【報道解説】死亡事故を起こして現行犯逮捕

【報道解説】死亡事故を起こして現行犯逮捕

埼玉県坂戸市で起きた死亡事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】

「11日午後6時半ごろ、坂戸市中小坂の県道片柳川越線で、軽乗用車が歩行者の同市石井、無職の女性(81)をはねた。
女性は病院に運ばれたが、頭を強く打って約1時間後に死亡。
西入間署は同日、自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で、軽乗用車を運転していた川越市下広谷、会社員の女(36)を現行犯逮捕した。」
(令和5年2月15日に埼玉新聞で配信された報道より一部抜粋して引用)

【自動車で人を跳ねるとどのような罪に問われる?】

自動車を運転中に、脇見をしてしまったり、ハンドル操作を誤ってしまったりのように自動車の運転上必要な注意を怠ったことで人を跳ねてしまうと、自動車運転処罰法(自動車運転死傷行為処罰法)5条が規定する過失運転致死傷罪が成立することになるでしょう。

過失運転致死傷罪には、跳ねた人に怪我を負わせてしまった場合の過失運転致傷罪と、跳ねた人を死亡させてしまった場合の過失運転致死罪の2つの場合があり、それぞれ、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。
ただ、過失運転致傷罪の場合は、例外的に、被害者の方の怪我の程度が軽い場合は情状によって刑を免除することができます(自動車運転処罰法5条但書)。

取り上げた報道では、軽乗用車を運転した女性が過失運転致傷罪の疑いで西入間署に現行犯逮捕されていますが、これは事後直後の段階では被害者の方の安否が不明であったため、ひとまず罪の成立が明らかな過失運転致傷罪の疑いで現行犯逮捕したものと考えられます。
ただ、残念ながら、その後被害者の方は亡くなられてしまったため、今後は過失運転致死罪の疑いで捜査が進められることになることになるでしょう。

【人をはねたときに無免許運転だった場合は?】

ちなみに、今回取り上げた報道には関係がありませんが、過失運転致死傷罪を犯したときに運転者が無免許運転であった場合は、より重い刑が科される可能性があります。
まず、無免許運転それ自体が道路交通法117条の2の2第1号によって3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性がある行為になります。
また、過失運転致死傷罪を犯したときに運転者が無免許運転であった場合は、先ほど説明した過失運転致死罪の法定刑は、自動車運転処罰法6条4項によって引き上げられて、10年以下の懲役刑となっています。

【自動車で人身事故を起こしてしまった場合は】

自動車で人身事故を起こしてしまって、過失運転致傷罪や過失運転致死罪の疑いで警察の捜査を受けられてお困りの方は、まずは弁護士にご相談されることをお勧めします。
よく、交通事故のための保険に加入している方が人身事故を起こした場合、被害者の方との示談等については保険会社の担当者がやってくれるから、自分は何もしなくても良いと思われている方がいらっしゃいますが、保険によってカバーできるのはあくまで民事上の責任の範囲までの場合が多いです。
そのため、人身事故を起こした加害者として過失運転致傷罪や過失運転致死罪の刑事罰に問われる可能性がある場合には、別途刑事事件のための対応をとっていくことが必要になるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は交通事故・事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県坂戸市で人身事故を起こしてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

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