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【報道解説】女性に抱きついて暴行罪で逮捕

2023-11-27

【報道解説】女性に抱きついて暴行罪で逮捕

面識の無い女性に背後から抱きついたとして暴行罪の疑いで男性が逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「神奈川県茅ケ崎署は2日、暴行の疑いで、住所不定、無職の男(53)を逮捕した。
逮捕容疑は、1日午後2時40分ごろ、茅ケ崎市茅ケ崎3丁目の温浴施設内エレベーターで、同市内に住む従業員の女性(47)に背後から抱きついた、としている。
調べに対し『ハグしただけで暴行はしていない』と供述し、容疑を否認している
署によると、エレベーターには2人しかいなかった。
面識はなかったという。」
(令和4年10月2日にカナコロ:神奈川新聞社で配信された報道より引用)

【抱きつきは暴行罪になる?】

今回取りあげた報道では、逮捕された男性が警察の取り調べにおいて「ハグをしただけで暴行はしていない」と供述しているようです。
刑法208条が規定する暴行罪は、殴る蹴るなどの暴力行為をした場合に成立する犯罪だと思われている方がいるかもしれませんが、後ろから女性に抱きつく(ハグをする)行為は暴行罪に当たる行為になりますので、逮捕された男性には暴行罪が成立する可能性が高いと言えます。
ちなみに、暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金、又は拘留若しくは科料となっています。

【抱きつきは不同意わいせつ罪になる?】

報道を読んだ方の中には、抱きつく(ハグをする)行為は刑法176条の不同意わいせつ罪ではないのかと思われた方がいらっしゃるかもしれません。
確かに、見知らぬ女性に抱きつく(ハグをする)という行為は、場合によっては不同意わいせつ罪や、その未遂罪が成立する可能性があります。

令和5年7月13日の刑法改正によって、以前は「強制わいせつ罪」とされていた罪が「不同意わいせつ罪」と改定されました。

不同意わいせつ罪とは、次に掲げる行為や事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をすることを処罰するとしています。
具体的な行為や事由として、「暴行若しくは脅迫」、「心身の障害を生じさせること等」、「アルコールやは薬物を摂取等」、「睡眠その他の意識が明瞭でない状態の利用」、「同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがない」、「予想と異なる事態に直面させて恐怖・驚愕させること」、「虐待に起因する心理的反応」、「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益」の8項目が列挙されています。

不同意わいせつ罪が成立すると、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑が科されます。

そのため、被害者の反抗を著しく困難にする程度に抱きついたという場合は刑法176条の不同意わいせつ罪における「暴行」に当たることになりますので、そうして抱きついた上で、被害者の胸や下半身をまさぐったり、無理やりキスをしたりなどのわいせつな行為をした場合には、不同意わいせつ罪が成立する可能性が高いと考えられます。

このように、抱きつき行為が具体的にどのような態様であったのか、抱きついた後に被害者に対して行った行為がどのようなものであったか、どのような目的で抱きついたのか等の事情によっては、不同意わいせつ罪や未遂罪が成立する可能性があります。

【暴行の疑いで刑事事件化したら】

取り上げた報道では、男性は暴行の疑いで逮捕されていますが、男性が女性に背後から抱きついたという事件ですので、今後の捜査では、男性が女性にわいせつな目的で抱きついたのか、抱きついた際に女性の身体のどこを触ったのかなどの抱きつき行為をしたときの具体的な状況などが詳しく捜査されることが予想されます。
抱きつき行為の目的や、その具体的な状況次第によっては、暴行事件ではなく、不同意わいせつ事件や未遂事件として手続きが進んでいく場合もあり得ます。

先ほど説明した暴行罪と不同意わいせつ罪の法定刑を比べるとわかるように、不同意わいせつ罪の法定刑には罰金が定められていませんので、仮に検察官が事件を不同意わいせつ事件として起訴した場合に必ず正式な裁判が開かれることになります。
従って、暴行罪よりも不同意わいせつ罪のほうが重い犯罪であるといえますので、事件が暴行事件として処理されるのか、不同意わいせつ事件として処理されるのかはその後の手続が大きく異なる可能性があります。

