埼玉県北葛飾郡で目にレーザーを当てて傷害罪
埼玉県北葛飾郡在住の無職Aさん(19歳)は、地元の友人らと共謀して、道路上を通行する人に対して、その目のあたりに高出力のレーザーポインターを照射させる悪戯をしていました。
Aさんらが何人かの通行人にレーザーポインターを照射させていたところ、その内の一人の高齢者女性Vさんが目に強いレーザーを当てられたことで眩暈がしてしまい転倒してしまいました。
Vさんはもともと脚が弱く杖をついて歩行していたところ、倒れた際に脚をアスファルトに打ち付け、脚を骨折してしまいました。
Vさんの転倒を助けた歩行者が救急車と110番通報をしたため、Aさんらは大事になったと不安になって逃走し、後日、Aさんらは埼玉県警杉戸警察署によって傷害罪の疑いで逮捕されました。
(※フィクションです)
他人に対して直接的に暴力を振るうことは犯罪行為として広く一般に理解されているところですが、そこを逆手にとって、直接相手に触れさえしなければ有形力を行使してよいだろうと考え、悪質な悪戯や嫌がらせを行ってしまい、刑事事件に発展してしまうケースがしばしば報道されます。
そのような事例の中で昨今話題になったものは、深夜の視界の悪い道路上にロープ等を張り、そこを通りかかる自動車やバイクがひっかける悪戯を試みて、実際にその道路を通りがかったバイクの運転手を転倒させて負傷させてしまったために殺人未遂罪で逮捕された例があります。
また、頭書刑事事件例で取り上げたように、技術の向上によって極めて高出力のレーザーを照射するレーザーポインターが市販で購入できるようになった事情を背景に、そのレーザーポインターを自動車やバスの運転手等の目に照射して威力業務妨害罪で逮捕された事例があります。
具体的には、平成29年7月、東京都目黒区の路上で車を運転中、同じ車線にバスが割り込んできたことに腹を立て、バスに車を横付けし、持っていたレーザーポインターをバス運転手の左目に照射したとして、無職男性が威力業務妨害罪の疑いで逮捕されました。
被疑者男性がレーザーポインターでバス運転手の目を照射したため、バス運転手は一時的に視覚不良となり、バス会社本社に連絡し、終点まで運転したところで、その後の運行は別の運転手に交代したと言います。
幸いにもバスの乗客・乗員に怪我はなかったようですが、これによりバス会社は、バス運行の遅延や急な人員交代で業務を妨害された被害が発生しています。
ある眼科医によれば、強いレーザー光線を目に照射されると、太陽を直接見るのと同様に網膜にダメージを与え、急に目見えなくなり、視力が回復するのに時間がかかると言われており、そのような状態でバランスを崩してしまった被害者が転倒して負傷した場合には、傷害罪が成立することもあり得ます。
特に、少年らが軽い気持ちで悪戯を行った場合であっても、レーザーポインターを目に照射させて転倒させる等の悪質な場合には逮捕に至ることも十分に考えられ、逮捕に引き続き勾留が決定したり、家庭裁判所に送致された後でも観護措置が取られるなどして、身柄を拘束されて家庭から切り離される可能性は十分考えられます。
このような事例で被疑事実を認めているのであれば、刑事事件・少年事件に強い弁護士を通じて、被害者に対する謝罪と損害賠償を試みることが何よりも重要です。
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