埼玉県桶川市の電車内で痴漢して逮捕
埼玉県桶川市の桶川駅から上尾駅を走行中しているJR高崎線上り電車内において、会社員Aさんが、近くに立っていた女性Vさんの身体を触ったとして埼玉県迷惑行為防止条例違反(痴漢)の疑いで現行犯逮捕されました。
埼玉県警上尾警察署の調べに対し、Aさんは被疑事実を認めており、Aさん逮捕の連絡を受けたAさんの妻が身元引受人としてAさんを監督するとして、Aさんは釈放されました。
釈放の際、警察から「次回は今週末に警察署に出頭して調書を作成する」と言われ、今後どのような刑事手続を経て、どのような刑事処分がくだるのか不安となり、Aさんは刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
上記刑事事件例は、JR山手線の電車内で乗客の体を触ったとして、警視庁は令和元年7月10日までに、東京都迷惑防止条例違反(痴漢)の疑いで国土交通省職員の男性を現行犯逮捕し、その後釈放した事案をモデルにしています。
上記事案の被疑事実は、6日未明、山手線の巣鴨~大塚間の電車内で、乗客の体を触った疑いですが、警察の調べに対し被疑者は「覚えていない」と供述している模様です。
当該被疑者は7月6日に逮捕され、翌7日に釈放され、任意の在宅捜査に切り替えて捜査が進んでいます。
埼玉県迷惑行為等防止条例では、第2条第4項において「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ、衣服で隠されている下着等を無断で撮影する等人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。」としています。
痴漢行為を含むこれらの卑わいな行為を行った場合、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金で処罰されることになります(同条例第12条第1項)。
一般に、痴漢による迷惑行為防止条例違反の場合、被害者が警察に被害を届け出て警察が痴漢行為の事実を認知した場合でも、被疑者の逮捕に踏み切る事例はかなり少ないと言われています。
また、痴漢による迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されるとすれば、犯行現場における現行犯逮捕の場合が実務上ほとんどであり、その場合でも、事件の送致を受けた検察官は、裁判所に対して勾留請求をすることなく釈放するケースが比較的多いとされています。
その理由としては、痴漢の場合、被害者の身体や衣服に対する指紋等や駅の防犯カメラ、その他目撃者によって犯罪の証拠が収集されるところ、これらに対しては被害者が罪証(証拠)隠滅を図るおそれが少ないと考えられているからだと思われます。
他方、同じ迷惑行為防止条例違反の場合でも、盗撮に関する刑事事件では、携帯電話の写真機能で撮影された被害者の身体や衣服等の画像や動画といった犯罪証拠の隠滅を防ぐためにも、逮捕や証拠物の押収が積極的に行われる面があると言えます。
このように、痴漢に関する迷惑行為防止条例違反の刑事事件では、在宅のまま捜査が進むことが多いのですが、検察官が在宅のまま捜査を進め、被疑事実の可能性が極めて高いと判断した場合、被疑者が事実を認めていれば略式起訴(公開の刑事裁判を経ないで判決が下される簡易手続き)による罰金命令、被疑者が事実を否認していれば正式に起訴されることが通常考えられます。
よって、在宅のままで捜査機関の捜査に協力するだけでなく、少しでも予想される刑事処分を回避または軽減したいと考えるのであれば、刑事事件に経験豊富な弁護士に事件を依頼し、被害者に対する被害弁償や示談の活動を進めてもらい、より有効な情状を主張していくことが非常に重要です。
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