そのため警察の取り調べにおいては、取り調べを担当する警察官の誘導に引っかかって、抱きつき行為が不同意わいせつ罪に当たるようなものであったと虚偽の自白してしまわないよう、取調べには十分注意して臨む必要があります。
警察署の取調室という密室で、取調べのプロである警察官を相手に虚偽の自白を行わないようにするためには、事前に弁護士に相談して警察での取調べ等の対応についてアドバイスを得ておくことをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ハグをしたことにより暴行罪や不同意わいせつ罪等の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】埼玉県上尾市の駅での器物損壊事件で逮捕

2023-11-23

【報道解説】埼玉県上尾市の駅での器物損壊事件で逮捕

器物損壊事件の刑事責任とその弁護活動の中心となる示談活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

埼玉県上尾警察署は、器物損壊罪の疑いで、埼玉県県桶川市に住む自称会社員の男性(37歳)を現行犯逮捕した。
逮捕容疑は、令和4年10月16日午後5時50分頃に、JR上尾駅で、ごみ箱を蹴ってへこませた疑い。
上尾警察署によると、容疑者男性は酒を飲んだ帰りとみられ、駅員に取り押さえられた。
(令和4年10月18日に配信された「千葉日報オンライン」を参考に、事実の一部を改変したフィクションです。)

【器物損壊事件の刑事処罰とは】

他人の物を故意に壊した場合には、その物の所有者(被害者)が警察に被害届を出すことにより、刑法の「器物損壊罪」が成立し、刑事処罰を受ける可能性があります。
器物損壊罪の刑事処罰の法定刑は、「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」とされています。

・刑法 261条
「前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。」

器物損壊罪は、わざと意図的に物を壊した場合に成立する犯罪であり、過失によって物を壊してしまった場合には、刑事事件には当たりません。

上記の事例のような、「酒に酔って起こした器物損壊事件」では、容疑者本人が泥酔していて、事件当時の記憶が無いケースが、よくあります。
器物損壊行為の事実を認めて、被害者に謝罪して示談交渉を行い、刑事処罰の軽減を目指すのか、あるいは、「やっていない」と否認の主張をするのかは、事件対応の大きな分岐点となるため、刑事事件に強い弁護士に法律相談して、今後の方針を検討することが重要となります。

【器物損壊事件の示談解決】

器物損壊罪は「親告罪」とされており、被害者が警察に被害届を出さない限りは、刑事事件になることはありません。
したがって、器物損壊罪の刑事事件化を防ぐために、弁護士を通じて被害者側との示談交渉を行い、被害者からの許しを得る示談の成立により、被害届提出を阻止すること、あるいは既に出ている場合の被害届を取り下げてもらうことが、不起訴処分による前科回避に向けて、重要な弁護活動となります。

器物損壊事件では、被害者側が加害者側に恐怖心を持っているケースや、当事者同士の話し合いの際に新たな争いが発生してしまうケースも考えられるため、当事者同士の直接の示談交渉が認められないことも多いです。
そこで、弁護士が仲介して、被害者側との示談交渉を行い、謝罪と慰謝料支払いの意思を伝えることで、スムーズに示談を成立させて、被害届提出の阻止、あるいは被害届の取下げを実現することが重要となります。

上記の事例のように、被害者が個人ではなく、鉄道会社や大手企業などの場合には、示談交渉に一切応じてもらえないケースも考えられます。
被害者に対する被害弁償だけでも済ませることや、警察取調べに対して、事件当時の犯行状況をどのように供述するかを検討する、といった弁護活動が考えられます。

まずは、器物損壊事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

駅などの公共場所での器物損壊事件でお困りの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【事例解説】18歳未満の女性を風俗店で働かせ児童福祉法違反で逮捕

2023-11-19

【事例解説】18歳未満の女性を風俗店で働かせ児童福祉法違反で逮捕

18歳未満の女性を風俗店で雇用して性的なサービスを提供させたとして、児童福祉法違反の疑いで逮捕されたケースを弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例紹介】

「風俗店を経営するAさんは、路上で女性Ⅴさんを誘い、Vさんが生活に困っていることに乗じて、自身が経営する風俗店で働かせようと考えました。
風俗店で勤務するにあたって、AさんはVさんの年齢を尋ねると、Vさんは本当は17歳でしたが、本当の年齢を言ったら働けなくなると思い、19歳と年齢をごまかしました。
Aさんは、Vさんの年齢を確認するため顔写真付き身分証の提示を求めましたが、Vさんは忘れてきたと言い、結果としてAさんはVさんの年齢を確認することをせず、Vさんを雇用しました。
風俗店従業員としてVさんを雇っていましたが、ある日突然Aさんのもとに警察が『この店に18歳未満の子いるよね』と訪ねてきて、そのままAさん児童福祉法違反の疑いで逮捕しました。」

