埼玉県幸手市のHPに不正アクセスして爆破予告
埼玉県幸手市在住の無職Aさんは、幸手市役所の対応が悪かったことに腹を立て、以前勤めていたIT会社の技術と経験を利用して、幸手市役所のホームページ(HP)に不正アクセスしたうえで、幸手市主催で開かれる催し物に爆発物をしかけたと爆破予告を行い、その催し物を中止に追い込みました。
何者かによる不正アクセスと爆破予告を知った段階で、幸手市は埼玉県警幸手警察署に被害届を提出しており、このたび警察がIPアドレスを辿ってAさんを特定したため、Aさんは不正アクセス禁止法違反および威力業務妨害罪の疑いで逮捕されました。
警察の調べに対し、Aさんは事実の一部は認めているものの、あくまで冗談のつもりで爆破予告をしたのであり催し物を中止に追い込む意図はまったくなかった等と一部事実を否認しています。
この後、事件は検察庁に送致され、検察官は勾留請求を行い、裁判所はAさんに対して10日間の勾留を決定しました。
ネットの爆発的普及により、誰もが全世界に対して容易に発言する機会を得ることができるようになった反面、ネットの匿名性を悪用して、過激な発言をしたり、悪意ある誹謗中傷を行って刑事事件化する例が出てきています。
例えば、特定の者や団体に対する憎しみであるとか、あるいは単なる愉快犯的な考え方から、ネット上で犯罪予告をしたり、ある場所に爆弾を仕掛けた等の爆破予告をする例が見受けられ、このような浅慮な書き込みが刑事事件化につながる例も出ています。
まず、誰もが利用できるネット掲示板やSNS等を通じて発言する分には問題となりませんが、特定の者・団体がアカウント(管理権限)を持っているHPやブログ、個別アカウント等に不正にアクセスした場合には、不正アクセス禁止法違反により処罰される可能性があります。
不正アクセス禁止法によれば、不正アクセス行為に対しては3年以下の懲役または100万円以下の罰金、不正アクセスのための他人のアカウント取得・保管や、アカウント情報を不正に他人に要求する行為等に対しては、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになります。
また、ネット上でどのような内容の発言・記載をするかによって様々な犯罪が成立する可能性があるところ、上記刑事事件例のように、特定の場所に爆弾を仕掛けたり、特定の時間に爆発を起こす等と爆破予告を行った場合、その爆破予告により他人の行動や業務を制限することが十分予想され、威力業務妨害罪が成立する可能性があります。
実際に、若い年齢層の被疑者が、大学や区市町村等に対して爆破予告を行って、威力業務妨害罪の疑いで刑事事件化、逮捕された例が多数見受けられます。
そして、このような爆破予告をしてしまった若い年齢層の被疑者たちについては、むしゃくしゃしていた、憂さ晴らしのつもりだった、いたずら半分だった等の安易な気持ちで犯行にいたった経緯が多く、威力業務妨害罪で3年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑の可能性があると知って、初めて自分の行ったことの重大性を認識する者もいます。
このような刑事事件では、被害者による被害の申告以外にも、サイバーパトロールや善意のネットユーザーによる告発によって捜査機関が犯罪事実を認知する例も増えてきており、また、プロバイダに対する情報開示も法的に整備されてきているため、最終的に情報の発信者の個人情報にたどり着くことはそれほど困難なことではなくなっています。
安易な考えで思わぬ刑事事件化や逮捕に至ってお悩みの方は、刑事事件を専門とする経験豊富な刑事事件弁護士にすぐに法律相談や接見を依頼することを強くお勧めします。
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(埼玉県警幸手警察署への初回接見費用:42,200円)