埼玉県朝霞市の飲食店での意図せぬ死体遺棄罪
ある晩、埼玉県朝霞市で居酒屋を営むAさんの店において、市内の他の飲食店で働く男女が多数訪れ、その団体客の他はほぼ貸し切り状態の中、彼らは大量のお酒を飲み、大騒ぎをしました。
団体客の内、数名は酔いつぶれたり、寝たりしてしまいましたが、深夜1時の閉店の際、寝ている客を起こしたり、酔いつぶれた客をタクシーに任せたり、どうしても目覚めない客については交通の邪魔にならない路上で寝かせ、店じまいをしました。
ところが、路上で寝かされていた客Vさんは、急性アルコール中毒で死亡しており、翌朝、通勤途中の会社員が、埼玉県警朝霞警察署に対して路上に死体が捨てられていると通報しました。
朝霞警察署が司法解剖を行った結果、Vさんは昨夜の深夜0時頃には死亡していた可能性が高いと判断し、Vさんが路上で寝かされていた経緯をAさんや他の団体客に聴取した結果、AさんがVさんが死亡したことを知りながら、その死体を路上に遺棄した疑いが強いと判断し、死体遺棄罪の疑いでAさんを逮捕しました。
警察の調べに対し、Aさんは「閉店のため、ひどく酔って意識のないVさんを運び出したのであり、その時死亡していたという認識はない」と被疑事実を否認しています。
(上記いずれもフィクションです。)
お酒を飲みすぎたことによる失敗は、例えば飲酒運転や酔った勢いによる暴力犯罪等の形で社会問題化することがありますが、他方で、特に若い人を中心に、自分の限界を知らずにお酒を飲みすぎた結果、急性アルコール中毒を起こして死亡してしまうケースもあり、その際に、例えば大学の歓迎会で新入生に対して無理矢理一気飲みをすることを強要する行為であるとか、大量の酒を飲んで酔いつぶれた者に対して適切な介抱を行うことなく放置してしまった結果、のちに死亡してしまったケースも報道されています。
お酒の飲みすぎによって、急性アルコール中毒やその他生命にかかわる重大な結果が引き起こした者について、刑事事件化するリスクが2パターン考えられます。
1つが、危険なほど酔いつぶれた者に対して適切な介抱や看護をとることなく、漫然と放置していた場合であり、この場合、お酒を提供していたお店や被害者と一緒に酒を飲んでいた者に対して、保護責任者遺棄罪や同致死罪が成立する可能性があります。
2つ目が、上記刑事事件例で取り上げた場合と類似した事例で、急性アルコール中毒等によって死亡した者について、例えば大事になってしまったことが怖くなり、その死体を放置したり遺棄する等によって死体遺棄罪が成立することが考えられます。
この場合、上記事例のように行為時において被害者が死亡していたとは思わなかった等の否認の主張が考えられますが、これに対しては、呼びかけても目を覚まさないほど酔いつぶれていたのであれば、例えば脈拍を取って無事を確認したり、あるいは救急車を呼ぶ等の適切な対応があったのではないかとの反論も考えられるため、捜査機関が死体遺棄罪を疑って捜査を進めている段階では、不適切な発言をして調書に残ってしまうことで後の刑事手続で不利な結果が生じかねないことも念頭におかなければなりません。
このように、被害者が酒に酔った末に重大な結果が生じた場合には、その時点における具体的な行動や認識によって、今後の刑事手続や刑事処分に大きな変化が生じることもあり得ますので、このような複雑な事案は、刑事事件の経験豊富な刑事事件弁護士に事件を依頼すると安心できます。
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(埼玉県警朝霞警察署への初回接見費用:39,600円)