埼玉県春日部市で虚偽の犯罪被害申告で偽計業務妨害罪
埼玉県春日部市の会社員男性Aさんは、仕事における対人関係の不和を理由に自殺を考え、刃物で自分の首や手首、胸等を切りつけたものの、痛みと恐怖のため途中で自殺を思いとどまりました。
Aさんは血まみれの服等は廃棄し、傷だらけの身体を治療するために病院に行きましたが、医者に負傷の理由を問われ自殺を試みて失敗したと言うことに躊躇して、押し込み強盗に襲われたと言ってしまいました。
これを受けて病院は埼玉県警春日部警察署に対して強盗被害を受けた者がいると通報し、その後春日部警察署の警察官から強盗の被害者として取調べを受けたAさんは、自分がついた虚偽の被害申告に整合性のある供述ができず、虚偽の強盗被害を申告してしまったと供述しました。
警察はAさんが虚偽の強盗被害を申告するに至った背景を調べ、その後、偽計業務妨害罪の疑いでAさんを在宅のまま検察官送致(書類送検)しました。
(フィクションです。)
人は自分の失敗や不始末を糊塗するために虚偽の事実を申告してしまうことが往々にありますが、時に、そのような軽挙な言動が多くの人の業務を妨害することにつながり、刑事事件化してしまうケースがあります。
上記刑事事件例は、今年4月1日、兵庫県姫路市の漁港で無職男性が男に胸などを刺されて重傷を負ったとされた事件において、実はその事件は被害者男性の虚偽の被害申告であり、男性が自殺しようとしたことを隠すためだったと判明し、男性を偽計業務妨害罪の疑いで書類送検した事案をモデルにしています。
上記事案では、警察は強盗殺人未遂罪事件として捜査していたが、男性の回復を待って詳しく事情を聞いたところ、虚偽申告を認めたようで、「自殺をするため漁港に来たが死にきれず、世間体もあり、強盗に襲われたことにしようと思った」と供述しています。
また、2017年には、名古屋市営地下鉄において、54歳の男性が「誰かに背中を刺された」と交番に駆け込むという事件が起きたものの、これは男性が「事件になれば会社に行かなくて済む」との目論見による自作自演の虚偽被害だったことがわかり、男性は偽計業務妨害罪の疑いで逮捕されました。
刑法では、偽計を用いて人の業務を妨害した場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられることになります(刑法第233条、偽計業務妨害罪)。
虚偽の犯罪被害を警察に報告し、警察職員らを捜査や周囲の警戒など本来行う必要のない徒労の業務に従事させ、その間本来行うべき業務を妨害することは、性質上、被害申告の段階では虚偽か否か判明しない通報によって警察の公務を強制的に妨害するものであり、偽計業務妨害罪が成立すると判示した判例もあります。
虚偽の被害深刻に至った背景に情状の余地があるものについては、標題刑事事件例のように逮捕には至らず在宅のまま捜査が行われる可能性が高いですが、身勝手な理由に基づいて他人の業務の妨害を積極的に利用する犯行態様である場合には、逮捕および勾留につながる可能性も高いと言えるでしょう。
このような虚偽の被害深刻に基づく偽計業務妨害罪の刑事事件では、被疑者が一貫して事実を否認し続けることはほとんど想定されないため、犯行を認めた上での真摯な反省を示す効果的な情状主張が有効な弁護活動の中心になるでしょう。
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(埼玉県警春日部警察署への初回接見費用:38,200円)