埼玉県加須市で公務員が守秘義務違反で逮捕
埼玉県加須市の警察官Aさんは、友人Bの頼みに応じて公務員でなければ知りえない市民の個人情報を調べ、Bに対してその市民の個人情報をメールで伝えました。
その後、Bが当該情報を元に別件で詐欺事件を起こし、詐欺罪の疑いで逮捕され、その犯罪行為の捜査にあたって、BがAさんから公務員でなければ知りえない情報を入手していたことが判明し、埼玉県警加須警察署はAさんを地方公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで逮捕しました
警察の調べに対し、Aさんは事実を認めています。
(フィクションです)
上記刑事事件例は、病死した人の遺族から、遺体の搬出費用などの名目で現金をだまし取ろうとしたとして詐欺罪の疑いで逮捕されていた埼玉県川越警察署の巡査が、別の病死した女性の遺族の個人情報を知り合いに漏らしていたとして、地方公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで再逮捕された事案をモデルにしています。
警察の調べによれば、被疑者は今年2月、埼玉県川越市内で病死した女性の遺族の名前や住所などを、知り合いの40代男性に携帯電話のメールで漏らしたとして、地方公務員法違反の疑いがもたれています。
警察の調べに対して、被疑者は事実を認めているとのことです。
情報を渡した男性とは捜査を通じて知り合い、今年2月頃から数十回にわたってメールのやりとりをしていたということで、警察は、情報を漏らすことで何らかの利益を得ようとした疑いもあるとみて、動機などを詳しく調べています。
公務員は、その職務遂行における権利義務において、私人とは異なる法的地位が与えられており、例えば、身分保障や一定の所得補償等のメリットが挙げられるのに対して、公務員の地位に基づく特別な義務を負うというデメリットがあり、その義務違反に対して罰則を負うことがあります。
地方公務員法によれば、すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならず(法第30条)、例えば、職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならないであるとか(法第33条)、職員は、在職中であると退職後であるとを問わず、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない(法第34条)等の義務を負います。
上記公務員が負う義務の後者を、秘密を守る義務(守秘義務)と言い、これに違反した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます(法第60条)。
守秘義務違反のように公務員が負う特別な義務違反に関する刑事事件では、被疑者の行為によって公務員の公平性や清廉性が損なわれたからこそ罰則が与えられるのであり、例えば情報を漏洩した個々の被害者や関係者に対して損害賠償を行ったからといって、地方公務員法の保護する利益が回復する訳ではありません。
そのため、このような事件の刑事弁護では、示談という選択肢はなく、自分が行ってしまったこと以上の不当な責任は負わず、真摯に謝罪や反省を示す様々な情状主張が弁護活動の中心となるため、刑事事件の経験豊富な弁護士に依頼することを強くお勧めします。
埼玉県加須市で公務員の方が守秘義務違反で刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回無料相談や初回接見サービスをご検討ください。
(埼玉県警加須警察署への初回接見費用:40,000円)