【報道解説】保育士が園児に暴行して書類送検

【報道解説】保育士が園児に暴行して書類送検

保育士が園児に暴行を働いた疑いで警察から検察へと書類送検された事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「去年、千葉県松戸市の認可保育所で、園児の頭を叩くなどの暴行を加えたとして、当時保育士だった女性2人が書類送検されました。
去年10月、園内で30歳の女性は当時1歳の男の子の頭を手で叩き、31歳の女性は当時2歳の男の子の右手を引っ張り、頭をおもちゃのふたで叩くなどの暴行を加えた疑いがもたれています。
31歳の女性は容疑を認め、30歳の女性は容疑を否認しているということですが、警察は起訴を求める『厳重処分』の意見を付けて書類送検しました。」
(令和5年2月10日にTBSNEWSDIGで配信された報道より一部抜粋して引用)

【暴行罪は軽い犯罪?】

今回取り上げた報道は、当時保育士であった女性が園児に対する暴行の疑いで検察に書類送検されたというものです。

刑法208条に規定されている暴行罪が成立するためには、「暴行」をする必要がありますが、「暴行」とは人の身体に対する不法な有形力の行使と定義されています。
分かりづらい定義かと思いますが、人の身体に向けて物理的に攻撃をした場合は「暴行」に当たることになります。
そのため、人の手を引っ張ったり、人の頭を叩くといった行為をした場合は暴行罪として罪に問われる可能性があります。

暴行罪と聞くと大したことのない刑が軽い犯罪だと思われるかもしれませんが、暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっています(「拘留」とは1日以上30日未満の期間、刑事施設に収容する刑罰のことを言い、「科料」とは1000円以上1万円未満の金銭の納付を命じる刑罰のことを言います。)。
法定刑に懲役刑が定められていますので、捜査の段階で暴行の事実について認めている場合でも、事件の具体的な状況次第によっては、検察官によって起訴されて正式な刑事裁判が開かれてしまうということもあり得ます。

【前科が付くと保育士になることができない?】

報道では、事件当時保育士であった被疑者2名が書類送検されたということですが、書類送検とは、警察での捜査の結果をまとめた書類を検察に送ることを意味しています。
捜査書類を受け取った検察官は、被疑者を暴行罪として起訴するかどうかの判断をすることになります。

ところで、保育士資格には、児童福祉法のなかで保育士になることができない一定の場合が定められています。
具体的な条文を挙げて説明しますと、児童福祉法18条の5柱書では、「次の各号のいずれかに該当する者は、保育士となることができない。」と規定して、保育士になることができない場合として、第1号から第5号までの5つの場合を規定してます。

そして、5つの場合のひとつである第2号では「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者」と規定しています。
この児童福祉法18条の5第2号によれば、刑事裁判の結果、執行猶予が付かずに懲役刑や禁固刑となった者であれば刑の満了から2年間は保育士にになることができませんし、また、執行猶予付きの判決であった場合でも執行猶予の期間満了から2年間は保育士になることができないことになります。

【暴行罪で前科を付けたくないとお考えの方は】

先ほども説明した通り、暴行罪の法定刑には懲役刑が定められていますので、事件によっては、暴行罪で起訴されて刑事裁判が開かれた結果として執行猶予付きの有罪判決となった場合、執行猶予の期間が満了してから2年の間は保育士になることができません。

このように、国家資格の中には前科が付くとその効力を失うものがありますから、暴行事件といった刑事事件を起こしたことで前科がついて仕事ができなくなるといったことを避けたいとお考えの方は、いち早く弁護士に刑事弁護活動の依頼をされることをお勧めします。
弁護士に依頼することで、弁護士は、前科が付くことを回避するために検察官に起訴を猶予してもらうように交渉をしたり、仮に起訴されて裁判で有罪となったとしても仕事への影響がないような判決を求めるといったことができるようになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
暴行罪で前科が付くことを避けたいとお考えの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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