睡眠障害の交通事故で危険運転致傷罪成立 埼玉県新座市の交通事件の刑事事件に詳しい弁護士
トラック運転手のAさんは、埼玉県新座市の道路を運転中、眠気で意識が朦朧として対向車に衝突し、相手方運転手Vさん一家に骨折等の重傷を負わせました。
埼玉県警新座警察署は、事故現場の見聞や当事者の事情聴取を行い、Aさんが睡眠障害によって正常な運転ができないことがあることを認識しながらトラックを運転していたとして、自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致傷罪)の疑いで逮捕しました。
(平成30年5月22日朝日新聞の記事を元に、事故現場等の一部事実を改変しています。)
【「危険運転」とは~刑事事件リスクの伴う危険な運転~】
平成26年に施行された自動車運転死傷処罰法は、もともと刑法に規定されていた危険運転致死傷罪(旧刑法第208条の2)に実務上の改善点があったこと等を考慮し、「危険運転」の構成要件に修正を加えたり、細分化した上で、独立の法令として新設されました。
現在では、自動車運転死傷処罰法の第2条から第4条の規定する罰則を「危険運転致死傷罪」と呼んで実務上運用されています。
危険運転致死傷罪における「危険運転」とは、主に、酩酊状態での運転、薬物影響下での運転、病気運転、制御困難な運転、未熟な運転、妨害運転、信号無視運転、通行禁止道路運転を言います。
この「病気運転」とは、政令に定める特定の疾患の影響により走行中に正常な運転に支障が生じるおそれを予め認識していながら自動車を運転することを言います。
具体的には、統合失調症、てんかん、再発性の失神障害、低血糖症、躁鬱病、睡眠障害を言いますが、特に、運転前または運転中に発作の前兆症状が出ていたり、症状が出ていなくても所定の治療や服薬を怠っていた場合で、事故時に結果的に「正常な運転が困難な状態」であれば、危険運転致死傷罪が成立することになります。
上記刑事事件は、今年5月21日に警視庁が睡眠障害で意識が朦朧としていた状態を認識しながら運転して交通事故を起こした者に対して危険運転致傷罪を適用して逮捕した事件を基にしていますが、睡眠障害の影響による危険運転致傷罪を適用しての逮捕事案は全国初とされています。
上記被疑者は、今回を含め少なくとも19件の交通事故を起こした経験があり、睡眠障害を疑って病院に2回受診したこともあるようです。
宅配業者の人手不足等を背景に、今後ドライバーの労働時間の長期化等により、同様の交通事故に関する刑事事件が増加することも予想されます。
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(埼玉県警新座警察署への初回接見費用:38,700円)