埼玉県さいたま市で親の遺体を放置して死体遺棄罪で逮捕

埼玉県さいたま市で親の遺体を放置して死体遺棄罪で逮捕

埼玉県さいたま市在住の無職男性Aさんは、母親の年金と貯金を切り崩して生活をしていたところ、ある日母親が急な病気で死亡してしまい、母の死後の手続きや今後の経済的見通しに絶望し、母親の死亡を届け出ることに不安や葛藤を覚え、母親の遺体を数日間放置してしまいました。
近隣住人が異臭がするとの通報により、埼玉県警岩槻警察署の警察官がAさん宅を訪れたところ、腐敗し始めた遺体を発見したため、Aさんを死体遺棄罪の疑いで現行犯逮捕しました。

上記刑事事件例は、今年4月22日、母親とみられる高齢女性の遺体を自宅に放置したとして、千葉県木更津市の無職男性が死体遺棄罪の疑いで逮捕された事案をモデルにしています。
上記刑事事件では、男性被疑者が「1週間ほど前に息をしなくなった母の遺体を自宅に放置した」と警察へ110番通報し、駆けつけた警察官が居間にあお向けの状態で置かれていた遺体を確認し、逮捕に踏み切ったとのことです。

警察の調べに対し、被疑者は容疑を認めており、警察は女性遺体の身元を確認するとともに、遺体を解剖して死因を特定する方針です。

刑法190条は死体損壊等罪を規定し、「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。」としています。

上記条文を読む限り、遺体放置しただけでは「遺棄」、すなわち遺体を捨てることには該当しないと考えてしまうかもしれません。

しかし、判例では、死体遺棄罪は、死体を他の場所に移して遺棄する場合の他、葬祭をする責務を有する者が、葬祭の意思なく死体放置して立ち去ることも遺棄に該当する、と判示しています。

具体的には、母親が新生児を砂に埋めて死亡させ、遺体をそのままにして立ち去った事件、および乳幼児の監護をその親から頼まれながら、必要な医療行為をすることなく祈祷等を行っていた者が、その死体を親に引き渡すことなく遺体を確保し続けた事件について、死体遺棄罪の成立を認めています。

上記事案のように夫婦であるとか同居の親族、高齢者向け施設等の民事上の契約関係にある者については葬祭をする責務があると考えられており、この葬祭義務を怠って遺体放置した場合には、死体遺棄罪が成立すると考えられます。

高齢化社会においては、高齢ゆえの運動能力の低下や無気力ゆえに、家事や外出を思うようにできなくなり「ごみ屋敷」化する事例が社会問題となっていたり、逆に年金を不正に受給するために死亡した高齢者の死亡を申告しない事例も問題視されています。

今後、人口動態において高齢者の比率がますます高まる中、死体遺棄罪刑事事件が増加する可能性があるといえます。

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埼玉県警岩槻警察署への初回接見費用:37,500円)

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