(この事例はフィクションです)

【18歳未満の子を風俗店で働かせると…?】

児童福祉法は児童の健全な育成のために定められている法律です。
そこでは、児童の健全な育成に悪い影響を及ぼす行為は禁止されています。

そのため、自身の立場を利用して18歳未満の児童をソープランドやデリヘルなどの風俗店で働かせて、客に性的なサービスを提供させる行為は、児童福祉法34条1項6号で禁止されている「児童に淫行をさせる行為」にあたる行為として禁止されています。
これに違反すると10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその両方が科される可能性があります(児童福祉法60条1項)。

【18歳未満だと知らなかったという弁解は通るのか?】

児童福祉法60条4項によれば、児童の年齢が18歳未満であることを知らないことを理由として、処罰を免れることができないというのが原則です。
ただし、18歳未満であることを知らなかったことについて過失がないときは、例外的に処罰を免れることができます。

それではどのような場合に、18歳未満であることを知らなかったことについて過失がないといえるかについてですが、これには古い判例で「過失がない」とはいえない、すなわち過失があったとして被告人を児童福祉法違反で有罪とした昭和34年5月11日決定があります。
この判例は、被告人が、18歳未満の女性を接客婦を雇い入れるにあたり、女性の年齢を調査するために女性の実家を訪問して、直接、女性の両親とも接触し、そこで提出された他人の戸籍抄本を女性のものであると簡単に信じた事案について、被告人に「過失がない」とはいえないと判断しました。

この判例を踏まえると、女性の話を漫然と信じたり、女性の身体の発育状況から安易に18歳以上であると判断した場合や、顔写真のない住民票の写しをもって女性を18歳以上であると判断した場合は、「過失がない」とはいえないと判断される可能性が高いでしょう。
また、仮に女性が偽造した顔写真付き証明書を提示したことで18歳以上であると判断した場合も、顔写真付き証明書で年齢を確認したという事実を証明することが出来なければ「過失がない」と判断されることは難しいと考えられます。

【児童福祉法違反の疑いで突然警察に逮捕されてしまったという場合は】

児童福祉法34条1項6号の「児童に淫行をさせる行為」に違反した場合の刑罰は、児童福祉法の中で最も重い刑罰になります。
そのため、ご家族の方が児童福祉法違反の疑いで警察に逮捕された場合はいち早く弁護士に依頼して初回接見を依頼されることをお勧めします。

逮捕直後から、警察による取り調べが開始されますが、そこでは、捜査機関側が思うようなストーリーに沿った調書を作成するため、事実とは異なった供述をするよう誘導される危険性があります。
事実に反する調書が作成されることを防ぎ、不必要な刑事処分を受けることを回避するためには、捜査開始直後に弁護士が事件に介入することが重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
風俗店で18歳未満の児童を働かせたことにより、児童福祉法違反の疑いで警察に逮捕されたという方がご家族の中にいてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

【報道解説】埼玉県熊谷市の下着窃盗の常習犯を逮捕

2023-11-15

【報道解説】埼玉県熊谷市の下着窃盗の常習犯を逮捕

下着窃盗事件の刑事処罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道】

派遣社員の男性(47歳)は、令和4年6月5日未明に、埼玉県熊谷市アパート1階の女性宅にガラスを割って侵入し、下着など24点、9,000円相当を盗んだ疑いで、埼玉県警熊谷警察署に逮捕された。
男性の自宅からは、女性の下着や服が100点以上押収された。
同じような被害は、この女性宅でこれまでも2件、近くのアパート1階の女性宅で4件確認されていて、警視庁は、男性の犯行とみて調べている。
男性は、2021年11月に同じような窃盗の罪で服役を終えて、出所していた。
(令和4年6月7日に配信された「FNNプライムオンライン」を参考に、事実を一部変更したフィクションです。)

【下着窃盗事件の刑事処罰とは】

下着窃盗事件を起こした場合には、「他人の財物を盗んだ」として窃盗罪に問われるとともに、「他人の住居に不法侵入した」として住居侵入罪に問われるケースが多いです。
住居や庭に不法侵入した場合には「窃盗罪と住居侵入罪」が成立し、他方で、コインランドリー等に不法侵入して下着窃盗事件を起こした場合には「窃盗罪と建造物侵入罪」が成立すると考えられます。

