埼玉県川口市の偽造在留カードと不法就労の助長
埼玉県川口市で飲食店を営むAさんは、教育実習生と言う名目で外国人労働者を雇い、日本人従業員に対する給与より極めて低い水準で給与を払い、外国人人材を重宝していました。
本来、外国人労働者との雇用にあたっては、在留カードを提示してもらい在留資格を確認する義務があるところ、上記のとおり外国人労働者を雇いたいがゆえに、在留資格の確認をせず、在留資格を有するものとして届け出を行い、営業を行っていました。
ある日、Aさんが不法就労の外国人を多く雇っているとの疑いで、埼玉県警武南警察署がAさんの店を捜索した結果、外国人従業員が不法就労している事実が発覚したため、Aさんは出入国管理及び難民認定法(出入国管理法)違反の疑いで逮捕されました。
(上記いずれもフィクションです。)
日本に入国した外国人が年々増加しており、昨年度は過去最高の約2743万人に達したそうです。
しかし、その背後には、正規の入国手続きを経ないで日本へ入国または滞在する、いわゆる「不法滞在」外国人も多く存在すると指摘されており、実際、昨今では、在留カードの「偽造工場」の摘発が相次いでおり、偽造を担っていた中国籍男性が出入国管理法違反(偽造在留カード所持)の疑いで逮捕され、同被疑者から偽造カードを受け取っていた外国人を調査したところ、日本国内に複数の偽造拠点があることが明らかになり、問題となっています。
このような不法就労を助長する者として、偽造カード売買のブローカーも存在し、彼らは外国人を日本に不法就労させる手助けをすることで相当の報酬を得ているようです。
不法就労を助長することで生計を立てている者は、日本の捜査機関による出入国管理法違反の摘発を恐れて、短期間でアパート賃貸等を転々として拠点を変えているようです。
このような事情から、外国人を雇用する者については、適正な入国および管理を図るため、出入国管理法によって多くの義務を負うことになりますが、このような義務を怠り、不法就労を助長させる者に対しては、刑事罰が科されることになります。
例えば、事業活動に関して外国人に不法就労をさせること、外国人に不法就労をさせるためにこれを自己の支配下に置くこと、業として外国人に不法就労をさせる行為や左記行為に関して斡旋することに対して、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、又は併科が科されています。
通常、正規の手段に日本に入国した外国人は、在留カードに記載された「滞在の目的」の範囲内で日本で活動することが許されており、外国人が日本で労働するためには、例えば「研修」や「技能実習」等の名目において労働が認められているのであり、外国人を雇用する日本人は、当該外国人がこのような適切な資格を有しているのかをチェックする義務があります。
実際に発生している不法入国外国人を雇用することによる出入国管理法違反の刑事事件では、被疑者が被疑事実を認めているか否認しているかに関わらず、上記の適切なチェックを怠っていたことは争いがなく、捜査機関は、被疑者が出入国管理法違反の故意を否認するための主張としてチェック義務違反が多く主張されることに鑑み、厳しい姿勢で客観的な裏付けを取ってくることが予想されます。
出入国管理法違反のような刑事事件では、不法入国外国人への命令や口裏合わせによる捜査妨害も容易に予想されるため、逮捕後の勾留も決定する傾向が強く、不合理かつ安易な否認で身柄拘束を長引かせてしまうよりも、刑事事件化または逮捕された段階で、刑事事件の経験豊富な弁護士に速やかに事件を依頼し、適切な捜査対応や迅速な身柄解放を開始してもらうことが役に立ちます。
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(埼玉県警武南警察署への初回接見費用:38,400円)