場合において窃盗罪が成立しうるケースを示しました。
罪名のイメージでは、所有者の占有を離れた物や金銭を自分のものとして横領した場合、逸失物(占有離脱物)横領罪(刑法第254条)が成立するようにも思えます。
しかし、どのような財産犯罪が成立するかを判断する上で、本来の所有者が当該財物に対してどのような意思を持っているかが重要であり、人がその所有物を置き、一時その場所を去ったとしても、所有者がその財物の存在を認識し、かつ当該財物を放棄する意思が無い場合には、当該財物はなお所有者の支配に属すると解されており(判例)、特に財物の置き忘れの場合、すぐに気づいて戻ってくることができる範囲内においては、財布は依然として所有者の実質的な支配下にあったと認めることが相当であるとする判例が多数存在します。
つまり、形式的に財物が所有者の手を離れたか否かではなく、所有者の当該財物に対する認識を客観的かつ合理的に推察した結果、なお所有者の手元にあると判断することが妥当な範囲であれば、所有者は一時的に手元を離れた財物に対する所有権および占有を失った訳ではなく、この状態を利用して財物を奪った者に対しては窃盗罪が成立するとされています。
ある犯罪事実が判明した場合に、捜査機関が逮捕に踏み切るかについては捜査機関側に裁量の余地があり、警察の犯罪捜査規範によれば、逮捕権は、犯罪構成要件の充足、その他の逮捕の理由、逮捕の必要性、被疑事実に関する疎明資料の有無、収集した証拠の証明力等を充分に検討して、慎重かつ適正に運用することとなっています。
被害者が置き忘れた財物を盗取した場合においては、被疑者が事実を認めている場合には、逮捕に至らず在宅のまま捜査が行われるケースが多いようです。
ただし、被疑事実を否認しており逃亡や罪証(証拠)隠滅の疑いがある場合、被害金額が高額な場合、被疑者が2名以上の共犯で行われた場合、「置き引き」に近い態様で行われた窃盗行為等については、被疑者が逮捕された例も見受けられます。
このような窃盗罪の刑事事件では、被害額がポケットマネー程度で済むこともあり、被疑者が魔が差して窃盗してしまったことを素直に詫びる等、被害者に対して真摯な謝罪や損害の賠償を申し出ることによって、被害者の許しを得ることが十分考えられ、態様が悪質でなく、被害者との示談が成立した場合には、検察官が不起訴処分とする可能性が高いと思われます。
このような事例は刑事事件の示談の経験豊富な弁護士に依頼することが迅速かつより安全であり、強くお勧めいたします。
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(埼玉県警狭山警察署への初回接見費用:41,200円)