窃盗罪の刑事処罰の法定刑は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」とされており、住居侵入罪や建造物侵入罪の法定刑は「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」とされています。
下着窃盗事件の場合には、窃盗罪と住居侵入罪とは、手段と目的の関係にある「牽連犯」に当たることから、成立する犯罪のうち、最も重い犯罪の刑である窃盗罪の法定刑で、刑事処罰を受ける形になります。

・刑法 第235条(窃盗)
「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」
・刑法 第130条(住居侵入等)
「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」

【被害者示談交渉による弁護活動】

下着窃盗事件は、被害者の存在する犯罪であるため、弁護士に示談交渉活動を依頼することで、被害者側に対して、謝罪や被害弁償・慰謝料支払いの意思を伝え、被害者からの許しの意思を含む示談を成立させることが、早期釈放や刑事処罰の軽減のための、重要な弁護活動となります。

下着窃盗事件においては、被害者側が加害者に恐怖心を抱いているケースが多く、加害者やその家族が、直接に被害者側との示談交渉を行うことは、原則として認められないことが多いです。
そこで、刑事事件に強い弁護士が示談交渉を仲介することで、弁護士だけに被害者側の連絡先が伝えられる形での示談交渉を進めることを、被害者側に打診することが、下着窃盗事件の示談解決に向けて必要となります。

まずは、下着窃盗事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

埼玉県熊谷市の下着窃盗事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】埼玉県本庄市の体罰暴行事件で逮捕

2023-11-11

【報道解説】埼玉県本庄市の体罰暴行事件で逮捕

暴行事件の示談解決について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

埼玉県本庄市の私立中学校で、中学生に対して竹刀で突くなどの暴行を加えたとして、教員の男性が、令和4年8月25日に暴行容疑で逮捕された。
男性は剣道部の監督で、去年12月に、稽古中に部員の男子中学生に対し、顔を手で叩き竹刀でのどや脇腹を突く暴行を複数回加えた疑いが持たれている。
警察は、男性の指導日誌やスマートフォンなどを押収していて、部活動で日常的な体罰があったかどうかを調べている。
複数の生徒が暴行を受けたとみられている。
(令和4年8月25日に配信された「読売新聞オンライン」より抜粋)

【体罰暴行事件の刑事処罰とは】

部活の指導中に、物理的な接触等の「人の身体に対する不法な有形力の行使」があった場合には、刑法の「暴行罪」が成立する可能性があります。
また、「有形力の行使」により怪我を負わせた場合には、刑法の「傷害罪」が成立します。

暴行罪の法定刑は、「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」とされており、傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされています。

暴行罪と傷害罪のどちらが成立するかは、被害者側の怪我の病院診断書が、警察に提出されているかどうかが、判断の分かれ目になることが多いです。
弁護士に依頼して、被害者側との示談を成立させることで、被害届を取り下げたり、病院診断書の提出を阻止することが、刑事処罰の軽減のために重要な弁護活動となります。

【体罰暴行事件の示談解決】

暴行傷害事件においては、被害者側との示談が成立しているかの事情や、治療費や慰謝料支払いが済んでいるかの事情や、被害者が加害者を許しているかの事情が、刑事処罰の判断に大きく影響すると考えられます。

刑事事件に強い弁護士に依頼することで、被害者側との示談交渉を行い、被害届の取下げ等の、加害者を許す意思を含む示談を成立させることが、不起訴処分や刑罰軽減に結び付きます。
学校での体罰暴行事件では、被害者が未成年となるため、その保護者との示談交渉となります。
また、被害者が複数人いる場合には、それぞれの被害者との示談交渉をまとめる必要が出てくるケースも想定されます。

まずは、体罰暴行事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

埼玉県本庄市の体罰暴行事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】埼玉県大宮の電車トラブルの傷害罪で現行犯逮捕

2023-11-07

【報道解説】埼玉県大宮の電車トラブルの傷害罪で現行犯逮捕

電車トラブルによる傷害罪の刑事事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道解説】

埼玉県在住の会社員男性A(25歳)は、会社帰りのJR埼京線の電車内で、同じ車両にいた会社員V(40歳)の顔を殴って鼻骨骨折させたとして、傷害罪の疑いで現行犯逮捕されました。
埼玉県警大宮警察署の調べでは、Aは電車内で座り込んでいたところ、Vに「電車内で座るな、邪魔だ」と言われ逆上し、Vに暴行を加えたとのことで、Aは逮捕容疑を認めている模様です。
(令和4年6月23日の神奈川新聞「カナコロ」の記事をもとに、大幅に事実を変更したフィクションです。)

