刑法199条
人を殺した者は,死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
殺人罪は,殺意をもって,人を殺す犯罪です。
殺人未遂罪は,人を殺そうと殺害行為をしたけれども,結局被害者が死に至らなかったという場合に成立します。
「殺意」とは,自分の行為によって死の結果が発生するおそれがあることを認識しながら,あえてその行為に出た場合に,「殺意」があると認められます。
・殺人罪は執行猶予がつかないのか
法律上は執行猶予がつけられる場合もあります。
執行猶予は,3年以下の懲役の言渡しを受けたときに適用されます。
殺人罪は刑の下限が5年であるため執行猶予はつかないとも思えます。
しかし,裁判官の裁量で行なわれる酌量減軽によって,減刑が可能であり,懲役2年6月までの判決が出せます。
よって,執行猶予がつくこともあります。
・量刑はどのように判断されるのか
犯情事実により量刑の大枠を決定し,大枠の中で一般情状事実を,刑を微調整させる要素として被告人に有利ないし不利に考慮して,最終的に決定されます。
・犯情事実とは
簡単に言えば「犯罪の悪質性」のようなものです。以下に詳しく記します。
- 結果
最も大きな要素となっているのが,殺人の結果である被害者の死亡の数です。 - 犯行の動機,犯行に至る経緯
・被害者側に落ち度がある
・計画性がない
・精神的疾患や知的障害の影響がある
・犯行に至る経緯について斟酌すべき事情がある
例えば,被害者から長年の間凄惨な虐待を受けていた等の事情です。 - 行為態様(態様が残忍・執拗・素手・殺傷能力の高い凶器を使った等)
- 共犯事件(主導的か専ら従う立場であったか)
等です。
・一般情状事実について
- 示談・被害回復の有無
- 前科・前歴の有無
- 被告人の反省の有無
- 社会的制裁を受けたのか
- 再犯可能性の有無,等です。
・弁護活動
(1)減刑に向けた活動
不利な供述調書の作成を防止するとともに,依頼者に有利な事情を見つけ出し,少しでも有利な判決をめざします(情状弁護等)。
殺人罪などの重大事件では,逮捕・勾留され,警察など捜査機関による取調べが続きます。
連日の取調べで心身ともに疲弊してしまい,不利な形で供述調書が作成されてしまうこともあります。
そのようなことを防ぐためにも,殺人事件で,逮捕・勾留されたら,すぐに弁護士を依頼してください。
(2)前科回避・無罪主張(冤罪防止)
冤罪とは,無実の人が疑われ,被疑者として逮捕されたり,裁判で有罪の判決を受けたりして犯罪者と扱われることです。
冤罪の大きな原因の一つとして,警察官等からの連日連夜の厳しい取調べに根負けし,やっていない犯罪を自ら認めてしまう(自白)ことが挙げられます。
一度,自白をすれば,裁判で自白が間違っていることを述べたとしても,それが受け入れられる可能性は高くないでしょう。
取調べは密室で行われるため,たとえば違法な手法で行われたとしても,それを裁判で証明することは容易ではないのです。
虚偽の自白をしないためにも,早期の段階から弁護士をつけてしっかりと対応していくことが必要です。
(3)殺意を争う
殺人罪が成立するためには,殺意が必要です。
殺意の有無は,殺人罪と傷害致死罪とを分ける基準になるなど重要な意味を持ちます。
殺意の有無は,死因となった傷の部位,傷の程度,凶器の種類・使用方法,動機の有無,犯行後の行動など様々な客観的状況を総合的に考慮して判断されます。
そこで,弁護士はこれらの事情を詳細に検討し,殺意の存在と矛盾する点があれば,その点を強く訴えていきます。
(4)正当防衛・緊急避難・心神喪失などを主張する
殺人事件でも,自己または家族などを守るためやむをえず第三者を傷つけてしまった場合もあるでしょう。
このような場合は,その行為が正当防衛・緊急避難行為に当たり,殺人罪が成立しない可能性があります。
弁護士は様々な客観的状況や目撃証言を収集し,加害者の行為が正当防衛等であったことを主張していきます。
また,心神喪失などにより罪に問えないことが明らかな場合,検察官が不起訴処分をすることがあります。
よって,早期の段階から対策を立てることが必要です。
殺人罪の容疑で警察等の捜査機関に取り調べ又は逮捕された方、殺人罪で刑事裁判を受けることになってしまった方は、殺人事件の実績豊富な弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部までご相談ください。
さいたま市を中心に埼玉県及び関東地方一円の刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士が,殺人事件における刑事処分の見通しと取り調べ対応、前科回避や減刑に向けた対応方法等をアドバイスいたします。
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