埼玉県行田市で偽警察官による振り込め詐欺
金融機関による防犯体制が厳しくなった振り込め詐欺について、警察官等を装った新たな手口やその刑事責任の見込みについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【事例】
埼玉県行田市在住の年金受給者Vさん(76歳)は、ある日、警察官を名乗るAから電話を受け、「最近は振り込め詐欺等が多発しています。お心当たりがあればこちらの相談窓口にお電話ください」と言われ、050で始まる電話番号を案内されました。
後日、Vさんのもとに振り込め詐欺と思われる電話がかかってきたため、Aさんは案内された振り込め詐欺相談窓口に電話したところ、Aから「詐欺グループ撲滅のために、騙されたふりをして振り込んでください」と指示されたため、指定の口座に現金1000万円を振り込んだところ、さらに追加で振込の指示があったため、合計2000万円を振り込みました。
その後、相談窓口の電話がつながらなくなったため、埼玉県警行田警察署に相談したところ、「警察が騙されたふりをして送金を指示することはない。新たな詐欺の手口です」と言われ、警察は詐欺罪の疑いで捜査を開始しました。
(※フィクションです。)
上記刑事事件例は、今年11月30日までに、茨城県内において、警察官を名乗って虚偽の電話による振り込め詐欺の「だまされたふり作戦」に協力を依頼し、現金などを送らせる手口の詐欺事件をモデルにしています。
この事件で、茨城県つくば市の無職女性(85歳)が、現金計約3250万円をだまし取られた模様です。
茨城県警つくば北警察署によると、今年9月19日午後4時ごろ、女性宅に警察官を名乗る男から「ニセ電話詐欺に注意して下さい」という電話があり、「050」で始まる「相談窓口」の電話番号を伝えられ、翌日、女性の親戚を名乗る男から「不倫相手を妊娠させた。示談金を工面してほしい」などと電話があったため、「詐欺だ」と思った女性が前日伝えられた番号に電話したところ、警察官を名乗る男から「犯人を捕まえるため、だまされたふりをして送金してほしい」などと要求されました。
偽警察官の指示を信用した女性は、指定された都内の住所に現金250万円を宅配便で送金し、その後も警察官を名乗る男から複数回指示があり、10月3日までに2回、現金計200万円とキャッシュカード2枚を宅配便で送りました。
被害者女性はその後も男と連絡を取り合っていたが、先月30日、電話がつながらなかったことで不審に思って警察に通報し、詐欺の事実が明らかになり、カードの口座からは先月21日までに計約2800万円が引き出されていた模様です。
詐欺罪(刑法第246条)の法定刑は10年以下の懲役であるところ、量刑相場の観点からは、特殊詐欺における主犯格的人物やより悪質な手口に携わった者については懲役刑の実刑判決が下されています。
他方、特殊詐欺グループの末端の実行役に過ぎない者で、かつ詐欺の事実を認めており、被害者に対する謝罪や被害弁償、その他情状面で効果的な主張をしている者については、執行猶予付きの判決が下されているケースも見受けられます。
そのため、今後も新たに生まれる様々な特殊詐欺のケースに対応するためにも、刑事事件に詳しい弁護士に弁護を依頼し、ベストな解決策を模索していくことが大切です。
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