【傷害罪とは】

傷害罪は刑法第204条に規定されています。
傷害罪は、「人の身体を傷害した」場合に成立し、「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科されます。

刑法に規定する暴力犯罪において、傷害罪は、暴行罪の結果的加重犯と言われています。
つまり、暴行罪は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」に成立し、その結果「人の身体を傷害した」場合に傷害罪が成立することになります。

ここで言う「暴行」とは、「人の身体に対する不法な有形力の行使」とされており、上記刑事事件例のように、人の顔を殴るという行為は、明確に「暴行」に該当し、その結果鼻骨骨折という傷害の結果が生じているため、傷害罪が成立することになります。

【電車トラブルから発展した傷害罪】

本来、犯罪行為が行われたからといって、すべての犯罪を警察が逮捕権を行使する訳ではありません。
警察は、逮捕のような強制処分ではなく任意の方法で捜査を進めることが原則とされており、逮捕が必要な場合には、裁判所が逮捕を必要と判断し、逮捕を許可して逮捕状を発行することが必要とされています(通常逮捕)。

しかし、上記刑事事件例のように、電車トラブルによる傷害罪という事案では、多くの人の目の前で傷害罪という犯罪が行われるため、逮捕状の発行を必要としない「現行犯逮捕」される可能性が非常に高いと言えます。
電車トラブルによる傷害罪で現行犯逮捕されてしまうと、そのまま警察の留置場で身柄を拘束されることになるため、それ以後、会社や学校に行けなくなる等の社会的不利益が生じます。

【傷害罪の刑事弁護活動】

そのため、電車トラブルの傷害罪で現行犯逮捕された場合、まずは早期に身柄を解放してほしいというニーズが考えられます。

被疑者が逮捕されると、警察は事件を検察官に送致します。
検察官は、逮捕に引き続いて被疑者の身柄を最大10日間拘束する「勾留」の必要の有無を判断し、検察官が勾留請求してこれを裁判所が認めると勾留が決定していまいます。
さらに勾留の満期において、さらに最大10日間の勾留延長が可能であるため、被疑者は最大20日間勾留されることもあり得ます。

これだけ長期間身柄が拘束されると、会社を解雇されたり、会社を辞職せざるを得なくなったり、その他重い懲戒処分を受けたり、様々な生活に支障をきたすことになるでしょう。
このような逮捕事案では、逮捕された段階ですぐに刑事事件の経験豊富な弁護士に弁護を依頼し、勾留が決定されることを回避する活動をしてもらうことで、早期に身柄が解放できるよう手を打つことをお勧めします。

【傷害罪の刑事弁護活動】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害罪等の逮捕事案を数多く受任し、勾留阻止のための活動を数多く経験し、勾留阻止による早期釈放の実績を多数挙げております。
電車トラブルの傷害罪で逮捕されお困りの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスをご利用ください。

【事例解説】盗撮で性的姿態等撮影罪 略式命令で罰金

2023-11-03

【事例解説】盗撮で性的姿態等撮影罪 略式命令で罰金

盗撮行為による性的姿態等撮影罪の疑いで略式命令による罰金が科された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例紹介】

「東京都に住むAさんは、都内の駅の上りエスカレーターでスマートフォンを前にいた女性のスカートの中に差し入れて女性のスカート内の下着を撮影しました。
Aさんはその場で、私服姿で見張っていた警察官に取り囲まれて逮捕されました。
逮捕後釈放されたAさんは、東京地方裁判所によって、性的姿態等撮影罪により罰金30万円の略式命令を受けました。」
(この事例はフィクションです)

【性的姿態等撮影罪とは】

令和5年7月13日施行の刑法改正により、各都道府県が定めていた迷惑行為防止条例による盗撮規制に加え、全国一律に適用される法令として、性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(いわゆる「性的姿態撮影処罰法」)が施行されました。

この法律は、性的な姿態を撮影する行為や、性的姿態等の撮影物を提供する行為等を処罰するとともに、性的姿態等の物理的およびインターネット上での撮影物等の没収や記録の消去等の措置を定め、性的姿態等を撮影されたる被害の発生と被害拡大を防止することを目的としています。

