埼玉県さいたま市で営業秘密の持ち出しで逮捕
埼玉県さいたま市所在の精密機器メーカー会社Vで研究開発に携わっていたAさんは、同業の外資系企業からヘッドハンティングをされ、転職をする際に、V会社で蓄積した研究データを自身のUSBメモリーに複製し、転職先へ持ち出した疑いがあるとされ、不正競争防止法違反(営業秘密領得)の疑いで埼玉県警浦和警察署から呼び出しを受け、取調べを受けました。
Aさんは、その日のうちに警察から帰されましたが、疑いをかけられている事実について、一部Vが過大に申告していることに不満を覚え、そして、今後自分がどのような刑事処分を受けることになるのか不安となり、埼玉県で刑事事件の強い弁護士事務所に法律相談に行くことにしました。
(フィクションです。)
3月になり、ビジネスの年度末の季節になると、異動や退職によって職場を去る人たちが多く出てきます。
このような時期、刑事事件との関わりで特に問題となるのが、他の会社への転職や独立して会社を新設する際、前の会社の営業秘密を無断で持ち出して刑事事件化するケースです。
不正競争防止法は、事業者間、特に同業でより良い商品やサービスを提供するために激しい市場競争を行う業者間で、お互い公正な環境で競争を行い、もって市場の安定を図るため、商品等表示の公正な利用や営業秘密の保護を定めています。
「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報で、公然と知られていないものを言います。
例えば、上記刑事事件例のような、その会社の独自の技術に関する研究資料、基礎データ、そして独自商品の設計データ等はもちろんのこと、住所・会社名・電話番号等の当該会社が集めてきた顧客情報、社外秘の営業マニュアルやノウハウも営業秘密に該当する可能性が高いです。
つまり、会社を退職し、同業他社に転職する場合において、前職で培った知識や経験を活かす場合には、誰しも少なからず前職の「営業秘密」を侵害するリスクがあると言え、どのような意図でそのような知識や経験を持ち出したのかが刑事処罰の方向性を知る上で重要となります。
上記事件で取り上げた営業秘密の持ち出しに対する罰則として、不正の利益を得るためまたは営業秘密の保有者に損害を与えるつもりで、営業秘密の管理業務に背いて不正に営業秘密を領得した者に対して、10年以下の懲役もしくは2000万円以下の罰金または併科が科されます。
就業規則を定めている多くの会社は、会社に所属している間に作成したデータ等について、その使用権限は会社に帰属するものと定めていることが多いですが、個々の従業員が、自分の仕事を効率化するために独自に作成したツール等も考えられる以上、不当に広い範囲で営業秘密を持ち出したと認める必要はありません。
このような性質上、営業秘密の持ち出しに関する不正競争防止法違反の刑事事件では、被疑事実を一部否認する場合も想定されるところ、このような場合、刑事事件の経験豊富な弁護士の指導のもと、捜査機関に対して適切な主張を行い、後の刑事手続で不当に不利な証拠となる調書を取られないよう対応をとることが重要です。
埼玉県さいたま市で営業秘密の持ち出しで不正競争防止法違反の疑いで刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所への初回無料の法律相談または初回接見サービスをご検討ください。
(埼玉県警浦和警察署への初回接見費用:35,900円)