主な規制として、正当な理由がないのに、ひそかに、性的姿態等(人の性的な部位、人が身に着けている下着のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分、わいせつな行為又は性交等がされている間における人の姿態)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたものを撮影する行為を処罰しています(性的姿態等撮影罪)。

この性的姿態等撮影罪に違反した場合、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処されることになります。

上記事例において、Aさんは、被害者女性のスカート内の下着という「人の席的部分を覆っている部分の下着」を撮影していますので、性的姿態等撮影罪が成立することになるでしょう。

【略式命令とは?】

上記事例において、Aさんは警察に逮捕されたのち、最終的に罰金30万円の略式命令を受けています。
略式命令とは、簡易裁判所が100万円以下の罰金又は科料を科す裁判を言います。
略式命令がなされる裁判は検察官によって提出された書面のみで審理することになりますので、通常の裁判のイメージとは異なって簡易な裁判手続となりますので、起訴された被告人が罪を認めている場合には裁判が早期に終了するというメリットがあります
こうした裁判手続を略式手続と言います。

略式手続を行うためには、検察官が正式な裁判を求める公判請求ではなくて略式起訴を行うことになりますが、略式起訴を行うためには事前に被疑者に対して略式手続で事件を進めることについて同意が必要になります。
この同意は、略式手続では正式な裁判(公判)と異なって、裁判の場において無罪を主張するといったことが出来なくなりますから、こうした正式な裁判による審理を受けられなくなることについて被疑者に理解してもらうために求められています。
被疑者の同意がなければ、検察官は略式起訴を行うことはできませんので略式手続ではなく、正式な裁判である公判によって審理されることになります。

【盗撮で前科が付くことを回避したい方は】

略式命令によって罰金を納付した場合、手続きが簡易なものであってもその罰金は立派な前科になります。
そのため、事件が早く終了するならと安易に略式手続によることについて同意してしまうと略式命令によって前科がつき、現在のお仕事に影響が出る場合があり得ます。

現在のお仕事への影響を最小限にするためには、警察による捜査が始まった段階で早期に弁護士に相談されることをお勧めします。
検察官が起訴するかどうかの判断を下す前に、弁護士を通じて被害者の方と示談を締結できれば略式起訴ではなく不起訴となる可能性を高めることができるでしょう。

また、既に略式命令が下された場合でも略式命令の内容に不服がある場合には、被告人は正式な裁判で審理を求めるように請求することができますので、このような場合にも弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
性的姿態等撮影罪などの盗撮の性犯罪事件を起こして前科が付くことを避けたいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】携帯電話を奪って器物損壊罪で逮捕

2023-10-30

【報道解説】携帯電話を奪って器物損壊罪で逮捕

警察に通報されることを避けるために相手の携帯電話を奪い去ったとして器物損壊罪の疑いで逮捕されたケースについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「警察によると、A容疑者は予約していたタクシーが乗り場にいなかったため、受付カウンターで運転手の男性と口論になり、運転手が警察に通報しようとしたところ、スマートフォンを奪ってそのまま立ち去ったということです。」

(令和4年12月20日に関西テレビで配信され報道より一部抜粋して引用)

【相手の携帯電話を奪い去ったのに窃盗罪ではないのか?】

今回取り上げた報道のAさんは器物損壊罪の疑いで逮捕されています。
Aさんはタクシー運転手の方の携帯電話を奪い去っていますが、このように相手の物を勝手に奪い去るというのは窃盗罪が成立するのではないかと思う方がいらっしゃるかもしれません。

窃盗罪は刑法235条に規定されている犯罪で、仮に窃盗罪で起訴されて有罪となると、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。
このような窃盗罪が成立するためには、相手の物を奪った際の犯人の心の中に「権利者を排除して他人の物を自己の所有物とし、その経済的用法に従って使用し処分する意思」という意思が存在する必要があります。
この意思のことを不法領得の意思といいます。

盗んだ物を転売して利益を得ようとするために相手の物を勝手に持ち去った場合には、不法領得の意思が認められることになりますが、今回のAさんは、奪い去った携帯電話をそのまま使用する目的であったり、転売しようとする目的があった訳ではありません。
Aさんは、あくまで、タクシー運転手の方が警察に通報しないように電話をさせない目的で携帯電話を奪い去っていますので、このような目的は不法領得の意思があるとは言えない可能性が高いです。
そのため、Aさんには窃盗罪が成立する可能性が低いと言えるでしょう。

なお、記事中ではAさんが携帯電話を奪った旨の記載がありますので、強盗罪が成立するのではないかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、強盗罪の成立に当たっても不法領得の意思が要求されますので、不法領得の意思がない場合は強盗罪は成立しません。
また、そもそも強盗罪が成立するためには、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加えたことによって相手の物を奪い去る必要がありますが、このような暴行・脅迫を加えたのでければ強盗罪は成立しません。

【相手の携帯電話を奪い去ったのに器物損壊罪?】

それでは、どうして携帯電話を壊した訳でもないのに器物損壊罪の疑いで逮捕されたのでしょうか。
器物損壊罪は刑法261条に規定されている犯罪で、「他人の物を損壊」した場合に成立する犯罪です。

器物損壊罪が成立する典型的なケースは相手の持ち物を物理的に破壊することですが、実は器物損壊罪の成立に当たって必要とされる「損壊」というのは、その物を本来の目的で使用することができない状態にすることを意味します。
そのため、相手の持ち物を物理的に破壊したときはもちろん、相手の持ち物を持ち去って持ち物を使用できなくさせる行為も「損壊」に当たることになります。

連絡手段である携帯電話を奪い去る行為は、携帯電話の本来的な用法である連絡手段としての使い方を害しているといえるでしょうから、Aさんには器物損壊罪が成立する可能性が高いと言えるでしょう。
器物損壊罪の法定刑は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料となっています。

【器物損壊の場合の刑事弁護活動】

器物損壊罪は刑法264条によって親告罪という犯罪に当たりますので、器物損壊罪については、被害者の方の告訴がないと検察官は起訴することができません。
そのため、器物損壊罪の場合の刑事弁護活動としては、弁護士を通して被害者の方との示談をして被害者の方に告訴を取り下げてもらうことが非常に重要になるでしょう。

示談締結によって告訴を取り下げてもらうことができれば、検察官は器物損壊罪について起訴をすることができませんから、器物損壊罪について前科が付くことはありません。
このような示談交渉は、刑事事件の弁護活動の経験が豊富な弁護士に依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
器物損壊の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方、被害者の方との示談をお考えの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】ナイフ暴行事件で現行犯逮捕 傷害と殺人未遂

2023-10-26

【報道解説】ナイフ暴行事件で現行犯逮捕 傷害と殺人未遂

宮城県仙台市のナイフ暴行事件を例に、傷害・暴行事件と殺人未遂事件の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道事例】

知人の脇腹をプラスチックのナイフで突いたとして、暴行の疑いで、仙台市青葉区に住む25歳女性が現行犯逮捕された。
警察によると、女性は、令和4年12月23日午後9時20分頃に、仙台市青葉区内にある知人男性(30代)の自宅で、男性の左脇腹をプラスチック製のナイフで突いた疑いが持たれている。
被害者男性が警察に通報し、駆け付けた警察官が女性を現行犯逮捕した。
警察の取調べに対して、女性は「突いたことは間違いない」と話しているという。
(令和4年12月24日に配信された「tbc東北放送」より抜粋)

【傷害・暴行事件と殺人未遂事件の違い】

他人に対して、何らかの物理的な力を加えるなどの暴行行為により、相手がケガをした場合には傷害罪が成立し、他方で、相手がケガをしなかった場合には暴行罪が成立します。
傷害罪の刑事処罰の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされており、暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」とされています。

暴行行為の際に、「相手を殺そうとする意思」(殺人の故意)があった場合には、殺人未遂罪が成立する可能性があります。
殺人未遂罪の刑事処罰の法定刑は「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」とされています。

「殺人の故意」とは、「これをやれば、相手が死ぬかもしれないけれども、それでも構わない」と考えて、暴行行為などをした場合にも、(未必の)故意が認められるとされています。
警察の取調べにおいて、事件当時の具体的な暴行行為の程度や、事件発生に至った経緯などを、どう供述するかが、その後の刑事処罰の判断に大きく影響すると考えられます。
事件捜査の初期段階で、刑事事件に強い弁護士と法律相談することで、警察取調べの供述対応を、弁護士とともに検討することが、その後の刑罰軽減のために重要な弁護活動となります。

また、被害者側との示談交渉活動を、弁護士が仲介して行うことで、被害者側からの許しを得られるような示談が成立した場合には、示談成立の事情が、刑事処罰の軽減に影響することが期待されます。

まずは、ナイフ暴行事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

宮城県仙台市のナイフ暴行事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】強盗致傷罪で逮捕 裁判員裁判対象の重大犯罪

2023-10-22

【報道解説】強盗致傷罪で逮捕 裁判員裁判対象の重大犯罪

金銭を奪うために加えた暴行によって相手方を怪我をさせたことにより、強盗罪の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「女性になりすましてSNSで呼び出した高校生に暴行を加え、金を奪おうとした疑いで、21歳の男ら2人が逮捕された。
A容疑者(21)らは2022年3月、埼玉県川越市の路上で、男子高校生に『金を出せ』と脅して暴行を加え、けがをさせた疑いが持たれている。
A容疑者らは、SNSで若い女性になりすまし、高校生を呼び出していたという。」
(令和4年5月24日にFNNプライムオンラインにて配信された報道より引用)

【強盗致傷罪とは】

刑法240条は、強盗致傷罪について規定しています。
強盗致傷罪が成立するためには、「強盗が」、強盗の機会に、「人を負傷させた」という要件を充たす必要があります。
引用した報道では詳しい事実関係については明らかとなっていませんが、Aさんが高校生から金銭を奪うために加えた暴行が、高校生の反抗を抑圧する程度の暴行であれば、Aさんは「強盗」に当たることになるでしょう。
そして、そのような強盗の手段として用いられた暴行によって高校生が怪我をしていますので、Aさんは強盗の機会に「人を負傷させた」として強盗致傷罪の疑いで逮捕されたと考えられます。
なお、報道では「金を奪おうとした」との記載にとどまり、実際にAさんが金銭を高校生から奪ったかについては定かではありませんが、仮にAさんが金銭を奪っていなくとも、金銭を奪うために用いた暴行によって相手方を怪我をさせたのであれば、刑法243条が定める未遂罪は成立することはなく、強盗致傷罪の既遂が成立することになります。

強盗致傷罪の法定刑は、無期又は6年以上の懲役刑で、罰金刑が定められておらず、最も軽い刑で6年の懲役刑となっていますので、様々な犯罪について規定する刑法の中において、科される刑罰が大変重い犯罪です。

【強盗致傷罪で起訴された場合】

強盗致傷罪が起訴されると次に示すように通常の公判手続とは異なる点があります。

まず、強盗致傷罪のように法定刑で無期懲役が定められている事件が起訴された場合、その事件は、裁判員裁判の対象になります。
裁判員裁判制度は、職業裁判官と一緒に、国民の中から抽選で選ばれた人が裁判員として裁判に参加して、有罪・無罪の判断、有罪の場合の量刑をどうするかを決める裁判制度です。
裁判員裁判制度においては、量刑を判断にあたっては国民感情が反映されることになりますので、職業裁判官のみによって行われる通常の裁判に比べて、量刑が重くなる傾向があると言われています。

また、裁判員裁判の対象となる事件については、公判が開かれる前に公判前整理手続と呼ばれる手続が行われることになります。
公判前整理手続は、第1回公判期日の前に、裁判所、検察官、弁護人が事件の争点を明確にして、証拠の整理を行い、これからどのように審理を進めていくかという審理計画を作成することを目的とする手続ですが、審理計画の作成に時間がかかってしまい、結果として公判が長引いてしまうおそれがあります。

【強盗致傷罪の弁護活動】

このように強盗致傷罪は法定刑が重く重大な犯罪ですが、被害者に対する示談の有無によって、刑事処罰の可能性を低くする可能性が残されています。
事件を起訴するか否かを決定する権限は検察官にあり、検察官が事件を起訴するか否かの判断をするにあたっては、被害に遭われてしまった方の処罰感情を重視する傾向にあります。
そのため、検察官が起訴不起訴の判断を下すまでに、被害に遭われてしまった方に対して謝罪と被害の回復を行い、示談を締結することができれば、軽い処分となる可能性を高めることができます。

【軽い処分を目指したい方は】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱っている事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、被害者の方との示談交渉により、示談を締結することができ、強盗致傷罪から窃盗罪と傷害罪の2罪に分離させた結果、不起訴処分を獲得した経験のある弁護士が在籍しております。
強盗致傷罪を起こしてしまいお困りの方、強盗致傷罪について少しでも軽い処分を目指したい方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度御相談下さい。

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